子育てとローダン

公式サイトのニュースで、ローダンの作り手2名の本格復帰が報じられた……と言っても、日本のファンにはまだまだ馴染みが薄いかもしれない。しかし、両名とも、シリーズ制作には欠かせない人材である。

まずは、ローダン編集部では失礼ながら古株になろう、ザビーネ・クロップ女史。旧姓ブレッツィンガーさんで、シリーズの登場人物ブレ・ツィンガのモデルにもなったお人。出産・育児休暇約2年を経て、本格的にシリーズの現場復帰の運びとなった。
もっとも、育児休暇中にもかかわらず、ATLANの新ヘフト・シリーズは同女史が実質総責任者だったように、ヴァイタリティーあふれる女性である。今後の活躍は、まちがいないところ。

もうひとりは、作家兼編集者のフランク・ボルシュ。昨夏、ご長男が誕生したことはここでも既報のとおり。やはりなりたてパパはいろいろ大変だったらしく、2253話以来、執筆がとだえていた。半年経って多少落ちついたのか、公式サイトでの「復活宣言」とあいなった。
前回の記事でも書いたとおり、わりと期待の作家さんである。睡眠時間が減って大変なのはわからないでもないが、これからもがんばってもらいたい。

■公式Logbuch: Ich steige wieder ein! (リンク切れ)
■公式Logbuch: Entscheidungen (リンク切れ)

ダールトン追悼:続報

シリーズ自体がすでにひとつの社会現象であるドイツ。ダールトン死去のニュースは、フランクフルター・アルゲマイネ、南ドイツ新聞やシュピーゲル誌等、各種大手媒体でも報じられた。
FAZのライターはどうやらSFファンらしく、少々切り口がちがっている。シェールの異名「手榴弾ヘルビー」は知っていたが、ダールトンに「大執政官クラーク」のふたつ名があったとは知らなかった。また、発行部数が最盛期で23万部、現在は13万部(いずれも初版)というのは、本国のファンの大半にとっても初めて聞く数字であったようだ。

フランクフルター・アルゲマイネ (リンク切れ)
南ドイツ新聞 (リンク切れ)
シュピーゲル

公式サイトによれば、1月21日の金曜日、ダールトンの亡骸はザルツブルクのマックスグラン地区の墓地に埋葬されたとのこと。
また、すでにMLで報じられているが、ミュンヘンのFC「エルンスト・エラートの会」により追悼サイトも立ちあげられた。

■Kondolenzbuch Clark Darlton (リンク切れ)

訃報:クラーク・ダールトン

すでに国内のメーリングリストでも話題にのぼっているが……ローダン・シリーズ創設者のひとり、クラーク・ダールトンことヴァルター・エルンスティングが昨日、オーストリアのザルツブルクにて亡くなったとのこと。享年84歳。ニュースソースは、子息のロベルト氏が、親交のあったファンに送ったメールであるそうだ。

Walter Ernsting (1920-2005):
1920年、ライン河畔の古都コブレンツに生まれる。1955年、『夜空のUFO (UFO am Nachthimmel)』で作家デビュー。この際、アメリカ風のペンネーム、クラーク・ダールトン(Clark Darlton)名義で持ち込んではじめて採用されたエピソードは、故松谷先生があとがきで紹介されているので周知のことだろう。その後、1961年にスタートしたローダン・シリーズには、故シェールとともに企画段階から携わっており、第2話「第三勢力」から1622話「喪失者」まで192編を執筆した。シリーズの人気キャラ、グッキーやエルンスト・エラートもダールトンによって生み出された。
作家としてのみならず、ファンダムでも重きをなしており、1955年のドイツSFクラブ(SFCD)創設の立役者のひとりでもある。

