新ATLANヘフトの概略

ローダンの姉妹シリーズATLANは1969年に正篇と同じヘフト形式の月イチ(正確には4週ごとに1話)刊行でスタート。1年後に隔週刊、1978年には週刊と刊行ペースを上げるが、1988年、850話をもって終了した。
その後、1998年にロベルト・フェルトホフ草案の独立した〈トラヴェルサン・サイクル〉全12話が週刊で刊行され好評を博したのを契機に、2003年にケンタウリ・サイクル全12話が、さらに2004年のオブシディアン・サイクルからは「新ATLANヘフト」として通し番号が振られるようになり、2006年の炎塵サイクルで完結するまで全60話が刊行された。
現在Perrypediaでは各12話の7つのサイクルを「ATLANミニシリーズ」に分類しているが、個人的にはひっくるめて「新ATLANヘフト」と呼んでいる。

現在の正篇、3200話からのフラグメント・サイクルでは、「850年前にアトランがグルエルフィン銀河を訪れた」ことが語られるが、それを含め、正篇に影響を及ぼす設定等もあるので、おおまかなストーリーの流れを概括してみた。

1 トラヴェルサン / Traversan

新銀河暦1290年、惑星トラヴェルサンで島の王の遺産が発見され、急報をうけて駆けつけたアトランが島の王と誤認されたため、時間ステーションの秘密プログラム〈星の露〉が発動。アトランは紀元前5772年に移送されてしまう。現地領主の娘タマレナとねんごろになったアトランは、トラヴェルサンの人々とともに悪逆非道の星区総督の陰謀に立ち向かう。
正篇1900話台で、ギャラクティカム議場を「ちとヤボ用で」と中座してトラヴェルサンへ向かうシーンがある。次に登場するまでに1万年が経過しているとは誰も思うまい(笑)
草案:ロベルト・フェルトホフ

2 ケンタウリ / Centauri

正確にはオメガ・ケンタウリ(球状星団ケンタウルス座ω)。
新銀河暦1225年、アトランは建国まもないアルコン水晶帝国において、レムール人の遺産をめぐる陰謀にまきこまれる。ケンタウルス座ω星団に眠る恒星転送機と意識転送技術を先んじて見出したツォルトラル家当主クレスト=ターロ、そしてコスモクラートのロボット、サムカーもからんで錯綜した事態のいきつく先は――。
この頃は、まだ別れた恋人でもある女帝シータさんが健在なので、アトランも帝国内で比較的自由に行動できた。この事件で発見されたω星団中心部の恒星転送機〈カラグ恒星十二面体〉は、後の正篇、ハイパーインピーダンス上昇により超光速航行技術の衰退した状況で、銀河間移動のための恒星転送機網再稼働の中心的役割を担い、長らく活躍する。
草案:ウーヴェ・アントン

3 オブシディアン / Obsidian

カラグ恒星転送機の事故で、未知の空間〈オブシディアン・ギャップ〉へはじきとばされたアトラン。それは5億年以上昔に、あまたの宇宙に於いて活動した原初の〈大群〉リトラクドゥールムのバックアップ・システムの座。そして、ヴァルガン人女性キサラの協力もあり、アルコン人はω星団が混沌勢力の攻撃で銀河系に擱座したリトラクドゥールムの一部であったことを知る。そして、100万年前銀河系に残留したサイノスのひとり、旧知の山師カリオストロことサルダエンガルが、銀河系を犠牲にリトラクドゥールムの再起動をもくろんでいることを。
ヴァルガン人はATLANシリーズにおけるサイノスやクエリオン人的位置づけの種族で、七強者の城で出てきたマイクロ宇宙との往来を可能とするドルグン転換器を開発した種族の末裔。若き日のアトランはその叛徒の女王、〈黄金の女神〉イシュタルと出会い、一子カパトをもうけている。

