新作家:オリヴァー・フレーリッヒ

7月15日付けの公式サイト発表によると、2768話「不幸の惑星(Der Unglücksplanet)」より、オリヴァー・フレーリッヒ(Oliver Fröhlich)がレギュラーとしてローダン作家チームに加わるとのこと。

オリヴァー・フレーリッヒは1967年、バイエルン州オーバーフランケン県の独立市ホーフ生まれ。現在も当地で暮らしている。本職は公務員(税務署職員か、はたまた財務官僚か)のようだ。
基礎学校(おおむね、日本の小学校低~中学年に相当)時代の教師から、「夢見がちで、冒険小説への傾倒が見受けられる」と評価されたそうで、長じてSF/ファンタジー作家となったのも驚くにはあたらない……とは、ローダン公式サイトの作家紹介の弁。
幼年期に夢中になったのは、『スリー・インヴェスティゲイターズ』(アメリカのジュブナイル推理小説シリーズ)や『ジョン・シンクレア』シリーズのようなホラー、そしてスタートレックを主とするSFであったらしい。ローダン読者になったのは、わりと後年になってからみたい(笑)
仕事の傍ら、短編を書いたり、詩をものしたりしていたようだが、そのへんは未公開。

作家業のスタートは、Zauberspiegel社のオンライン・ホラー『Der Hüter』から。全14話中4話(うち1話は共著)を担当している。
2008年にBastei社のホラー・シリーズ『Professor Zamorra』への参加を持ちかけられ、2010からは同社のSFシリーズ『Maddrax』、Zaubermond社の『Dorian Hunter』シリーズ(新生Dämonenkiller)の作家チームにもそれぞれ参加している。

ローダン関連への執筆は、FanPro版アトランの『星の欠片編1 溶岩流ダイヴァー』が初(2010年末)。
2012年にフランク・ボルシュからの誘いでローダンNEOに参加、現在までに3編を担当している。
そしてローダン・ヘフト本編では、2730話『ヴィーナス・チーム』でゲスト参戦、アトピック法廷の実質的支配下に置かれた銀河系での、テラ陸戦部隊特殊チームの活躍を描いた。

……今回の報をうけて確認してみたら、意外と書いてたんだな、ローダン(^^;
個人的には、ザモラのチーム作家というイメージが強い。ホラー畑というか、ファンタスティーク系というか。上記アトランやらNEOやら読んでないので、SF方面でどれだけできるヒトなのかも、まだ予想がつかない。
現状、フレーリッヒがローダンに新風を呼び込むことを期待するばかりである。

■公式News:Oliver Fröhlich steigt ins PERRY RHODAN-Autorenteam ein
■公式作家紹介:Oliver Fröhlich
■Perrypedia:Oliver Fröhlich
■Maddraxion:Oliver Fröhlich

エルマー、LKS担当を降板

すでに公式サイトでは2月の時点で告知済みであるが、ローダン作家のアルント・エルマー(Arndt Ellmer)が、“読者とのコンタクト・ページ(LKS)”の担当、通称〈LKSおじさん(LKS-Onkel)〉を降板するとのこと。時期はいまのとこ未定。

エルマーは本名Wolfgang Kehl。1954年2月26日生まれであるから、今年ちょうど還暦を迎えたばかり。
1989年に当時の草案作家ヴルチェクから読者ページを引き継いで、かれこれ四半世紀。ここ数年、そろそろ若手にバトンタッチを……と考えつつ、私事に取り紛れて伸ばし伸ばしになっていたそうな。
詳細については、2749話(今週末発売である^^;)のLKSにて発表、とのこと。

