Perry Rhodan – Pax Terra

サルベージの一環で、こいつも改めて紹介しておこう。
『Perry Rhodan – Pax Terra』は、シリーズ35周年企画として1996年12月にリリースされた音楽CD。一種の“スペースオペラ”(ヴァンスかw)として構想された、全7曲。

クリストファー・フランケ(Christopher Franke)は、ドイツの電子音楽グループ、タンジェリン・ドリームの中心メンバーのひとりだった(1987年脱退)。ソロになってからは、SF映画・TVシリーズの音楽を多く担当しており、この頃すでに『ユニバーサル・ソルジャー』『バビロン5』『トミーノッカーズ』などの作品があった。
プロデュースのロターミッヒはバンド時代からの盟友らしいが、SF関連だと2012年に『ブレードランナー』の新録サントラの制作・演奏を担当しているのが有名みたい。

で、1996年というと、トルカンダー・サイクルの中盤で、せっせと『無限架橋』の要約を書いていた記憶があるのだが、このCDを購入した経緯が思い出せない(笑) たぶんマガンにお願いして、rlmdi.略称“トラギャ”ことTransgalaxis社からの輸入に混ぜてもらったんじゃないかと思うのだが……さすがにマガンもおぼえていないだろう、気づけばそろそろ四半世紀前である。

追記:マガンにも「うちじゃないと思うですよ?」と言われてしまった……。うーん、ひょっとしてHMVが輸入販売してたのかもしれない。当時Keanのアルバム再発以外にも、なんか通販で購入した気がするし(あやふや)

このCDと、1曲目の特殊形状CDのリプレスはおこなわれなかったが、現在ではApple Musicなどにも登録されているし、amazonには中古の通販もあった。youtubeにも動画があるので、体験するのは簡単である。便利になったなあ……(年寄りの感想)

作曲:クリストファー・フランケ
演奏:クリストファー・フランケ&Berlin Symphonic Film Orchestra
制作:エドガー・ロターミッヒ
歌:Rick Jude, Miko

収録曲

1. Bridge To Eternity / 無限への架け橋 6:58
2. The Wonders Of Estartu / エスタルトゥの奇蹟 9:26
3. Atlan, The Solitary Spirit Of Time / アトラン:時の外にひとり立つ者  6:08
4. The Third Question / 第三の謎 11:52
5. Mountain Of Creation / 創造の山 8:47
6. Frost Ruby / フロストルービン 10:41
7. Bridge To Eternity (Single Cut) / 無限への架け橋 (シングル) 3:23

Bridge to Eternity

Deep space and a cold view,
a new galactic time.
Keeping peace guarding the borders,
beyond star filled skies.

Major Perry our world lifts its eyes,
and the bridge to eternity thrives on your pride.

Stardust is waiting to take you
million light-years’ lonely ride.
Our own galaxy close to destruction,
lives free as peace follow your flight.

Good spirits beside you
to guide you into time.
Without love destiny drives on,
and space rules your life.

Major Perry our world lifts its eyes,
and the bridge to eternity thrives on your pride.

Stardust is waiting to take you
million light-years’ lonely ride.
Our own galaxy close to destruction,
lives free as peace follow your flight.

[訳]
深宇宙の凍える情景
新たな銀河の歴史
満点の星々のかなた
境界線を護り、平和を守る

ペリー少佐、ぼくらの世界は高みをめざし、
無限への架け橋はあなたの誇りの上に建つ

スターダストが待っている
百万光年の孤独な旅路へとあなたを誘う
ぼくらの銀河に滅びが迫るも
あなたの飛行が平和をもたらし、自由を謳歌する

時を超えるあなたを
善き霊が導く
愛を知らぬ運命が駆りたてる
あなたの人生を決めるのは宇宙

(以下繰り返し)

The Third Question

Somewhere near the border a place known as the danger zone
Where nobody protects the earth, the garden of the sky.
Who’s destined to save us fighting for our galaxy
And keep peace and harmony for all the years to come?

There exists a fearless man,
With mighty will he’ll fight to save man’s dignity,
The future in both his hands.

