悟り世代の指揮エレメントは暗黒洞の夢を見るか

過日、早川書房のサイトで、593巻『コスモクラートの敵』のアバンを見て、ちょっと悶絶した。夢見者カッツェンカット……。
いや、Träumer(夢見る者)の原語で独文和訳する分には、なんの間違いもないのだけど。

カッツェンカット(Kazzenkatt)はザルレンゴルト人で、混沌の勢力の尖兵〈エレメントの十戒(Dekalog der Elemente)〉の指揮官。
ナルゼシュ銀河の惑星ザルレンゴルト(Sarlengort)――サーレンゴートになるかな?――出身のこの種族は皆、パラ能力として〈ゼロドリーム(Zerotraum)〉を操る。彼らは〈ゼロドリーマー(Zeroträumer)〉と呼ばれ、その能力を駆使してナルゼシュのみならず他銀河まで侵略の手を広げていたが、青の銀河のロボット種族ウィ・ンの報復艦隊によって壊滅的打撃を受け、わずかに残った生存者は白亜の塔に封印され、夢の世界でヒッキーとなる。

そのうちのひとりは、希有なゼロドリーム能力を見込まれ十戒の指揮官として徴発された――カッツェンカット(ザルレンゴルトの言語で「生きたい」を意味する)という新たな名を与えられて。
もうひとりは、カピン人の秘密結社〈遺伝同盟〉によって対十戒……というか対カッツェンカット兵器として利用すべく誘拐され、紆余曲折を経て改造人間バス=テトのイルナとして、某所で工作中のアトランの前にあらわれる。閑話休題。

ドリーマー単体だったら、まあ“夢見者”でもいいんだけど……あんまり使わないと思うけど日本語として。固有名詞風にしたかったのかな。案の定、Zerotraumが“ゼロ夢”である。これ、Zeroträumerを全部“夢見者”で押し通すつもりなのかね。
余談だが、以前にも書いたように、このヒト、カッツェとひっかけたダジャレが出てくるんだけど、“指揮エレメント”だとちょっと苦しいかな……w

その他、ぱらぱらとめくって気になったのは、

ハヤカワ版(p9/p141)
さて、かれは夢を見ていた……

原文:
Also träumte er…

試訳:
かく彼は夢見たり……

これもalsoを間投詞的にとらえれば、けして誤訳でない。
ただ、カッツェンカットの艦名《理性の優位(PRIMAT DER VERNUNFT)》は、カント先生の“実践理性の優位”からだろう。
となると、冒頭のこの一文はニーチェ先生の『ツァラトゥストラはかく語りき(Also sprach Zarathustra)』を踏まえたものと考えたい。

独語alsoは、前述の話台の結論を導く(したがって)、前述の話台をもう一度取り上げる(同様に)、中断した思考過程をひきもどす(さて、だから)等の用法がある。
ひとつには、前話の最後に、夢見者カッツェンカットがくる……!って感じで終わっていたはずなので、それを受けて、というパターン。そんなわけで(かくして)彼は夢を見ていた、である。
もうひとつは、ハヤカワ版のように、さてorだから彼は夢見てましたー、のパターン。
残るは、Wikipediaだと上述の本は『ツァラトゥストラはこう語った』と訳されているが、やや古い用法で“ちょうどこんな風に”的な意味があるらしい。「こんな夢を見た。(『夢十夜』)」である。で、文章の流れとしてはこれが一番正しいように思う。
まあ、あとはカッコつけの問題である。

そして、カッコつけの問題としては、

ハヤカワ版(p17)
《マシン十二》

原文:
MACHINE ZWÖLF

試訳:
《マシーン12》

元来、艦艇のナンバリングについては原書に倣ってローマ数字(アラビア数字)を用い、あんまり文字数が多くなる(スプリンガー船等)場合はアラビア数字を使用するのが松谷流だった。
今回のこれは、確かにどちらでもない。単語で「じゅうに(Zwölf)」と書いてあるわけだが……漢数字はないじゃろ(笑) いっそ《機械十二》ならともかく。
極論、《スターダスト二》とか、『幽霊船《クレスト四》』とか、見たくないわな。

以前、五十嵐さんが作ってた“松谷語翻訳マニュアル”みたいなのは、現在も継承されてるのかな、どうかな……。

で、最後にひとつ。

ハヤカワ版(p145)
「暗黒エレメント……準備をして待機せよ……」

原文:
»Element der Finsternis – halte dich bereit …«

試訳:
「暗黒のエレメントよ……おまえは待機だ……」

カッツェンカットは、暗黒のエレメントが怖いのである。
なんで怖いのかは、そのうちわかるのでいいとして、なるべく投入したくないのである。
で、全てのエレメントの助けが必要じゃろって支配者様に言われてるのに、出撃させなくってまた怒られるのだ(笑)

分離動詞bereithaltenは、「準備する」が主たる意味である。「使えるようにしておく」わけなのだが、ハヤカワ版、分離動詞と思わなかったか、それとも上述の“使いたくない”雰囲気を汲みとったのか、少々中途半端になっている。
暗黒エレメント、すてんばーい、なので、簡単にしていいんじゃないかにゃ。
#ま、ちょっと準備はしておけ。

セラフ賞とは

ラスヴィッツ賞などの候補作を調べていて、たまに見かけるセラフ賞(Seraph)。
社団法人ファンタスティーク・アカデミー(Phantastische Akademie e. V.)が毎年ライプツィヒ書籍見本市にて表彰をおこなう、ドイツ語圏の作品を対象とした文学賞。2012年に創設され、最優秀賞(Bestes Buch)と新人賞(Bestes Debüt)の他、インディーズ部門の表彰がおこなわれることもある。

今年(2019年)のライプツィヒ書籍見本市は3月21日~24日に開催されている。
受賞作及びノミネート作は以下のとおり:

最優秀賞:

Bernhard Hennen / Die Chroniken von Azuhr – Der Verfluchte
      / アズール年代記:呪われし者

Tom Hillenbrand / Hologrammatica / ホログラマティカ
T. S. Orgel / Terra / テラ
Judith C. Vogt / Roma Nova / 新ローマ

新人賞:

Kris Brynn / The Shelter – Zukunft ohne Hoffnung / ザ・シェルター:希望なき未来

Rebecca Andel / Feder und Klinge / 羽と刃
Willi Hetze / Die Schwärmer / 群人

インディペンデント作品:

Birgit Jaeckel / Das Erbe der Rauhnacht / 十二夜の遺産

Nora Bendzko / Hexensold / 魔女の贖い
Stella Delaney / Das Leuchten am Rande des Abgrunds / 奈落の縁の明かり

ラスヴィッツ賞の候補作と共通する本が多数見受けられる。
個人的にファンタスティーク(ファンタスティカ)というと、ファンタジー寄りのイメージがあるし、ファンタスティーク大賞の受賞作とか見てもその傾向は間違いなくあるのだけど、それだけ懐の深いジャンルであるということか。

自費出版部門のNora Bendzkoの『魔女の贖い』は〈ギロチンメルヘン〉と銘打った童話モチーフのホラー・シリーズの一作で、他の作品が以前ファンタスティーク大賞だったか、ノミネートされたことがあるはず。
5/20追記:やはり2017年のファンタスティーク大賞ノミネート作紹介記事で言及している。ベンズコの短編「狼病(Wolfssucht)」がノミネートされていたのと、長編『白銀の女王』の部分で”セラフ幻想文学賞”の名も挙げていた。これは下記Wikipediaの項目名から、だったはず。公式サイトでは単にSERAPHである。

以下、歴代の受賞作を挙げる。

最優秀賞:
2018: Michael Marrak / Der Kanon mechanischer Seelen / 機械の魂のカノン
2017: Katharina Seck / Die silberne Königin / 白銀の女王
2016: Nina Blazon / Der Winter der schwarzen Rosen / 黒薔薇の冬
2015: Kai Meyer / Die Seiten der Welt / 世界の頁
2014: Ju Honisch / Schwingen aus Stein / 石の翼
2013: Kai Meyer / Asche und Phönix / 灰と不死鳥
2012: Christian von Aster / Der letzte Schattenschnitzer / 最後の影彫人

新人賞:
2018: Theresa Hannig / Die Optimierer / オプティマイザー
2017: Julia Lange / Irrlichtfeuer / 鬼火
2016: Daniel Illger / Skargat – Der Pfad des schwarzen Lichts / スカルガト:黒い光の小径
2015: Akram El-Bahay / Flammenwüste / 炎の砂漠
2014: Katharina Hartwell / Das fremde Meer / ちがう湖
2013: Mechthild Gläser / Stadt aus Trug und Schatten / 欺瞞と影の都市
   Jan Oldenburg / Fantastik AG / ファンタスティーク株式会社
2012: Nina Maria Marewskis / Die Moldau im Schrank / 戸棚の中のモルダウ

インディペンデント部門:
2018: Janna Ruth / Im Bann der zertanzten Schuhe / すり切れたダンスシューズの呪い
2017: –
2016: Hanna Kuhlmann / Nachtschatten / 夜影
※自費出版部門は2016年が最初。