しかし、エルマーがなあ……と、つい時の流れに想いを馳せてしまう。
エルマーがレギュラー作家として参戦したのは1983年、1155話『目ざめさせる者(Der Erwecker)』から。その名前を、まだ原書読みではなかったわたしがはじめて目にしたのは、ローダン研究会MDI(当時)刊行の『ペリー・ローダン・ノート 1984年版』……タイトル・リストの最終ページだった。まだ海のものとも山のものともつかない新人さんとして、である。
その後、かれは実に30年以上、つねに1割以上の巻を担当し続け、今日にいたる。一時は“穴埋め作家”なんて言われたりもしたが、これはこれで、大変なことである。同時期に加入したツィークラーも鬼籍に入り、ちょい後に参加したフェルトホフも夭折し、先輩作家もひとり欠け、ふたり欠け……気づけばエルマーは作家チーム最古参となっていた。
(次にチーム歴の長いのが、1752話からのヘーンゼルである)

かく言うわたしも、『タルカンが呼ぶ!』あたりのあらすじをまとめながら、「エルマーの巻だと話が進まないんですよね~」とか、マガンにボヤいていた記憶がある(すまん)
そんなエルマーをちょっと見直したのが、ストーカー(ソト・タル・ケル)最後のエピソード前後編。「永遠の生命!(Unsterblichkeit!)」の叫びとともに、惑星エトゥスタルの植物相に呑み込まれて消えた最後のソト、かれの700年にわたる苦闘の歴史は圧巻だった。

他にもエルマーは、ヴルチェクが草案作家だった時代の、いわゆる〈草案ファクトリー〉の一員としてサポート体制を担ったとか、シリーズにおいて果たした役割は大きい。
去年あたり、ついに担当話が2話と、1割を切ったのは、上述の私事のためか、はたまた年齢からくる衰えか。でも、もうちょっと頑張ってねエルマー先生。まだまだ、若手ばっかの草案チームとか心配なんじゃよ……。

■公式News:Arndt Ellmer gibt die Leserkontaktseite ab (2/21)
■公式Logbuch:60 Jahre Arndt Ellmer – Der Mann aus dem Hotzenwald

2019/06/19追記:
結局エルマーは、2014年2月発売の2740話を最後に、現在まで新作の執筆はない。作家会議には出てるみたいなんだけどな……。
2750話からの後任はMichelle Stern。LKSおばちゃん(Tante)とは言いづらいwww

ホルスト・ホフマン、ダーク・スター受賞

すでに昨年の話で恐縮だが、2013年11月2日、ケルンのミュールハイム・シティホールに於いて開催された第74回インターコミック(インターナショナル・コミックメッセ・ケルン)で、元ローダン作家のホルスト・ホフマンがダーク・スター賞を贈られたとのこと。

インターコミックは(この場合)、古都ケルンで年2回開催されているコミック見本市……になるのかな。5月と11月のようだが、公式サイトに過去のデータが見あたらなかったので、正確なところは未詳。
ダーク・スター賞(der DARK STAR)とは、小説分野における長年の創作活動に対して、近年与えられるようになった賞らしい。なんでダークなのかは……コミック見本市なのに小説だから、とか?(これまた未詳)
#暗黒星雲賞みたいなん?(笑)

過去の受賞者は、Jason Dark(ジョン・シンクレア・シリーズの作者)、Earl Warren(デーモンキラーにも参加した、30近いペンネームの持ち主)、Christian Montillon(ローダン作家、草案チームの一方)、Achim Mehnert(ローダン関連や、レン・ダルク、ザモラ等多数シリーズに参加)、Eckhard Schwettman(1996-2001までローダン・シリーズのマーケティング等を担当)。

なお、2014年5月3日開催の第75回大会にはゲスト参加することも報じられている。
2009年にローダン・チームからの引退を表明して以降、これといった活動が聞こえてこなかったのもあって、体調不良等々心配していたのだが、これは明るいニュースだった。

■Achims Blog:Horst Hoffmann wurde auf der Intercomic geehrt
■インターコミック公式サイト:Intercomic Comicmesse Köln

