ローダンNEO、Webサイト独立(& NEOのStaffel)

1月9日付け公式サイトで告知されたように、ペリー・ローダンNEOシリーズ独自のWebサイトが立ち上げられた。
「すでに PERRY RHODAN NEO は“独自の宇宙”なのです」とは公式の弁。いまさらとか言われつつ、ローダン編集部のFacebookもスタートしたようだし、Webでいろいろやる方向は変わらないのかな。

なんかメニューがタッチパネルっぽいのは、Win8の影響だろうか(笑)
ともあれ、少し触ってみたが、ヘフト版本編でのサイクルに該当する Staffel の説明が見あたらないので、ここで簡単にまとめておこう。

1. Staffel (01-08): ヴィジョン・テラニア / Vision Terrania
2. Staffel (09-16): ヴェガ遠征 / Expedition Wega
3. Staffel (16-24): 銀河の謎 / Das galaktische Rätsel
4. Staffel (25-36): アルコンへの進出 / Vorstoß nach Arkon
5. Staffel (37-48): 大帝国 / Das Große Imperium
6. Staffel (49-60): アルコン / Arkon
7. Staffel (61-??): エペトラン / Epetran

第1部は、月面に不時着したアルコン船とコンタクトしたローダンによるテラ連盟創設までと、アメリカのミュータント部隊(!)を率いるクリフォード・モンタニーとの闘い。

第2部は、ローダンたちのヴェガ遠征と、最終的なフェロン人、トプシダーとの同盟締結。その一方でまだ名目上統一されたばかりのテラにはファンタン人が現われ、騒動を引き起こす。すでにこの時点で、ロボットのリコが海底ドームから現われたり、当時の植民地の“司令官”の謎めいた行動の記録とかがボロボロ出てくる。あと、《スターダストII》は奪取できず、海底からサルベージされた《トソマ》が大活躍(ぁ

第3部は、ご存知ワンダラーを探す旅……で、フェロルの過去へ迷い込んだり、惑星トラムプ危機一髪(オルグ登場w)だったりするのだが。カルフェシュとかコバルトブルーの転子状船とかまで出てきていいんかね、これ……。なお、この時点では、ローダンは永遠の生命を拒絶したり。

第4部は、アルコン訪問を企てるローダンがメハンドール(旧スプリンガー)との紛争に、転送機の事故で惑星トプシドに島流しになったエリック・マノリは独裁者への叛乱に、それぞれまきこまれ、地球でも旧中国諜報部の陰謀が進行中。なにせ作中時間、まだ1年経ってないので(笑)、テラ連盟、内実はバラバラである。
ティフとミリーとか、惑星スノウマンとか惑星ゴルとか、基本設定は旧ヘフトのスプリンガー編。しかし、以後実質的にローダンたちの対立者となる〈摂政の手〉ことセルグ・ダ・テフロンと、クライマックスには満を持してあのアルコン人も登場!

そして第5部以降だが、ストーリーは継続したもので、第4部でナート人部隊を寝返らせたり、新造艦《ヴィースト・アーク》をかっぱらったりして、正体不明の〈摂政〉の恨みを買ったローダンが、アルコンに唯一残存するソル星系座標を、謎の〈エペトラン・アーカイヴ〉から抹消するためにアルコン潜入を図る……というもの(正直、データは拡散するという意識の欠如が、旧ヘフトにおけるトプシド昇天作戦からまるっきり進歩してないと思うのだが)。
数十年前に大帝国の全権を掌握したという摂政(Regent)、当初は旧ヘフト同様に巨大ポジトロニクス・ロボット摂政(Robotregent)かと思っていたら、ローダンたちが誘拐に失敗したり、アルコン水晶宮・皇帝寝所に潜入したローダンたちをひそかに待ち受けていたり、少なくともヒューマノイドの外観はそなえているようだ。実はエペトランと同一人物だったりせんだろうな……。
で、依然として、作中時間では1年ちょっとなのである。大丈夫かw

■NEO公式サイト:PERRY RHODAN NEO (リンク切れ)
■公式NEWS:Eigenständiger Bereich für PERRY RHODAN NEO
2017年の改装時に公式サイトに統合されたっぽい。

アトラン青本43巻無期延期に

10月に刊行を予定されていたアトラン青本(ハードカバー)43巻『権力者のドッペルゲンガー』が無期延期になった。これはライセンス契約を結んで青本を発行していたユリシーズ社(Ulisses Medien & Spiel Distribution GmbH、略してUlisses-Spiel Verlag)の決定によるもので、42巻『反撃』までの巻は今後も流通するが、以降の巻についての出版は白紙となった形だ。VPMは43巻以降を取り扱う、新しいライセンス・パートナーを急募中みたい。

青本は、17巻から旧アトラン・ヘフトの『アルコンの英雄』サイクルが進行中で、件の43巻はヘフトでいう270話前後、簒奪者オルバナショルから父の玉座を奪還せんとするヤング・アトラン(笑)の闘いもいよいよ山場……なのだが、ここで島の王の工作員がからんで、アトランやオルバナショルのデュプロが登場して一騒動な一幕、その完結編のはずだった。
ユリシーズ社とのライセンス契約は2011年10月からスタートしている。丸2年で契約解除ってことは、やっぱり、あんま売れなかったのだろう。まあ、いまじゃE-Book版もあるわけだし、やむをえない。

で、ライセンス契約による出版は、実はユリシーズ社がはじめてではない。
青本30巻『ヴァルガン人の待避所』から35巻『魂の癒し手』までがEdel-Verlag、36巻『アコン=アコンの世界』から38巻『アコン人の遺産』までがFanPro-Verlag(ファンタジー・プロダクション)、ユリシーズ社は39巻『ブルーの星系の猛追撃』からとなっている。
……正直、どれも長続きしていないような。

ライセンス契約を結んだ中で、一番手広くやっていたのがファンプロで、2006年から開始された、俗に“アトラン・ポケットブック(Atlan-Tachenbücher)”と呼ばれるシリーズはすべてファンプロから刊行されている。
レプソ、ルデュン、イロヒム、リコ、モノリス、地獄惑星、マラシン、星の欠片、ポリコーラと、一部をのぞき三部作で、2012年11月の『無限の敗残兵』までぜんぶで28巻。時代は3102年から3126年、三部作ごとに一応ストーリーは完結しつつ、伏線やら登場人物やらはひきついだりしている。太陽系帝国から三大星間帝国が独立し、銀河系内部がいろいろ物騒なご時世に、過去銀河系に来訪した異種族の遺産もからんで、案外おもしろそうなんである……が、すべて消化してきれいに完結したわけではないので、ちょっと残念。

