特攻野郎・宇宙チーム

〈宇宙遊撃隊(Das Weltraumteam)はウィリアム・フォルツによる(非ローダンの)SFショート・サイクル。1980年から1981年にかけて、当時月刊で出ていたペリー・ローダン・マガジンに連載された。全14回、10章までが掲載されたが、おそらく闘病などもあり、途絶している。完結までもっていく意向は漏らしていたようだが、残念なことである。


遊撃隊:

ファルカン・コル
――は、テラナーである。
アルコウト
――は、外星人である。
ニコルのスー・アン
――は、王女である。
コスキン・アルドウ
――は、提督である。
鋼狐ローガン
――は、ロボットである。
《スパイダー》
――は、宇宙船である。

『ウィリアム・フォルツ追悼号』の半分は〈宇宙チーム〉

西暦2837年、テラと叛逆した植民惑星のあいだの戦争は熾烈を極めた。外交面からの紛争調停をめざす絶望的な作戦のひとつとして、コスキン・アルドウ提督はその宇宙船《スパイダー》で、仲介工作を依頼すべくニコル王国へ派遣された。しかし年老い、死病に倒れたニコル王にできたのは、まだうら若いスー・アン王女を軍使として送り出すことだけだった。《スパイダー》が帰到したとき、テラとコロニーの艦隊は消滅していた。ソル星系は、何者も突破しえぬ濃密な物質ヴェールの陰に姿を隠していた。ボルドン人が銀河系を強襲し、地球をその橋頭堡としたのだ。彼らだけが、その黒い船をもって、自らの造り出した物質雲を往来することができる。彼らは地球から全銀河系を屈伏させんとしている。ソル系で、そして地球で何が行われ、またはたして人類が生きているのかを、知るものはない。ボルドン人は塵のヴェールに接近を試みるものすべてを破壊してしまうのだ。帰還のその瞬間から、《スパイダー》の乗員たちは謎に満ちた侵略者との戦いを開始した。わずか数年のうちに、アルドウ提督と《スパイダー》のわずかばかりのクルーは伝説的な名声を勝ちとり、また人々が畏敬をもって口にする異名をはせていた。
宇宙遊撃隊ヴェルトラウムチーム、と!
テラの叛徒たちの目標はただひとつ。ボルドン人の独裁を終わらせ、ソル系を包む塵のヴェールを突破して地球をめざすのだ……。

Kap. 1. Rebellen für Terra / テラの叛徒
Kap. 2. Botschaft aus der Ewigkeit / 永遠からのメッセージ
Kap. 3. Rückkehr nach Nikor / ニコルへの帰還
Kap. 4. Das Raumfort / 宇宙要塞
Kap. 5. Der Staubschleier / 塵のヴェール
Kap. 6. Der Zeitnomade / 時間放浪者
Kap. 7. Der Markt von Clanzey / クランゼイの市場
Kap. 8. Das geborstene Ei / はじけた卵
Kap. 9. Das Bordonnenschiff / ボルドン人の船
Kap. 10. Die Spur / シュプール

1984年10月刊行の『ウィリアム・フォルツ追悼号(William Voltz Gedächtnisband)』に収録されているが、その後電書版等が出た様子はない。未完だし、しょうがないのかな。

以下余談:
カンタロ・サイクルが開幕した当時、元ネタはこれじゃないか、という噂があった。故郷を包む難攻不落の壁、未知の侵略者……たしかにそれっぽい要素は見受けられる。サイクル後半、ローダンの眼前で太陽系が消失したあたりも、あー、と思った記憶がある。裏付ける証言等はないので、まあ戯言ではある。