4 大法官 / Die Lordrichter

カラグ恒星転送機の制御惑星カラグ鋼鉄界に出現したカピンから、〈ガルブの大法官〉と〈秩序の剣〉について警告をうけたアトラン。キサラとともに、銀河系のサウスサイドに遺されたヴァルガン人の施設で、その尖兵が活動していることをつかむ。〈プシの泉〉ムルロースの破壊には成功したが、すでに回収されたエネルギーは〈ダークスター〉と呼ばれるプロジェクトのため、1600万光年かなたのドゥインゲロー銀河へ移送されていた。
ガルブヨル――ガルベッシュを連想させる――は現在グルエルフィンに侵攻し、カピンに血みどろの内戦をひきおこしているという。

5 ダークスター / Der Dunkelstern

マイクロ宇宙からの暗黒物質に侵された恒星〈ダークスター〉。不死性を求める大法官の〈突破計画〉を阻止するべくドゥインゲロー銀河に進撃したアトランとキサラは、現地のヴァルガン人やカピンの協力を得て、ダークスターの破壊に成功する。

6 イントラワールド / Intrawelt

ドゥインゲロー銀河に構築された直径30万キロの人工空洞惑星イントラワールド。ガルブヨルの叛乱勢力コンタークラフトによれば、そこに隠された〈炎塵〉があれば戦局を好転させうるらしいが、空洞惑星には「物質の泉の彼岸に到達した」者しか立ち入れないという。アトランはキサラを残し、単身イントラワールドへ進入する。
先んじて空洞世界に来訪していた、かつてカオタークの協力者であった〈ソウルイーター〉ペオヌとの競争を制し、アルコン人は謎に満ちた〈炎塵〉を確保する。
ペオヌはカオターク・クズポミュルが蠱毒のように養成したソウルイーターであり、《トレーガー(母艦)》と呼ばれる特殊艦で活動する特殊部隊〈チャンピオン〉の一員だった。チャンピオンは2000話以降の正篇にも2名ほど登場する。また、ヘクサメロンの主ヘプタメルに力を与えたのもクズポミュルである(ただしこの設定は惑星小説のみで正篇には出てこない)。
草案:ミハエル・マルクス・ターナー

7 炎塵 / Flammenstaub

炎塵は服用者に現実改変能力を与える。だがそれは諸刃の剣であり、使いこなせなければ死をもたらすもの。自分にその力は余るとアトランは銀河系への戦略的撤退をはかるが、ガンヤスのペドパイラー船はグルエルフィン銀河を目的地に選んでしまう。
ガンヤス人とタケル人の会戦にまきこまれたアルコン人は、介入したジュクラ人に救出される。ジュクラ氏族を糾合する会合はガルブの親衛隊ザコールとタケル人によって粉砕されるが、会場を脱出したアトランらは山脈に隠された〈家臣〉を発見、脱出した先の自由貿易区の中心ボイシュ・ステーションで瀕死の言葉を伝える者インタプリタから〈永遠のガンヨ〉オヴァロンの意識片を受け入れる。
ガルブヨルはガルベッシュと同じくトロダル――勇猛に戦いぬいた戦士のみがたどりつける死後の世界――を信奉するヴァンカナル銀河の戦士種族集団。14名の大法官と最高大法官、そして頂点に立つ〈秩序の剣ガルボグテラ〉に率いられる。だが、当代の〈秩序の剣〉エミオンは、実は異なる蓋然性平面からの来訪者で、苦痛でしかないこの宇宙での生を終わらせる手段を求めていた。
海星船《フム》での最終決戦でエミオンが異なる存在平面へ放逐された後、新たに〈秩序の剣〉に就任した大法官、タケル人サリラはオヴァロンの意識片を受け入れ、ガルブヨルのヴァンカナル銀河への撤退を開始した。

……本編ではなく、Perrypedia収録のあらすじをざっと眺めただけだが、それだけでも〈永遠のガンヨ〉あたりに誤解のあったことが判明した。
正篇3200話で付帯脳が「前に来たのは800年以上前のこと」とつっこみを入れるのが、最後の炎塵サイクルの事件(新銀河暦1225年)である。ただし、これだけ見ても、正篇1277話で成立したグルエルフィン同盟がどうなったかはっきりしない。インタプリタ(と書くと、某コンパイラを思い出してしまうなw)が出てくるので、15年前に内戦が勃発するまでは基本構造は似通っていたものと想像される。
正篇でパンヤス人のトップが〈永遠のガンヤ〉(ガンヨの女性形)なのは、オヴァロン崇拝が廃れたのか、シラリアの後継たるガンヨが下克上したのかも不明。このへんはおいおい明らかになると思われるが、どうかなあ。