ウィッキーさんを見ると、アカデミーがスポンサーになったのは2016年からとあるので、自費出版関係はそのへんもからんでるのかも。

■Phantatik-Akademie公式:Preisträger
■Wikipedia:Phantastik-Literaturpreis Seraph

《マゼラン》の植民星周遊

ローダンNEOの200巻『ガラスの男(Mann aus Glas)』が(Kindle版が先行して)発売になり、第4期の最初のシュタッフェル〈太陽系連邦〉がスタートした。
で、前回の紹介記事でまちがえたままほったらかしてたところを、いまのうちに訂正しておきたい。

まず、新シュタッフェルが2082年スタートと書いたが、2088年の誤り。
2082年は、舞台紹介のため公式コラムに連載された「コロニー周遊(Rundreise zu den Kolonien)」の時点だった。200話のアバンが2088年になっているので、気づいてはいたのだが……下記をまとめるのが面倒で(ry 手間取ったので訂正が遅れた。

惑星オリンプ代表アンソン・アーガイリスの招待を契機に、主立ったコロニーをローダンとトーラ(と、アーガイリス)が《マゼラン》で挨拶回りするこの企画、登場したのは以下の惑星である:

恒星 距離 惑星 代表*1
カストル 51光年 オリンプ アンソン・アーガイリス
カノープス 310光年 イマルト アジャドル・ピルム
フォーマルハウト 25光年 シガ セリム・フーロス
アルゴル 90光年 ルマル クルマル・ラブコブ
アルタイル 17光年 エプサル ノエラニ・モアナ
アークトゥルス 37光年 エルトルス アルムート・クライト
カペラ 43光年 プロフォス ネレ・スコフガールト*2

(*1) 代表の原語はObmann、女性の場合はObfrau
(*2) 前任者の逃亡による代行

ずいぶんこぢんまりしたものだ。『光世紀の世界』とか思い出したわ^^;
これ以外にも、中国ブロックが入植した星系とかいくつかあるらしいが……おい、あんだけずたぼろにされて、まだ国家のしがらみ残ってんのか(まあ、国家とゆーか同系の民族でかたまって、みたいだが)。
なお、プロフォスの代表イラーティオ・ホンドロは汚職と殺人が明るみに出たため、ローダンが到着する直前にスペースジェットで逐電している(笑)

それにしても……どうやら主に、リドゥーリ(メメター)の時代の恒星転送機(“旧街道”)があった星系を中心に入植しているっぽいのだが、重力2Gのエプサル、3.4Gのエルトルスに遺伝子操作による強化人間で植民しているのはともかく、恒星の熱量を有効利用するため細胞に葉緑素配合(イマルト)とか、食糧事情がよろしくないので体を小さくするためフローレス原人の遺伝子を混ぜ混ぜした(シガ)とか、科学者の倫理的にどーなの……。

合間々々に、自由商人が勃興していてアーガイリスを“皇帝”呼ばわりだとか、ルマルで産出するルマリウムは、ホンドロが密売に手を染めたゲミンガ・クリスタルを除けば最高品質の震動クォーツであるとか、ホイッスラー社が一大コンツェルンに成長しているとか、テラの秘密情報組織がGHOST(なんの略称かは不明)であるとか、小ネタを挟んでいて、ガラスの男といえばメルコシュだし、今度の下敷きはカピン・サイクルかなぁ?と思わせたりもする。のだが。
追記:どっかで見たと思ったら、あった。安全と信頼のための汎人類組織(General Human Organization of Security and Trust)、略してGHOST。181巻で出てたようだ……にしても、かなり無理くりだなw

〈アンドロス〉をクレアヴァースに封印してめでたしめでたし(ただしテュイレ・シタレーは道連れ)で第3期が大団円を迎えて30年。周遊時点では24年だが、テンポ早くないか? 特に“皇帝”とか(笑)
#ま、ヘフト版でもアンドロメダ戦争から30年かw >自由商人

そして、200巻をちらちら見ると、メルコシュが出てくるのはもちろんだが、前述の逃亡したホンドロがどーした、ナイク・キントがどーした、ジェシカとロナルドのテケナー姉弟とか、なんかすごいことになってるみたい……。主にキャラ的に。

トム(トーマス)とファロクのローダン家少年部隊が無事一線級に育っているのは喜ばしいかぎりだが。ナタリーちゃんが艦名になっているのが気になります(爆)
上記の植民星系リストといい、ヘフト版と同時に読むと混乱する一方なのが困ったものだよなぁ……。

■公式コラム:RUNDREISE ZU DEN KOLONIEN – TEIL 6 (最終回)

不死なる者ども

Die Unsterblichen ……という詩がある。ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)によるものだが、調べた限り、邦訳の出ている詩集には収録されていない模様。
突然ナニを言い出すのかとお思いだろうが、これもサルベージの一環なわけで(笑)

近々ハヤカワ版が到達するクロノフォシル・サイクル、1250話「時空エンジニア」(ツィークラー)冒頭に引用されている。で、原書を漁ってようやくみつけたわけだが……あれ、抜粋じゃねコレ、という。使用されているのは、後段の一部(中抜け)。
入手・試訳したのはいつ頃だったか……丸善が改装のため丸の内オアゾへ移転して、洋書売場ドイツ語コーナーがまだ広かったはずだから、2005~6年あたりかなあ。まあ、それなりに探したりしたシロモノなので、せっかくだから以下に全文を。

ちなみに現在は、ネットで検索かければわりと簡単に原文がヒットする。たぶん著作権のからみもありそうだけど、進歩ってある意味残酷ね……。

原文:
Immer wieder aus der Erde Tälern
Dampft zu uns empor des Lebens Drang:
Wilde Not, berauschter Überschwang,
Blutiger Rauch von tausend Henkersmählern,
Krampf der Lust, Begierde ohne Ende,
Mörderhände, Wuchererhände, Beterhände.
Angst- und lustgepeitschter Menschenschwarm
Dunstet schw¨l und faulig, roh und warm,
Atmet Seligkeit und wilde Brünste,
Frißt sich selbst und speit sich wieder aus,
Brütet Kriege aus und holde Künste,
Schmückt mit Wahn das brennende Freudenhaus,
Schlingt und zehrt und hurt sich durch die grellen
Jahrmarktsfreuden seiner Kinderwelt,
Hebt für jeden neu sich aus den Wellen,
Wie sie jedem einst zu Kot zerfällt.

Wir dagegen haben uns gefunden
In des Äthers sterndurchglänztem Eis,
Kennen keine Tage, keine Stunden,
Sind nicht Mann noch Weib, nicht jung noch Greis.
Eure Sünden sind und eure Ängste,
Euer Mord und eure geilen Wonnen
Schauspiel uns gleich wie die kreisenden Sonnen,
Jeder einzige Tag ist uns der längste.
Still zu eurem zuckenden Leben nickend,
Still in die sich drehenden Sterne blickend,
Atmen wir des Weltraums Winter ein,
Sind befreundet mit dem Himmelsdrachen;
Kühl und wandellos ist unser ewiges Sein,
Kühl und sternhell unser ewiges Lachen.

試訳:
大地の渓谷より数多度
噴きあげるは生命の衝動:
荒ぶる苦悩、酔いしれる充溢
千もの刑吏の饗宴の血塗られし臭い
愉悦の発作、飽くことなき貪欲
殺人者の手、高利貸しの手、祈祷師の手
畏れと愉悦に鞭打たれし人の群れは
刺激的な腐臭を、生硬なぬくもりを放ち
祝福と猛き情火を呼吸し
己がその身を喰らい吐き
戦乱と愛しき芸術とを孵し
燃える娼家を狂気をもって味わい
嚥下し、咀嚼し、幼き日の
年の市のまばゆき歓びに弾みつつ
日々新たに波間より起き上がりたり
ありし日に土くれへと崩れ去りしごとく

しかるに我らは
星にきらめくエーテルの氷中にありて
日も知らず、時も知らず
男女の別なく、老若の差なく
汝らが罪も畏れも
汝らが殺戮も、汝らが無上の悦びも
我らにとりては巡る恒星に等しき観劇
日々これ何ら変わるところなし
静謐の中、汝らがせわしき生に頷きつ
静謐の中、巡る星々に目をこらしつ
我ら宇宙の冬を呼吸し
天の龍と戯れる
涼やかに不変なる我らが悠久の存在
涼やかに明星たる我らが久遠の哄笑

アンドレアス・ブラントホルスト

先頃ついにローダン・ヘフト本編(3005話「人類のゆりかご」)にも進出したブラントホルスト(Andreas Brandhorst)。ラスヴィッツ賞がらみで整理してたら予想外に記事がふくらんできたので、別項で立てよう。

