クルト・ラスヴィッツ賞2010受賞作発表

巷では星雲賞の投票〆切のようだが、はるかドイツではラスヴィッツ賞の受賞作が発表された。2009年刊行の作品(+α)が対象となる。授賞式はエルスターコン2010の枠内で、9月18日にライプツィヒでとりおこなわれる。
……そういえば、ファンタスティーク大賞も昨日がノミネート投票の最終日だったなぁ。
《ノミネート作品等はこちらの記事を参照のこと》

■長編部門:
Andreas Eschbach / Ein König für Deutschland / ドイツに国王を!

■短編部門:
Ernst-Eberhard Manski / Das Klassentreffen der Weserwinzer / ヴェーゼルヴィンツァー校の生徒集会
(アンソロジー『分子ミュージック/Molekularmusik』収録)

■海外作品部門:
John Scalzi / Androidenträume (The Android’s Dream) / アンドロイドの夢

■翻訳部門:
Ulrich Blumenbach
――David Foster Wallace著 Unendlicher Spaß (INFINITE JEST) / 『無限ジョーク』の翻訳に対して

■グラフィック部門:
Franz Vohwinkel /
――Stephen Hunt著 Das Königreich der Lüfte / 『空の王国』の装丁画に対して

■特別賞:
Guido Latz
──ATLANTIS社でSFに力を尽くしたこと、および、長年にわたる phantastik.de におけるニューズレター活動に対して

長編部門は、エシュバッハ、なんと7回目の受賞である。舞台もドイツだし、ウケは良さそうだと思ってはいたが、ここまでくると、もうほとんど指定席だ。

グラフィック部門、作品とは関係ないけど、つい「からの~」と読んでしまうのは、喜多尚江の『空の帝国』と字面がよく似てしまうからだろう。イデム萌え(ヲ

特別賞は……一瞬これはファンタスティーク大賞だったっけと思ってしまったのだが(笑) とにかく、Phantastik-Newsは広範なジャンルをカバーしつつ、つねに最新情報を提供するすごいサイトなのだ。これをもう6年余もつづけているのは、まさに脱帽である。頼りにしてまっせ。

■ラスヴィッツ賞の新公式サイト:Kurd Laßwitz Preis
■Phantastik-News:Kurd Laßwitz Preis 2010: Die Gewinner

ノー・リミット・リクワイアード

日本橋の丸善で『人類なき世界』を捕獲。今回は前後編ともフォルツというめずらしいパターン。
……である、が。なんだね、隣に積んである、この分厚いのは(笑)
フランク・シェッツィングの新作『LIMIT』、早々の翻訳刊行、だった。
えー、これがさらに2冊もあるのー。まぁ、原書で1300ページ超だから当然だけど。

Amazon.deの☆マークは平均で3。ただし、357名の評価中、☆5が91名、☆1が110名と、かなり両極端に分かれている。アタリをひいた人にとっては、かなりおもしろいのかも。
……『深海のYrr』が最後までたどりつけなかったわたしは、とりあえず様子見である。

なんでいまさら、これを取りあげてるのかと、思ったそこのアナタw アナタはまちがってない。だいぶ前に、ローダン公式サイトで記事になったのを、紹介してなかったのだ。

――宇宙エレベーターで月へむかう一行のなかに、ペリー・ローダンが混じっている。

という、嘘のような話が、今年1月に公式で掲載されていたのだ。
なんでも、作中の近未来(2025年)には、映画『ペリー・ローダン』が国際的な大ヒット(笑)になっており、主役を演じた俳優が、招待客のなかにいるらしい。

実際のローダン映画は、くりかえし話題になりつつ、気がつけばドキュメンタリーだったりして、陽の目をみないようだが……ブロックバスターになるなんて、トーラはいったい何回着替えを(ry

なんか、そのへんだけ読んでみたいよーな気もする。
どのあたりに書いてあるか、誰か読んだら教えてくだしゃー……(笑)

■公式News:Frank Schätzings »Limit« (リンク切れ)
■早川オンライン:『LIMIT 1』の紹介ページ (リンク切れ)

残念なお知らせ

とはいっても、残念なのは主にわたし自身だが。
2月初頭から持込みをかけていた翻訳2件について、ようやく結論がいただけた。没(爆)

持ち込んだ先は、当然ながら早川書房。あ、持込名義は本名ね(笑)
作品は以下の2点:

  1. アンドレアス・エシュバッハ『髪織絨毯職人』
  2. カール・ミハエル・アルマー「楽園の灰」

一時、訳稿の消息が不明になったりしたため、前者が正味4ヵ月、後者が2ヵ月の検討期間を経て返ってきた回答は、出版に値する作品ではない、というもの。
論点としては、

  1. SFとしてもファンタジーとしても中途半端。また、エシュバッハ作品は『イエスのビデオ』以外の作品ではセールスが見込めない。
  2. ストーリー部分と宗教的メタファーの書込不足。もう少しページ数のある状態なら深みのあるものになったはず。

と、作品本来の内容についてのダメ出しだけで、翻訳のスキル云々についての論評はもらえなかった。
とはいえ、終始対応は窓口担当の方だけで、(1)をNV部門、(2)をSFM編集部で検討いただいたそうだが、それぞれの担当者の声すら聞けなかったことに加え、個人的に『髪織絨毯職人』は『イエスのビデオ』よりおもしろいと思うのに上記の回答しか出てこないのでは、実に残念(主にわたしが)。
んー。それにしても、やっぱり『イエスのビデオ』、売れなかったのかなぁ。
セールスとこられると、『髪織絨毯職人』英訳版にオーソン・スコット・カードがよせた序文とかの話もしてみたかった気はするのだが。日本の読者には、「ラスヴィッツ賞作家のベストセラー!」とかより「あのカード絶賛!」と書いた方が、売れるんじゃないかと思うんだ(笑)
ああ、それにつけても、訳しかけの『ソラー・ステーション』どうしようかねw