■Perrypedia:ATLAN-Miniserien

異宇宙舞台の宗教対決

前記事「ヘクサメロンの王国」の続きのような話である。

以前Twitterで「GOIはユダヤ教でいう“異教徒”」とつぶやいたことがある。PIGもユダヤ教由来ではないかと思っている話は先ほどツイートした。
また、最近のブログでは、ヴ・アウペルティアのことを“エレメントの主”と書くが、マガンとの電話で「“十戒”をもたらすものだから、キリスト教の神様でしょ?」と話していたのがその理由だが、ごめん、ユダヤ教の神様だね。

なんで突然こんな話をはじめたかというと、タルカン・サイクルの敵が同じユダヤ教の神様がモチーフだからである。1350話に出てくる「ヘクサメロンの書」の歌(あの訳だと完全に散文だけど)にいう〈支配者ヘプタメル〉は、“6日かけて世界を滅ぼす(そして新生させる)”〈七日目の主(Der Herr des Siebten Tages)〉だ。
ドイツ語Herr(支配者)は讃うべき主を意味する。支配者でも間違いではない(むしろ主だとわかりづらい)が、今回は〈主ヘプタメル〉でいかせてもらおう。

エシュラア・マグハアス(二十の地)を統べるとされる組織ヘクサメロン。
その頂点に立つ主ヘプタメル(現地語ではシキム・マルカー)は〈七の日の主(Herr Siebentag)〉とも表現されている(ハヤカワ版は“七番目の日”としているが)が、正確には惑星小説358巻のタイトルの通り〈七日目の主〉である。ヘクサメロンの書の歌を信ずるならば、宇宙(タルカン)のすべてをその身に含有し、七の日に新生した宇宙にただひとり顕在することになる。

で、最初にわざわざユダヤ教、と述べた理由だが、対する側がキリスト教モチーフなんである。
タルカン宇宙を放浪する旅路でローダンは、ハンガイ脱出計画を進行する22種族連合(22はユダヤ教・キリスト教の聖なる数)と遭遇するが、エスタルトゥの消息は知れない。むしろ“主ヘプタメルの勝利の証”を見せつけられる。エスタルトゥはタルカンにも、もういない……。
一方で、テラナーはいみじくも自分が“ヨルダン(Jordan)”と略した存在により〈聖別されし者〉となる。すなわち、ヨルダン川のほとりで聖ヨハネの洗礼を受けたナザレのイエスのごとく――。

1372話「タルカン行き十二の宇宙船」は、ローダン救出のため〈それ〉の援助を得たアトラン率いる12隻の小艦隊が異宇宙へ到達するまでを描くストーリーだが、この数字は十二使徒とみてまちがいない。
そして「ヘクサメロンの王国(これも神の王国のもじりか)」の最後、沸騰するプロト物質の中へ落ちたローダンが新生するくだりは、明らかにキリスト復活がモチーフになっている。これマジやるの? どーすんの? と思ったものだが。

ただ、前回の記事や『カオターク・ミーティング』でも書かれたように、物語はヴルチェクが予言したようには進まなかった。なにせ主ヘプタメル登場まで尺が保たなかった(走召木亥火暴)
ので、“復活”するのもローダンではない。見てみたかったような、こわいような、そんな実現しなかった宗教対決であった。

エスタルトゥの十二奇蹟

そろそろ力の集合体エスタルトゥがハヤカワ版で登場する。十二銀河、十二銀河というけれど、実際に物語の舞台となるのは一部である。12の奇蹟(Wunder)もすべてが物語られるわけではない。……のだけど、30数年前にいろいろと調べたものである。要約集『エスタルトゥへの道』から『プロジェクト・メーコラー』にかけて使った訳語を簡単にまとめておく。