引退後は、寝たり起きたりをくりかえしていたようだ。それでもローダン編集部とは定期的にコンタクトをとっており、昨年9月にはクラウス・フリックがザルツブルクを訪れた記事が公式サイトに掲載されていた。公の場では、マインツで開催されたローダン・ヴェルトコン2000にヴィデオレターを送ってきたのが最後の機会となった。そのときの結びのことばは、「ではまた、いつか、どこかで(Bis irgendwann, irgendwo…)」だったそうだ。時空を超えるキャラクターたちの生みの親にふさわしい別れのことばといえよう。

■Phantastik-News: GESTORBEN: WALTER ERNSTING (リンク切れ)
■公式Logbuch: Besuch bei Clark Darlton (リンク切れ)

新作家:M.M.ターナー

PRS2265話『レーヴィスの冠』で、新作家が登場する。

ミハエル・マルクス・ターナー(Michael Marcus Thurner)は、1963年ウィーン生まれ、現在もウィーン在住。2003年2月発行のアトラン・ケンタウリ第3話『ハイパー嵐に囚われて』でプロ・デビュー。その後Zaubermond社から出た、やはりローダン作家のフーベルト・ヘーンゼルが草案作家をつとめる『冒険者たち』の新作や、Bastei社のSFヘフト『バッド・アース』などに参加。オブシディアン~大法官サイクルと続いているアトラン・ヘフトでも現在まで15話中4編を担当しているから、立派な主力作家である。
いまのところ正式なアナウンスがないので、今回の執筆がゲスト扱いなのか、それとも正式なチーム作家としてなのかは、まだ不明。

■公式作家紹介: Michael Marcus Thurner

12/19追記:最新のログブーフによると、2作目の草案もすでにターナーにわたっている模様。ひと安心。

■公式Logbuch: Ein neuer Autor stellt sich vor (リンク切れ)

そりゃないよ、ベーメルト

先週末、2251話『湖底の世界』が刊行された。
……が、この話の担当作家で、以前「ローダン・チームに新作家加入!」と報じたフランク・ベーメルト、実はゲスト作家扱いであったことが判明した。「次の担当予定はいまのところありません」と、無情にも公式サイトに掲載されている。
掲示板等の感想をみると評判は上々で、「フラーーーンク、もっと書いてよー!」と、読者の悲鳴がこだましている。
かえすがえすも、残念である。

■誤報:新作家、フランク・ベーメルト

そりゃないよ、ベーメルト

先週末、2251話『湖底の世界』が刊行された。
……が、この話の担当作家で、以前「ローダン・チームに新作家加入!」と報じたフランク・ベーメルト、実はゲスト作家扱いであったことが判明した。「次の担当予定はいまのところありません」と、無情にも公式サイトに掲載されている。
掲示板等の感想をみると評判は上々で、「フラーーーンク、もっと書いてよー!」と、読者の悲鳴がこだましている。
かえすがえすも、残念である。

■誤報:新作家、フランク・ベーメルト

訃報:トマス・ツィークラー

トマス・ツィークラー (Thomas Ziegler)
1956.12.18 – 2004.9.12

Phantastik.deによると、元ローダン草案作家トマス・ツィークラーが先週末に亡くなったとのこと。速報のため、原因等はまだ不明。享年47歳、若すぎる死である。

本名はライナー・ツーバイル(Rainer Zubeil)。ツィークラーはペンネーム。70年代後半から数々の作品を発表。代表作はクルト・ラスヴィッツ賞に輝いた『多感な年(Die sensitiven Jahre)』(1980)や『夜の声(Die Stimmen der Nacht)』(1983)、『われら輪廻転生者のささいな問題(Eine Kleinigkeit für uns Reinkarnauten)』(1990)、ウーヴェ・アントンとの共著である『停滞の時(Zeit der Stasis)』、Bastei社から刊行された「フレイミング・ベス」シリーズ等多数。『輪廻転生者-』は英訳も存在する。〔邦題はすべて仮訳〕
1983年から85年にかけてローダン作家チームに在籍。13編を担当すると同時に、フォルツ病没に揺れたシリーズを、エルンスト・ヴルチェクとともに草案作家として導いた。
チーム脱退後は、一時ミステリ畑に転進したり、翻訳やテレビの脚本等も手がけていたという。数年前に「宇宙船プロメテウス」の新シリーズ(Blitz社)でSFに復帰、つい最近になってゲスト作家という形でローダン2235話『死のゲーム』を担当、外伝「レムリア」への参加も報じられる等、明るいニュースが続いた矢先のできごとだった。