Time will unfold the answers to all the ancient questions,
We see through mystery veils and will discover truth.
He’s our courageous pilot on all these vital missions,
And he has the power to rescue the world.

Tension keeps on rising, trust lost between different worlds;
The need for the United Stars is stronger than before.
Fierce enemy creatures plotting to destroy our kind;
The whole planet Terra fears destruction once again.

There exists a fearless man,
With mighty will he’ll fight to save man’s dignity,
The future in both his hands.

Time will unfold the answers to all the ancient questions,
We see through mystery veils and will discover truth.
He’s our courageous pilot on all these vital missions,
And he has the power to rescue the world.

Stardust is waiting to take you
million light-years’ lonely ride.
Our own galaxy close to destruction,
lives free as peace follow your flight.

[訳]
境界近くのどこか、危険地帯と知れわたる場所
天の庭園・地球を護るものとてない
銀河のため闘い、われらを救うのは
幾歳月、平和と調和を守るべく定められたのは誰?

怖れを知らぬ男そこにあり
強き意志で、人類の尊厳を救うべく闘う
未来は彼の手の中に

太古の問いのすべてに、時は答えを明かすだろう
神秘のヴェールを見はるかし、真実を見出すのだ
彼はそれら生死をかけたミッションの本番パイロットであり
世界を救う力を宿すもの

緊張は高まりつづけ、世界のはざまの信頼は失われた
星々を結ぶ力が、かつてないほど必要なのだ
獰猛な敵性クリーチャーがわれらの種の根絶をたくらみ
地球全土がまたしても滅びの危機に脅える

(以下繰り返し)

歌詞対訳は、だいぶん意訳寄り。いや、英語だし?(爆) ……昔聞いた時は、“メジャー・ペリー・R”かなあ、なんで肝心のとこ略字? とか思ったものだ(汗) その後、一部のサイトで「フランケの曲」として歌詞が掲載されたときは凹んだorz
余談だが、フランケはインタヴューの際、「忙しくて35年分の全部を読んだわけじゃないけど、ボクは最初期の熱心なファンのひとりだよ」と述べている。そっかー、53年生まれだしにゃあ。

■Perrypedia:Christopher Franke – Perry Rhodan · Pax Terra

ブラジル版、1000話到達

9月21日付け、ローダン編集部のブログによると、ブラジル版ローダン(ポルトガル語)が1000話「テラナー」に到達したみたい。署名がEnpunktになってるから、記事を書いているのはクラウス・フリックである。
右はブラジル版サイトに掲載された1000話「O Terrano」の表紙。

ブラジル版が、複数サイクルを同時に翻訳しているとか、一時刊行がストップしたとか、ファン出版になったとかならないとか、そのへんの細かい事情は、実はよく知らなかったり。井口さんならくわしそうだけどなあ。

ブログでは「これで1話から1000話まで通して入手できるようになった」とあるが、ブラジル版のサイトを見ると、実際にアフィリア・サイクルやらバルディオク・サイクルやらが、サイクルごとワンセットで販売されてたりする。
上の方で、単発売りしてるのは、600話前後、1000話前後、こっちはアトランの歴史冒険譚6巻に……1808話? またえらくとんでるなあ。
えーと、SSPGから出版されているのは、第8サイクル(大群)から第15サイクル(宇宙城)と第27サイクル(トルカンダー)みたい。1000話到達で、コスミック・ハンザがはじまったところかな。

そっかー。かつての先達は、いまもまだ頑張っているのだなあ。

■編集部ブログ:Ein Meilenstein in Brasilien
■ブラジル版公式サイト: Perry Rhodan Brasil

ファンタスティーク大賞2019本選開始

9月16日から、ファンタスティーク大賞の本選がはじまっている。
長編/短編/新人/ジュブナイル/国際/アンソロジー/オーディオドラマ/シリーズ/グラフィッカー/二次創作/コミック・マンガ/翻訳、の12部門。

ショートリストから、恒例4部門のノミネート作を以下に掲載する。

長編部門 Bester deutscher Roman:

Bernhard Hennen / Die Chroniken von Azuhr: Die weiße Königin
    / アズール年代記:白い女王
Mira Valentin / Die Flammen von Enyador / エンヤドルの炎
Bianca Iosivoni / Sturmtochter: Für immer verboten / 嵐の娘:永遠に禁じられ
Mary Cronos / Houston Hall: Schatten der Vergangenheit / ヒューストン・ホール:過去の影
Nicole Böhm / Das Vermächtnis der Grimms – Wer hat Angst vorm bösen Wolf
    / グリムの遺産――悪い狼を怖れるのは誰?

ミラ・ヴァレンティンの『エンヤドルの炎』は全4巻のハイファンタジー・サーガの3巻目。
エルブとドラゴンとデーモンが相争うエンヤドルでは、人間はエルブの奴隷として対ドラゴンの戦争に使い潰されていた。しかし、ひとりの孤児トリスタンがその境遇にあらがったことが、ある太古の預言にまつわる事件を呼びさまし……云々で、四種族の和平がなったあたりで、北方から新たな闇の勢力があらわれて、というのが本作みたい。最終巻『エンヤドルの遺産』では、勢力のバランスが崩れ、トリスタンとかつての旅の仲間が魔法使いや妖精女王の決戦兵器として戦う事態に。大団円はあるのか……?

ベルンハルト・ヘンネンのアズール年代記は第一作の『呪われし者』が3月にセラフ賞を獲得しているが、こちら『白い女王』は二作目。完結編(?)の『夢見る戦士』は今月末発売予定。 前作で父の後を継いで大司祭になることを厭い、冒険(自分探し)の旅に出たミラン。今回の彼は、キリア島における都市連合と剣の森の侯爵領とのあいだの紛争にまきこまれていた。都市連合の軍事力に圧倒される森の人々は、危機迫るとき再来するという〈白の女王〉の伝説にすがるばかり。相争うどちらにも大義はないと悩むミランだが、島にはさらなる危機が訪れていた。寓話めいた魔法生物たちが、どこからともなくあらわれて――。
ヘンネンは、ローダン作家ロベルト・コーヴスと共著のフィレッソン・サーガ(現在7巻、継続中)が、昨年ファンタスティーク大賞のシリーズ部門を受賞している。
さらに余談だが、ヘンネンは異名を〈エルフ・マスター(Der Herr der Elfen)〉という。出世作がエルフ・サイクルと呼ばれる一連のシリーズで、『エルフ』『エルフの冬』『エルフの光』『エルフの歌』『エルフの女王』『エルフの騎手』『竜のエルフ』『エルフの力』……騎手やら竜やらはそれぞれ複数冊に別れていまのとこ全13冊、プラス電子ブックのみの短編集もある。……ロードス島戦記の新刊とか握りしめて突貫したら仲良くなれるやもしれない(笑)

ビアンカ・イオシヴォニの『嵐の娘:永遠に禁じられ』はスコットランドが舞台。17歳の少女アヴァは、夜ごと母の敵であるクリーチャー、〈エレメント〉を狩っていた。彼女を支えるのは謎に満ちた若者ランス。ところがあるとき、アヴァは自分が水をあやつる能力があることに気づく。彼女はスコットランドを裏で支配する、エレメントの力を駆使する五氏族の一員だったのだ。だが、水の氏族マクレオズをはじめ、五氏族は互いに反目しあっていて……。
あれだね、母親が素性を語っていない時点で、出生の秘密とかありそうな設定(笑) すでに2巻『永遠に失われ』は刊行済み、3巻『永遠に結ばれて』がこの10月に発売予定。