ブラントホルストは1956年5月生まれ。1984年にイタリア人の嫁さんをもらってから、20年近くヴェニス近郊で暮らしていたそうだが、現在は帰国してニーダーザクセン州在住。
作家としては、1978年のDie Unterirudischen(地底人、と訳すといしいひさいちのアレを連想してしまうが……どうだろうw)でデビュー後、主としてヘフト作品を手がける。代表作は〈テラノーツ〉シリーズで、別PNで参加していたツィークラーとともにメインライターといえるだろう。

1991年の『夢の力』以降、10年以上にわたって新作の発表がないが、その期間は翻訳者として活躍していたようだ。テリー・プラチェットの〈ディスクワールド〉の大半をブラントホルストが訳出したらしい。あれ41作あるよね……。

で、以前、カムバック作がローダンと書いたが、あれは嘘だ(爆)
カンタキの『ディアマント』の方が先だった。お詫びして訂正する。ともあれ、以降コンスタントに作品を発表し、また多くが好評を博している。
以下に復帰後の“第二期”作品をリストアップする:

Diamant / ディアマント (2004)*1 KLP2005ノミネート/DSFP2005ノミネート
Der Metamorph / メタモーフ (2004)*1
Exodus der Generationen / 世代に渡るエクソダス (2004) ローダン・レムリア3
Der Zeitkrieg / 時間戦争 (2005)*1 KLP2006ノミネート
Die Trümmersphäre / 瓦礫球体(2005) ローダン《パン=タウ=ラ》2
Feuervögel / 火の鳥 (2006)*1 KLP2007ノミネート/DSFP2007ノミネート
Feuerstürme / 火の嵐 (2007)*1 DSFP2008ノミネート
Feuerträume / 火の夢 (2008)*1
Äon / 永劫 (2009)
Kinder der Ewigkeit / 永遠の子ら (2010) KLP2011ノミネート/DSFP2011ノミネート
Die Stadt / 都市 (2011)
Das Artefakt / アーティファクト (2012) KLP2013ノミネート/DSFP2013受賞作
Seelenfänger / ソウルキャッチャー (2012)
Der letzte Regent 最後の支配者 (2013)
Das Kosmotop / コスモトープ (2014) KLP2015ノミネート/DSFP2015ノミネート
Ikarus / イカルス (2015)
Das Schiff / 船 (2015) KLP2016受賞作/DSFP受賞作
Omni / オムニ (2016)*2 KLP2017受賞作/DSFP2017ノミネート
Das Erwachen / 覚醒 (2017) KLP2018ノミネート
Das Arkonadia-Rätsel / アルコナディアの謎 (2017)*2
Die Tiefe der Zeit / 時の深淵 (2018) KLP2019ノミネート(審議中)
Ewiges Leben / 永遠の生命 (2018) KLP2019ノミネート(審議中)
(*1) カンタキ・サーガ
(*2) オムニ宇宙

カンタキ・サーガは現在6作、前半がディアマント三部作、後半がグラーケン三部作。昆虫型エイリアン〈カンタキ〉によって、人類が星間航行種族としてアップリフトされた世界が舞台。
オムニヴァースは、超文明の連合体〈オムニ〉の末席に人類が加盟した宇宙が舞台となる。

ご覧のとおり、多作かつ評価が高い。クルト・ラスヴィッツ賞(KLP)、ドイツSF大賞(DSFP)とも、受賞を逃したものも大抵は次席ないし三席に該当する票を集めている。正直、これだけ多数の候補作を抱えている作家自体、ラスヴィッツ賞のアンドレアス・エシュバッハかファンタスティーク大賞のマルクス・ハイツくらいしか個人的には思い浮かばない。

昨年末、ローダン3000話がらみのインタヴュー・ラッシュの際にブラントホルストの記事もあり、すでに今年刊行の新作の準備も進んでいるみたい。
今年で63歳のブラントホルスト。引き続き活躍を期待したい。

■作家の公式サイト:Andreas Brandhorst – Schriftstellr
■Wikipedia:Andreas Brandhorst

クルト・ラスヴィッツ賞2019ノミネート作

さて、本年のラスヴィッツ賞のノミネート作品リストを以下に。
公式サイトを見ると、4月2日付けで投票権保有者への依頼を完了したらしい。サイトでの発表は6月。授賞式は11月2日にドレスデンで開催されるSFシンポジウムPenta-Conを予定している。

およそのネタは、d-infoの校正のときに提供しちゃってるので、さほど新味はないとは思うが……。

長編部門 Bester deutschsprachiger SF-Roman:

Dirk van den Boom / Canopus / カノープス
Andreas Brandhorst / Ewigens Leben / 永遠の生命
Andreas Brandhorst / Die Tiefe der Zeit / 時の深淵
Andreas Eschbach / NSA – Nationales Sicherheits-Amt / NSA――国家安全保障局
Willi Hetze / Die Schwärmer / 群人
Tom Hillenbrand / Hologrammatica / ホログラマティカ
Georg Klein / Miakro / マイアクロ
Kai Meyer / Hexenmacht / 魔女の力
T. S. Orgel / Terra / テラ
Frank Schätzing / Die Tyrannei des Schmetterlings / 蝶の専制
Judith C. Vogt / Roma Nova / 新ローマ

ファン・デン・ブームの『カノープス』は、新シリーズ〈冷たい戦争(Der Kalte Krieg)〉の第1作。遠い未来の人類帝国は、攻撃的な拡張政策を続けたあげく、内乱が起こったり、“冷たき者たち”との戦争が勃発したりで大きく揺らいでいた。そんな中、運命に操られるように惑星カノープスをめざす人々がいた。退役兵、記憶喪失の奴隷、過去に追われる異類考古学者、船をなくした貨物船パイロット、女傭兵と孤児、そして叛逆者――。交錯する道の果てに、彼らは太古の知性持つ船《オーメ》に遭遇する……。
すでに第2巻『《オーメ》の旅(仮)』もこの3月に刊行済み。ドイツでよくある三部作なのか、前作〈触手戦争〉は全9巻だったからまだわかんない。

アンドレアス・ブラントホルストは今年は2作ノミネート。現代物と宇宙物と、大活躍である。作品内容とは関係ないが、ブラントホルストについては別項を立てる(次の記事)。

エシュバッハの『NSA』は、アメリカの国家安全保障局(National Security Agency)とわざと綴りを揃えたものか。第二次大戦期のナチス・ドイツで全国民を監視できるプログラムが開発され、プログラマーが陰謀にまきこまれる……とか。あえてそれが女性であるあたり、仮想歴史物としてどうなるか。
余談だがNSAで検索してトップに出たのは、日本サーフィン連盟だったw

ゲオルグ・クラインの『マイアクロ』は、原題がマイクロ+マクロであろうという推測のもとこーなった。閉鎖されたビューローの中で暮らしていた人々が外の世界へ出てみると、向こうでも中の世界へ入ろうとしていた――という紹介記事の、どのへんからそーゆー展開になるのかしらん。

短編部門 Beste deutschsprachige SF-Erzählung:

Galax Acheronian / Trolltrupp
     / 豚部隊 (『クロノゼンへの跳躍』Sprung ins Chronozän 収録)
Andreas Fieberg / Eine Million Affen
     / 百万の猿 (『エイリアン・ポルカ』Das Alien tanzt Polka 収録)
Heldrun Jänchen / Baum Baum Baum / 木木木 (Nova 25号収録)
Thorsten Küper / Confinement / 拘束 (Nova 25号収録)
Stefan Lammers / Acht Grad / 八度 (Gegen unendlich14号に収録)
Frank Neugebauer / Auferstehung des Fleisches / 肉の復活 (Exodus 38号収録)
Lothar Nietsch / Die Wettermaschine / 気象機 (Exodus 37号収録)
Niklas Peinecke / Möglicherweise ein Abschiedsbrief
     / たぶん別れの手紙 (Spektrum der Wissenschaft 2018年12号収録)
Matthias Ramtke / In der Grube / 穴の中 (Gegen unendlich14号に収録)
Thomas Sieber / Enola in Ewigkeit / 永遠のエノラ (Nova 25号収録)
Tetiana Trofusga / Coming Home / カミング・ホーム
     (『霊感――アンドレアス・シュヴィツケのデジタル界』
Inspiration – Die digitalen Welten des Andreas Schwietzke 収録)
Wolf Welling / Osmose / 浸透 (Exodus 38号収録)

今回は作品自体を読んでいないので、掲載媒体の話など(ヲヒ

Novaはp.machinery社から刊行されているSF雑誌。編集人は自身SF作家でもあるミハエル・K・イヴォライト。現在まで27号が出ている。ちなみに27号は総290ページ(一部カラー)、ハマーシュミットやハウボルトなど、この手の記事で常連作家を含む作家9名の作品やエッセイ、インタヴュー記事などが掲載されている。
p/machinery社自体がどうやらSFCDの流れを組む出版社みたいで、SF、ファンタジーを中心に、二次創作を含む作品を発表している……んだけど、なんだい、このIkebanaってジャンル(笑)