新作家、ミシェル・シュテルン

去る者あれば、また来る者あり。
9月30日付け公式ニュースによると、現在ローダンNEO等に参加している女性作家、ミシェル・シュテルン(Michelle Stern)が、2727話「重力の奈落(Am Gravo-Abgrund)」よりローダン・ヘフト本編のチーム作家に加わるとのこと。

シュテルンは本名Stefanie Jahnke(旧姓Rafflenbeul)、1978年フランクフルト生まれ。
両親の離婚(彼女は父方に、弟は母方にひきとられた)の影響か、幼い頃は牧師になりたかったそうだ。その後、ドイツ文法、心理学、美術史を学び、まだ学生のうちから、新聞やインターネット等で短編を発表するようになる。修了論文の題材は、アメリカのTVドラマ『バフィー~恋する十字架~』で、この頃には作家になろうと決意していたとか。
ローダン作家でもあるスーザン・シュバーツが講師を務めたワークショップに参加したつてでSFシリーズ『サン・クエスト』で執筆したり、第3回ウィリアム・フォルツ賞で次席を獲得したりと、地味にローダン関係の縁が育っている。

Bastei社のSFシリーズ『マッドラックス』や『シュテルネンファウスト』、VPMのファンタジー・シリーズ『エルフの時』に参加した後、アトランのポケットブック(星の欠片編3巻『秘密計画キント・センター』)からローダン関連も執筆を開始。Extra13巻『分割された不死』の後、ローダンNEOに18巻『初代トルト』より参加、好評を博した。NEO第5部では完結編である48巻『帝国の栄光』もまかされている。

長編・短編ともいけて、SF、ファンタジー、スリラー(別ペンネームでポルノも書いているとか)とジャンルも多彩、とくると、いかにも往年のヘフト作家的なイメージである。ただ、ヘッセン州の文学賞もとったことがあるそうなので、その筆力はあなどれない。
NEOを読んでいないので、個人的に「おもしろい」作家かどうかの判断もまだこれからではあるが、新世代の作家のひとりとして、シリーズに新たな活力を吹きこんでほしいものだ。

あと、関係ないけど、ビブリオグラフィーをチラ見していると、『トキオの魔術』『トーキョーの罪』『トーキョー・フィーバー』……えと、東京、好き?(笑)

■公式NEWS:Michelle Stern ist die neue PERRY RHODAN-Teamautorin
■本人のサイト:www.stefanie-rafflenbeul.de
■Perrypedia:Michelle Stern

訃報:H・G・エーヴェルス

H・G・エーヴェルス (H. G. Ewers)
1930.01.01 – 2013.09.19

9月23日付け公式サイトに掲載されたニュースによると、元ローダン作家のH・G・エーヴェルスが、去る9月19日、急性心不全のため死去したとのこと。享年83歳。

本名ホルスト・ゲールマン(Horst Gehrmann)。1930年、現ザクセン=アンハルト州のヴァイセンフェルス(1945年から旧東ドイツ領)に生まれる。商業系の教育をうけ、当初、自動車ディーラーに勤務。薬学の勉強をしたり、ギムナジウムの講師を勤めたりしたが、1961年、ベルリンの壁建設の直前に西ドイツに亡命。すでに翌1962年にはエーヴェルス名義の作品が発表されているという。70年代以降、バーデン=ヴュルテンベルク州ヴェイル・アム・マインに居をかまえ、そこが終の住処となった。

ローダン・シリーズとの関係は、1964年刊行の惑星小説5巻『災いだらけの遠征隊(Die verhängnisvolle Expedition)』から。翌1965年にはヘフト198話「最後の砦」からレギュラー作家として執筆を開始。以後、1726話をもってレギュラー引退を表明するまで、ほぼ1割~2割を担当するペースで執筆を継続した。ヘフト最終担当話はゲスト作家として執筆した2110話「ヴァッサーマルの守護霊」。最後の“参加”は、2012年5月刊行のヘフト2646話に掲載された、連作短編Stellarisの29話であった。