また、2009年から2010年にかけて、ATLAN-Xという、これまたポケットブックの、いわば新・アトラン歴史冒険譚なシリーズが全6巻、やはりファンプロから出ている。マーク・A・ヘーレンが草案を担当とあるが、これ当初はぜんぶクナイフェルが書いてたはず……なんだけどな。
ともあれ、ファンプロが2012年いっぱいで、ローダン関係から手をひいてしまったのは、いろいろと残念な話ではある。あんまたくさん出ていると、正直追い切れない面もあるのだが、ヘフト本編がなにかとじれったい昨今、新しいエピソードが出版されつづけていたのは心強かったのだが。

あとは、ライセンス契約とはちょっとちがう気もするが、親会社筋のハイネ出版から出ていたローダン・ポケットブック・シリーズも現在刊行が止まっている。2002年から2011年まで、年イチのペースで出ていた、三部作もしくは全6巻のシリーズは、最初の『アンドロメダ』が好評だったため、オデッセイ、レムリア、《パン=タウ=ラ》、ポスビ戦争、アラ=トキシン、赤い宇宙の帝国、テフローダー、ジュピターと巻をかさねたが、ローダン編集部の言によると、「いまNEOが忙しくて、ポケットブックやらエクストラとかよーやりまへんわー」とのこと。
まあ、NEOは、主に若い世代を中心にそれなりに好評みたいなんで……。
(でもアレ、まだ作中年代1年ちょっとしか経ってないんだよなぁ)

SF斜陽の時代とか言っていたのも今は昔。すでに日没っちゃったかどうかはわからんけど、いずこも台所事情は厳しいのだろう。
どっかの日本語版も、部数減ってるとか聞くけど、だいじょーぶなんかにゃー。

■公式NEWS:ATLAN Blauband 43 kommt nicht im Oktober

2019/06/19追記:
その後の経過をさっぱり書いていなかったわけだが(^^;
結局この翌年(2014年)にBaukau Fiction Verlagとライセンス契約を結んで43巻『権力者のドッペルゲンガー』、44巻『太陽の力』、45巻『叛徒の進撃』の3冊を出版。「アルコンの英雄」サイクルの閉幕をもって、Blaubandの刊行は終了した。

ローダン第5版打ち切り

Phantastik-Newsや銀河フォーラムのスレッドで報じられていたニュースで、内容を吟味してみると、ヘフト2697話のLKS(読者とのコンタクト・ページ)に告知が掲載されていたらしい。それによると、5月17日刊行の1598/1599話(リング人サイクル最終話『〈それ〉の友』まで)をもって、ローダン・ヘフト第5版は終了するとのこと。
基本、購買部数の減少によるものと思われるが、後述する電子書籍版がかなりのサイクルをカバーしつつあることも関係しているようだ。ともあれ、これにともない印刷形式でのローダン・ヘフト重版は完全になくなってしまう。時代の趨勢とはいえ、悲しいものだ。

ローダン・ヘフトの過去の重版については、以下のとおり:
初版:1961年9月8日~
第2版:1966年3月4日(初版は235話)~1987年6月22日(1114話まで)
第3版:1973年2月9日(初版は598話)~2007年7月13日(1798/1799話まで)
第4版:1977年10月11日(初版は842話)~1993年3月31日(799話まで)
第5版:1982年10月5日(初版は1102話)~2013年5月17日(1598/1599話まで)
3版と5版は1993年に2話合本の隔週形式に変更されている。

わたしが原書の購入をはじめた80年代半ばには、「来月の発売予定」のページに、初版から5版まで(と、ファンタジー・ヘフトMYTHORもw)がズラリと並んでおり、実に壮観だった。

第6版:2005年9月8日(初版は2299話)~ (週2話)

「第6版がはじまるらしい」という噂は2000年前後からあったのだが、すでに90年代末から実験的に電子書籍化がおこなわれており、「幻の第6版」はe-bookとして実現した。

現在、ヘフトの電子書籍は20以上の電子書籍サイトで販売されていて、若干フォーマットが異なるとか、サイクルごとのセット販売とヘフト単品もあり、意外と複雑である。一例として、Amazon.deで販売されているKindle版を挙げると、1-1299話、1500-1599話、2500話以降が(サイクルによってセットのみとか個別のみとか、また少し煩雑だが)入手できるらしい。むろんドイツ語だし、日本で流通しているKindleで読めるのかも、わたしは知らない。あしからず。
マガン情報によると、アウトのようだ。
2019年現在は、当然ながら、Amazonジャパンで購入して、普通に読める。

■公式Logbuch:DIE FÜNFTE AUFLAGE WIRD EINGESTELLT
■Perrypedia:Auflagen
■Perrypedia:E-Books

いのちのたね

Biophore / 搬生素、バイオフォア

ふぉあーーー(前、あぶないよーーー)、と叫びたくなったのはわたしだけ? わたしだけか、うんw
ちなみにこっちのフォアは fore。フォアサイトとか、前・先をあらわすけどまさに余談。

コスモクラートの協力者が、生命・知性の播種に用いるオン量子・ノーオン量子のことを総じてバイオフォアという……のだが。ちょっと乱暴じゃないかねその“訳語”。
-phor/phore は、ギリシャ語の phoreinpherein (追記参照) からきており、「運ぶもの、宿すもの」である。
したがって、Biophore とは、「生命のキャリア」なわけで……ファンダムの先達がつくった「搬生素」は、そのものズバリな名訳だと思うのだ。あえて意味わからんカタカナ語にする必要はなかろう。

前に胞子船 Sporenschiff を「播種船」にしちゃうと、わりと汎用SF用語なので、PRS独特のギミックとしての意味が伝わらない旨書いたことがあるが、あえて「搬素船」とかしてもよかったんじゃないかと。
まあ、Sporen (胞子) の語源は、ギリシャ語・ラテン語の Spora ……そのものずばりの「種子」なんだけどね。

長年考えた、とかのたまうわりに、関連する用語を並べたときに、ぜんぜん関連して見えないのは困ったものである。

3/19追記
-phoreの語源の話について、後日マガンから指摘を頂戴した。

phora 名詞
phero 動詞・現在直説法能動相
pherein 動詞・現在不定法能動相

ネタ元にしているペリペの文脈からして、動詞を想定していると思われるので、pherein の誤植であろう、とのこと。
わぁい、やっぱり哲学専攻で希臘語を学んだお人はひと味ちがうぜー。
ありがとうございましたぁっm(__)m

バジスバジス亀の子バジス (3)

というわけで、亀の子バジス最終回は、《ソル》に次いでシリーズで最も長期にわたりメインをはった巨艦《バジス》の形についてである。
なお、試訳では、ルナ緊急オペレーションのリーダーを英語読みに直してある。同姓のSF作家の邦訳が、このあいだ当のハヤカワ文庫から出ているのだが(笑)
閑話休題。