Exodusは1975年から継続している……元々は同人誌なのかなこれ。René Moreauを中心としたExodus-Teamが編集、刊行している。SF関連の新作を発表するプラットフォームとして生まれたといい、現在ではイラスト、コミックにも力を入れている様子。基本的に公式Webショップでの通販形式をとっている。4月に39号が刊行されたばかりである。
最近名前を見かけるようになった Gegen unendlich は2013年にe-bookのみでスタート、2017年から上記p.machinery社経由で紙媒体のポケットブック版も刊行されるようになったとか。これも新作ないし未発表作を中心に、エッセイや翻訳なんかもたまに掲載されるらしい。年3回刊行。なんとAmazonジャパンでKindle版が購入できたりする……けど14号ないな(爆)

Spektrum der Wissenschaft は、前に誰かの作品が掲載されて調べたことあるけど、普通の月間科学雑誌である。ドイツ版Newtonみたいなもんかにゃあ(笑)

国外作品部門 Bester ausländisches SF-Werk:

Naomi Alderman / Die Gabe / The Power / パワー
Becky Chambers / Zwischen zwei Sternen
     / A Closed and Common Orbit / クローズドな共有軌道 (Wayfarer 2)
Cory Doctorow / Walkaway / Walkaway / ウォークアウェイ
Jasper Fforde / Eiswelt / Early Riser / アーリー・ライザー
Annalee Newitz / Autonom / Autonomaous / オートノマス
Kim Stanley Robinson / New York 2140 / New York 2140 / ニューヨーク2140
Dennis E. Taylor / Ich bin viele / We are Legion / われらはレギオン (Bobiverse 1)
Adrian Tchaikovsky / Die Kinder der Zeit / Children of Time / 時の子供たち
Lavie Tidhar / Central Station / Central Station / 中央ステーション

ナオミ・オルダーマンの『パワー』は河出書房から、昨年末に訳出済み。
ベッキー・チェンバースの『クローズドな共同軌道』は、シリーズ第一作にあたるThe Long Way to a Small, Angry Planetが『銀河核へ(上・下)』として6月28日に創元SF文庫から出版予定。
カナダの作家コリイ・ドクトロウ、どっかで見た名前だなあと思ったら、『マジック・キングダムで落ちぶれて』の人か(笑)
ジャスパー・フォードは代表作『文学刑事サーズデイ・ネクスト』シリーズが3巻までソニー・マガジンズから。
アナレー・ネウィッツの『オートノマス』はネビュラ賞やローカス賞、キャンベル記念賞にノミネートされた他、LGBTを取り扱うラムダ文学賞SF部門で受賞作となっている。フィクションとしては処女長編だが、ジャーナリスト、編集者としての経歴が長く著作も多数。
テイラーの『われらはレギオン』はシリーズ全3巻ハヤカワから邦訳が出ている。ラスヴィッツ賞公式サイトだと、掲載されているのが1巻のタイトル(上掲のもの)だが、“2巻”となっている。1巻、2巻(Wir sind Götter/For We Are Many)ともドイツでは2018年初版刊行なので、2冊合わせてのノミネートかもしれない。
エイドリアン・チャイコフスキーの『時の子供たち』は本国イギリスでは2015年刊行で、2016年アーサー・C・クラーク賞を受賞している。続編『廃墟の子供たち』が2019年刊行予定みたい。
ラヴィ・ティドハーはイスラエル生まれ、ロンドン在住のSF作家。『中央ステーション』は2017年キャンベル賞を受賞している。

原作出版から翻訳刊行までのペースが速いのか、今回は邦訳があまり見当たらなかった。まあ、星雲賞候補作1つも読んでない現状、出てても読むかわかんないけどね……(笑)

■公式サイト:Kurd Laßwitz Preis
■NOVA公式サイト:NOVA Science-Fiction
■Exodus公式サイト:EXODUS

カオターク・ミーティング

さて、今回も再録である。
一度、FC会誌版「誤訳天国」の1回として掲載され、後にサイト〈無限架橋〉に収録したもの。前回の記事に書いた“実質打ち切り”が決定された会議の顛末……なのかなァ?(笑)
かなり悪ノリして訳したものだが、ほぼ当時のままである。ご笑覧を。


ペリー・ローダン工房から (6)

『カオターク・ミーティング』

前文:
 1987年12月の14・15日、ラシュタットに於いてペリー・ローダン作家会議が開かれた。会合の案件は1400話以降の展開継続であった。この協議については、新編集者フローリアン・F・マルチン博士による公式議事録が存在する。
(公式前文の終了)

この議事録は、その爆発力と内容に基づき、「宇宙最高機密」に分類された。この書類が、通常の死すべき読者には近づくことかなわぬものであることは一目瞭然である。
 ともあれ――ひとりのエセ不死者(PRSから脱走した、シッテイルノニ・シランフリ(*1)という名のミュータント工作員である)が、この議事録のコピーをせしめ、高次勢力へと引きわたすことに成功した。(報酬として、シッテイルノニ・シランフリは細胞活性装置の無償完全整備のサービスを受けた)
 高次勢力は独特の方法論で書類を解釈し、修正した。このテキストが、奇妙な紆余曲折の末、ドリフェル・カプセル《転覆丸》(*2)やPRSのキャラ数名、幾人かの読者、そしてシッテイルノニ・シランフリの協力によって、ほぼ完全な形でPR-レポートの編者の手に渡った。ここに、かの会合の信頼しうる報告を送る。「カオターク・ミーティング」の。

出席者:まずはふたりのコスモクラート〈鼠のマウスクラーン〉(*3)と〈ちび狼ヴォルフ〉(*4)が挙げられる。そこに老カオターク〈真っ暗クラールトン〉(*5)と〈手榴弾ヘルビー〉(*6)が加わった。元気な後続組には、白髪頭のカオターク〈仏のイコヴ=スキー〉(*7)、〈独逸のエーヴェルス〉(*8)、〈大爆笑ハーハーホーホー〉(*9)、それから〈喉声ヴォルケー〉(*10)がコロコロとやって来た。ついに若きカオターク〈牧場の希望ボビー〉(*11)も意を決して輪に加わった。しんがり(毎度のことヨ)に現われたのは、小柄なナックに引っぱられたカオターク〈危ないパイプ〉(*12)だった。
 唯一の女性カオターク(カルタニン・タッチを持つ〈誠実マリー=アンネ〉(*13))は、予期される対決における生存のチャンスを高めるため、会合には欠席した。
 さらに、ノーマルなテラナーも出席していた。その名はジョニー・ブルック(*14)(そのノーマル度は、彼の根絶したアルコールに基づき、克明に証明された)。その隣には、高次勢力に「マルチパン」(*15)と呼ばれる、前述のマルチン博士(トシンの印について博士号を取得した)。エスエフリーク(SFファン、SFフリークを意味する新ドイツ語)のドレンク(*16)にも触れておかねばならない。それから、そのプシオン能力でテラ製ミネラル・ウォーターと灰皿とを配慮してくれた心優しきクリスティーネ嬢にも。

議題1は、「PRSにもっとパワーを!」のモットーのもと進められた。そこにシ・キトゥが(出版社長に変装して)現われ、新しい編集用エネルギー・ビームを紹介した。コスモクラートとカオターク一同はそれを試用してみて、賛同するようにうなずいた。編集者ホーホーがカオターク〈大爆笑ホーホー〉となりはてた後に、彼らはようやく新しい編集を得たのだった。

議題2はカオタークたちの大口論であった。争点はPRSのナカミの創造。6名のカオタークは互いに批判と発議の限りを尽くして牽制しあった。彼らは皆、その名に遜色のないことを示した。あたりはたちまち欲するがままの混沌に包まれたのだ。老カオターク〈手榴弾ヘルビー〉は多機能可変式高エネルギー砲(*17)(《TS-コルドバ》から拝借してきた)を掲げ、コスモクラートにむけて発砲した。この無節操な混乱のなかで命中弾があったことは驚くほかない。若きカオターク〈牧場の希望ボビー〉だけが、沈黙の青い防御バリアを張りめぐらしていた。
足して、引いて、導き出された結論:

  1. 当然のことながら、コスモクラートとカオタークに意見の一致はない。
  2. しかしながら、続けるべきか(とにもかくにも、これが最初のポイントである)という問題については、彼らは一致した。続けるべきだ。

議題3は、「でも、どうやって?」だった。
 定評のある流儀でこの問題を変換すると、「どうやらないで?」となる。
(シッテイルノニ・シランフリの注釈:もしどうしたいのかわからない時でも、どうしたくないかがわかれば、りっぱに収益はあがるものだ)

カオタークたちは次のことを強く要求した。

――超知性体および超知性体級の存在(これはシ・キトゥが退室してから増補された)、それから把握しがたい「強大者」の削減
 ――夢、幻の類による霊感で謎めかされた起源の削減
 ――展開の単純化(なにせ一部のカオタークにさえ見通せないというのがその言い分)と展開平面の減少