■Phantastik.de:GESTORBEN: RAINER ZUBEIL

新作家、フランク・ベーメルト

2251話『湖底の世界』から、作家チームに新顔が加わる。フランク・ベーメルト(Frank Böhmert)である。

1962年、ベルリン生まれ。幼少の頃から物語をつくるのが好きで、すでに15歳のとき短篇がNOVA2001誌に掲載され、17歳のころにはすでに父親のタイプライターをおしゃかにしてしまうくらい文章を書いていたとか。かれのサイトの名も、そのものずばり〈文筆家〉というから強者だ。
ローダン・シリーズには、これまで2作を上梓している。ハイネ社から出たペーパーバック版外伝ローダン:アンドロメダでは4巻『星に耳を澄ますもの』、同じくローダン:オデッセイで4巻『ドリーム・カプセル群』を、それぞれ担当している。
クルト・ラスヴィッツ賞にノミネートされ、第三席となった『星に耳を澄ますもの』は、レムール人の末裔でありながら、特異な変異をとげて、ヒューマノイドから樹木へとメタモルフォーゼする種族(ピギー?^^;)を主役のひとりに据え、〈黄色い王〉の首狩部隊に追いつめられたローダンたちに提供される思わぬ「救済」と、種族の存続にからむジレンマとを描いている。

ヴルチェク、フランシスと、くせ者2名がたてつづけに引退した作家チームに、かれがどんな新風を吹き込むのか期待したい。

■べーメルトのサイト:Schriftsteller (リンク切れ)

サイトは閉鎖したが、2019年現在、twitterではむっちゃつぶやいている(笑) それも、主に政治向きの……。

ボルシュ家にご長男誕生

ローダン作家であり編集者でもあるフランク・ボルシュが、去る7月29日にパパとなった。ご長男のティムくんは、身長50センチ、体重3450グラム。母子ともに健康とのこと。おめでとう~。

ボルシュは1966年生まれ(わしより歳下…)。96年からSF、ファンタジー、アメコミの翻訳者として活動、98年にアトラン・トラヴェルサン第9話「自由の代価」で作家デビューをはたした。ペーパーバック・シリーズのメーヴィヒ・ファンタスティーク(トラヴェルサン外伝を担当)やローダン:アンドロメダ等での執筆を経て、2206話「希望の歌」から正式のチーム作家となっている。
アンドロメダでは5巻『影の鏡』を担当。惑星テフロッドを舞台に、ローダンと〈黄色い王〉の首狩部隊長タケガスとの決闘を描いた。個人的に、これはけっこーおもしろかった。本編では、もっぱら〈ジャモンディの星海〉のタネ明かしを担当しているが、こちらは、まだまだこれからに期待、な感じである。

■公式News:Herzlichen Glückwunsch! (リンク切れ)

フォルツ賞、応募・投票受付中

ローダン・シリーズの二代目プロット作家、故ウィリアム・フォルツの名前を冠されたSF文学賞が現在、第一回の作品受付中。応募〆切は8月15日。もともとはSFファンジン等に短篇を投稿して頭角をあらわした故人にならってか、対象作品は短篇のみ。審査員は、ローダン・チームでフォルツの同僚でもあったエルンスト・ヴルチェクの他、フーベルト・ヘーンゼルら現役ローダン作家3名。
この週末から、すでに応募のあった作品が掲載され、読者による採点ができるようになっている。投票には登録が必要。ドイツSFの発展に寄与する、という賞設立の主旨にこたえた作品の数々、一読するのもまた楽しからずや。

William Voltz Award