バジスのカタチ

先日、コミケ会場でrlmdi.のブースを訪れた、あるファンの方が、「《バジス》の形がわからないんですが……」とおっしゃっていたそうな。それは、そうだろう。そもそも前回の質問の発端が、《バジス》の描写は原文じゃどうなってる? という点から遡ってのものだったのだ。本来形状を知っている古株のファンが首をひねる表現で、はじめて《バジス》に接する読者が思い描けるわけはないのである。

ハヤカワ版 (p166-168)
 パーツ群は同一平面上に集まりだし、やがて直径十キロメートルを上まわる円盤を形成。さらに数分すると、円の外周部に赤道環のような構造物が見えるようになる。
「なんという怪物!」と、ルナ緊急オペレーションのリーダーがあきれて、「人に聞かれたら、これをどう描写すればいいんだ?」
「わたしなら、カメに似ているというな。それも、救命浮き輪にはまりこんで、うごけなくなった」と、ハミラーはからかうようにいった。「甲羅のうしろがドーム状に、高くつきだしているな。極端なカーブを描く構造物ではないが。からだが浮き輪にはまってしまい、おびえたカメが、だれかに助けられるのを待っている感じか……とにかく、捕まったカメのイメージは、これにぴったりだ」
 レドフェーンはすっかり興奮し、ひとさし指をつきだして、
「だが、あれはなんだ?」と、どなる。「あいつはカメとは似ても似つかないぞ!」
 テラ評議員は友がさししめす方向に目を向けた。月面ボートはハミラーが“救命浮き輪”と呼んだ赤道環をぬけ、なにかの構造物を回避したところだ。
「危険はなさそうに見えるな」と、応じる。「どういうものか、調べてみよう!」
     
 レス・レドフェーンとペイン・ハミラーは、不吉な前兆に満ちた三五八六年一月二十二日の午前十時半から十二時までのあいだ、ネーサンがバジスと名づけた構造物を、至近距離から観察しつづけた。
 月面ボートはゆっくりとバジスの周囲を飛び、やがてその全容が明らかになってくる。
 深さの違うふたつの皿状構造が、バジスの中核を形成していた。皿は一方が深く、一方がたいらで、縁が重なりあっている。この“縁”の部分を、切断面が半円形の赤道環がとりまいているのである。皿は直径が九キロメートル、赤道環は太さが千五百メートルで、全体の直径はあわせて十二キロメートルに達した。
 べつの構造物がふたつ、ちょうど皿状構造物を両端からはさむかたちで、向かいあっている。一方は赤道環から数キロメートルつきだしており、皿との接合部は断面が平行六辺形になっていた。六辺形は先端にいくほどひろがっていき、真横から見ると開いた漏斗、あるいは台形に見える。
 その反対側、バジスの前縁と思われる部分の構造物は、円錐状の基部で接続された、たいらなプラットフォームだった。赤道環の湾曲部から、ほぼ一キロメートル伸び、赤道環と同様の孤を描いている。
 ボートはつづいて、ハミラーがとりあえず“上面”と名づけた、湾曲した皿の表面にそって飛んだ。表面には、円形のプラットフォームが五つあり、この円内には湾曲がなに。プラットフォームはさいころの五の目状に配置されており、中央のひとつは直径が三千メートル、あとの四つは千二百メートルほど。
「こいつが着陸プラットフォームじゃなかったら」と、ハミラーはいった。「学位を返上するぞ!」
 さらに上面の構造物をいくつか見たあと、こんどは“下側”にもぐりこむ。こちら側では、長く伸びるチューブ状の湾曲を見つけた。長さは十キロメートル、チューブの高さは八百メートルに達するが、用途はまるでわからない。

原文:
  Die Masse der Teile formte sich zu einem flachen Gebilde, dessen Durchmesser mehr als zehn Kilometer betrug. Es war kreisförmig, und wenige Minuten später ließ sich erkennen, daß sich entlang der Kreisperipherie eine Art Wulst bildete.
  “Mein Gott, was für ein Mostrum?” stöhnte Redfern. “Wie würdest du das beschreiben, wenn dich einer danach fragte?”
  “Ich würde sagen, es gliche einer Schildröte, die in einem Rettungsring steckengeblieben ist”, antwortete Hamiller belustigt. “Hochgewölbter Rückenschild, nicht ganz so stark gewölbter Bauchschild. Das verängstigte Tier hat natürlich den Kopf eingezogen. Dann kam jemand und hat den Rettungsring darüber gestülpt. Er paßt genau. Die Schildkröte ist darin gefangen.”
  Voller Aufregung stach Resu Redfern mit dem Zeigefinger durch die Luft.
  “Aber dahinten!” rief er. “Da ist etwas, das mit deiner Schildkröte nicht so ganz zusammenpaßt!”
  Hamiller blickte in die Richtung, in die Redfern zeigte. Auf der dem Boot abgewandten Seite des Gebildes entstand etwas, das den Ringwulst, den Hamiller als Rettungsring bezeichnet hatte, durchbrach und überragte.
  “Die Sache scheint ungefährlich genug”, sagte er zu seinem Freund. “Laß und nachsehen, was es ist.”
     
  Zwischen 10:30 und 12:00 an diesem schicksalsträchtigen 22. Januar 3586 wurden Resu Redfern und Payne Hamiller die ersten, die das Gebilde, das NATHAN die BASIS nannte, aus nächster Nähe zu sehen bekamen.
  Als das kastenförmige Boot die BASIS langsam umrundete, wurde folgendes offenbar:
  Das Kernstück der mächtigen Konstruktion bildeten zwei metallene Schalen unterschiedlicher Wölbung, die wie zwei Teller – der eine tief, der andere flach – mit den Rändern aufeinandergesetzt worden waren. Um den Rand dieses Gebildes zog sich ein Wulst von kreisförmigem Querschnitt. Die Schalen hatten bereits einen Durchmesser von neun Kilometern. Der Wulst, dessen Durchmesser fünfzehnhundert Meter betrug, fügte weitere drei Kilometer hinzu, so daß die Gesamtkonstruktion einen Durchmesser von zwölf Kilometern besaß.
  An zwei Stellen, die einander gegenüberlagen, war die Symmetrie des Gebildes unterbrochen. An einer Stelle ließ der Wulst eine mehrere Kilometer breite Lücke für einen Einsatz, der zunächst die Form eines Quaders hatte, sich nach außen hin jedoch in einen riesigen Trichter verwandelte, der weit über die Rundung des Gebildes hinausstach.
  Auf der gegenüberliegenden Seite ragte eine Art Schürze aus der BASIS hervor. Sie bildete eine ebene Plattform von konischer Natur. Ihr vorderer Rand, der rund einen Kilometer jenseits der Rundung des Ringwulstes lag, war wie ein Kreisbogen gekrümmt.
  Sie flogen über die steiler gewölbte Mittelfläche, die Hamiller willkürlich als “oben” bezeichnete, und stellten fest, daß es in der Schale insgesamt fünf kreisförmige Plattformen gab, die aus der Wölbung ausgespart waren. Die großte lag genau in der Mitte des Gebildes und hatte einen Durchmesser von drei Kilometern. Die andern vier waren näher dem Rand hin symmetrisch angeordnet und hatten jede einen Durchmesser von zwölfhundert Metern.
  “Wenn das keine Landeplattformen sind”, sagte Hamiller, “dann gebe ich meinen Diplom zurück!”
  Das Boot kreiste mehrmals um die riesige Konstruktion. Auf der “Unterseite” entdeckten die Männer zwei langgezogene, röhrenförmige Ausbuchtungen, von denen jede eine Länge von zehn Kilometern besaß. Die Höhe der Röhren betrugn achthundert Meter. Ihr Funktion war nicht ohne weiteres ersichtlich.