測り知れない慈愛と善意をもって両コスモクラートは、1400話からのコンセプトについての提案を語った。論理的に言って、カオタークに対しては馬の耳に念仏である。
 かつては自身も編集者であったカオターク〈大爆笑ホーホー〉が、まだまったく練り上られていない二者択一の発議を提出したが、それはまさにカオターク全員一致の賛同を得た。この発議は基本的に、次のポイントから成る。

×××(翻訳不能)××やっかいなお荷物は放り出して××(また翻訳不能)×××デッカいことはいいことだの思想(*18)は減少させ、一目瞭然として×××ハンガイの第4クォーターが×××センセーション×××(これ以上の情報は提示されない。高次勢力が、書類をドリフェル・カプセル《転覆丸》にわたす前に、テキストのこの部分を消去したということも考えられる)。

6名のカオタークは声をそろえて、「かくして、読者にとっては寝耳に水、ニューカマーにとっては初版をとっつきやすくする一大センセーションが1400話と1401話で起こるのだ!」

さて、重要なのは、この骨格を肉とスパイスで満たすことだ。それはむろんのこと、あらゆる種類の無駄骨折りにいたった。
 カオターク〈危ないパイプ〉は、連れてきたナックとその同族が相応の役割を担うべきであることを強調した。1395話の草案でそうなっているからだというのだ。その内容について知りたがるものは皆無だった。ついにはコスモクラート〈鼠のクラーン〉が、「あんたのナックはご免こうむる!」とエネルギッシュに制止した。〈危ないパイプ〉はひそかに、この意趣返しに1395話を夢物語からトラウマ物語に書き替えてやろう(*19)、と決意していた。ま、なんだ、要するに、コスモクラートこそモノホンの暴力団であると認識する必要があるわけさ! そして、この小説は完結したあとさらに「断絶の1400話」にむけて書き直さざるをえなくなったのだ。
 カオターク〈手榴弾ヘルビー〉は、その展開のなかで人類がより多くの決断の自由(超知性体なしで)を取り戻すべきだとの要求を 695回くりかえした。かくして、695という数字は驚くべき意味を持つにいたった。(*20)

カオターク〈喉声ヴォルケー〉と〈独逸のエーヴェルス〉は互いの赤ら顔について張り合っていた。最終的に、ゲルマン人がインディアンに勝利をおさめた。(*21)
 カオターク〈仏のイコヴ=スキー〉(スキー用品のもぐりの宣伝ではない)は混乱を利用して、ペリー・ローダン映画制作の最新状況(*22)について講演せんとはかった。あとはもうてんやわんや!
 カオターク〈牧場の希望ボビー〉は相変わらず何にも言わない。
 カオターク〈真っ暗クラールトン〉は、討論が次第に白熱してきても、依然として愉快そうに微笑んでいた。やがて艦載クロノメーターが標準時の18時を指した。その結果、コスモクラートとカオタークのシントロン臓器がぐぅと鳴った。
 それをふまえた上で、確認された。カオタークはまたもや圧倒的勝利をものにしたのだ(そしてコスモクラートはいまや宿題を背負いこまねばならない! なんて不公正な!)。
 翌朝までの延期という提案が、全会合を通じて唯一、満場一致で可決された。会合出席者は反重力グライダーで宇宙城《ザントヴァイアー》(*23)へ移動した。

議題4(非公式):一堂に会して呑みかつ喰い、バカげた冗談をかわし、バカにしあい……(あとは検閲にひっかかった)。
 その際の素晴らしき訪問:いつのまにやら女王に昇進していたリンダ・イヴァヌス(*24)が、輝かんばかりのザールブリュッケン・スマイルで現われたのだった。

議題5(非公式)と、午前中の会議の結果:
「案件は新サイクル形成のための具体的プランであった。一連の興味深い提案が蒐集された。コスモクラート・チームは現行サイクルの結末を、新サイクルの前提を整えるように構成し、同時に以前の記述との齟齬を回避するという任務を与えられた」
 これでは、まるで政府答弁か、緊急動議に対する国家首席の公式見解みたいに聞こえる、とシッテイルノニ・シランフリは述べている。しかし、公式議事録にはそう書かれているのだ。ホントだってば!
 だが、ひとつのことは明らかになった:これからも、将来も続くのだ……。

シッテイルノニ・シランフリと高次勢力は、なかなか含蓄に富んだこの書類について、カオターク一座と、格別に両コスモクラートに感謝の意を表するものである。
 ま、こんなとこだ。ほんの数時間のうちに、コスモクラートとカオタークたちはクモの子を散らすように姿を消した。その呪われた活動を別の場所で遂行するために。

K.O.(カーオー)ターク(*25)には今後とも警戒が必要である!


訳註:

  1. 原語はWeißnix Weißwas。「何にも知らない・何か知ってる」てなところか。
  2. Kipp-Um。動詞Umkippenに「転覆する」の意味があるのだ。
  3. Maus Klahn。クルト・マール(Kurt Mahr)の本名はクラウス・マーン(Klaus Mahn)。要するにその「しりすえもんじ」(うーん、古い。当初コレを訳したときには、まだ「いきなりフライデー・ナイト」は健在だったのだが)である。
  4. Wolf Wolfchen。エルンスト・ヴルチェクはパウル・ヴォルフの筆名も持つ。
  5. Dark Clarlton。クラーク・ダートルンはClark Darlton。これまたしりすえもんじ(もぉええ)
  6. Handgranaten-Herbie。シェールの本名はカール=ヘルベルト・シェール(Karl-Herbert Scheer)。なぜ手榴弾なのか? シェールが軍事SFだったころのPRSの草案作家であったからか? あるいは、当時のかれの持ちキャラであったラトバー・トスタンが携行するデッカい鉄砲と関係あるのかもしれん。
  7. Franz Ikow-Ski。フランシスの本名はHans Gerhard Franziskowski。東欧系の移民であったのかもしれない。
  8. Germane Ewers。これまたエーヴェルスはホルスト・ゲールマン(Horst Gehrmann)が本名。出身は元の東ドイツだそうだ。
  9. Haha Hoho。ホルスト・ホフマン(Horst Hoffmann)は愛称「ホーホー」(Hoho)。
  10. Kehlige Wolke。アルント・エルマー(Arndt Ellmer)の本名はウォルフガング・ケール(Wolfgang Kehl)。ほとんど二重のシャレである。
  11. Bobbie Fieldhope。当然ロベルト・フェルトホフ(Robert Feldhoff)のこと。
  12. Kreisenpfeife。ペーター・グリーゼはパイプ愛好者なのか。未確認。
  13. Marri-Anne Ehrig。マリアンネ・シドーの本名はエーリッヒ(Marianne Ehrig)。
  14. Johnny Bruck。PRS常任イラストレーター。底抜けのウワバミだったそうだ。某PRコンの際、水の入ったグラスを持っていたのを、ダールトンに「ウォッカを呑んでる」と勘違いされたくらい……。
  15. Marzipan。アーモンドと砂糖の菓子。ちなみにマルチン博士はFlorian F.Marzin 。ホントに何の博士なのかは不明。「甘い」人とは到底思えないのだが……。後、退社して、現在ではSF作家だったりする。
  16. Franz Dolenc。ハードカヴァー版の校正・編集等を担当していた。ヘフト版も、プロット段階から目を通すらしい。公に名前が出たのは、この記事が最後か。
  17. MVH-Geschütz。コンビ銃の大砲版のようなもん。
  18. Gigantmanie。モラル・コードや無限艦隊、深淵の地などを意味する。ツィークラーへのあてこすりみたいにも聞こえるし、フォルツ草案をこなしきれなかった言い訳ともとれそうな発言である。
  19. 夢=Traum・トラウマ=Trauma。1395話で、くりかえしガルブレイス・デイトンの見る夢が後々の重要な伏線となっている。
  20. 1400話で695年の時間ジャンプが敢行されるわけである。
  21. エルマーもエーヴェルスも確かに赤ら顔だが、エルマーがインディアンとか、インド系イギリス人の血をひいているという事実はこれまで伝えられていない。何か独特の言い回しなのかもしれない。
  22. ほとんど「企画はある」ということだけ、延々とくりかえしている状態……。数年前からたまにリリースがあるTV映画版というのは、この当時と同じ企画なのだろうか? うーん。
  23. Sandweier。どこぞの居酒屋の名前か……と当時は書いたが、いろいろ調べたところ、ラシュタットからほど近い、有名な観光地バーデン・バーデンの一街区らしい。菊芋から作ったシュナップスが名物とか。
  24. Linda Ivanus。ザールブリュッケンのヴェルトコンで進行役を勤めた女性。群馬合宿例会等でヴィデオを見た方はご存じかと思う――あの、赤青緑のメッシュの入った髪をした派手なネーちゃんである。しかし、女王に昇進? なんかアブナそーである。
  25. 「ノックアウト」とカー・オー・タークの洒落。日本人には苦しいジョークかも。

本稿は1387話『成就の地』付録のPR-レポートに掲載された、シリーズ企画「PR工房から」の第6回。この回にかぎり、作者は不詳である(笑)