かなり多作な人で、ローダン・ヘフトの総執筆話数は歴代2位の251話。(1位はマールの253話)
エーヴェルスがフォルツを抜いて暫定1位になったのはわたしが原書読みになってまもなくのこと(1300話直前)で、そのせいか、なんとなく最多執筆作家~みたいなイメージがあったのだが、実は1350話あたりで、すでにマールに抜かれていたのだった。そうねー、あの頃マールも草案コンビの一翼としてやたら書きまくってたからねー(^^;

他に、旧アトラン・ヘフトで93話、惑星小説では60巻、その他記念号等に短編が8本。ローダン関連以外でも、『宇宙船オライオン』やファンタジー・ヘフト『ドラゴン』等に参加していたり、Commander Scott(キャプテン・ケネディのドイツ語版)の“ドイツ語オリジナル”を2編(グレゴリィ・カーン名義)書いてたりと、けっこうな量がある。

そしてまた、エーヴェルスといえば、「プロット無視して大活躍のスーパーキャラ」だろう。
オマール・ホーク、テングリ・レトス、パトゥリ・ロコシャン、いまのハヤカワ版のあたりだとロルヴィク/ア・ハイヌの凸凹コンビや宇宙船長ガイ・ネルソンと枚挙にいとまがない。わたしが原書を読みはじめた頃には、シャギィことアストラル漁師ギッフィ・マラウダーと“カッツェンカットの妹”バス=テトのイルーナが、エレメントの支配者の拠点を(それと知らぬまま)ぼっこんぼっこんにしたあげく、アトランたちの冒険する〈深淵の地〉にまであらわれて大暴走していたものだ(この暴走はタルカン宇宙にまで続くw) 。アトラン・ヘフトにおいても、宇宙探偵アルゴンキン・ヤタや“モジュール・マン”ゴマン・ラルゴなど、時空を超えて大暴れするキャラクターには、実にことかかない。それら「草案作家の恐怖」とまで言われたキャラクターの多くは、惑星小説に小シリーズを持っていたりして、どうやらドイツの読者には熱狂的に迎えられたらしい。
ただ、後期には(おそらく現編集長クラウス・フリックから)「勝手なキャラ禁止令」が出されたらしく、作風がおとなしくなってしまったのは残念である。サイノと火星人コンビは個人的にはイマイチ好きになりきれなかったのだが、ああいった暴走キャラとかエピソードから、おもしろい展開が生まれたりしていたのはまちがいないのだ。かれの引退後、シリーズのストーリーからそういった「振れ幅」が消えてしまったことは実に残念。

エーヴェルスが去り、現在のハヤカワ版あたりを執筆している作家は、すべて鬼籍に入ってしまった。とゆーか、1000話以前にチーム入りした経験のある作家で、存命なのはコンラッド・シェパードだけである。50年以上つづいているシリーズであるからには、やむをえないことではあるのだろうが……。

さよなら、エーヴェルス。草案作家でなくてよかったと思うくらい、楽しかったよ。

■公式サイト:H. G. Ewers ist verstorben
■Perrypedia:H. G. Ewers

訃報:マリアンネ・シドウ

マリアンネ・シドウ (Marianne Sydow)
1944.07.24 – 2013.06.02

6月29日付け Phantastik-News 他の情報によると、6月2日、元ローダン作家マリアンネ・シドウ(本名:Marianne Ehrig)が急病のため、ブランデンブルク州ポツダム=ミッテルマルク郡クロスターレーニンのホスピスで、家族に囲まれ息をひきとったとのこと。

1944年、ブランデンブルク州アルトデーベルン生。そのあたりは戦後ソ連占領→東独建国一直線のあたりなので、西側にあたる地区まで避難していたのかもしれない。
母親が育児の息抜きの際、本棚の前のクッションに座らされたマリアンネは、適当な本をぱらぱらめくりはじめ、5歳の頃にはドイツ文字(ひげ文字)まで読めるように。いわゆる「未来小説」との出会いは11歳で、13歳のときには物書きになることを宣言して、母親に神経科まで連れていかれたこともあるとか。17歳の頃から出版社に投稿をはじめるが、なかなか結果は出ない。電話交換手や販売員の仕事のかたわら、執筆を続けていたようだ。