試訳:
 パーツ群は直径十キロ以上ある平たい構造体を形成。円盤状で、数分足らずのうちに、外周部に沿った環状構造も確認された。
「神よ、なんたる怪物だ!」レッドファーンがうめくように、「だれかに質問されたら、あんた、なんて描写する?」
「そうだな、さしずめ、救命浮き輪にはまり込んだ亀、かな」と、ハミラーがおもしろそうに応じた。「高く突き出した甲羅、あまり湾曲していない腹部。おびえた亀は、むろん頭はひっこめているな。そこへ通りかかった誰かが、救命浮き輪を上からかぶせた。サイズはぴったり。あわれ亀は身動きもならず、というわけさ」
 すっかり興奮したレス・レッドファーンは、人差し指でびしりと指し示して、
「じゃあ、後ろのあれは! 亀にはそぐわない代物があるぞ!」
 ハミラーはレッドファーンの指した方向に目をむけた。物体の、ボートから見て反対側に、ハミラーが救命浮き輪と呼んだリング構造をさえぎるように突き出す何かが形成されつつあった。
「たいした危険はなさそうだ」と、友人にむかって、「見てみようじゃないか、あれが何なのか!」
     
 運命をはらんだ三五八六年一月二十二日の十時半から十二時にかけて、レス・レッドファーンとペイン・ハミラーは、ネーサンが《バジス》と呼んだ物体を至近距離から見た最初の人間となった。
 箱状ボートでゆっくりと《バジス》を周回した結果、次のようなことが判明した。
 強大な構造体の中核は、湾曲度の異なる二枚の合金殻。向かい合わせに縁をくっつけた二枚の“皿”――深皿と平皿――のようだ。合わせ目に沿って、断面が円形のチューブが構造体をとり巻いている。合金殻だけですでに直径九キロメートル。そこへ千五百メートル径チューブによって三キロが加算され、全構造体の直径は十二キロに達する。
 物体のシンメトリーは、互いに向かい合う二ヵ所で断ち切られていた。一方では、チューブの数キロにわたる間隙に、外部へと漏斗状に広がる方錐台がはめこまれ、物体外周から大幅にはみ出していた。
 反対側では、一種のエプロンが突き出していた。コーン状の平たいプラットフォームで、先端は環状チューブの外周からさらに一キロ、アーチを描いて突出している。
 ハミラーが便宜上“上”とした、大きく湾曲した円盤部付近を飛ぶと、外殻には五つの円形プラットフォームが確認された。むろんそこは湾曲していない。最大のものは中央にあり、直径三キロ。あとの四つは外周近くに均等の間隔をおいて設置され、直径はどれも千二百メートルであった。
「あれが着陸プラットフォームでなかったら、学位を返上するぞ!」と、ハミラー。
 ボートは巨大構造体を幾度も周回した。“下”側では、二本の細長い管状隆起を発見した。どちらも長さは十キロメートル。高さは八百メートルに達するが、それだけではどんな用途を果たすかはわからない。

……。
ここで、図面をご覧いただこうか。1100話『フロストルービン』付録の《バジス》断面図解ポスターである:

BASIS (Poster)

収録サイトはMateriequelle ……rlmdi.では通称「ぶっせん」。
デザイナーは、オリヴァー・スコール。後にアメリカ版『ゴジラ』や『インディペンデンス・デイ』のプロダクション・デザインを手がけた人物である。一応、これがオフィシャルな《バジス》のカタチだと思ってほしい。

以下、順を追ってハヤカワ版のおかしなところを見てみよう。
「同一平面上に集まりだし」は、明らかに蛇足。推進部ブロックとか、想像以上にでかいぞ。
Ringwulst……「環状隆起」を「赤道環」としたのは、松谷先生の名訳だと思うが、あくまで球形船の話であって、ディスク型艦艇で赤道環はどうよ?――と書こうとしたら、ブルー族の円盤船にも Ringwulst があるそうな。うーん。

「甲羅のうしろ」と訳すと、なんだか甲羅の高さが前と後ろで異なる、非対称なものを連想してしまう。ハヤカワ版だと、「背中の甲羅」と「腹部の甲羅」を区別していないから、そんなおかしなことになってしまう。これについては、後半でも「深さのちがう平皿」と、大事なことだから2回言っているのに。

「ぴったり」なのは、男性代名詞 er で、これは「救命浮き輪」der Rettungsring をあらわしている。イメージなんて、どこにも書いていない。文章の前後まで操作して、理解力の及ばなかったことをごまかしているようにしか見えない。首と手足をひっこめたところに、サイズが丁度の浮き輪をはめられて、亀は捕らわれ(=gefangen)て身動きとれない状態なのだ。助けてほしいかもしれないが、そんなことは、形の描写には含まれていない。

「月面ボートは(中略)なにかの構造物を回避したところだ。」は……正直、ひどい。ハミラーが何を見たのか、訳せていない。ちょっとカンマで文章が区切られていると、すぐ主語も目的語も見失ってしまうのは『バルディオク』の時と同様だ。
「物体の月面ボートから見て反対側で、何かが生じている。その何かは、環状構造(ハミラーの曰く救命浮き輪)を突き抜け、突出している。」
ボートは、あくまで位置関係を示すものであって、何も能動的動きはしていない。ここでハミラーとレッドファーンは、円盤構造体から大きく張り出した後部駆動ブロックの生成を目撃したのである。

リングの断面は「円形」kreisförmig と書かれている。これを「断面は半円形」と訳したのは、「赤道環」と球形艦と同じ訳語にした弊害としか考えられない。後述するが、訳者さん、いちおう資料(イラスト)にはあたっているようだが、この断面図解を見ていなかったようだ。これさえ見ていれば、格納庫リングの断面が円形なのは一目瞭然なのだが。
少し計算すればわかるが、1500メートル径チューブのリングが、艦本体と接する側のない断面半円形なら、全体の直径は1.5キロしか増えないはずである。半円の隆起が上向いてたりしたら、ものすごいカタチだよ?