1984年のフォルツ病没にはじまり、後継者ツィークラーは85年に脱退、そうして始まった超知性体エスタルトゥと異宇宙タルカンをめぐるサイクルは3年保たずに1399話で打ち切りと、当時のチーム事情はそうとうゴタゴタしていたと思われる。しかし、まさかそれ自体をネタに昇華してこんなしょーもないげふんげふん、イカれたいやいや、笑えるものを作ってしまうというのは、ある意味尊敬に値する。
まあ、そうした事情をさておき、作家たちが年一度、顔をそろえてブレインストーミングをくりひろげる会合というのは、およそこんな感じだったりするのだろう……と思う。だからこそ、これからも、将来もつづくのだ……(爆)

ストフラ:アムリンガルの宝玉

続いての在庫処分は、惑星小説309話『アムリンガルの宝玉(Das Juwel von Amringhar)』(クルト・マール著)の超要約。FCミレニアム・ソルの会誌向けに書いたものだが、はて、これ掲載されたんだっけ……?(笑)

惑星小説309巻表紙

 

1988年に発売されたこの本。わたしは当時、神田三省堂経由で原書を購入していたのだが、なぜか注文しても入荷がないまま「品切」通告を受けてしまった……のだが、92年のハマコンでFC企画のカルトクイズ景品候補に、問題のブツがwww 企画担当を拝み倒して譲ってもらったで、会誌の先読みコーナー・ストーリーフラッシュにネタを提供する約束だったわけ。

1300話台後半で初めて名前の出てきた「アムリンガルの年表」が、カンターロ・サイクル序盤で「壊れた」状態で発見されたあたりで、当時草案チームの片棒かついでいたマールがこのタイトルで惑星小説である。ひょっとしなくても、使えなくなったネタをそっちで始末したか!? と疑っていたので、是非とも読みたかった。

5/3追記:エスタルトゥとヘクサメロンをめぐるストーリーは当初“宇宙の新生”まで予定していたらしいが、実質的打ち切りのため1399話で急遽幕切れになった経緯がある。

さて、物語は『プロジェクト・メーコラー』でいうと第5章の終わり、潜入工作がバレたローダンが、ハウリの母星系ウシャルーを脱出した、その少し後からはじまる……。

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新銀河暦447年11月末……。ペリー・ローダンが死にゆく宇宙タルカンに漂着して、すでに9ヵ月が過ぎ去っていた。カルタン人、ナックら22種族の連合カンサハリーヤが推進する〈プロジェクト・メーコラー〉は、年老い収縮過程にある宇宙から、いまなお若きメーコラーことわれわれの宇宙への脱出をはかり、巨大な銀河ハンガイを四分割しての転送を進めていく。また、謎に包まれた組織ヘクサメロンの唱える「最後の六日間の哲学」は宇宙の熱的死を未来への新生と教義づけ、狂信的なハウリ族を尖兵として「不信者」たる22種族のプロジェクトを妨害する。二勢力の反目に巻き込まれつつ、ローダンは失踪した超知性体エスタルトゥのシュプールを探し求める。ハウリの軍団はかれを許しがたい宗教的異端者とみなし、また、不可解にもローダンを「イマーゴ」と崇める種族――放浪するロボット種族ジュアタフと、占星術に根ざした世界観を持つベングエル族――の出現もあって、道は困難をきわめた。そして遭遇する、ヘクサメロンを構成する6者の筆頭、火炎の領主アフ=メテム。その語った神秘の場所ナコド・アズ・クォール、すなわち「永遠の穴」に、この宇宙をめぐる謎の解答があると考えたローダンであったが、ヘクサメロンの本拠があるらしい、かの地の所在は杳として知れなかった。

これは、その探索の途上、ハンガイ辺境を放浪するテラナーと、ふたりの同行者が出会ったもうひとつの謎の物語である……

-*-

ことの起こりは、ドリフェル・カプセル《レダ》の傍受したふたつの通信だった。

銀河ハローの惑星クザルルに定住する、みずからをアングマンシクと称するベングエルの一氏族が、その世界に異人の侵入したことを告げ、星々に助けを求めている。そして、もうひとつの暗号化された送信のコードからして、その異人とはどうやらハウリであるらしい。イマーゴ探求者と関わることは避けたいが、それでもヘクサメロンの狂った宗教に苦しむものを見捨てるわけにもいかないと結論し、ローダン一行――テラナーと、アッタベンノのベオズ、カルタン人ナイ=レン、そして《レダ》――は、ひそかにクザルルに着陸する。

ベングエルという種族は、樹上棲類人猿から進化したとされる。しかし、ただ自然のままに進化したとは考えられないふしがあるのだ。彼らはおのが子供の生まれるとき「自我」を喪失し、知性もなく本能のみによって生きる原始状態に還ってしまう。自我が継承される、と彼らは語る。だが、それだけではない。彼らと、やはりイマーゴ探求者であるジュアタフが、ある特定の状況でそろうとき、奇妙な閃光とともに双方の『自我』が失われるのだ。ローダンはこの現象を「対自殺」と呼んでいたが、タルカンで得た友ベオズの抽象的な「予知夢」とからんで、そこにエスタルトゥの手が及んでいるのではないかと、そう思われてならなかった。

アングマンシクは惑星定住が長かったせいか、テラナーの姿を見ても「イマーゴ!」と叫んで押し寄せてくるようなことはなかった。それでも、星を読み、未来を知るというベングエル特有の哲学は変わらないため、ローダンは自らを「星々の派遣した救い」と称して彼らの共同体に入り込む。そして、指導的立場にある司祭から状況を聞いたところ、クザルルに進駐したハウリはごく小部隊で、なにか特別な任務をおびているらしい。それも、アングマンシクの先祖がタルカンの諸銀河を放浪していた時代にからむ何かを捜索しているというのだ。
ローダンに策をさずけられ、集落を訪れたハウリたちを出迎えたアングマンシクに、小部隊の指揮官であるヘクサメロンの預言者は、こう告げた。
「おまえたちは〈アムリンガルのゆりかご〉という言葉を知っているはずだ」
しかし、アングマンシクに伝わる伝承の中には、そんな名称は存在しなかった。集落からそう遠くない台地には、かつて祖先がそれを操って宇宙を往来した宇宙船が無数に横たわっているが、おそらくそこにもそんな記録は残っていないだろう、と司祭は語った。
その言葉を信じず、強硬手段をとろうとするハウリたちに対抗するため、ローダンとアングマンシクたちは「アムリンガルの宝玉」のコードネームを用い、ハウリを分断し、無力化することに成功する。その過程でテラナーは、アングマンシクたちが、おそらく数千年来触れたこともないはずの宇宙船の機器類やパラライザーの使用法をたちどころに理解していくさまを見て驚嘆する。親から子へと伝えられていく彼らの「自我」。そこには、やはり何か大いなる秘密が隠されているにちがいない。
捕らえられたヘクサメロンの預言者に、ローダンは訊ねる。アムリンガルとはいったい何なのか、と。しかし、ハウリの返答は、すこぶる宗教色の濃い、不明瞭なものでしかなかった。
「アムリンガルとは、公会議の招集されるとき、ヘクサメロンの領主がたが一堂に会するところ。いまだかつて死すべきものの目の触れたことのない場所だ。シャムーの地の神々の御魂、かの地にいまし、領主がたを照らさん……」
そして、ハウリたちのひとりとして、ナコド・アズ・クォールの名すら耳にしたことがないという。テラナーの求める秘密は、やはり火炎の領主その人に会うことでしか知りえないらしかった。
ローダンとアングマンシクが「宝玉」を宇宙船の1隻に載せ、ロボット操縦で星々へと遺棄したと思い込まされたハウリはクザルルを去った。もちろん、ロボット船に宝玉など存在しないから、じきにさらなる増援をひきつれて戻ってくるだろう。だが、そのころには、再び宇宙船を動かすことをおぼえたアングマンシクたちは、ひとりとしてクザルルにいなくなっているはずだ。ただ、自我を失い、原始に還ったものたちだけを残して。
別れのとき、アングマンシクの司祭はローダンに彼らの宗教上の宝物――虹色にきらめくキューブ――を手渡す。もしや、それこそ、いつわりのはずであったアムリンガルの宝玉なのか? だが、司祭自身も、その真相は知らないという。なんにしろ、アムリンガルの名はアングマンシクに災いしかもたらさなかった。それがもし「宝玉」であるとしても、ハウリが信じているように、アングマンシクの手を離れている方がよいのだ、と司祭は笑った。
……再びあてどない放浪の途についた《レダ》で、ローダンは「宝玉」のメモリーを再生させる。キューブは記憶クリスタルだったのだ。しかし、その記録とは、オリオン星雲にも似た星間ガスの雲と、そこで輝く6つの恒星の映像だけであった。不規則な六角形を描く恒星のひとつはベテルギュース型の赤色巨星で、伴星として中性子星が周囲をめぐっているらしく、その軌道は、ある仮想点を周回している――。
はたして、それが神秘の場所アムリンガルと関わりがあるのかさえ、わかりはしない。かくして、ひとつの冒険はいま終わりを告げ、テラナーの目はナコド・アズ・クォールへとつづくであろう、いつ終わるともしれない長い道のりだけをみつめていた……。