マリー・クロノスの『ヒューストン・ホール:過去の影』は、楽天の分類によると(笑)、“ ロマンス, ロマンチック SF&ファンタジー”らしい。ヒューストン・ホールというから、てっきりアメリカのビアホールかと思ったら、英国スコットランド地方のヒューストン村であった。
エディンバラで少壮の弁護士として活躍していたアンソニーは、ある凶悪な事件によって両親と愛する妹を失い、人が変わったようになってしまう。村人たちは、あの人は呪われなすったんだと噂する始末。家人を残らずクビにして、それはそれで困った状態のところにあらわれたのが、マリー・スミス。家政婦として彼女を雇ったアンソニーは、少しずつ、人間らしい暮らしとこころを取り戻していくのだが……。
マリーさん、アンソニーの家族を襲った事件――というか、モンスターの正体を知っているどころか、200年にわたってそれらと戦っているんだとか(笑) そして、死んだはずの妹の姿をとって、アンソニーに危機が迫る……。

ニコレ・ベームの『グリムの遺産:悪い狼を怖れるのは誰?』はホラーっぽいSF? 主人公クリスティン・コリンズは、兄によってとある特殊部隊に招かれる。彼女たちが狩るのは〈グリム〉――グリム兄弟の童話を通して、読んだものに呪いをかける、狼めいた姿の怪物である。童話の世界へとダイブしたクリスは、次第に現実と幻想の区別がつかなくなっていく……。
うん、鉢かつぎでぶん殴るんだ(笑) 後編にあたる『グリムの遺産:鏡よ鏡』が、10月に刊行予定。

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

Jenny Wood / Totenpfade / 死者の道 (Kemet: Die Götter Ägyptens 収録)
Markus Heitkamp / Housten hat Probleme / ヒューストン異状あり (The P-Files 収録)
T. S. Orgel / Schicht im Schacht / シャフトのシフト (Die Hilfskräfte 収録)
Janna Ruth / Unter der Erde / 地下にて (Fiction x Science 収録)
Swantje Oppermann / Das letzte Erwachen / 最後の目覚め (Fiction x Science 収録)

ジェニー・ウッドの「死者の道」は、古いエジプトの神々を題材にとったアンソロジー『ケメト』に収録されたダーク・ファンタジー。女性の惨殺死体の現場検証からストーリーははじまる。検視医ヤニ・マフェド――それが、いまの彼の身分。かつて偉大なファラオたちの時代、彼はナイルのほとりで神と崇められていた。信仰がすたれ、忘れ去られた現在、彼は人間たちのあいだをさまよい、いまなお「死」に携わっている。死せるものの魂を慰め、冥府への道行きを指し示してやり……。
事件の背後に、彼と同様、超自然の存在をかぎつけるマフェド。捜査チームのリーダー、警部補の甥っ子のボンボン刑事が(彼なりにマフェドの身を心配して)クビをつっこんできたので、首根っこつかんでニューヨークの闇へひとっとび(笑) 最近なんで自分のチームの検挙率があがったのかわかってないボンボンとのやりとりが案外愉しい一篇。

今回は、Kindle版で読めたのが上記のみなので、ちょっと残念。
ハイトカンプの「ヒューストン異状あり」が収録されたASファンタスティーク社のアンソロジー『Pファイル』、PはフェニックスのP(不死鳥文書)らしい。他に一角獣の『Uファイル』や、近刊には『Dファイル』(悪魔かな?)も予定されているらしい。
パコ書房のアンソロジー『フィクション×サイエンス』は、「急速に機械と人間の融合が進む現在。PCを使えない人がまだいる一方で、インターネットとスマホのない世界を知らない世代も増えています。彼らの孫の時代にはどうなっているでしょう。(中略)フィクション×サイエンスは、人と機械の融合によって可能となる、希望あふれる未来のヴィジョンです」だとか。日本の女戦士でも販売してるんだけど、ハードカヴァーで5000円↑なのでちょっと……(汗)

国際部門 Bester internationaler Roman:

Stephen King / Der Outsider / The Outsider / アウトサイダー
Holly Black / Elfenkrone / Tithe: A Modern Faerie Tale / 十分の一税
Neal Shustermann / Scythe: Der Zorn der Gerechten / Thunderhead / サンダーヘッド
Siri Petterson / Die Rabenringe – Odinskind / Ravneringene: Odinsbarn
    / 鴉の指輪:オーディンの子
Tomi Adeyemi / Children of Blood and Bone: Goldener Zorn / Children of Blood and Bone
    / オリシャ戦記:血と骨の子