ドイツSF大賞2023受賞作

28日付SFCDのサイトで、ドイツSF大賞2023の受賞作が発表された。

◆長編部門
Nils Westerboer / Athos 2643 / アトス2643

西暦2643年、地球に人の住めなくなった未来。海王星の衛星(元カイパーベルト天体と思われる直径2kmの岩石)アトスの修道院で事件が起きた。問題は、衛星の生命維持を司る人工知性〈マルファ〉が“殺人”を犯したのか。異端審問官リュート・カルトハイザーが助手の人工知性ザックとともに派遣されるが、調査(尋問)は困難をきわめる。6名の修道僧に第2の死者が出るに及んで、リュートはザックの機能を制限する安全機構の解除を決断するが……。
犯罪SFかというとそうではなく、二部構成の前半utilは“集団の利益、最大多数の幸福をめざす”、後半deonは“より高次の目的のためなら被害も辞さぬ”、人工知能の倫理的状態を意味するらしい。そして、本書はホログラフィの助手ザックの一人称で進行する。
ラスヴィッツ賞では惜しくも2席、ファンタスティーク系のセラフ賞にもノミネートされた作品。

・その他順位
2席:Andreas Suchanek / Interspace One / インタースペース・ワン
3席:Sven Haupt / Wo beginnt die Nacht / 夜の始まるところ
4席:Aiki Mira / Titans Kinder / タイタンの子ら
5席:Aiki Mira / Neongrau / ネオングレー
6席:Jol Rosenberg / Das Geflecht. An der Grenze / 叢・境界にて
7席:R. M. Amerein / Roboter: Fading Smoke / ロボット:フェイディング・スモーク
7席:Theresa Hannig / Pantopia / パントピア
9席:Timo Leibig / Reaktor / 反応炉
10席:Andreas Brandhorst / Ruf der Unendlichkeit / 不死の呼ぶ声
10席:Kris Brynn / A. R. T. – Coup zwischen den Sternen / A.R.T. 宇宙美術品攻防戦
12席:Hans-Jürgen Kugler / Freier Fall / 自由落下

◆短編部門
Aiki Mira / Die Grenze der Welt / 世界の境界

カット――カタナ・キリクは長い間月面で戦闘に従事していた。長期間の低重力で筋肉は萎縮し、地球に戻ってみれば強化外骨格エクステンダーなしではろくに動けない体になっていた。運良く、最新型のエクステンダー(全長20m、重量1t)を扱える鉱山作業現場での職を得て、没入感に感激するカットだが。あるとき、現場にひとりの少年が迷い込んできて……。

・その他順位
2席:Yvonne Tunnat / Morsche Haut / 脆い肌
3席:Thorsten Küper / Hayes’ Töchter und Söhne / ハイエスの娘たち息子たち
4席:C. M. Dyrnberg / Fast Forward / ファスト・フォーワード
5席:Christoph Grimm / Die Summe aller Teile / 全部の合計
6席:Helen Obermeier / Der blassblaue Punkt / ペイルブルー・ポイント
7席:Michael K. Iwoleit / Briefe an eine imaginäre Frau / イマジナリー・ウーマン宛の手紙

DSFPの席次はラスヴィッツ賞とちがい投票数の項目がないので、どのくらい人気に差があったのかがいまいち掴みづらい。だが、今回の長編部門だと同点らしい作品もあるので、ポイント順なのは確か。どのくらい票が集まっているのかなあ。

■ドイツSF大賞:公式サイト(dsfp.de)

クルト・ラスヴィッツ賞2021年ノミネート作

3月30日付けのラスヴィッツ賞公式サイトで、2021年の同賞ノミネート作が発表された。ドイツ語圏で2020年中に初版刊行された作品が対象となる。

今年に入って一時サイトの更新が滞っていたのでヤキモキしていたのだが、実際はスケジュール通りに諸事進展していて、3月末の公表という事前告知に沿った公開となった。
230名の有権者への通知も完了し、今後の予定としては、5月31日までの選考期間を経て6月に受賞作を発表。授賞式は11月6日、ドレスデンで開催(予定)のSFコンベンション〈ペンタ=コン〉枠内で執りおこなわれる……んだけど、昨今のドイツの状況だと、この手のイベントの実施はまだまだ現実味が見えてこない気もする。

昨年(2020)の受賞作一覧もまだちゃんと掲載していないのだが、いま、正直時間的にあまり余裕がないので、さくっとリストだけアップしてしまおう。

長編部門 Bester deutschsprachiger SF-Roman:

Zoë Beck / Paradise City / 楽園都市
Gabriele Behrend / Salzgras & Lavendel / 厚岸草とラヴェンデール
Christoph Dittert / Fallender Stern / 落星
Andreas Eschbach / Eines Menschen Flügel / ヒトの翼
Tom Hillenbrand / Qube / キューブ
Sameena Jehanzeb / Was Preema nicht weiß / プレーマが知らないこと
Marc-Uwe Kling / Qualityland 2.0 / クオリティランド2.0
Heribert Kurth / Unter den Sternen von Tha / ターの星の下で
Michael Marrak / Anima ex Machina / アニマ・エクス・マキナ
Uwe Post / E-Tot / e-デッド

『落星』の作者ディッテルトは、現在ローダンの草案チームの一方、クリスティアン・モンティロンの本名。
『ヒトの翼』の作者エシュバッハは、言わずと知れた同賞の常連。昨年のローダン本に続いて連覇なるか。
『キューブ』の作者ヒレンブラントは、ローダン2000話の翻訳も手がけた赤坂桃子氏によって邦訳された『ドローンランド』が2015年のラスヴィッツ賞、本作の前編『ホログラマティカ』が2019年のドイツSF大賞を受賞している。
クリングの『クオリティランド2.0』は、そのまま、2018年のドイツSF大賞受賞作『クオリティランド』の続編。
『アニマ・エクス・マキナ』の作者マラクは、2000年刊行の『ロード・ガンマ』がラスヴィッツ賞・ファンタスティーク大賞のダブルクラウン受賞に加え、SF-Fan.deの読者投票オールタイムベスト1位に輝いている。
『e-デッド』の作者ポストも、2018年の『ヴァルパー・トンラッフィルと神の人差し指』をはじめ、複数の受賞歴の持ち主。
それ以外にも、ガブリエレ・ベーレントは長編・短編双方にノミネートされるなど、錚々たる面々である。

……実は『落星』と『ヒトの翼』はどちらも発売日にKindle版を購入していたのだけど、見事に積ん読状態である。ソシャゲ断ちするか……(オイ

短編部門 Beste deutschsprachige SF-Erzählung:

Galax Acheronian /Verloren auf Firr’Dars / フィル・ダースで失踪 (『ハイパー・オービス』Hyper Orbis 収録)
Gabriele Behrend / Meerwasser / 海水 (『エリダヌス座εの友人だち』Unsere Freunde von ε Eridani 収録)
Christian Endres / Der Klang sich lichtenden Nebels / 発光する雲の音色 (『緑の惑星――気象変動した未来』Der grüne Planet – Zukunft im Klimawandel 収録)
Kai Focke / Gastropoda galactica / ガストロポダ・ガラクティカ (『エイリアン・ワルツ』Das Alien tanzt Walzer 収録)
Heidrun Jänchen / Mietnomaden / 借家放浪者 (『緑の惑星』収録)
Axel Kruse / Grassoden / 芝 (『2101――僕らの将来』2101 – Was aus uns wurde 収録)
Hans Jürgen Kugler / Die Insulaner / 島の人々 (『緑の惑星』収録)
Christian Künne / Friedensfahrt / ピース・レース (『シリウス・シティの叛乱』収録)
Thorsten Küper / Unsere Freunde von ε Eridani / エリダヌス座εの友人だち (『エリダヌス座εの友人だち』収録)
Frank Lauenroth / Delter / デルター (『エリダヌス座εの友人だち』収録)
Michael Marrak / Insomnia / 不眠症 (『ラザルス家』Das Haus Lazarus 収録)
Uwe Post / Terra Halbpension / 賄い付下宿テラ (『エリダヌス座εの友人だち』収録)
Carsten Schmitt / Wagners Stimme / ワグナーの声 / (『知性はいかほど人工的か?』Wie künstlich ist Intelligenz? 収録)
Angela und Karlheinz Steinmüller / Marslandschaften / 火星の情景 (『エクソダス41号』Exodus 41 収録)