1967年、22歳のとき、はじめて売れた作品『蒸留管生まれの生物(Das Wesen aus der Retorte)』ともう1作がUtopia-Kleinbandから刊行。ただし、女性名はまずいということで Garry McDunn のペンネームが用いられた。
1972年、長男ラルフ誕生。正確な日取は不明だが、この前後に結婚して旧姓(Bischoff)からシドウ姓になっているはず。そして、育児にかかるおカネで困窮したこともあって、売り込みと執筆を再開。Zauberkreis-SF で1976年までに13篇が刊行されている。

そして、もっと数をこなしたい(稼ぎたい)というシドウと、女性描写が平板だという批判をどうにかしたいパベル社の原稿審査係クルト・ベルンハルトの意向が一致した結果、アトラン・ヘフト、ローダン・ヘフトへの参加が決定。アトラン・ヘフトは1975年刊行の178話から795話まで、ローダン・ヘフトは1976年刊行の795話から1992年に1588話をもってチームを脱退するまで続いた。担当話数はアトラン60篇、ローダン61篇。
また、アトラン・ヘフトでは、暗黒銀河サイクル後半、《ソル》の冒険サイクルの序盤、コスモクラートの委託を受けてサイクル中盤と、数度にわたり草案作家を担当している。

脱退の理由については、ベルンハルトの後継である原稿審査係ギュンター・M・シェルヴォカートとの確執であると、本人のサイトで書かれている。こっちに相談もなく内容いじられちゃやってられないわ――ということらしいが、理解者もいた一方、相当批判もされたようで、それ以降、独自の作品が(Webを除き)発表されていないのは、家庭内の問題もあったようだが、だいぶこたえたのだろう。関心がおありの向きは、後述のシドウのサイトをご覧いただきたい。

1980年に、SFファンでコレクターとしても名高いハインツ=ユルゲン・エーリヒ(Heinz-Jürgen Ehrig, 1942-2003)と再婚。彼が幼少時から集めてきた10数万点の書籍・雑誌・コミック・カタログ・原稿・写真・映像・録音等々、18世紀にまで遡れるSF関連の資料は、ブランデンブルク州ブッカウタルの《ヴィラ・ギャラクティカ》に収蔵されている、
2003年にハインツが急死した後、彼なしでは資料の価値が十全に発揮できないとの危惧も持たれたようだが、シドウは長男ラルフとともに地道に資料の目録化を進めていた。この一大事業はまだ完成していないが、ラルフが引き継ぐ意志を表明している。

亡くなる直前のシドウは、おそらくヴィラ・ギャラクティカの維持資金確保のためもあったろうが、1908年頃に刊行されたシリーズ『空中海賊と自在飛行船(Der Luftpirat und sein lenkbares Luftschiff)』のリプリント版に携わっていたらしい。
「読むだけでなく、書かずにはいられなかった」というシドウ。その最後の作品は、2004年から細々とWebで書き続けられた『小川氏の真珠(Ogawas Perlen)』であるが、これも未完のままとなった。

個人的には、シドウというとローダン・ヘフト1500話代のリング人サイクルを思い出す。主要キャラのひとり、リング人女性の調停者ドリナ・ヴァッサーのキャラクターは、まちがいなくシドウがいなければ作りえなかっただろう。
ドイツSFにおける女性不遇の時代に、彼女がひとつの役割をはたしたことは疑う余地がない。そして、彼女が書き続けられなかったことこそが、90年代にはまだ、不遇の時代が終わってはいなかったことを証明していたのかもしれない。現在は、はたしてどうだろうか。