さて、続いては、問題の「六辺体」である。原語は、ない。日本語としても、はじめて目にした。
実はジョニー・ブルックによる《バジス》のイラストには、何種類かのバージョン(笑)があって、艦首操船ブロックが球形船になっていたりするものまで存在する。
後部駆動ブロックも、上記図面のように方形から裾が広がっているもの、方形に、円形漏斗が付属したもの、(今回、実例をまだみつけられなかったが)方形ではなくスカート断面が六角形のもの、などがある。訳者さん、どこかでこの最後のパターンを目にしたことがあったのだろう。

にしても、「六辺体」はなかろう。六角錐、くらいがせいぜいではないか。そもそも、該当する位置にある原語が Quader 「直方体」なのだ。他の資料を探してみるくらいのことが、どうしてできなかったのだろう。

……あとは、まあ、大同小異である。
おおよそこれで、後々長くローダンの旗艦となる《バジス》の形状はご理解いただけたのではなかろうか。……だといいなあ(笑)

「SFはやっぱり絵だねえ」とは、わたしの敬愛する野田大元帥の弁だ。最近だと、「ラノベは絵ありき」と混同されてしまいそうだが(をひ)、古今SF関係者は、その空想世界をもっともらしく「絵」にすることに腐心してきた。
ローダン・シリーズの場合は、4話に1回掲載される「断面図解」がその典型だろう。様々な種族の宇宙船や技術が、数百葉の図面となってシリーズを陰から支えている。
訳者さんたちも、たまにはそんなものに触れてみるのも、理解度を深める意味で必要なんじゃないだろうか。

いや、まあ、中には「ありえねえだろ!」とツッコミ入れたいようなものも、ないとは言わないけどね?(笑)

■Perrypedia:Die BASIS
■Perrypedia:Risszeichnungen der Perry Rhodan-Heftserie

バジスバジス亀の子バジス (2)

前回から、だいぶ間が空いてしまった。
正直、内容確認・精査のためにページをめくるたびに誤訳の山で遭難するのに心身の危険を感じたのもある。よくもまあ「マールは大好物」とか書けるものだと思うわ。いやマジで。

謎の「宇宙船一万隻」

該当箇所は、基本はこのあたり:

ハヤカワ版(p140/141)
「あの物体の質量をご存じですか?」とハミラーがたずねた。
「巨大だとしかわからない。三十秒前に報告がとどいたばかりだ」とティフラーは、「だが、計画の全容がわかりそうだな!」
「一ギガトンあります!」
 首席テラナーは息をのみ、とっさには答えられない。
「ギガトンというと……十億トンか!」
 ハミラーがうなずく。
 ティフラーはすばやく暗算した。つまり、あの物体の総重量は、宇宙船一万隻にひとしいということだ。それが意味するところは……ハミラーがいった数字は、たんに外被と構造材の質量だけで、機械装置や燃料はいっさいふくんでいない。最新型高性能船のイオン化・凝集された燃料を搭載すると、質量はその数倍になるだろう。
 空虚質量で一ギガトンとは……!
 二千五百メートル級の中規模艦隊に匹敵するではないか!

で、この文章(実際に質問をうけた時点では「一ギガトンあります!」から)に関する質問は、
 A) 「空虚質量」って、空(カラ)重量じゃないの?
 B) 「宇宙船一万隻」って、原文なに?
問Aについては、ほどなく解決した。原語が Leermasse なので、そもそも誤訳ではない。とゆーか、ちょっと好奇心でネットにあたってみたら、ミリタリー系は空重量、航空機系は空虚重量、自動車業界が乾燥重量で、宇宙飛行関連が空虚質量だった。無重力だからね(笑)

ただ、これはもう完全に趣味の領分ではあるのだが、正しければいいのか、とゆー考え方もある。似たような例に、「空虚空間」Leerraum や「ハイパー空間」Hyperraum が挙げられる。「虚空」や「超空間」では何故いけないのか。いまのマニュアルだと、『超空間からの殺人鬼』も『虚空のルクシード』も存在しえないのだ。閑話休題。

問題は、問Bである。

原文:
  “Wissen Sie, was für eine Masse das Zeug hat?” fragte er.
  “Ich habe die feste Absicht, es in etwa dreißig Sekunden zu wissen”, antwortete Julian Tifflor. “Dann nämlich, wenn Sie die Katze aus dem Sack lassen!”
  “Rund eine Gigatonne!”
  Die Zahl verschlug selbst dem wortgewandten Ersten Terraner für einen Augenblick den Atem.
  “Eine Gigatonne!” brachte er schließlich hervor. “Eine Millarde Tonnen!”
  Hamiller nickte.
  In Tifflors Verstand tanzten Dutzende von Ziffern einen verwirrenden Reigen. Er ging von der Annahme aus, daß aus den mehr als einhunderttausend Einzelteilen einst eine Art Raumfahrzeug entstehen würde. Das bedeutete: Die Einzelteile stellen lediglich die Außenhülle und einen Teil der stützenden Struktur dar. Die Masse, die Hamiller ihm genannt hatte, enthielt keinerlei Beitrag von Einrichtung und vor allen Dingen nicht von Treibstoff, der bei modernen Hochleistungsschiffen, da er in ionisierter, dicht gepackter Form transportiert wurde, ein Vielfaches der Leermasse des Fahrzeugs ausmachte.
  Eine Gigatonne nackte Leermasse!
  Das entsprach einer mittleren Flotte von Giganten der 2500-Meter-Klasse!

試訳:
「あれがどれだけの質量かご存じですか?」
「三十秒後なら知っていること間違いなしだな」と、ティフラー。「きみが秘密を開陳してくれればの話だが!」
「およそ一ギガトンです!」
 この数字には、さしも能弁な第一テラナーも瞬時ことばを失った。
「一ギガトン!」と、ようやく口にする。「十億トンだな!」
 ハミラーがうなずいた。
 ティフラーの脳裏で、一ダースもの数字が乱舞する。まず、十万を超えるパーツ群が、やがて一隻の宇宙船を構成するという前提に立ってみよう。すると、パーツ群は外殻と支持材の一部でしかない。ハミラーが告げた質量には、艤装や、なにより燃料が含まれていない。近代的高性能艦艇では、燃料はイオン化され、高密度に凝縮された形態で搭載されるため、艦それ自体の空虚質量の何倍にもなるはずである。
 空虚質量だけで一ギガトン!
 二千五百メートル級巨船の中規模艦隊に匹敵するではないか!