作品内容とは関係ないが、ガストロポダ(腹足綱)とは、要するにカタツムリやナメクジを連想していただけばよろしいかと。ローダン・シリーズでも、すでに登場しているダルゲートとか、近々登場する奇蹟のエンジニア種族ナックなどは“ガストロポイド”とも表記される。
シュミットの作品が収録された『知性はいかほど人工的か?』は、Twitterでローダン公式などをフォローしている方は目にしたこともあるだろう。編者はクラウス・N・フリック。現在のローダン・シリーズ統括責任者である。
シュタインミューラー夫妻がまだ現役でご活躍なのは、一ファンとして嬉しい。

……通例ならこの後、国外作品部門(独訳初版が2020年刊行)の紹介をするのだが、遺憾ながら今回は割愛する。ご多分に漏れず、中国SF(劉慈欣の三体がらみの短編集収録作)やらアラビア語からの独訳まであって、ちょっと原題の確認とかめんどくs……時間がかかりそうなので、機会を改めて、ということで(汗)

■ラスヴィッツ賞公式サイト:www.kurd-lasswitz-preis.de

訃報:トマス・R・P・ミールケ

トマス・R・P・ミールケ (Thomas Rudolf Peter Mielke)
1940.03.14 – 2020.08.31

クラウス・フリックのTweetやPhantastik-Newsの記事等によると、ドイツのSF作家、歴史小説家、SF文学研究科トマス・R・P・ミールケが8月31日に死去したとのこと。享年80歳。

クリエイティブ・ディレクターを本業とする一方で、60年代にはRex CordaやAd Astra、Terranauten等数多くのヘフト小説に作家として名をつらね、80年代には『聖宇宙(Das Sakriversum)』でクルト・ラスヴィッツ賞長編部門を、「宇宙にひとつの月(Ein Mord im Weltraum)」でSFCD文学賞(後のドイツSF大賞)の短編部門、『壁の崩れた日(Der Tag, an dem die Mauer brach)』で同じく長編部門を受賞するなど活躍した。
80年代後半以降は、『ギルガメシュ』『イナンナ』『カール大帝』『カール・マルテル』など歴史小説のジャンルへ場を移し、多数の著作がある。

SFというジャンルそのものについての著作も多く、代表作は、H・J・アルパース、R・M・ハーン、W・イェシュケらと編纂した『SF文学レキシコン(Lexikon der Science Fiction Literatur)』(Heyne)で、古今のSF文学総解説、タイトルリスト付きという代物である。
「タイトルリスト訳してるときって、さいとーさんシアワセそうだよね……」とマガンに言わしめた逸品だ(ちょっとちがう)。こんなシリーズもあったのか、と幾度も読み返したくなる。1991年刊行、98年には改訂版も出ている。Kindle化しないかな……。

クラウス・フリックは親交があったらしく、「またSFの大作を発表してほしかった」とその死を惜しんでいる。
永年のジャンルに対する貢献に感謝し、その冥福を祈りたい。

■Phantastik-News:Gestorben: Thomas R. P. Mielke (1940-2020)
■ENPUNKT-Tagebuch:Thomas R. P. Mielke ist gestorben
■Wikipedia:Thomas R. P. Mielke

ラスヴィッツ2020速報

本日付で発表されたクルト・ラスヴィッツ賞2020。長編部門をエシュバッハの『ペリー・ローダン~最大の冒険』が獲得した。ローダン派生作品としては1998年のドイツSF大賞をフェルトホフが『星獣の挑戦』で受賞して以来か。なにはともあれ、めでたい話である。

先月に勤務先が変わって、ちょっとまだいろいろ更新する余裕がないのだが、これはやっぱり書いておきたかった。
ちなみにエシュバッハ、10回目の栄冠である。ホント、あちらのプロパーな方々、エシュバッハ好きやねえ……。

セラフ賞2020受賞作一覧

ドイツでもコロナウィルスが猛威を振るい、出入国禁止や最低限の日常生活に必要なもの以外の店舗の閉鎖などが実施されている。一日も早い事態の沈静化を祈りたい。

月初に中止が決定されたライプツィヒ書籍見本市で授賞式が予定されていたセラフ賞だが、受賞作の発表はオンラインでおこなわれたみたい。14日付けセラフ賞公式サイトのトップやツイッターでも受賞作が掲載されている。
各受賞作は以下のとおり:

最優秀賞(Bestes Buch):

Christoph Marzi / Mitternacht / ミッドナイト

作者クリストフ・マルツィは1970年生まれ。マインツ大学で経済学を学び、現在はザールブリュッケンのギムナジウムで教鞭をとっている。
一方で15歳のころから短編小説を書いており、長編デヴュー作『リシダス(Lycidas)』はファンタスティーク大賞2005の新人賞を獲得。また2009年度には短編集『もう二度と(Nimmermehr)』が同賞アンソロジー部門も受賞している。

過去記事を調べてみたら、ノミネート後、対象期間外であることが作者の自己申告で明らかになったけど、そのまま受賞したという……ああ、アレか。

受賞作『ミッドナイト』は、この世界と触れ合う位置にある、魂たちの暮らす世界を舞台にした、書物の力と忘却の脅威にまつわる物語。物語と悪夢が商いの対象となるこの世界に、“ごくありきたりの少年”ニコラス・ジェームスがやってきたことから、すべてが変わる。彼の道は、すべての希望が生まれ、すべての夢が死に絶える場所、畏怖をこめて〈ミッドナイト〉と呼ばれる地へとつづいていく……。〔出版社紹介ページより〕
あー、前探したときなかったのに、いまAmazon見たらKindle版あるなあ。

#どこぞの春の半額セールに負けてポチりまくったばっかなんだよなあ(汗)

なお、地名ということで仮題・真夜中からミッドナイトへと変更した。

新人賞(Bestes Debüt):

Bijan Moini / Der Würfel / ダイス

作者ビヤン・モイニは1984年生まれの法学者。博士論文「Staatliche Warnungen vor entlassenen Straftätern(釈放された刑事犯に対する国家の警告)」が2013年に書籍化されている。現在はシュピーゲル誌やフランクフルター・アルゲマイネ紙などに寄稿、とWikipediaにある。

小説家としては処女作の『ダイス』は、近未来のドイツを舞台に、フェイスブックとVRと社会信用システムと人工知能の統合体〈ダイス〉に管理された社会を描く。社会を円滑に運行するためにありとあらゆる個人情報にいたるまで収集する〈ダイス〉に抵抗したい28歳のタソ・ドフは、サイコロやコインを駆使して自らの行動の“計算可能性”を排除していた。ソーシャル・ポイントはほとんど得られないが、彼はその暮らしに満足していた……が、タソが一目惚れした女性ダリアはこれ以上ないほどの〈ダイス〉信奉者で――。

インディペンデント部門(Bester Independent-Titel):

Erik Kellen & Mira Valentin / Windherz / 風の心臓

『風の心臓』は〈光のかけら〉サーガ三部作(四部作としているサイトも)の第1作。すでに続編の『炎の刃(Flammenklinge)』も刊行済み。作者の一方ミラ・ヴァレンティンは、昨年のファンタスティーク大賞で『エンヤドルの炎』がノミネートされていた、Kindle-Story-Award2017(ドイツ)の受賞者。

北方人カイデン・ヴォルフハールは、誰よりも腕の良い海の狩人。だが、彼に与えられた任務はまったく思いもよらないものだった。アイラはヤンドールの王女。特異な才能は祝福と同時に呪いであり、王座は彼女にさだめられたものではなかった。
出自も立場もなにもかもちがうふたりに、全世界の命運が委ねられたことを知るものはなかった……。

■社団法人ファンタスティーク・アカデミー公式:Phantastische Akademie e. V.
■Wikipedia:Christoph Marzi
■Wikipedia:Bijan Moini

ファンタスティーク大賞の行方:続報

見落としていたのだが、2月22日付けのディルク・ファン・デン・ボームのツイートによると、ドイツ・ファンタスティーク大賞(DPP)は今年は未開催となることが決まったらしい。

https://twitter.com/Tentakelkaiser/status/1230871952232939521?s=20

→ごやてん:ファンタスティーク大賞の行方

以前報じたように、2017年の開催からスポンサーが付いたDPPだが、それに伴い、運営陣にも異動があったようで、スポンサーが下りたからハイ元の運営、というわけにもいかなかったみたい。
来年から復活の運びとなるかは、続報待ちとなる。
創設されたころから(それなりに)追いかけてきたDPPだが、気がつけば20回を超えて、歴史のあるものとなっていたわけで。なんとか復活してもらいたい。

