アニューム主義者、だったか……

Anjumisten / アニューミスト

前項でも取り上げている、「赤い宇宙の帝国」シリーズ。読むのにけっこう骨が折れるのは、用語がいちいち特殊だから。惑星コペルニクスのややネジのぶっとんだ科学者たちが大挙して異宇宙に移住し、拡張した帝国、という設定なので、一般的なことばと、ちょっとちがった言い回しをするのである。
「患者、という用語は使いません。パートナーと言います」 初対面のふとっちょ医者(男性)に「あなたのような方をパートナーにできて私は幸せです!」と宣言されて絶句したローダンは、そんな解説をうけることになるわけだ(笑)

さて、それと同列なわけではないが、従来「アンジュミスト」と訳してきた、赤い宇宙の帝国のレジスタンス組織であるが、これ、創設者 Claes Anjum にちなんだ命名であるそうな。
で、この Anjum 氏の姓名は、どちらもオランダ語系で、クラース・アニューム、と読むのがどうやら正しそう。
今後、当ごやてん内の記事では「アニューミスト」と記載することにしたので、前後で相違することになるがご了解いただきたい。
#って言うほど書いてないけどね(汗)

ローダン赤帝3:未来の砦……だったよ、な?

私はライランド・ウォーカー。ニューヨークはマンハッタンに小ぢんまりした事務所をかまえる私立探偵だ。秘書のカルメンが今日も来客を告げる。ジョニー・ヴェールことイオアニス・ヴァレロシオスはビザンティン宮廷の宦官めいた声でやっかいごとを持ちかけるのが常だ――今日のように。
ガチニ・エメラルド……とある老貴婦人のもとから「盗まれた」とされる宝玉をとりもどすのが今回の依頼らしい。だが、警察に通報することを忌避し、現在の「保持者」もわかっているというのは、実にきなくさい。とりあえず慎重に、周辺から事情をあたってみるのがよいだろう……。
そんなとき、もうひとりの依頼人が事務所を訪れた。妙齢のご婦人は、突如消息を絶った兄を捜してほしい、と語った。

「わたくしはデボラ・ローダン。兄の名は、ペリーと申します」

時は20世紀後半のニューヨーク。なのに市街の片隅には、ドルーフがおり、ホウホムがおり……ライ・ウォーカーはガチニ・エメラルドの謎を追ううちに、それまで知らない超技術が暗闘に用いられていることを知る。秘書であり恋人でもあるカルメン・スターウッドはかどわかされ、探索をしぶる彼への脅迫材料に使われる。
廃墟同然の宇宙港……こんな巨大なものが空を飛ぶのか? 宇宙船のかたわらでホームレスのように暮らすホウホムたちとの邂逅……。

誰かの声がするようだった。
「527076の平方根は?」
「726。ですが、なぜ?」

モーロック・スマルヤ――かれはホウホムだった――のもとでガチニ・エメラルドを手に入れたウォーカーは、しかし恋人を取りもどすことはできなかった。そして、探偵はついにもうひとつの依頼の回答の場所、マンチェスターにあるローダン家の墓地にたどりつく……。
ペリー・ローダン、ハイネ社版ペーパーバックシリーズ〈赤い宇宙の帝国〉の最終巻『未来の砦』は、こんな感じで幕を上げる。というか、実はまだ半ばあたりまでしか読み進んでいなかったり。いきなり探偵物語でびっくりだが、それで終わりではない。

ライ・ウォーカーの「捜し出した」ペリー・ローダンは、この世界が現実ではなく、一種の仮想現実界〈メンタル・シンポジオン〉であることを知る。赤い帝国の女将軍イファマによって捕らえられたテラナーは、意識と魂の6次元コピーをとられ、この領域に送り込まれたのだ。コピー意識である現在の自分を、現実界のローダンのもとへ再統合するため、彼はテラニアをめざす……シンポジオンの設計者はその大都市を恣意的に削除し、再現しなかった。しかし、かつての彼もまた、何ひとつない砂漠からテラニアを生み出したのではなかったか――。