……。
相変わらず、自分の思い込みで決めた訳語にひっぱられて文章ができあがっている感がある。
この段落を通して、ティフラーは頭の中でちょっとしたパニックを起こしながら、それでも真面目な優等生ぶりを発揮して、がんばって考えるのである。
 1ギガトンだしー
 えーと、前提がアレだしー
 あーなるしー
 こーなるしー
 ……え、1ギガトンっ?
と、最後に「えっ」と口をあんぐり開けて、「ウルトラ戦艦中規模艦隊分じゃないの!」なる結論にいたる。そうした思考のプロセスを順に描写しているのだ。

ハヤカワ版だと、暗算はじめた直後に、計算結果が出たみたいな文章になっている。どうしてこうなったかというと……
単語を読みちがえているのである。Einzelteile(他のページでは「パーツ」と訳してる)が、なんでかしらんけど「宇宙船」になってしまっている(しかも、数字の桁が減っている)。

パーツ10万個 ≠ 宇宙船1万隻

「宇宙船一万隻」……って、どこからきたんだろ? Einzelteile (個々のパーツ【複数形】) を Flottille (小艦隊) と読み違えた? いや、Einheiten(艦艇群)と勘違いしたのか?
そして「宇宙船何隻分」と誤解した時点で、「十万隻じゃ多すぎるし、一万隻にしとこうか」と勝手にいじってしまったのだろうか。「あとがきにかえて」でも、“ありそうな数字”に調整すべきとかのたまってるし。

原文を見てもらえばわかるとおり、ここでは 100000 とか 10000 と書いているのではない。
hunderttausend(十万)と書いてあるのだ。
zehntausend(一万)とは書いていないのだ。
どうして原文の間違いと決めつけて訂正してしまうのだろう。まず自分が単位を間違っていないか確認しようよ? 辞書をもう1回引くだけで済む話だと思うのだが。

で、これまた「あとがきにかえて」で、いろいろと「推測」しているが、例えばPerrypediaには、

ウルトラ戦艦の質量:およそ600メガトン

という記載が、ちゃんとあったりする。約6億トンである。

空虚質量+燃料その他で数倍になるそうだが、この項目が艤装前・済どちらかは明記されていない。折衷案として、単純に半分として3億トン。これで計算すると、総量1ギガトンだと、ウルトラ戦艦3~4隻、という数字が算出される。
個人的には、十万隻単位の艦船が繰り出されるローダン世界で、3~4隻が「中規模」か否か、判断に苦しむところだと思う。しかし、それを決めるのは、わたしでもないし、訳者でもあるまい。

また、これはもう余談に類するが、同じくPerrypediaに、

改装後の《ソル》の総体積は176億立方メートル、質量は36億7000万トンとなる。

出典:2400話

という解説がある。

たしかに上記は中央船体が全長3000メートルに延長された2000話の頃の数字だし、バルディオク・サイクル時代とは素材が異なる(インコニットからカーライトになっている)。だが、「目安」にするならこういう「ローダン宇宙にある数字」に頼るべきではないか。探せば、作家チーム(主にマールやシェール)の考えたデータが、実はいくらでもあるのだ。

Perrypediaはあくまでもドイツのファンダムが主催する企画で、二次資料だからあてにならない、とゆー立場をとるのなら、まあそれはそれでいい。だが、だったら自分の常識(巻末で述べている数字は、結局どれも訳者個人の常識であるし、「現実の地球上にある数字」に基づいている)を立脚点にするなんて手抜きなコトをしちゃ、まずかろう。
とゆーか、重量を問題視するなら、同時にもう片方の、意味不明なうえに訂正を入れた数字「一万隻」の説明も、きっちりしてもらいたいものである。

あと、トランスフォーム砲でギガトン爆弾をバンバン撃ちまくる戦闘の指揮をとった経験もあるティフラーが、ギガトンという単位に目を丸くするのが、個人的にはむしろ驚きである……と言ったら、マガンに「ダイナマイトも原爆も太陽も、適当な距離をおいて見たら、どれも爆発してる火の玉にしか見えないんじゃない?」と反論された。
そうか、【TNT火薬1000】ギガトン【相当】爆弾だから、これまた脳内数字だけってことか……。実物(パーツ群)が目の前にあるのとでは、感ずるところは違うのかもしれないやねえ。

あと、熟語 die Katze aus dem Sack lassen 「猫を袋から出す(秘密を明かす)」の意図するところくらいはちゃんと理解してほしい。計画の全容は、いまだネーサンのメモリのうちである。「あれの質量、知ってる?」のクイズの答えでしかないのだ。
閑話休題。

ハヤカワ版P130でも「大型艦船百隻ぶんと同等の規模」と推測された《バジス》の質量が、どうして「宇宙船一万隻」になってしまったのか。意地悪いかもしれないが、もう少し調べてみた。
1章~3章あたりを探してみたが、Metalteile とか、そのもの Teile とかはあるのだが、Einzelteile は3個所しか見つけられなかった。しかも内1つは訳していないので参考にならない。
とはいえ、「パーツごと」「“パーツ”の群れ」という訳が確認された。

以下に、前者を抜粋する:

ハヤカワ版(p143-145)
「礼をいうのはこちらだ。それで、“外”がどうなっているか、知っているか?」
 首席テラナーはそういいながら、制御コンソールのスイッチ類を操作した。次の瞬間、室内が暗くなり、壁一面にルナ表面がうつしだされる。正確には、その上空……星々をちりばめた宇宙空間が。やがて、その一画を移動していく、怪物じみた巨大な堆積物に焦点があった。
 ケルシュル・ヴァンネはしばらくそれを見つめたあと、
パーツごとに浮遊する物体……あれがネーサンのいう“バジス”でしょう。ただし、まだ完成していないのは明らかです。さらに追加のパーツが必要で……たとえば、上部構造があれば、もっと完全なものになるはず……それをどう呼ぶかは、おまかせしますが」
 ティフラーは立ちあがって、数歩行ったりきたりしたあと、ヴァンネを見てほほえみ、
「わたしの疑問を、すべて一瞬で解消してくれたな」と、いった。「そのとおりだ。まちがいない。で、ネーサンは“バジス”でなにを意図していると思う?」
「ただの予想ですが」と、コンセプト。
「きみはラヴァラルから、人類への任務を持ち帰った。“それ”は大規模遠征部隊の派遣をもとめたわけだ……“パン=タウ=ラ”という名の、謎に満ちたなにかを発見するために。だが、わたしはそれを拒否した……現時点では、人類にそのような遠征部隊を組織する余力がないから」
 振りかえって、巨大スクリーンを見上げ、
「思うに……あれはその決定に対する反応ではないか」と、いった。「いずれにしても、なにが欠けているのか、興味があるな!」

