『共有地の悲劇』から

316巻・後半の引用、ギャレット・ハーディンの言葉は、やはりその論文『共有地の悲劇』(The Tragedy of the Commons, 1968)からのものだった。

A technical solution may be defined as one that requires a change only in the techniques of the natural sciences, demanding little or nothing in the way of change in human values or ideas of morality.

残念ながら全訳は発見できなかったので、今回も試訳:
「技術的解決策とは、自然科学的手法のみにおいて変革を要するものと定義され、人間的価値や倫理的見解の変革という点にはほとんど、あるいはまったく依存しない」

ちなみにヘフト632話の原文:

Als technische Lösung bezeichnet man eine Maßnahme, die nur aus der Anwendung naturwissenschaftlicher Erkenntnisse besteht und praktisch keine Änderung menschlicher Werte oder moralischer Vorstellungen erfordert.

独語訳も、けっこうニュアンスちがってるみたいな気がするなぁ……。ただこちらも全文は未発掘なので、素直な引用なのか、フランシスがまちがえてる(^^;のかは確認不能。
まあ、だからどうしたって、そーゆー話なのだが。

■ギャレット・ハーディン・ソサエティ: www.garretthardinsociety.org

316巻『無限からの警告』発売

ハヤカワ版316巻『無限からの警告』を本日購入。著者は前半「飛行都市」がクナイフェル、後半「無限からの警告」がフランシス。訳者は五十嵐洋氏。

故郷銀河の情報を求め、禁断のユーロク惑星トレーチャーを訪れたローダン=トラシュティンと銀河学者ガイト・コール。脳移植施術の後遺症を抱えた障害者たちの群れに襲われつつ、かつての惑星中枢“飛行都市”ヌプレル捜索をつづけるが……? の前半。
一方の後半は、サイナック・ハンターに追いつかれながらも、思わぬハプニングの結果ヘルタモシュとの合流をはたしたローダンが、再度アンドロ・ローダンへのアクセスを敢行すべく、ヤアンツァルをめざす。果たしてその頃、銀河系は……って、アンドロ・ローダン、けっこー頻出するなあ(汗)

この巻では、ナウパウム道中の“3人目”の友、ゼノが登場する。かれもまたサイナックであり、その出自は思わぬ形でローダンを苦悩させることになる。まったく、こーんなところであーんな種族の成員と遭遇するなんて、いったいどんな天文学的確率なのやら(笑)

以下、余談: 「あとがきにかえて」の引用出典がらみのくだりは、なんとゆーか、身につまされる。というか、たぶん、マガンが身につまされることだろう(爆)

1) で、『成長の限界』からの“引用”だが、原文を見ると、会話風になっている。
以下、試訳—–
「技術的解決策といわれるものは、ただ科学知識の応用からのみ成る措置であり、人間的価値や倫理観には事実上何ら変化をもたらさない」
「しかし、多くの問題には技術的解決策が存在しない」
—–試訳終了
わたしも少しネットで調べてみたが、ハーディンは『成長の限界』の作者に名がないので、あるいは前の文章はかれの著作『共有地の悲劇』からの引用なのかも。だとしたら相当アクロバティックな引用だけど。

2) “ブラウンの引用事件”だが。15年前って、五十嵐さん、いくら公然の秘密だからって(笑)

次回配本はシュタインミュラー

えーっと、公開しちゃっていいのかな……いいか(笑)
rlmdi.の次回配本は、翻訳物。旧東ドイツ出身のSF作家、アンゲラ&カールハインツ・シュタインミュラー夫妻の短篇「労働者階級の手にあるインターネット」に決定した。

シェイヨル社のオンラインSFマガジン「エイリアン・コンタクト」56号に掲載され、2004年度のクルト・ラスヴィッツ賞短篇部門にノミネート、第3席を獲得した作品(ちなみに受賞作も夫妻の作品「タイムトラベルの前に」)である。
副題を「1997年のハプニング」というように、舞台は1997年、統一から7年後のドイツ。崩壊直前の東ドイツから亡命し、現在ではフラウンホーファー系列の研究所に勤務する科学者ヴァルター・アダムチクのコンピューターに、ある日1通のe-メールが誤配されてきた。ところが、その発信者のアドレスは、東ドイツ時代のアダムチク自身のものだったのだ……。

実は翻訳自体は昨年のうちに完了しており、扱いをどうしようかと迷っていたのだが、この度マガンの尽力で、非営利限定で出版OKの回答が作家ご本人及び出版社から得られた。400字詰原稿用紙で5~60枚の分量を、どんな形でいつごろ刊行するかは、今後のマガンのスケジュールで決まってくるが、ぼちぼちご期待いただきたい。

■ラスヴィッツ賞公式サイト: Kurd Laßwitz Preis
■マガンによる紹介用サイト: ユンバルト.com (リンク切れ)

新ゲスト作家……

ドイツのSF/ファンタジー系ニュース・サイト、Phantastik-Newsによると、2319話をゲスト作家が執筆するらしい。
というか、作家自らがサイトの日記(blog)で公表しているのである。

ティトゥス・ミュラー(Titus Müller)は、1977年ライプツィヒ生まれ。大学では文学と中世史を学び、1998年に創刊したした文学新聞Federwelt(羽の世界)の編集を2001年まで担当。現在は専業作家……なのか?
サイトのビブリオグラフィーを見ると、1996年ごろから短篇を執筆している。長編はこれまでに、2002年の『司教のカリグラフ』、2003年の『司祭の娘』、2004年の『七つの首』(編集)、2005年の『眼鏡をつくった女』、『死にさだめられし者』(近刊)と4冊+αが刊行されているが、これ、すべて歴史小説である。
SFと名のつくものは、よそで紹介されているもの含めて、2003年に書かれた短篇「水」(アンソロジー『未来世界』に収録)ただ一作きり。どんな経緯でゲスト作家に選ばれたのか、さっぱりわからない。

しかし、上述のブログで、かれはこう書いている:「かつてどうしようもないほど異星人やロボットに惚れ込んだ経験を持つものだけが、作中のかれらに感情移入できるのです。ぼくには、それができる」
実際に作品を読んだことがないので、なんともいえないが――ちょっぴり、期待したくなることばだ。

■Phantastik-News: TITUS MÜLLER SCHREIBT EINEN “PERRY RHODAN”-ROMAN!
■ティトゥス・ミュラーのサイト: Titus Müller

上の記事、公式サイトのBBS〈銀河フォーラム〉で紹介されてなかったら見落としてた……