セラフ賞2020ノミネート作一覧

すでに先月下旬、セラフ賞のツイッターや公式サイトで、本年のノミネート作のショートリストが公開されていたのだが、何分読んだことのない作家さんや作品ばかりなので、紹介するものためらわれた……ら、今回のライプツィヒ書籍見本市の中止である。
本来、会場にて授賞式等とりおこなわれるはずなのだが、どうなるのか。

以下は公開されたショートリスト。

◆最優秀賞(Bestes Buch):
Christoph Marzi / Mitternacht / 真夜中
Judith C. Vogt & Christian Vogt / Wasteland / 荒れ地
Laura Weller / City Bay Heros / シティ・ベイ・ヒーローズ
Nina Blazon / Rabenherz und Eismund / 鴉の心臓と氷の月
Oliver Plaschka / Wächter der Winde / 風の見張り
Zoran Drvenkar / Licht und Schatten / 光と影

◆新人賞(Bestes Debüt):
Bijan Moini / Der Würfel / ダイス
Lena Kiefer / Ophelia Scale – Die Welt wird brennen
    / オフェーリア・スケール:世界は炎上する
Ria Winter / Tal der Toten / 死人の谷

◆インディペンデント部門(Bester Independent-Titel):
Erik Kellen & Mira Valentin / Windherz / 風の心臓
Laura Kier / Myalig – Gestohlene Leben / ミャリグ:盗まれた生命
Melanie Vogltanz / Schwarzmondlicht / 黒い月光

■Phantatik-Akademie公式:Seraph 2020

訃報:ロルフ・ビンゲンハイマー

ロルフ・ビンゲンハイマー(Rolf Bingenheimer)
1946.08.25 – 2020.02.07

ドイツのSF書籍販売会社Transgalaxis社主、ロルフ・ビンゲンハイマー氏が今月7日に亡くなったとのこと。

自身SF作家でもあった父ハインツ・ビンゲンハイマーが、ドイツSFクラブ(SFCD)の通販部としてはじめて、2年後の1957年にTransgalaxis社が創設された。彼が1964年に41歳の若さで夭折した後、ロルフ氏はSFに特化した書籍取扱会社の草分けである同社を引き継ぎ、発展させてきた。
同社は、初期のローダン・シリーズにとっても、当時のSF読者にとっても、最重要のパートナーとなった。その絆が現在も継続しているのは、訃報を受けて編集長クラウス・フリックが公式サイトへ弔文を寄せていることからも明らかである。

わたしがTransgalaxisの名を初めて耳にしたのは、1990年前後、ファンクラブの恵比寿月例会でのことだと思う。中古のローダン・ヘフトを取り扱う通販会社、みたいなぼんやりしたイメージだけが記憶に残った。
当時のわたしは、神田三省堂の洋書売場でローダン・ヘフトを定期購読していた……というか、数ヵ月おきにまとめてドカンと届くのだが、これはどうやら、中央洋書というすずらん通りにあった洋書取次店が、ゲーテ書房を通して輸入していた(一度、伝票が混ざっていたw)もので、ある時点からこのラインが機能しなくなり、三省堂ではヘフトの購入ができなくなってしまった。
さあ困った……というときに、マガンが開拓してくれたのが、Transgalaxis社を経由しての原書共同輸入の道であった。もともとは井口さんら先人が開いた道だったのだが、ロルフ氏は快諾してくれて、長いつきあいがはじまった(注:わたしではなく、マガンが、である)。

言ってみれば、ロルフ氏は日本ではさっぱり姿を消しつつある個人書店の店主みたいなものである。こちらからの、アレが欲しい、コレが欲しいという無理難題にも可能なかぎり応じてくれた。代わりに、当時はまだ販路がなかったのか、ハヤカワ版のXXX巻手に入らないか、ローダン関係ないけど坂本九のCDが欲しい、みたいなバーター取引も存在したとかしないとか。まあ、イロイロあったらしい(笑)