銀河名 銀河名(原語) 奇蹟 奇蹟(原語) 備考
アプザンタ=ゴム Absantha-Gom 災いを告げる蜉蝣 Die Menetekelnden Ephemeriden 1300話台中盤
アプザンタ=シャド Absantha-Shad スティギアの網打ち師 Die Stygischen Netzfischer (未登場)
ダタバール Dhatabaar カリュブディスのシレーネ Die Charybdischen Sirenen 惑星小説284巻(マール)
エレンデュラ Erendyra エリュジウム・リング Die Elysischen Ringe 1250話台
ムヤージュフ Mujadjh 覗き眼鏡のダナイス Die Stroboskopischen Danaiden (未登場)
ムウン Muun 失われたヘスペリデスの贈り物 Die verlorenen Geschenke der Hesperiden 1300話台中盤
パルカキュア Palcaquar エメラルドの鍵月 Die Smaragdenen Schlüsselmonde Werkstattband収録「キーポイント」(フランシス)
シューフ Shufu 興奮の商人 Die Exzitablen Marketender (未登場)
ジオン・ゾム Sion Som 紋章の門 Die Heraldischen Tore 1200話台終盤
ジュラーガル Syllagar 歌うモジュールの輪舞 Der Reigen der singenden, tanzenden Module 1200話台終盤(1話のみ)
トロフェノール Trovenoor オルフェウス迷宮のカリュドーンの狩り Die Kalydonischen Jagden durch die Orphischen Labyrinthe 1300話台序盤
ウルムバル Urumbar ヘリオスの金の雨使い Die Heliophilen Goldregenmacher Jubiläumsband7巻に収録(ヴルチェク)

 

これらの名称は、ストーカーがテラのメディア相手に「ヴィーロノートよ、エスタルトゥへ来たれ!」と宣伝したもので、主としてテラナー向けにギリシア神話がモチーフとして使用されている。当然、現地名とは異なっている。
【例】
×失われたヘスペリデスの贈り物
○失われたエスタルトゥの贈り物

あとストーカー的には「大物狩りが楽しめまっせー」という宣伝で奇蹟扱いだが、トロフェノールの奇蹟はあくまでオルフェウス迷宮だと思うのだ。これ、現地ではプシオン迷宮と呼んでいる、とヴルチェクは書いているが、もうちょい後になると、テラ語由来のプシオンという言葉は十二銀河では使われない(マール)とか言い出して、ややこしいことになるのだけど。

発音については、英語とドイツ語ちゃんぽん読みが随所に見られるが、この頃はまだドイツ語優先だった。ハヤカワ版だと、おそらくエリュシオン・リングになるんだろうな、とか。シオン・ソムにすると重厚感イマイチ……つーか、あの鳥人種族はソマーあたりになるのかにゃあ。

あと、今回ググってみて笑ったのが、Heliophilieの扱い。東方神起一色(笑)
「陽光を好む」を好陽性とか好光性なんてやるとわけわかんないうえにギリシア神話も太陽神もどっかいってしまうので、当時はあえてヘリオス様単独でご出座願ったのだが。

09/05追記:
“災いを告げる”はギリシア神話ではなくて旧約聖書。ダニエル書記載の「メネ、メネ、テケル、ウパールシン」はそのまんま本編にも出てくるのだけど、メネしてテケる蜉蝣、だとちょっと意味が通じないのでやむなし。
テケリ=リ! ぢゃないよ?

とあるまるぺのチラ裏 (1)

〈宇宙英雄ローダン〉とのファーストコンタクトは1978年、中学1年生の夏である。

6年過ごした長崎から千葉へもどる前後、図書館通いをして江戸川乱歩(や、ジュヴナイルSF)を読みあさっていた小学生は、なぜかルパンやホームズへは進まず、早川文庫との出逢いを経てスターウルフ→キャプテン・フューチャーと、順調にスペオペ方面へと舵を切っていた。だいたいハミルトンと野田大元帥のせい。だって、おもしろいんだもの。