ホリー・ブラックは、邦訳がジュブナイル向けの『スパイダーウィック家の謎』シリーズしか確認できなかった。ノミネート作『十分の一税』はモダン・フェアリーテール三部作の第1巻で、過去『十分の一税』『エルフの娘』に分冊して独訳されたものの合本みたい。2巻Ironsideが『エルフの女王』、3巻Valiantが『エルフの心』としてそれぞれ訳されているので、原題と全然ちがうのもやむなしか。ヘンネンといい、ドイツ人どんだけエルフ好きなの(笑)

ニール・シャスターマンの〈サイズの聖櫃〉シリーズは、遥かな未来、人工知能〈サンダーヘッド〉に管理される自然死が排除された世界で、人の生死を決める〈サイズ(死神の大鎌)〉に登用された若者たちを描くヤングアダルト……みたい。ノミネート作は第2巻。近刊に『通行税』が予定されているが、これ、『六文銭』だったりするのかにゃあ。

シーリ・ペテルセンはノルウェーの作家、コミックライター。『鴉の指輪』は北欧神話をベースにした三部作で、ノミネートされたのは第一作。Wikipediaを見ると、北欧、東欧を中心に10ヵ国語に翻訳されている……あ、英語が抜けてるから11ヵ国語か。本国では映画化の権利まで売れてるそうだから、ベストセラーなのだ。

トミ・アデイェミはナイジェリア系アメリカ人の作家。ヤングアダルト系のアンドレ・ノートン賞とロードスター賞を獲得した本書『オリシャ戦記 血と骨の子』は邦訳も出ている(静山社)。本国では三部作の二巻目『美徳と復讐の子』が12月に刊行予定。

新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:

M. D. Hirt / Bloody Mary Me: Blut ist dicker als Whiskey
    / ブラッディ・マリー・ミー:血は酒よりも濃し
Anca Sturm / Der Welten-Express / 世界急行
Leni Wembach / Ein Königreich aus Feuer und Eis / 火と氷の王国
Nicole Alfa / Die Prinzessin der Elfen: Bedrohliche Liebe / エルフの王女:危険な愛
Christine Weber / Der fünfte Magier: Schneeweiß / 五番目の魔法使い:雪白

ニコル・アルファの『エルフの王女』は全5巻?の1巻目。16歳のルーシーは自宅で何者かに襲われて、気がつくと見も知らぬ世界に転移していた。え、ここがわたしのホントウの故郷? 行方知れずになったエルフ王の娘? ちょっと待ってよ、わたしフツーの女の子なんだけど。それより、あのダーンって人、なんでわたしの行く先々で待ち構えてるの……?
えーと、表紙といい、タイトルといい、あらすじといい、どうにも“異世界ハーレクイン”にしか見えないんですが。

クリスティーネ・ヴェーバーの『五番目の魔法使い:雪白』は、ドラゴンを使い魔にした四人の魔法使いのあいだの争いの後、二派に分かれた世界を舞台に、流れ者の少年ソラクを主人公として物語られるファンタジー。逗留する村を災いが襲ったとき、ソラクは白と黒だけからなる異界に転移する。災いを招いた自責の念から、世界を覆う虚構の網をときほぐそうと努力するが……。続編『五番目の魔法使い:漆黒』がすでに発売中。

……こんな感じかな。
『BLは魔法!』は選に漏れたらしい(笑)
あと、おもしろいところでは、翻訳部門にこんなのが:

『ta’puq mach クリンゴン語で読む名作「星の王子さま」』。翻訳www

■ファンタスティーク大賞公式サイト:deutscher-phantastik-preis.de

ドイツSF大賞2019受賞作発表

9月1日付けのDSFP公式サイトにて、本年のドイツSF大賞受賞作が公表された。
既報のとおり、授賞式は11月2日にドレスデンで開催されるペンタコン(SFCDの年次大会)にて執り行われる。

受賞作は以下のとおり:

長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:

1. Tom Hillenbrand / Hologrammatica / ホログラマティカ

 2. Andreas Eschbach / NSA / NSA – 国家安全保障局
 3. Julia von Loucadou / Die Hochhausspringerin / 摩天楼ジャンパー
 4. Andreas Brandhorst / Die Tiefe der Zeit / 時の深淵
 5. Dirk van den Boom / Canopus / カノープス(冷たい戦争1)
 6. Dirk van den Boom / Varianz / 分散 (《サイズ》の旅路2)
 7. Robert Corvus / Das Imago-Projekt / イマーゴ計画
 8. Sebastian Schaefer / Der letzte Kolonist / 最後の植民者
 9. Willi Hetze / Die Schwärmer / 群人
10. Annika Scheffel / Hier ist es schön / 美しきこの世界
11. Christian Torkler / Der Platz an der Sonne / 太陽に近い場所
12. Ben Calvin Hary / Koshkin und die Kommunisten aus dem Kosmos
    / コシュキンと宇宙からきた共産主義者たち

受賞作『ホログラマティカ』の作者トム・ヒレンブラントは、『ドローンランド』(河出書房、訳者は元ローダン翻訳チームの赤坂桃子氏)で本邦にも紹介済み。元々は経済ジャーナリストで、主としてシュピーゲル・オンラインに寄稿していた。2011年からフリーの作家となり、処女作『悪魔の果実』を発表。ルクセンブルク人のコック、ザビエル・キーファーを主人公としたこのミステリ・シリーズは現在6巻まで継続中。2014年に刊行された『ドローンランド』はSF分野ではクルト・ラスヴィッツ賞を、ミステリ分野ではフリードリヒ・グラウザー賞を獲得するベストセラーとなった。
本作『ホログラマティカ』は21世紀末を舞台とする近未来スリラー。主人公であるロンドン出身のガラハド・シングは会計官(Quästor)とあるが、なぜか仕事は失踪人の捜索だ(笑) 気象の変動によって大規模な人口の流動が生じ、なおかつ技術の進歩が生み出したホロネットやマインド・アップローディングによって素性をいつわることが容易となり、行方知れずになる人間にはことかかない。今回の捜索対象はジュリエット・ペロッテ、人間を別の肉体へと載せ替えることすら可能とするデジタル脳〈コギト〉の暗号化を担当していたコンピュータのエキスパートである。彼女を“誘拐”したとおぼしきプログラマーの足跡をたどるにつれ、シングは、相手が“人間ではないのでは”という疑惑にとらわれていく……。
出版社の紹介記事には“高度に発達した人工知能が世界の問題を解決しうるようになったとき、人間はその制御を手ばなせるのか”とある。『ドローンランド』は、温暖化による海面上昇で水没しかかった近未来のブリュッセルを舞台にしたことを除けば、ごくまっとうな(という表現が妥当かはともかく)犯罪小説だったが、こちらはどうだろうか。

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

1. Thorsten Küper / Confinement / 隔離

 2. Andreas G. Meyer / Kill! / 殺れ!
 3. Tetiana Trofusha / Coming Home / カミング・ホーム
 4. Nadja Neufeldt / Im Regen / 雨の中
 5. Galax Acheronian / Trolltrupp / 豚部隊
 6. C. M. Dyrnberg / Intervention / 介入
 7. Nele Sickel / Muse 5.0 / 美神ミューズ5.0
 8. Uwe Post / Kurz vor Pi / パイの少し前
 9. Jutta Siebert / Die Schwimmerin / 泳ぐ女
10. Rico Gehrke / Rauschen / ノイズ
11. Tobias Reckermann / Der unbekannte Planet / 未知の惑星

トルステン・キューパーの「隔離」は、ラスヴィッツ賞に続く栄冠である。いまなんとなしに、ごやてんで検索したら、わりと頻繁に短編部門でノミネートされているのだった。
内容については、ラスヴィッツ受賞作の記事を参照いただきたい。あ、あとdinfoにもネタ提供したっけか。

■ドイツSF大賞公式サイト:www.dsfp.de