夏のイベントのご案内

遅きに失した感はあるが、いちおー、ご案内を。
とはいえ、わたしゃどっちも不参加が確定しているのだけど。嗚呼。

■日本SF大会 TOKON 10
於 江戸川区船堀 タワーホール船堀
日時 8月8日(日) 13:30~ (実はまだ決定ではないそーな^^;)
企画 ペリー・ローダン夏期講習 2010

■コミックマーケット 78
於 有明 東京ビッグサイト
日時 8月13日(金)w 東館ユ-33b
出店 ローダン研究会mdi

……新刊は、なしorz
しかし、大会恒例マガンによるレジュメは、今回はまたえらくリキ入っている。一見(一笑?)の価値アリ。
あ、あと、ひょっとしたらそろそろ「アレ」がオープンになっているかもしれませぬ。
#某氏がブログでちらっと書いてるしな(笑)

■日本SF大会 TOKON 10:公式サイト
■コミックマーケット:公式サイト

ファンタスティーク大賞、本選はじまる

SF/ファンタジー/ホラー等総合情報サイト Phantastik-News 読者の投票で選ばれるファンタスティーク大賞、6/27に終了したノミネート投票につづいて、ノミネート作の公表と本選の投票がスタートした。期間は7/10~8/31。授賞式はフランクフルト見本市期間中に開催されるブーフメッセ・コンにて、10/9に執りおこなわれる予定。

以下に、ノミネート作の一部を掲載する。

■長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:
Bernhard Hennen / Elfenlied / エルフの歌
Frank Schätzing / Limit / LIMIT
Kai Meyer / Arkadien erwacht / アルカディア覚醒
Markus Heitz / Drachenkaiser / 竜帝
Markus Heitz / Gerechter Zorn / 正義の怒り(アルバの伝説1)

■新人部門 Bestes deutschprachiges Romandebüt:
Heike Korfhage / Der Fremde / 異邦人
Jörg Olbrich / Das Erbe des Antipatros / アンティパトロスの遺産
Michael Tietz / Rattentanz / 鼠たちのダンス
Oliver Dierssen / Fledermausland / 蝙蝠の国
Victoria Schlederer / Des Teufels Maskerade / 悪魔の仮面舞踏会

■短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:
Armin Rößler / Der Fänger / 捕食者
Carsten Steenbergen / Der Fluch des Zulu / ズールーの呪い
Christian Endres / Helden der Nacht / 夜の英雄
Karina Cajo / Der Klang der Stille / 静寂の音色
Klaus N. Frick / Papa feiert Weihnachten / パパが聖夜をお祝いだ

他に、海外部門、アンソロジー部門、シリーズ部門、グラフィッカー部門、二次創作部門、サウンドドラマ部門、ホームページ部門がそれぞれ5候補ずつ挙げられている。
長編部門の目玉は、Markus Heitz の2作か。『竜帝』は2007年のファンタジー大賞を受賞した『炎の力』とおなじ、ドラゴン(恐竜)が現代まで生息している世界の物語。前作の主人公シレナが、人間の陰謀とドラゴンの陰謀、双方にまきこまれる……っぽい(笑) 一方、「アルバの伝説」は、ベストセラーとなったZwerge四部作を、侵略者であった種族アルバ側から描き直した作品らしい。1巻目の『正義の怒り』は、政治的に対立する家出身の、個人的にも仲の悪い2人の男が主人公となる。

他に、邦訳が刊行中のシェッツィング『LIMIT』は、ラスヴィッツ賞、SF大賞にもノミネートされている。なかなか評価の分かれる作品らしく、ラスヴィッツ賞ではエシュバッハの後塵を拝した形だが、こちらではどうなるか。

あと、短編部門のクラウス・フリックは、ローダン編集部のあのヒトである(笑) わずか2ページの作品だそうで、クリスマス・イブに、4歳児マルティンのパパが、制服の男たちに取り囲まれて……どうなるんだろ(笑) しかし、最近立て続けにフリックの作品が発表されているけど、おしごとどーなってんのー?w