おそらく、毎日新聞日曜版で連載していた石川喬司『IFの世界』(後に講談社文庫)の紹介でその存在を知ってはいたし、一部青背を除けば当時は白が基調のハヤカワSFの一角でやけにカラフルな一角は自然と目をひいた。
#グイン・サーガやアンバーはまだ出ていなかった。

いまは亡きN島書店で最初に手にとったのは27巻『金星の決闘』だったと思う。あんまりSFっぽくないあの表紙で、なぜ購読の決断にいたったかはおぼえていない。
ともあれ、44巻『ドルーフ艦隊襲来!』が刊行された同年秋には最新巻に追いついていたのだから、ハマり度合いが知れようというものだ(笑)
ちなみに夏休みの宿題の読書感想文は1巻『大宇宙を継ぐ者』で書いたはず……黒歴史すぎて発掘する気にもならないのだが……。

全然関係ないが、上記27巻の件と同様、あまり記憶力のよくない私だが、44巻を“東京の本屋”で購入したことは、なぜかおぼえている。だいたいその頃、自衛官だった父が砕氷船ふじの乗員として南極まで2往復しているので、晴海埠頭まで見送りにいった帰りがけだったのだと思う。実に関係ないねw

この年には豆たぬきの本『SFワンダーランド』(広済堂)も出版されていて、やはりいまは亡きM田屋で発見し、スタジオぬえ描くところの《タイタン》にわくわくしたものだ(初出は別冊文藝春秋?)。
ただ、遺憾ながら同好の士は、房総半島の片隅には見あたらなかった。いや、いたのかもしらんけどw


ファンダムの話を書こうかな……とは、ちょっと前から考えてはいたのだが。
なにぶん私は、上記に書いたとおり記憶力がよろしくないし、運営サイドに関わったこともない。ファンダム自体の歴史については、井口さんや、マガンこと若林さんらが過去まとめたものがすでにある(閲覧できないかもだが^_^;)。
あくまで一ファンが、あーんなことがあったし、こーんなこともあったねえ……程度のものにしかならないことは自明ではある。そもそもこのサイト自体、一応2年先までは契約があるけれど、いつまで更新できるのかは誰にもわからない。

しかし、インターネットが普及し情報が氾濫している現在ではあるが、便利になった反面“それ以前”が過去に埋もれているのもまた事実。試しに「ローダンFCミレニアム・ソル」と検索をかけても、日本SFファングループ連合のサイトがかろうじてひっかかる程度だ。
別に時代の流れに棹さして抗おうなどというわけではない。「昔々、ネットのない頃のファンは、こんなことをしていたんだよ」と、チラシの裏に書き留めておくだけ。ただそれだけである。

Amazonにあたっただけだが、この年に刊行された宇宙英雄ローダンは以下のとおり:
39巻『還らぬトーラ』(2月)
40巻『核地獄グレイ・ビースト』(3月)
41巻『偽装の銀河ゲーム』(5月)
42巻『アルコンの兵士狩り』(6月)
43巻『権力の鍵』(8月)
44巻『ドルーフ艦隊襲来!』(10月)
45巻『アトランの危機』(11月)
46巻『秘密使命モルク』(12月)
年8冊か。思いのほか出ていたな(笑)

次回があれば、FCペリーワールドに入会したあたりを。
その前に、会誌『インターソラー』発掘しないと……特にマガンに謀られたやつ(笑)

原稿を審査する編集者たち

先だってのクレーの回想録で出てきた“原稿審査係レクトール”について、マガンからツッコミ&考察のメールを頂戴した。原稿審査係と編集者レダクトイアっておなじもの? という。わりとおもしろかったので、自分でもちょっと確認してみた。

ペリペディアでVerlagsmitarbeiter(協力者・社員)を参照すると、LektorとRedakteur(どちらも英語に変換すると「editer」だ)、双方が複数存在する。職責の差がイマイチわからない。
他方、先月のローダン編集部ブログで編集部Who’s whoをやっていたのだが、現在のメンバーに“Lektor”の肩書きを持つ者はいない(約1名、例外アリ)。