■Villa Galactica: Marianne Sydow Startseite (Ehrig夫妻のサイト)
■Uschis Blog:Marianne Sydow ist gestorben
  (元ローダン作家Susan Schwartz/Uschi Zietsch のブログ)
■Wikipedia: Marianne Sydow
■Perrypedia: Marianne Sydow

草案作家(チーム)交代

10月30日付けの公式サイトによると、2700話からローダン・ヘフトの草案作家が交代するとのこと。

新草案チームは、クリスティアン・モンティロンとヴィム・ファンデマーン。

現草案担当のウーヴェ・アントンは、別に脱退とか、健康を害したというわけではない様子。「もっと自分の担当話に集中したい」との談話が掲載されている。
ぶっちゃけ、ストーリー不評による更迭とみて、そんなに間違いないと思われる。
個人的に、アントンはへぼ草案なんか書いてるより、もっと山場の担当を増やしてほしいと思っていたので、その点は願ったりかなったり、なのだが。

モンティロンとファンデマーン両名は、最近のヘフト及びローダン・ネオにおいて、たぶん今いちばん人気のある作家たちである。
過去に、ミハエル・マルクス・ターナーと3人で草案・執筆を担当したハイネ・ペーパーバック版『赤い宇宙の帝国』みたいな好評を博した例も存在する。

でもなあ……アレたしかにおもしろかったけど……しっちゃかめっちゃかなストーリーと、まるで回収してない伏線てんこもりだったんだよなぁ……。
だいじょうぶかなぁ……?

訃報:レイ・ブラッドベリ

レイ・ブラッドベリ (Ray Douglas Bradbury)
1920.08.22 – 2012.06.05

すでに各種メディアで既報だが、アメリカの作家・詩人であるレイ・ブラッドベリが6月5日、ロサンゼルスで死去したとのこと。享年91歳。

『火星年代記』、『刺青の男』、『華氏451度』等、代表作は数知れず。その魅力も類挙に暇がないだろう。
個人的には、短編作家として『ウは宇宙船のウ』や『太陽の黄金の林檎』等のイメージが強いが、そのへんは、やはりブラッドベリ原体験が、萩尾望都のコミカライズだからという面もあるように思われる。まず連想するのが萩尾版「霧笛」なのだ。

正直、近年では著作を手にとることも少なくなっていた。それでも、書店ではコンスタントに新刊が並びつづけ、創作意欲に衰えのないことには、いつも驚嘆していたものである。
偉大な作家の冥福を祈るとともに、その名作の数々が、火星に人類がたどりつくその先までも、語り継がれんことを。

■Wikipedia:レイ・ブラッドベリ

訃報:クルト・ルイフ

クルト・ルイフ (Kurt Luif)
1942.05.14 – 2012.04.21

……そしてまた訃報である。ローダン編集部のブログやウィキペディア等によると、ウィーン在住の作家、クルト・ルイフが21日、長い闘病生活のすえ心不全のため死去したとのこと。享年69歳。

多くのペンネームをもつルイフだが、rlmdi.の熱心な読者の方々には、『デーモンキラー』のニール・ダヴェンポート(Neal Davenport)といえば、ああ、と頷かれる向きもあるだろう。ウィーン生まれウィーン育ちで、やはりオーストリア在住だった故エルンスト・ヴルチェクの盟友である。

1967年、最初に発表された小説がユートピア・ヘフト(SF叢書)中の『鎖につながれた人類』(Claus Hartmann名義)で、以後、様々なペンネームで、ヘフトや大衆紙上にて中篇150以上、短編200以上を発表している。ジャンルも、SF、ミステリ、ホラー、ファンタジー等、ヘフト作家にありがちだが多岐にわたる。
代表的なものは、やはりデーモンキラー及び、その後継であった『魔女の鉄槌』(ヴァンパイア・ホラー・ヘフト内シリーズ)、フレダーマウス・クリミナル(蝙蝠スリラー、とでも訳すのか)シリーズ等が挙げられる。それ以外にも、『コミサールX』や『ミュトール』などにもゲスト的に数編執筆していたりする。ローダン作家におけるPerrypediaの著作一覧のような便利なものが見あたらないので、全容を把握するのも一苦労である。