■公式サイト:Deutscher Phantastik Preis

用語訂正:具象と抽象

ハヤカワ版380巻『拠点惑星への使節』(マール&ヴルチェク)が書店に並んでいるわけだが。“あとがきにかえて”にて用語の訂正が告知された。

訳が正しくない(とゆーよりコンセンサスの問題?)から次回から変更するそうな。

 × 化身クレルマク
 ○ 具象クレルマク

……珍しく人が誉めたらこれだよ(笑)
アヴァターラと考えた方がわかりやすいだろうに。具象と対になる抽象はなんだろな~。

379巻『人類なき世界』

先だって捕獲したハヤカワ版379巻『人類なき世界』を、ようやく読了。いや、ストーリーはわかってるし、と、ついつい『天地明察』(これも、今頃、だが)とかレンタルマギカの新刊の方を片付けていたので……(笑)

今回は「人類なき世界」「テラの孤独者」とも著者はウィリアム・フォルツ、訳者は赤坂桃子さん。
『時間超越』において時間の井戸を超えたシェーデレーアのその後であるとともに、“研究者”ドウク・ラングルの登場によって、ストーリーは一大転機をむかえる。

前半・後半を通して、シェーデレーアは人類消失の手がかりをもとめてテラニアをめざし、ドウク・ラングルは虚空に出現した星系(メダイロン系)を調査する一方で、無人と思われたテラに、ごくわずか存在した生存者とコンタクトするのだが――というストーリー。不幸な誤解のため、ひとりのテラナーが生命をうしなうことになるが、最終的に、シェーデレーア、ドウク・ラングル、3人の元アフィリカーたちはテラニアに集う。ネーサンの機能停止により、さまざまなインフラや気象コントロールまでストップした地球で、5人は今後、どのように対応していくのだろうか。
一方で、メダイロンの実体化した宙域の支配者“化身”クレルマクが派遣した調査の艦艇は、すでに間近にせまりつつあった……。

とりあえず、今回ホッとしたのは、“テルムの女帝”と“化身”の2つの訳語である。特に後者(原語:Inkarnation)は、ファンダムだと“具象化(存在)”、“受肉化(存在)”の訳が通用しており、現象面からするとたしかに正しいのだが、いちばんわかりやすいのは化身だと思うのだ。
#基督教系が“受肉”のイメージで、仏教系が“化身”……なのかなぁ。

さて、以下に、前半「人類なき世界」の翻訳で、気になった個所を挙げる。

■9p

ハヤカワ版:
《ヒュプファー》
原文:
die HÜPFER

試訳:
《跳躍者》ないしは《ホッパー》あるいは《ジャンパ》

異種族の船なので、そのまま音読すべきなのか、語義をとるべきなのかは、判断が難しい。
いい例が、テラノヴァ・サイクルで登場した混沌の勢力の終末戦隊“TRAITOR”。英語の「叛逆者」と思っていたら、特に意味はなかった、と後日、読者のページで回答された。終末戦隊・叛逆者で漢字ばっかでいかめしすぎるのーとか思ってたのに。づかんぽ。

■10p

ハヤカワ版:
“無限のループ”はひとりで閉じるしかない。
原文:
Er war dazu verdammt, die Unendliche Schleife allein vollenden, ein Unterfangen, das sich niemals realisieren lassen würde.

試訳:
無限ループをひとりで完遂しろといわれたようなもの。実現しようはずもない壮挙だ。

無限ループ、としたのは、コンピュータ用語っぽくしたかったから。以下、ネタバレ:

テルムの女帝は、ある意味、意思をもった巨大なコンピューターであり、なおかつ発祥にかかわる命題において、ひとつの重大な矛盾をはらんでいる(800話)。
それを前提にしろというのはむちゃな話かもしれないが、女帝関連をコンピュータ用語風に訳すこと自体は、遊びのように見えて、適切かもしれない、と思うのだ。

■14p

ハヤカワ版:
喉の渇きをおぼえた。
原文:
bekam einen trockenen Mund.