Lektorは15世紀にラテン語のlector「読む人」「朗読者」から輸入された語で、そのあたりが学術方面で「講師」(後に外国語講師)、宗教方面で「読師」などに分化していく過程で、「出版社において、原稿を精査し、作者とともに編む」者の名称としても定着したらしい(Verlagslektor)。
一方のRedakteurは18世紀の仏語由来。元々はラテン語のredactum「受領された、引き戻された」からきているみたい。英語redactionも同根である。

さて、Lektorこと原稿審査係を、一時期わたしは単なる「校正者」かと誤解していたこともあるのだが、それだと後述のベルンハルトやシェルヴォカートが鬼軍曹のように怖れられていたことの説明にならない。
Wikipediaの「Verlagslektor」の項によれば、「原稿の選出、修正、評価をおこなう社員」とある。出版の可否をも左右する権限を有していたらしい。そりゃコワいw

校正(Korrektorat)は正書法表記になっているか、文法ミス、タイプミスはないかの修正。編集(Lektorat)は文章の改善、前後関係の齟齬の指摘、わかりづらい言い回しや同語のくりかえしの訂正、シリーズであれば設定関係の確認とか……みたいな文章もあった。
Der Unterschied zwischen Lektorat und Korrektorat

ここで、個人的にヘフトを読んできて、読者とのコンタクトページ(LKS)等で感じた、折々の“イチバン怖いヒト”を列挙してみよう。

クルト・ベルンハルト(Kurt Bernhardt)

1916年生まれ。経歴はPabel社にはじまりHeyne社を経て、ローダン開始時の肩書きはMoewig社のCheflektor。Verlagsleitungという表記もあるが、出版局長とかそのあたりに該当するのかなあ……。
余談だが、歴代《クレスト》の主計官カート・バーナードのモデルとなった人物である。
1982年退職、翌年死去。

ギュンター・M・シェルヴォカート(Günter M. Schelwokat)

1929年生まれ。戦後、進駐軍の通訳などを務め、1957年からMoewig社でRedakteur。ただし立場としては、フリーエディターだったらしい。ローダン開幕後まもなく、エディトリアル関連の作業からシェールを解放するために参画。どこかで聞いたような話……(笑)
1992年に死去するまで、実質的にローダンのChefredakteurであり指導的立場のLektorだったという。異名は〈シュトラウビングのサディスト〉。
※シュトラウビングはシェルヴォカートの居住地。

フローリアン・F・マルチン(Dr. Florian F. Marzin)

1953年生まれ。文芸学の博士号持ち。フォルツ没後編集部に入っていたホルスト・ホフマンと入れ替わる形で1987年に参加。肩書きはChefredakteurだが、時期的にシェルヴォカートとカブっている。
1995年退職(編集長は1992年まで、という記述も存在)、2000年代後半にはライヴァルであるBastei社のSF『シュテルネンファウスト』に関与していたとか。異名は〈ラシュタットの刑吏〉。
※ラシュタットはローダン編集部の所在地。

クラウス・N・フリック(Klaus N. Frick)

1963年生まれ。80年代にローダン・ファンダム界隈で名をあげて、ヘフト巻中のローダン・レポート等にも寄稿していた。1992年にLektor兼RedakteurとしてMoewig社に。1995年にマルチン博士に代わってローダンのChefredakteurとなる。2000年からはVPMのSF・ファンタジー部門全体の総編集長的立場となる。

上記以外にも、ホフマンを編集部に招いた当時のCheflektorミュラー=レイマンや、現在VPMの常務取締役であるフックスとか、ペリペを見ると名前が挙がるが、シリーズにどのように関わっていたのかは詳しいところはわからない。おなじ肩書きでも、部門違い、プロジェクト違いだったりして並列して存在可能っぽいためだ。