-*-

……やがてローダンは、ナコド・アズ・クォール、超絶なプシ波を発する「永遠の穴」を見いだす。それは、コスモヌクレオチド・ドリフェルの「門」! モラル・コードはタルカンにまでその力を及ぼしていたのだ。さらに、アフ=メテムとの邂逅を経てメーコラーへと生還した後、テラナーは超知性体エスタルトゥ復活の目撃者ともなる。
そうして、銀河系への帰途、暴走したドリフェルの猛威によって停滞フィールドに閉じ込められ、 700年の時間を失った後に、かれはまた「アムリンガル」の名を耳にすることになるのだ。局所銀河群を包括する超知性体〈それ〉の力の球形体の歴史を記した〈アムリンガルの年表〉にからんで……。
さらに数十年後、ローダンはコスモクラートの使者から、ハウリの口にした「公会議」が、1000万年前、いみじくもかれの故郷である局所銀河群のいずこかの銀河――そここそがアムリンガル!――に招集されたことを知るのだ。アムリンガル……謎多きかの場所は、いまだ見いだされない。

ENDE

……とゆーわけで、アムリンガルの謎が増しただけのお話だった(笑)
作中出てくるアムリンガル公会議については、1593話でちょろっと、翌1993年に出た惑星小説358巻『七日目の王』(マール)でこれまたちょろりと触れられているが、同年マールが亡くなったため、以降の展開はなかった。

先読みされている方ならご存じのとおり、アムリンガルの年表ネタはカンターロ・サイクルどころかリング人サイクル中盤まで続いたあげく、どこにあったのか、何が書いてあるのか、これまたホントウのところはさっぱりわからないままに終わる。

2200話台になって小マゼラン星雲の昔の名称がアムリンガルである、という設定が唐突に出てくるが、だからどーしたという状態である。
さらにその後、ニューロヴァース・サイクルで得られた知見を加味して考えると、「〈それ〉の誕生史が書かれた年表」「過去と未来の事件を記録した年表」とゆー代物は、あるいは〈それ〉の年代記作者であるデロリアン・ローダンが紡ぎあげた、1800万年の時間ループの記録ではないのかとも思うのだが、昨今の草案チームはんなもんどうでもよろしいみたい。

最後に、当時血涙流して漏らした叫び:
マール、おまっ、プロット作家が、どーしてこのタイトルで猿の惑星にっ……!

■Perrypedia:Das Juwel von Amringhar

ファンタスティーク大賞受賞作リスト最新版

ファンタスティーク大賞は、SF、ホラー、ミステリー、ファンタジー他ジャンルを問わずファンタスティカ関連のニュースサイト Phantastik-News が主催する、読者投票による文学賞。予選(Nominierungsrunde)、実行委員会によるノミネート作リストアップを経て、本選(Endrunde)で受賞作を決定する。

前回(2012年)にまとめた記事はこちら

歴代の受賞作は以下のとおり:
他賞との兼ね合いで、長編・短編・国外作品・新人(長編デビュー)の4部門のみリストアップ。

長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:

1999: Andreas Eschbach / Das Jesus Video / イエスのビデオ
2000: Wolfgang & Heike Hohlbein / Krieg der Engel / 天使戦争
2001: Michael Marrak / Lord Gamma / ロード・ガンマ
2002: Monika Felten / Elfenfeuer / エルフの火
2003: Monika Felten / Die Macht des Elfenfeuers / エルフの火の力
2004: Andreas Eschbach / Der Letzte seiner Art / その型式、最後のひとり
2005: Markus Heitz / Der Krieg der Zwerge / ドワーフの戦争
2006: Markus Heitz / Die Rache der Zwerge / ドワーフの復讐
2007: Markus Heitz / Die Mächte des Feuers / 炎の力
2008: Cornelia Funke / Tintenwelt 3: Tintentod / インキワールド 3: インキたちの最期
2009: Markus Heitz / Das Schicksal der Zwerg / ドワーフの運命
2010: Markus Heitz / Gerechter Zorn – Die Legenden der Albae 1
     / アルバの伝説 1 ――正義の怒り
2011: Markus Heitz / Judastöchter / ユダの娘たち
2012: Markus Heitz / Vernichtender Hass / アルバの伝説 2――破滅もたらす憎悪
2013: Judith & Christian Vogt / Die zerbrochene Puppe / 砕かれた人形
2014: Ann-Kathrin Karschnick / Phoenix – Tochter der Asche
     / フェニックス――灰の娘
2015: Bernd Perplies / Imperium der Drachen – Das Blut des Schwarzen Löwen
     / 竜の帝国――黒獅子の血
2016: Susanne Pavlovic / Feuerjäger 1 – Die Rückkehr der Kriegerin
     / 女戦士の帰還(炎魔討伐団1)
2017: Kai Meyer / Die Seiten der Welt: Blutbuch / 世界の頁:血脈の書
2018: Kai Meyer / Die Krone der Sterne / 星の王冠

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

1999: Joachim Körber / Der Untergang des Abendlandes / 西洋の没落
2000: Michael Marrak / Wiedergänger / 再行者
2001: Manfred Weinland / Herz in Bernstein / 琥珀の中の心臓
2002: Andreas Gruber / Die letzte Fahrt der Enora Time / エノラ・タイム最後の航海
2003: Michael Marrak / Numinos / ヌミノス
2004: Markus K. Korb / Der Schlafgänger / 夢遊病者
2005: Andreas Eschbach / Quantenmüll / 量子ディスポーザ
2006: Jürgen K. Brandner / Moordämonennacht / 湿原の悪魔の夜
2007: Martin Schemm / Das Lazarus-Projekt / ラザルス計画
2008: Jörg Olbrich / Herz aus Stein / 石の心臓
2009: Christian Endres / Feuerteufel / 炎の悪魔
2010: Karina Cajo: Der Klang der Stille / 静寂の響き
2011: Vanessa Kaiser & Thomas Lohwasser / Das Herz des Jägers / 狩人の心臓
2012: Nina Horvath / Die Duftorgel / 芳香オルガン
2013: Bernd Perplies / Der Automat / 自動機械
2014: Miriam Schäfer / Claire / クレア
2015: Vanessa Kaiser & Thomas Lohwasser / Der letzte Gast / 最後の客
2016: Oliver Plaschka / Das öde Land / 荒地
2017: Andreas Eschbach / Acapulco! Acapulco! / アカプルコ! アカプルコ!
2018: Gerd Scherm / Der geheimnisvolle Gefangene / 謎だらけの虜

国外作品部門 Bester internationaler Roman:

1999: Terry Pratchett / Schweinsgalopp / Hogfather / 豚のギャロップ
2000: Stephen King / Atlantis / Hearts in Atlantis / アトランティスのこころ
2001: Joanne K. Rowling / Harry Potter und der Feuerkelch
     / Harry Potter and the Goblet of Fire / ハリー・ポッターと炎のゴブレット
2002: Eoin Colfer / Artemis Fowl / Artemis Fowl / アルテミス・ファウル 1: 妖精の身代金
2003: Stephen King & Peter Straub / Das schwarze Haus / Black House
     / ブラック・ハウス
2004: Joanne K. Rowling / Harry Potter und der Orden des Phoenix
     / Harry Potter and the Order of the Phoenix
     / ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
2005: Stephen King / Der Turm / The Dark Tower VII: The Dark Tower
     / ダーク・タワー 7: 暗黒の塔
2006: Joanne K. Rowling / Harry Potter und der Halbblutprinz
     / Harry Potter and the Half-Blood Prince / ハリー・ポッターと謎のプリンス
2007: Trudi Canavan / Gilde der schwarzen Magier 1: Die Rebellin
     / The Magicians’ Guild: The Black Magician Trilogy Book 1
     / 黒の魔術師 1: 魔術師のギルド
2008: Joanne K. Rowling / Harry Potter und die Heiligtümer des Todes
     / Harry Potter and the Deathly Hallows / ハリー・ポッターと死の秘宝
2009: Patrick Rothfuss / Der Name des Windes / The Name of the Wind
     / 風の名前(キングキラー・クロニクル 1)
2010: Sergej Lukianenko: Die Ritter der vierzig Inseln / Рыцари Сорока Островов
     / 四十の島の騎士たち
2011: Neil Gaiman / Der lächelnde Odd und die Reise nach Asgard
     / Odd and the Frost Giants / オッドと霜の巨人たち
2012: Patrick Rothfuss / Die Furcht des Weisen 1 / The Wise Man’s Fear
     / 賢者の怖れ 1(キングキラー・クロニクル 2)
2013: George R. R. Martin
     / Das Lied von Eis und Feuer 9/10: Der Sohn des Greifen/Ein Tanz mit Drachen
     / A Dance with Dragons / 竜との舞踊 (氷と炎の歌5)
2014: Terry Pratchett / Dunkle Halunken / Dodger / ドジャー
2015: Neil Gaiman / Der Ozean am Ende der Straße / The Ocean at the End of the Lane
     / 通りの果ての大洋
2016: Terry Pratchett / Die Krone des Schäfers / The Shepherd’s Crown / 羊飼いの宝冠
2017: Mirjam H. Hüberli / Rebell: Gläserner Zorn / Rebell: Gläserner Zorn
     / 反徒:ガラスの怒り スイスなのでドイツ語圏
2018: Leigh Bardugo / Das Lied der Krähen / Six of Crows / 鴉の歌