原文:
  “Dafür danke ich Ihnen”, erwiderte Julian Tifflor. “Und jetzt zu der Frage, die Sie eigentlich erwartet hatten: Wofür halten Sie das dort draußen?”
  Er betätigte einen Schalter an der Kontrollkonsole seines Arbeitstischs. Im selben Augenblick wurde der Raum dunkel, und an der Wand erschien ein Ausschnitt der Mondoberfläche mit viel sternenbesätem Weltraum darüber und der monstrosen Ansammlung von Einzelteilen genau im Fokus der Aufnahmegeräte.
  Kershyll Vanne sah das Bild eine Zeitlang an. Dann sagte er:
  “Das Ding, das in Einzelteilen dort schwebt, nennt sich nach NATHANS eigenen Worten die BASIS. Eine BASIS an sich ist unfertig. Sie braucht etwas: einen Überbau, eine Vervollständigung – nennen Sie es, wie Sie wollen.”
  Julian Tifflor ging ein paar Schritte, kehrte um und kam wieder zurück. Als er Kershyll Vanne anblickte, lächelte er.
  “Sie sind meiner Frage geschickt ausgewichen”, sagte er. “Sind Sie sicher, daß Sie keine Ahnung haben, was NATHAN mit der BASIS bezweckt?”
  “Eine Ahnung habe ich schon”, antwortete Kershyll Vanne.
  “Ich auch”, erklärte Julian Tifflor. “Sie kamen von Lavallal mit einem Auftrag für die Menchheit zurück. ES wollte uns auf eine großangelegte Expedition schicken. Wir sollten ein geheimnisvolles Etwas suchen, das sich PAN-THAU-RA nennt. Ich antwortete ihnen, daß die Menschheit im Augenblick weder die Mittel noch das Interesse habe, eine solche Expedition in die Wege zu leiten.”
  Er wandte sich um und wies auf das großflächige Bild.
  “Die Sache mit den Mitteln hat sich anscheinend soeben erledigt”, schloß er. “Was uns jetzt noch fehlt ist das Interesse!”

試訳:
「感謝する。さて、それでは先刻きみも予期していた質問といこう。外にあるあれは、いったい何だと思う?」
 ティフラーが執務卓備えつけの制御コンソールのスイッチを押した。同時に部屋が暗くなり、月面の一角が壁に映し出された。上空は満天の星におおわれている。カメラの焦点がぴたりと合わされたのは、パーツ群の怪物的な堆積である。
 ケルシュル・ヴァンネは、しばしその映像をみつめてから、
パーツ群の形で浮遊するあれこそ、ネーサンのいう“バジス”でしょう。バジスそれ自体は未完成。まだ何かを必要としています。上部構造なり、パーフェクションなり……お好きなように呼んでください」
 ジュリアン・ティフラーは数歩行きつ戻りつし、ヴァンネに向かいあうとほほえんだ。
「うまく質問をそらしたな。ほんとうになんの考えもないのか? ネーサンが“バジス”で何を意図しているのか」
「予感ならば、ひとつ」ケルシュル・ヴァンネがこたえる。
「わたしもさ」と、ジュリアン・ティフラー。「きみはラヴァラルから人類への使命をもちかえった。〈それ〉が、われわれに大規模遠征隊を派遣させたいという。パン=タウ=ラという名の、謎めいた何かをみつけだせと。だが、わたしは、人類には現状そんな遠征隊を送り出す手段も興味もない、と回答した」
 ふりむいて、壁の大画面を指し示すと、
「手段の問題は、どうやら解決したようだ」と、結んだ。「あと足りないのは、興味だけだ!」

……。
そして興味(関心)は、クレタ島方面からデメテルさんの格好でやってくるわけだが。
ああ、いや、Einzelteile の話だった(笑) ここではちゃんと訳しているので、意味がわからなかったわけではないらしい。じゃあ、訳語も数字も原文と異なっている「宇宙船一万隻」は、いったいどこから侵蝕してきたのだろうか。

いや、時々心配になるのだ。わかった部分だけで日本語にしてるんじゃなかろうかと。上記の抜粋が必要箇所に比してやたらと長いのは、ティフとヴァンネの会話が、今回あっちでもこっちでも遭遇した、原文無視の誤訳のいい例だからでもある。
こういう「仕事」を見るにつけ、P296で訳者さんの主張している、

“ありそうな数字”に調整すべきだと思っている。

には、(うちの掲示板でのレスとは違う表現になるが)わたしは賛成できない。そもそも“ありそう”という判断を下す前の段階で、単位や、桁や、前提条件や、話の展開が信用できないからだ。ストーリーや前提を無視して、単位や桁を間違っている人に、これは少なすぎる、これはおかしいといじり回されたら作者は涙目である。

……どんどんgdgdになってきた。
ここは無理くり切り上げて、第3回「バジスのカタチ」につづくとしようorz

バジスバジス亀の子バジス (1)

昔、《ソル》といえば鉄アレイ、《バジス》といえば亀の子タワシだった(私的見解)
ダンベルと聞くと、どうしてもバーベルの縮小版を連想してしまうわけだが、まあそれは今回はさておいて(笑)
亀の子タワシは、ぐるりと輪で結束されているあたりが、いかにも《バジス》っぽくて微笑ましい比喩であったのだ。さて、いよいよその登場回だが。

しかし、まず最初に、わたしの苦手な分野からすませてしまおう。
数字の訂正の話である。
7/31 参考文献追加
   そして単位をそろえてねぇええっorz箇所訂正

テラワットとキロワットの深くて暗い溝

■ハヤカワ版(P15)
「計測可能な活動に必要な消費エネルギーの総計は、十八テラキロワットに相当しますが、実際の消費量は二十六テラキロワットになっています」

原文:
  “Die Summe aller beobachtbaren Tätigkeiten der Hyperinpotronik entspricht einem Leistungsverbrauch von achtzehn Terawatt. Der tatsächliche Leistungsverbrauch liegt bei sechsundzwanzig.”

試訳:
「ハイパーインポトロニクスの公開された活動を合計すると、消費電力は十八テラワット。ですが、実際の消費電力は二十六テラワット前後に達しています」

Leistungsverbrauch は「消費電力」。何ワットの電力を消費するか、という言葉である。相当する、じゃなくて、まんま電力のお話。
「ネーサンは、公称18テラワットの出力(発電能力)がある発電所をフル稼働させますといいながら、実は26テラワットの出力(電力)を使用していました」ということだ。

○「26テラワットを使った」
×「1時間あたり26テラワットを使った」
×「年間累計で26テラワットを使った」

「あとがきにかえて」で訳者さんがいろいろと書いているが、どうやら、意味をちゃんとわかっていないデータを横並べにして、意味の異なるデータを「比較」して、とんでもなく間違った結論を導き出している。
本文で話題になっているのは、出力(発電能力)をどう分配(使用)しているかである。
作業内容が明らかなものが18テラワット、隠蔽されていたものが8テラワットということだ。合計26テラワット。

さて、そこで問題なのが、

■ハヤカワ版(P262)
日本の電力会社の総発電量というものが、(中略)それを合計してみたところ、一時間あたり最大で二億キロワットほどになった。

一般にいう日本の電力会社の総発電量、というのは出力(発電能力)の話。「東電が6500万キロワットの発電能力がある」とか、TVでもよく見かけるようになった。日本全体では最大2億キロワット前後を生産できる。
ただし、(キロ)ワットに、「1時間あたり」という意味などない。

単位をそろえて比較してみよう。

ネーサン管轄下の発電能力 26テラワット=26兆ワット
日本(2012年)の発電能力 2億キロワット=2000億ワット

26兆ワットって、「すくなすぎる」かな?