ちょっと話は変わるが、現在のローダンの出版元、VPMことPabel-Moewig-Verlagは、元々はErich-Pabel-VerlagとArthur-Moewig-Verlagが母体となっている。80年代に地場の出版社連合(Verlagsunion)と合併してVPM Verlagsunion Pabel Moewigとなり、その後再編があって現行の社名となった(略称はそのまま)わけだが、その実態は様々な部門(印刷とか輸送とか)が独立採算の子会社みたいに分立したグループ会社である。
アーカイヴに残っている社史等まとめてみようとして、難物なため中絶しているのだが、それはさておき、旧Pabel系、旧Moewig系の会社なんかも残っていそうだ。それぞれが編集者にあたる存在をRedakteur、Lektorと呼んでいた可能性もなきにしもあらず。ただ、フリックがなあ(笑)
2006年にMoewig Buch-Verlagが書籍刊行プログラムを停止(後ライセンス契約の形でグループ外会社へ委託)しているので、現在は旧Pabel系の用語のみ残った……と考えるのは、まあ、妄想の類ではある。

2020年現在、VPMのほとんどの部門は親会社Bauerの意向でラシュタットから移転し、残っているのはローダン編集部と子会社のVPM印刷所だけらしい。Lektoratは別部門として引っ越してしまったと考える方が正しい気もする。

で、結局、Lektorってなんて訳すの? という話だが。
Redakteurの語源を調べていたとき、“ひとつのユニットに組み直す(組み上げる)”というものがあった。したがって、作家と情報を共有し、スケジュールを組み、編集部内に業務を分配し、ヘフトシリーズを組み立てるという意味では、Redakteurが「編集者」であることはまちがいない。Lektorは原稿を読み、質を判断し修正する点はともかく、出版の可否の判断とか、出版局幹部(Verlagsleitung)の範疇だし。
前述の考察の中でマガンが、旧Moewig社内に「原稿審査部(Lektorat)」なる部署があったと仮定ししたら、ベルンハルトの肩書きCheflektorは原稿審査部長あたりが正しいことになるねえと書いている。
うん、もうそれでいいや(爆)

猫を尽くしてカッツェンカットを待つ

1224話「Rückkehr in den Frostrubin(フロストルービンへの帰還)」において、ディン・ドンことシガ人ラファエル・ドングがおもむろにダジャレを放つ。

カッツェは息をする。カッツェンカットは指揮をする」

ハヤカワ版「フロストルービンふたたび」

以前、別の記事で、“指揮エレメント”だと、このダジャレちょっと厳しいかな……と書いたが、ハヤカワ版けっこう頑張っている。
またちがう記事で、元になっている諺そのものを題材に取りあげたことがあって、文中1224話のセリフ自体も引用・試訳している。ご参考までに。

人事を尽くして待つものは?

カッツェンカットの肩書き、Element der Lenkungを“指揮エレメント”と訳すのは、マガンあたりは「立ち位置的にその方がわかりやすいでしょ」と肯定的だ。
ただ、上記ハヤカワ版だと、ドングはなんの脈絡もなく、意味不明なダジャレを一発かましただけという……いや、実際にそうなのだが!(笑)

したらば、いったいどう訳すのさ、となった時、電話回線をはさんで2人してアーウーうなったあげく出てきたのが%タイトル%である。
いやもうこれ、指導も指揮もかけらも残ってないwww なんとかの考えやs(ry
#猫は悪くない。

3/13追記:
後日マガンと“宿題”的に「なんか思いついた?」と連絡をかわした。一応列挙しておく。

マガン作:猫はしこうして天寿を待つ。カッツェンカットは指導して天命を待つ。
#rlmdi.訳“指導のエレメント”対応版だあね。

拙作:猫に九生あり、カッツェンカットに十戒あり。
#ひらきなおってるwww

横スクロール(笑)

更新情報、つーか(^^;
古い人間なもので、どうもインターネットというとPCのブラウザで見る。いや、ほら、おじーちゃんiphoneのモニターだと字がちっちゃくていちいち拡大するのめんどいねん。ipad miniが限界(笑)
#しかしKindle版はiphoneで読む。主に通勤電車だから……。

なもんで、自分のサイトがスマホだとどんだけ見づらいか、アタマではわかっていても、ついつい放置していたのだが。データ関係扱いはじめると、表(テーブル)が見切れてアレなのよね……。この度、ようやく修正をいれた。
無限架橋の頃も、HTMLタグの解説ページとか別窓で開きながら、うーんうーんと頭を抱えつつ記述していたもの。Wordpressは解説ページ多くて助かる。