渡欧経験のないわたしは、当然、一度もお目もじしたことすらないのだが、rlmdi.では「ビンちゃん」の通称で通っていた。通販の際には、毎回マガンと直接メールのやりとりをしていたのに、近年それがパッタリ途絶えていて、さすがにお歳がお歳だし、引退されたのかねえ……と話していたのだが。
心からご冥福をお祈りすると当時に――ありがとう、ビンちゃん。わたしのSF(ローダン)ライフは、あなたのご助力があったからこそでした。

■Transgalaxis:Impressum(奥付に掲載された訃報)
■公式Logbuch:EINIGE WORTE ZU ROLF BINGENHEIMER

MADDRAX x Perry Rhodan

受け攻めの話題ではない、念のため(笑)
昨日、2月4日で、Bastei社から隔週で出ているSFヘフト・シリーズ《マッドラックス》が20周年を迎えた。これを記念して実現したコラボ企画が、「マッドラックス・ミーツ・ペリー・ローダン」なわけ。

マッドラックスでは現在「並行宇宙」サイクルが進行中なのだが、同日刊行の523話タイトルは、そのものずばり「クロスオーヴァ」。作者はローダン作家でもあるオリヴァー・フレーリヒ。
そしてNéstor Taylor描くところの表紙絵がこれ。主人公マシュー・ドラックスとヒロインのアルーラ、金色のやつは〈記録者〉ダルトン・シェア(Dalton Shair)……のはず、だが。そう、ローダン・ヘフト第1話「スターダスト計画」のオマージュである。

西暦2550年、旧韓国西方のクレーター湖(2012年のクリストファー=ロイド彗星が激突した場所)を訪れたマシュー・ドラックスとアルーラは、グライダーで旧チベット近傍のアガルタへと向かっていた――のだが、不意に衛星システムとのリンクが切れた。ふたりは並行宇宙の地球に転移していたのだ。
時は西暦1971年、アジア連合支配下のゴビ砂漠。月面でアルコン宇宙船と遭遇したペリー・ローダン少佐は《スターダスト》で不時着をよそおい、当地に〈第三勢力〉をうちたてたばかり。東西両ブロックとアジア連合は月着陸船周囲にはりめぐらされた輝くドームの秘密を探るべく工作員を送り込んでいた。

マシューらは、アガルタの科学者の末裔たる〈記録者〉のひとりダルトン・シェア(ダールトンとシェールであるw)に遭遇。アルコン技術のエネルギー・ドームの影響で装備を使えないというダルトン・シェアをともない、《スターダスト》へ接近する。おりしも、IIAのマーカントの命をうけたアルブレヒト・クライン少尉が当地を訪れていた。クラインがドームを離れるのと入れ替わりに侵入したマシューらだが、ローダンとクレストにあっさり捕まってしまう(笑)
交錯するふたりのSFヒーローの軌跡。見知らぬ種族(ダルトン・シェア)に遭遇して燃え上がるクレストの知的好奇心!(爆) マッドラックスのバック・トゥ・ザ・フューチャーは成功するのか(おい

元米国軍人というキャリアを同じくしつつも、まったくちがう時空の出身であるマシューとローダン。マシューにとって最初の月着陸船はアポロ11号だったりして、微妙にすれちがう様は微笑ましい。もちろん最後には、マシューとアルーラは〈記録者〉の用いる〈時を超える空間〉経由で2550年へ帰還するのだが……“知りすぎた”クレストの対処もちょっとアレである。精神干渉装置大活躍(笑)

巻末にはクラウス・N・フリックのコラボ挨拶や、これまたローダン作家にしてマッドラックス作家でもあるミハエル・マルクス・ターナーのシリーズ回顧録が収録されている。
近年は、暗黒惑星3部作等、ローダン関連書籍がBasteiから出ていたりもするのだが、こんな共演が実現しようとは思わなかった。みんな、イロイロと考えているんだねえ……。

■beam-shop.de:MADDRAX trifft Perry Rhodan