試訳:
口のなかがカラカラだった。

やっべ、ほんとに人っ子ひとりいないじゃん、という緊張のあらわれとすると、この方がよさげ。
余談だが、ググってみたら、ドライ・アイの口腔版みたいな病名がひっかかることひっかかること……。

■27p

ハヤカワ版:
その情報が部外者に漏れたら、破滅をみずから招きよせるようなもの。
原文:
Es würde sich jedoch eher selbst zerstören, als dieses Wissen gebenüber Unbefugten preisgeben.

試訳:
その知識を部外者に漏らすくらいなら、《モジュール》は自爆するだろう。

eher ~, als … で、「…というよりむしろ~」。

■28p

ハヤカワ版:
ひょっとすると、物理的な基礎事象に手がかりがあるかもしれない。
原文:
ob er vielleicht einem physikalischen Grundereignis auf der Spur war.

試訳:
物理学を根底から揺るがす事件のしっぽをつかんだのかも。

III格の名詞+ auf der Spur で、「ほにゃらら(III格)の後をつける」。
Grundereignis は、ふつうに“大事件”でいいかも。

■30p

ハヤカワ版:
 やめてくれ! ぼくを狙いうちにしないでくれ!
原文:
Nich’ mit mir! sage ich. Nich’ mit mir!

試訳:
だめだめ、ぼくはひっかからないぞ!

訳文だと、ちいさなアルロがそこだけやけに弱気に見える。また、自分に言い聞かせている感じなので、試訳のようにしてみた。

■34p

ハヤカワ版:
 大きな建物はたくさんあるのに、どこにも人間がいないなんて。
原文:
Man könnte glauben, es ist niemand mehr hier in diesen vielen großen Gebäuden.

試訳:
 まるでこれだけたくさんある大きな建物に、だれもいないみたいじゃないか。

だれもいないと、信じてしまいそう、なのだ。
そもそもアルロ、人類消失自体は理解していない。

■43p

ハヤカワ版:
遠方のアンデンの頂きに
原文:
über die weit entfernten Gipfel der Anden.

試訳:
遠方のアンデス山脈の頂きに

これは単純に凡ミス+校正漏れ。
Alpenがアルプスなのと同じようなもの。どっちも複数形だから、英語読みするとsがつくのかな。

■70p

ハヤカワ版:
クレルマクそのものは中枢部から外へと移動していた。
原文:
aber sie wurden ständig von Zentrum aus weiter nach außen verlegt.

試訳:
境界は(流動的だが、)中心から外へと広がりつづけている。

主語は sie ……助動詞が wurden なので複数形。前節の主語が境界(die Grenzen)なので、そちらが該当する。化身(die Inkarnation)も代名詞は sie だが、こちらは女性形単数である。

■126p

ハヤカワ版:
対消滅装置に
原文:
in die Zerstrahlungsanlage

試訳:
分解装置に

こわして放射にしてしまう設備、くらいが原意か。ちなみに対消滅は Paarzerstrahlung 。ぜったいにまちがいかといわれると困るが、葬式のたびにそんな途方もないエネルギーが発生しているとは、ちと考えにくいので(笑)

■129p

ハヤカワ版:
 どこの惑星においても!
原文:
Bei allen Planeten!

試訳:
なんたることか!

イシュトヴァーンやオットーが、感きわまったときに叫ぶ「~に賭けて!」の同類である。大元帥あたりだと、「ありとあらゆる惑星に賭けて!」と書いて、「いやはやなんとも」なんてルビをふるのではなかろうか。

■136p

ハヤカワ版:
 ただひとつ、わからないことがある。未知の宙航士はなぜ、わたしとコンタクトしようとしているのか。
原文:
Ich habe einfach nicht verstehen können, daß dieser unbekannte Raumfahrer lediglich Kontakt mit mir aufnehmen wollte.

試訳:
 未知の宙航士はただコンタクトを望んだだけなのに、わたしにはそれがわからなかったのだ。

文章の順番があれだが、それを理解しなかったための転落事故、というつながり。

……こんなところか。
誤訳というほどでないものも混じっているから、体感的にはミスはこれより少ない。目くじら立ててつぶしていくわけでもなく、単なる指摘、で済みそうだ(笑)
毎回、このくらいだといいんだがのぅ……。