ドイツ・ファンタスティーク大賞2010受賞作発表

10/9付、ブーフメッセコンにてドイツ・ファンタスティーク大賞の受賞作発表がおこなわれた。
《ノミネート作品等はこちらの記事を参照のこと》

■長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:
Markus Heitz / Gerechter Zorn / 正義の怒り(アルバの伝説1)

■新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:
Oliver Dierssen / Fledermausland / 蝙蝠の国

■海外部門 Bester internationaler Roman:
Sergej Lukianenko / Die Ritter der vierzig Inseln / 四十の島の騎士
(原題:Рыцари сорока островов)

■短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:
Karina Cajo / Der Klang der Stille / 静寂の音色

■アンソロジー部門 Beste Original-Anthologie/Kurzgeschichten-Sammlung:
Christian Endres / Sherlock Holmes und das Uhrwerk des Todes / シャーロック・ホームズと死の時計仕掛け

■シリーズ部門 Beste Serie:
Perry Rhodan / 宇宙英雄ローダン

■グラフィッカー部門 Bester Grafiker:
Dirk Schulz / ディルク・シュルツ

■二次創作部門 Bestes Sekundärwerk:
Hermann Ritter & Michael Scheuch, Magira / Jahrbuch zur Fantasy / ファンタジー年鑑

■サウンドドラマ部門 Bestes Hörbuch/Hörspiel:
Oscar Wilde / Das Bildnis des Dorian Gray / ドリアン・グレイの肖像

■ホームページ部門 Beste Internet-Seite:
www.fantasyguide.de

……と、以上のようになっている。

長編部門、2作ノミネートのHeitz は票が分かれるかと思ったが、予想外に強かったか。シェッツィングの『LIMIT』は、ごやてんで取り上げている3賞ともにノミネートされていながら、残念ながら無冠に終わった。まあ、この賞はファンタジー系強いしなあ。

海外部門、ルキアネンコは『デイ・ウォッチ』4部作で日本にも紹介されつつあるが、ドイツでの人気はすごそうだ。この作品は、突然異世界に転送された少年達が、四十の島と塔、それを結ぶ吊り橋で、生き残りをかけて闘うというバトル・ロワイアルである。

アンソロジー部門、今回の3賞でノミネート作を輩出した『モレキュラー・ミージュック』は最下位。受賞作は……ええと、ミステリじゃ……ないよね?(笑)
グラフッカー部門受賞のディルク・シュルツは、ローダン関係でもよく見かける人。最近のRhodan-Extraのイラストはほとんどこの人じゃなかろうか。
サウンド・ドラマ部門は、なんとゆーか、こういう作品が受賞するあたりが、SF大賞、ファンタジー大賞、ではなくて、ファンタスティーク大賞、である所以なのだろう。ちょっと驚いた。

■Phantastik-News:Deutscher Phantastik Preis 2010: Die Gewinner

訃報:E・C・タブ

更新もせずにオンゲ三昧な日々をすごしているうちに、こんなニュースもあったわけで。

E・C・タブ (Edwin Charles Tubb)
1919.10.15 – 2010.09.10

デュマレスト・サーガ等の作者として知られる、イギリスの作家E・C・タブが亡くなったとのこと。90歳というから大往生である。ご冥福をお祈りする。

ローダン作家ではないし、ドイツ人SF作家でもないが、愛読したシリーズの作者ということで。にしても、ドイツのSFサイトで欧米作家の訃報を仕入れてくるって、わしも偏ってるなあ……。
閑話休題。

エドウィン・チャールズ・タブは、生粋のロンドンっ子らしい。若い頃パルプ雑誌を愛好したというだけあって、1951年のデビュー後は、SF以外にもミステリ、ウェスタンなど大量に執筆しているようで、このへん、初期のローダン作家(ヘフト作家)と酷似している。
(例えば、ハヤカワ版だと来月登場するペーター・テリドを紹介するときにも、似たような文面になるはずだ。)

代表作となるデュマレスト・サーガは、1967年に第1作『嵐の惑星ガース(The Winds of Gath)』が刊行され、以後85年までに31作が出版されている。邦訳はここまでだが、92年に『帰還(The Return)』(当初、仏語版のみ発売、97年に英語版)と、2008年に『地球の子(Child of Earth)』(短編集?)が刊行され、ストーリーはおおよその完結をみている……らしい。見失った故郷・惑星アースを探し求めるアール・デュマレストの旅路の結末、ちょっと読んでみたい気もするが、はたしてどんなものだろうか。サイクランとの決着ついたのかなあ(笑)

ごやてんらしいイチャモンをつけてみると、邦訳を読んでいた当時、『~の惑星××』と統一されたタイトルが、ちょっと不満だった。まあ、原題だと途中、ヒロインの名前だけというのがやたら多いので(Kalin, Lallia, Mayenne etc.)やむなしとも言えるが、ちょうど刊行に追いついたあたりで入手した30、31巻のタイトルが『テラのシンボル』『真実の神殿』で、とうとうアールが地球の座標(に近いもの)を入手するあたりが、邦題だけ眺めているといまいちに思えたこともある。
でも、あれはあれで、かなり縛りのきつい代物だと思うので、考えたヒトはほんとうにお疲れ様でした、と言っておこう。

タブの作品としては、他にグレゴリイ・カーン名義で書かれたキャプテン・ケネディ・シリーズがある。邦訳5冊はハヤカワ文庫初期の刊行で、再版される様子は見うけられないので、実はわたしも未読(笑)

そして、ちょっとおもしろいのが、原作は17編存在するのだが、ドイツ語版Commander Scottは、1975・76年にかけて42編出版されていること。著者はすべてGregory Kern名義……。出版社所有の共同ペンネーム制は、ヘフト物にはよく見うけられる(ザモラ教授や、初期のシンクレアなんかもそうだ)のだが、これはまた豪快である。
(なおかつ、独版Wikipediaを見ても、タブ執筆作が18編になっているのがなんともw)

ケネディという名前はともかく、少々ダークヒーローじみたキャラクターは、ドイツ人の方にウケたということなのだろうか。

■Wikipedia:E・C・タブ