剪定事象

先日、はじめて1年半になるFGO(Fate/Grand Order)で、ようやく2部4章ユガクシェートラをクリアしたのだが……そのエピローグを眺めながら、ふと思った。
あ、これ、ディスクロン剪定(Dys-chrone Scherung)やんけ(笑)

型月の派生作品には『事件簿』以外ほとんど触れていないので、Fate/Extra等でどう説明されているかは、Wiki等でしか知ることはできないのだが、並行世界の概念として「完全に別世界になり、いずれ滅びる枝葉の並行世界」=剪定事象、という部分はFGOにも受け継がれている。

一方、すべての時間の終点〈時の彼方の地〉まではるばる直訴に訪れたアトランの対応に苦慮した超存在テズが、結果として選択したのがディスクロン剪定(双時性剪断)。われわれの宇宙と、アートプ法廷が〈劫火〉等のよろしくない事件が起きないよう監視・管理している世界=テズの誕生する世界を、異なる時間線として分離することだった。
2874話「テズ」のアトラン・サイドは、「では、よき旅を」「ティフっ」「アトランっ」がしっ――と抱擁して終わるのだが、脳内再生でそのシーンのバックに「空 想 切 除」(ばーん)の文字が(笑)

でも、これ、切除されてるのって、どう考えてもこっちの宇宙なんだよなあ(汗)
ま、なんだかまだアルコンに特異点(アートプ導体)が残ってるみたいなんで、カルデアのマスターがだれになるかは知らないが、その奮闘はまだまだ終わらないのだった(混じってる混じってるw

SF年鑑、と当時は呼んでたかな

ローダンNEOの訳者である、鵜田良江さんのツイート。

懐かしや。80年代にはScience Fiction Jahrbuchと題されてたはず。
Heyne社のこれとはまた別に、ローダン出版元のMoewig社からScience Fiction Almanachというのも出ていた。こちらはたぶん、80年代までで刊行終了してる。当時はどっちも“SF年鑑”と呼んでいた。
あの頃はローダン読むので手一杯で、周辺まで手を広げる余裕もなかったので、購入してなかったんだよね……。

個人的には、ドイツのSF関連は90年代から斜陽の時代のように思う。
ただ、あちらは中小の出版社が多数ある中で、社主や編者がSF・ファンタジーの作家であるところも多い。マティアクの紹介で触れたシュヴァーツや、やはり(元)ローダン作家のミハエル・ナグラなんかもこれに該当する。浮き沈みは激しいようだが、00年代にアンソロジーVisionenを刊行したShayol-Verlagや、近年では話題のSF Jahr 2018、2019を刊行したGolkonda-Verlagやp.machinary社などは精力的に短編集を出していたり、PC雑誌や科学雑誌がSF小説のコーナーを設けてたり、作品(短編)発表の場は意外とあるみたい。

話はちがうが、鵜田さんのツイートを拝見していると、NEO以外の作品を訳出されているご様子。『ホログラマティカ』かな? 期待してまーす(^^)

近況:2020/01/29

先日、主要銀河一覧を、ほぼ〈無限架橋〉休止前の状態まで復旧したのに引き続き、本日付けで作家チームのページを公開した。こちらは3055話の時点での執筆数等一覧でまとめたもの。〈無限架橋〉のバックアップを見ると、当時(2200話台)参加したばかりのターナーが担当話数“1”で笑えた。
銀河一覧の方は、せめてアンスレスタとか、もーちょい追加したいものだが、さて。

以下余談だが、わたしも一応Twitterのアカウントは持っている。持ってはいるのだが、基本筆の遅いわたしは、あの字数制限でリプとかつけられるわけもなく。暇な時間に、フォローしている方々のツイートをつらつら眺める程度である。
しかし、それだけでもじゅうぶんに物欲を刺激されるとゆーか。おもしろそうな本があっちでもこっちでもつぶやかれていて、ついついポチってしまうのだった。よーみーきーれーねー(爆)