というわけで、今度はシルクロード紀行である。中国にわたったローダンは、ラマ教の聖者の予言にしたがい、小キャラバンで古都カラ・ホトへと旅立つ。灼熱の砂漠をラクダで踏破し、たどりついた遺跡でテラナーを待っていたものは。そして、メンタル・シンポジオンとは何で、シミュセンスのもたらす夢とは何が異なるのか。ガチニ・エメラルドをめぐる事件は何を意味するのか。ひそかにローダンを支援するのは、アンジュミストではないのか。
うずまく疑問の、あるものには回答を得、あるものは謎のままで、現実界に帰還したローダンは、ついに赤い帝国との最終決戦のときをむかえる……はず、なのだが。そのへんはまた近々。

まあ、とりあえず。前の巻『ドルーフォンへの鎮魂歌』で、思わずローダンをひっぱたいちゃったわって、ファラシューちゃん、それ伏線だったのかよっ(爆)

359巻『バラインダガル銀河の最期』

ハヤカワ版359巻『バラインダガル銀河の最期』を読了した。著者は前半「バラインダガル銀河の最期」がフォルツ、後半「女たちの密命」がクナイフェル。訳者は嶋田洋一氏。

ついに制御をはなれて暴走しはじめた“大いなる黒いゼロ”。重力線の乱れと、次元震動のハリケーン。脱出のために一刻を争う状況で、肝心要の《ソル》の頭脳セネカをいまだに信用できないローダンたち首脳部。まあ、そりゃあたりまえである。ご主人様を裏切って、ケロスカーの7D計算システム・セタンマルクト(嘆息)と合体してしまった新生セネカなのだもの。いきなり〈それ〉のプログラムである、って言われてもなーw
ともあれ、7D計算システムを唯一ほんとうに活用できる人物、“計算者”ドブラクを救出すべく、仮面の男アラスカ・シェーデレーアとハルト人イホ・トロトがスペースジェットで進発する。一方、公会議側も、“計算者”を確保すべくSVE艦1隻が惑星ソーグへと急行していた……。はたしてドブラク争奪戦はどちらに軍配があがるのか。そして、崩壊してゆくバラインダガルからの脱出は成功するのか? ――という前半。

なんだかだんだんいろんなものが信用できなくなっていく人々。これはローダンたちのみならず、ケロスカー、ラール人ら公会議サイドでも顕著である。脱出が絶望的になり精神的に追い詰められていく、ドブラクの助手グレスコル。出世のために絶対ドブラクをみつけて帰るぜ!とかっこよかったはずのSVE艦司令フェルゴル=トラアク。このふたりのその後は毀誉褒貶はげしそー。とりわけ貶のあたりが。
特にフォルツらしいのが、〈計算師〉(Rechenmeister なので計算親方…じゃナニだし。計算者はあじけない気が)ドブラク。毎度のエキセントリックなエイリアンでありながら、孤高の人っぽくてよろしいかも。もっとも、七次元数学の観点から見ると物事が数字に見えるというのは、ちょっと想像力貧困なわたしだと追いきれない部分もなきにしもあらずだが……(笑)

後半は一転、舞台はメイルストロームの地球。
アフィリー禍を危惧したローダンによってひそかに疎開の行われた惑星オヴァロンから、4人の女性がテラに潜入。ブリーの「愛する心の復活(笑)」によっててんやわんやの地球でさらに一騒動を引き起こす。しかし……疎開が不完全だったのに加えて原因不明のトラブルで男性が絶滅してしまった植民地を救うため――って、要するに男漁りにきたんでっか?(要自重

以下余談だが、エル・ファタロ教授って、《バジス》搭載超兵器の名称の由来する2人のエンジニアの一方なんだろーか。
さて、来月から2ヵ月で3本エーヴェルスという強化月間である。
でもってクライマックスは6月の後半「オヴァロンからのメッセージ」だwktk

#3本じゃなかったよ……orz