今回、特記しておきたいことは、クラウス・フリックのブログにあった、「70年代には、ローダンの日本におけるライセンス契約をとりもち、これは現在まで継続している」という一文。ここは、ありがとう、ルイフ! と言っておくべきだろう、シリーズの一読者としては。

■Wikipedia (独):Kurt Luif

訃報:ハンス・クナイフェル

ハンス・クナイフェル (Hans Kneifel)
1936.07.11 – 2012.03.07

サボっているうちに、こんな記事が連続して掲載されることになろうとは。しかも、3ヵ月前のフランシスの訃報で「ひとり気を吐いている」と書いた人物について。
公式その他の情報によると、去る3月7日夜半、ローダン作家古株のひとり、ハンス・クナイフェルが死去したとのこと。急死とあるが、病名等は未詳である。享年75歳。

クナイフェルは現在ポーランド領であるシレジア地方に生まれ(本名はJohannes Kneifel)、戦後オーバーバイエルンに移住。1948年以降ミュンヘン在住であった。パティシエ修行のかたわら、高校卒業資格を取得し、また56年には『ぼくらを呼ぶ星々(Uns riefen die Sterne)』で作家デビューを果たしている。65年に教育学の国家試験に合格、67年から教鞭をとっている(いつからフリーの作家かは不明)。
68年、352話「死の沈黙の惑星」でローダン作家チームに参加。以後メインライターのひとりとなり、2635話までにローダン・ヘフト98編を執筆している。
ただし、そのほとんどは1000話以前のもの。ハヤカワ版でクナイフェルが読めるのも、もうあとちょっとである。

ただ、クナイフェルの本領は、アトラン方面においてこそ発揮されていると言ってよかろう。アトラン・ヘフトでは133編を担当。惑星小説や、トラヴェルサン以降の新ヘフト、ポケットブック・シリーズを含めると200編以上の作品が残されている。特に、惑星小説内シリーズでもある《アトラン歴史冒険譚(Atlan-Zeitabenteuer)》は、アトランティス崩壊とともに地球に島流しになったアトランが、黎明期の人類に影響を与えながら帰郷の道を模索しつつ、歴史のなかを転々としていくもので、総60巻におよぶ。様々な時代の英雄・天才・美女が登場し、また数多くの人類史上の事件に関与しながら、アトランの冒険は1971年(作中)の海底ドーム避難まで物語られる。

ローダン以外にも、メーヴィヒの主だったヘフト・シリーズに多数参加している。ドラゴン、ミュトール(ファンタジー)、デーモンキラー(ホラー)、海狼(海洋/海賊)他、テラ・ヘフト系列に小シリーズをいくつも抱えている。
また、ローダン関連から遠ざかっていた2000年代には『ダリウス大帝』『女帝エカテリーナ』『我はフランシス・ドレーク』など、歴史小説を数多く発表している。本気か否か、一時期はノーベル文学賞を狙っていたともいう。

カピン・サイクルを実質4人で乗り切ったメンバーのひとりであるから、量産可能な作家なのは承知していたが、あらためて見ると、実に多作な人であった。ローダンで邦訳されたものなど、まさに氷山の一角である。
歴史冒険物の新作アトランXなど、ローダンやSFに回帰しつつあったことでもあり、その逝去は残念の一言につきる。ご冥福を祈りたい。

■公式News:HANNS KNEIFEL IST TOT (リンク切れ)
 愛称を本名ぽくしたものか、90年代頃からHans→Hannsと表記することアリ
■Perrypedia:Hans Kneifel
■Wikipedia(日本語):ハンス・クナイフェル