新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:

2003: Markus Heitz / Die dunkle Zeit 1: Schatten über Ulldart
     / 暗黒時代 1: ウルダートを覆う影
2004: Nina Blazon / Im Bann des Fluchträgers / 呪い持ちの呪縛
2005: Christoph Marzi / Lycidas / リシダス
2006: Andreas Gruber / Der Judas-Schrein / ユダの聖堂
2007: Christoph Hardebusch / Die Trolle / トロール
2008: Oliver Plaschka / Fairwater oder Die Spiegel des Herrn Bartholomew
     / フェアウォーター あるいは バーソロミュー氏の鏡
2009: Ju Honisch / Das Obsidianherz / 黒曜石の心臓
2010: Oliver Dierssen / Fledermausland / 蝙蝠の国
2011: Gesa Schwartz: Grim – Das Siegel des Feuers / 炎の鏡
2012: Kerstin Pflieger / Die Alchemie der Unsterblichkeit / 不死の錬金術
2013: T. S. Orgel / Orks vs. Zwerge / オーク対ドワーフ
2014: Gaby Wohlrab / Eldorin – Das verborgene Land / 秘密の国エルドリン
2015: Silke M. Meyer / Lux & Umbra 1 – Der Pfad der schwarzen Perle
     / ルクスとアンブラ1――黒真珠の小径
2016: Faye Hell / Keine Menschenseele / 心ない人々
2017: Nicole Gozdek / Die Magie der Namen / 名前の魔法
2018: Julia Dippel / Izara – Das ewige Feuer / イザラ――永遠の炎
日本語タイトルは、邦訳が確認できたもの以外はすべて仮題

■DPP公式サイト:Deutscher Phantastik Preis

ドイツSF大賞受賞作リスト最新版

ドイツSF大賞(Deutscher Science Fiction Preis)は、ドイツ最大手のSFファンクラブ、SFCD(ドイツSFクラブ)が、1985年にSFCD文学賞(SFCD-Literaturpreis)として創設したもの。1999年より現名称となっている。
ドイツにおいて前年出版された商業SFのなかで、最も優れた作品を表彰するもの。

前回(2012年)にまとめた記事はこちら

歴代の受賞作品は以下のとおり:

長編部門 Bester Roman:

1985: Herbert W. Franke / Die Kälte des Weltraums / 大宇宙の冷気
1986: Thomas R. P. Mielke / Der Tag an dem die Mauer brach / 壁の崩れた日
1987: Claus-Peter Lieckfeld & Frank Wittchow / 427 – Im Land der grünen Inseln
     / 427――緑なす島々の国
    Friedrich Scholz / Nach dem Ende / 終末の後
1988: Gudrun Pausewang / Die Wolke / 雲(邦題:みえない雲)
1989: Fritz Schmoll / Kiezkoller / キーツ熱
1990: Maria J. Pfannholz / Den Überlebenden / 生きのびる者たちに
1991: Herbert W. Franke / Zentrum der Milchstraße / 銀河系の中心
1992: Christian Mähr / Fatous Staub / ファトウの塵
1993: Herbert Rosendorfer / Die Goldenen Heiligen / 黄金の聖者たち
1994: Dirk C. Fleck / GO! Die Ökodiktatur / いけ! エコ独裁者
1995: Gisbert Haefs / Traumzeit für Agenten / 工作員には夢のような時代
1996: Andreas Eschbach / Die Haarteppichknüpfer / 髪織絨毯職人
1997: Andreas Eschbach / Solarstation / ソラー・ステーション
1998: Robert Feldhoff / Grüße vom Sternenbiest / 星獣からの挑戦
1999: Andreas Eschbach / Das Jesus Video / イエスのビデオ
2000: Matthias Robold / Hundert Tage auf Stardawn / スタードーンでの百日
2001: Fabian Vogt / Zurück / 遡行
2002: Oliver Henkel / Die Zeitmaschine Karls des Großen / カール大帝のタイムマシン
2003: Oliver Henkel / Kaisertag / 皇帝の日
2004: Andreas Eschbach / Der Letzte seiner Art / その型式、最後のひとり
2005: Frank Schätzing / Der Schwarm / 群体(邦題:深海のYrr)
2006: Wolfgang Jeschke / Das Cusanus-Spiel / クザーヌス・ゲーム
2007: Ulrike Nolte / Die fünf Seelen des Ahnen / 祖先の五つの魂
2008: Frank W. Haubold / Die Schatten des Mars / 火星の影
2009: Dirk C. Fleck / Das Tahiti-Projekt / タヒチ計画
2010: Karsten Kruschel / Vilm. Der Regenplanet / Vilm. Die Eingeborenen
     / VILM(雨の惑星/現住種族)
2011: Uwe Post / Walpar Tonnraffir und der Zeigefinger Gottes
     / ヴァルパー・トンラッフィルと神の人差し指
2012: Karsten Kruschel / Galdäa – Der ungeschlagene Krieg
     / ガルデーア――終わらない戦争
2013: Andreas Brandhorst / Das Artefakt / 遺物
2014: Wolfgang Jeschke / Dschiheads / ジヘッズ
2015: Markus Orths / Alpha & Omega: Apokalypse für Anfänger
     / アルファとオメガ:初心者向け黙示録
2016: Andreas Brandhorst / Das Schiff / 船
2017: Dirk van den Boom / Die Welten der Skiir 1: Prinzipat / スキイルの世界1:元首政
2018: Marc-Uwe Kling / QualityLand / クオリティ・ランド

短編部門 Beste Kurzgeschichte:

1985: Thomas R. P. Mielke / Ein Mord im Weltraum / 宇宙空間殺人事件
1986: Wolfgang Jeschke / Nekyomanteion / ネクヨマンテイオン
1987: Reinmar Cunis / Vryheit do ik jo openbar / 我、汝らに自由を布告するものなり
1988: Ernst Petz / Das liederlich-machende Liedermacher-Leben
     / 自堕落な作曲家の人生
1989: Rainer Erler / Der Käse / チーズ
1990: Gert Prokop / Kasperle ist wieder da! / カスパール再び参上!
1991: Andreas Findig / Gödel geht / ゲーデルが行く
1992: Egon Eis / Das letzte Signal / 最後のシグナル
1993: Norbert Stöbe / 10 Punkte / 10のポイント
1994: Wolfgang Jeschke / Schlechte Nachrichten aus dem Vatikan
     / ヴァチカンからの凶報
1995: Andreas Fieberg / Der Fall des Astronauten / とある宇宙飛行士の件
1996: Marcus Hammerschmitt / Die Sonde / ゾンデ
1997: Michael Sauter / Der menschliche Faktor / 人的要因
1998: Andreas Eschbach / Die Wunder des Universums / 大宇宙の奇跡
1999: Michael Marrak / Die Stille nach dem Ton / 音のち無音
2000: Michael Marrak / Wiedergänger / 再行者
2001: Rainer Erler / Ein Plädoyer / ある弁論
2002: Michael K. Iwoleit / Wege ins Licht / 光への道
2003: Arno Behrend / Small Talk / スモール・トーク
2004: Michael K. Iwoleit / Ich fürchte kein Unglück / 不幸なんてこわくない
2005: Karl Michael Armer / Die Asche des Paradieses / 楽園の灰
2006: Michael K. Iwoleit / Psyhack / サイハック
2007: Marcus Hammerschmitt / Canea Null / カネア・ゼロ
2008: Frank W. Haubold / Heimkehr / 帰郷
2009: Karla Schmidt / Weg mit Stella Maris / さよならステラ・マリス
2010: Matthias Falke / Boa Esperança / ボア・エスペランサ
2011: Wolfgang Jeschke / Orte der Erinnerung / 思い出の場所
2012: Heidrun Jänchen / In der Freihandelszone / 自由貿易地域にて
2013: Michael K. Iwoleit / Zur Feier meines Todes / 我が死を祝って
2014: Axel Kruse / Seitwärts in die Zeit / 時間流へ横入り
2015: Eva Strasser / Knox / ノクス
2016: Frank Böhmert / Operation Gnadenakt / 免罪符計画
2017: Michael K. Iwoleit / Das Netz der Geächteten / 無法者のネット
2018: Uwe Hermann / Das Internet der Dinge / モノのインターネット
日本語タイトルは、邦訳が確認できたもの以外はすべて仮題

■ドイツSF大賞公式サイト:www.dsfp.de