次に問題なのは、

■ハヤカワ版(P262)
二〇〇八年の世界の総発電量は二十兆キロワット、そのうち日本が一兆キロワット

そんなデータはない。とゆーか、そもそも単位が間違っているのだ。
正しくは、「二〇〇八年の世界の総発電量は二十兆キロワット時、そのうち日本が一兆キロワット時」である。

キロワット時は、「ワット(仕事率)×時間」であらわされる、仕事量である。
日本の総発電量が一兆キロワット時、というのは、2008年の1年間に作った電気を【1ワット×1時間】という単位で数えたら、1000兆個あった、と言っているのだ。
なので、上記・年間の総発電量とは、出力××キロワット(日中or夜間や、季節ごとに可変)で8784時間(366日×24時間)にわたり発電したエネルギー総量のこと。それは桁もくりあがろうというもの。そもそも前2つと同列に論じるべきではない。

ちなみに、18テラワットの出力で発電し続けた場合の総発電量は:
1時間で、“18テラワット時”である。
2時間で、“36テラワット時”である。
1年間では、18テラワット×(366日×24時間)=158,112テラワット時
となる。

単位をそろえて比較してみよう。

ネーサン管轄下の年間発電量 15京8112兆ワット時
2008年の世界の年間発電量 20兆キロワット時=2京ワット時

15京ワット時は、「すくなすぎる」だろうか?

ちゃんと検証しないで、原文の内容を改竄するとか、噴飯モノである。
上記総発電量などを参照すると、世界に占める日本の発電力は5~6%だから、2012年における地球の総発電力は大雑把に4テラワット前後と考えられる。その数倍である原文の数字のままで、なんら問題はないのであった。

ひるがえって、Perrypedia等をひもといてみると、
・ダッカルカムによる銀河系=グルエルフィン間通信に必要な出力が50テラワット
・《クレストIII》の発電力18995テラワット
・《TS-コルドバ》の発電力80万テラワット
といったものすごい数字(笑)がぽろぽろ出てくる。軍事と民生等の差もあろう。しかし、1978年時点でこの話を執筆したマールは、むしろ比較的「現実的な」数字を出したと、そう考えてしかるるべきではないだろうか。

そもそものはじまりは、《バジス》の重量や形状について、訳文でわからない箇所について質問を頂いたことだった。本題にいく前に、このありさまである。いやはや。
と、いうわけで、次回は「謎の宇宙船1万隻」について考証する。

■総務省統計局:世界の統計 第6章 エネルギー 最新版(2019年時)のページ
■時事ドットコム:42年前と現在の電力事情比較 (リンク切れ)

ファンタスティーク大賞とは&受賞作リスト

ドイツ・ファンタスティーク大賞(Deutscher Phantastik Preis)は、ごやてんで取りあげるSF関連三賞の中では一番歴史が短い……のだが、1999年スタートだから、気がつけばもう10年以上継続しているのだった。

ファンタスティーク大賞は、SF、ホラー、ミステリー、ファンタジー他ジャンルを問わずファンタスティックな情報を掲載するニュースサイト Phantastik-News が主催する、読者投票による文学賞。春に予選(Nominierungsrunde)、実行委員会によるノミネート作リストアップを経て、夏に本選(Endrunde)がおこなわれる。授賞式はフランクフルト書店見本市の期間中に開催。

もともと、Phantastik-News 自体がジャンルを問わないうえ、紙媒体、電子書籍、コミック、映画等々取りあげる関係もあって、カテゴリーも実に多彩である。

  • 国内長編部門(Bester deutschsprachiger Roman)
  • 国内新人部門(Bestes deutschprachiges Romandebüt)
  • 海外長編部門(Bester internationaler Roman)
  • 国内短編部門(Beste deutschsprachige Kurzgeschichte)
  • アンソロジー部門(Beste Original-Anthologie/Kurzgeschichten-Sammlung)
  • シリーズ部門(Beste Serie)
  • グラフィッカー部門(Bester Grafiker)
  • 二次創作部門(Bestes Sekundärwerk)
  • ホームページ部門(Beste Internet-Seite)

以上9部門に分けて表象される。賞金はなし。
今回は、他の2賞との兼ね合いで、長編・短編・海外作品・新人(長編デビュー)の4部門だけをリストアップした。

それらの受賞作は以下のとおり:

長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:

1999: Andreas Eschbach / Das Jesus Video / イエスのビデオ
2000: Wolfgang & Heike Hohlbein / Krieg der Engel / 天使戦争
2001: Michael Marrak / Lord Gamma / ロード・ガンマ
2002: Monika Felten / Elfenfeuer / エルフの火
2003: Monika Felten / Die Macht des Elfenfeuers / エルフの火の力
2004: Andreas Eschbach / Der Letzte seiner Art / その型式、最後のひとり
2005: Markus Heitz / Der Krieg der Zwerge / ドワーフの戦争
2006: Markus Heitz / Die Rache der Zwerge / ドワーフの復讐
2007: Markus Heitz / Die Mächte des Feuers / 炎の力
2008: Cornelia Funke / Tintenwelt 3: Tintentod / インキワールド 3: インキたちの最期
2009: Markus Heitz / Das Schicksal der Zwerg / ドワーフの運命
2010: Markus Heitz / Gerechter Zorn – Die Legenden der Albae 1
      / アルバの伝説 1 ――正義の怒り
2011: Markus Heitz / Judastöchter / ユダの娘たち

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

1999: Joachim Körber / Der Untergang des Abendlandes / 西洋の没落
2000: Michael Marrak / Wiedergänger / 再行者
2001: Manfred Weinland / Herz in Bernstein / 琥珀の中の心臓
2002: Andreas Gruber / Die letzte Fahrt der Enora Time / エノラ・タイム最後の航海
2003: Michael Marrak / Numinos / ヌミノス
2004: Markus K. Korb / Der Schlafgänger / 夢遊病者
2005: Andreas Eschbach / Quantenmüll / 量子ディスポーザ
2006: Jürgen K. Brandner / Moordämonennacht / 湿原の悪魔の夜
2007: Martin Schemm / Das Lazarus-Projekt / ラザルス計画
2008: Jörg Olbrich / Herz aus Stein / 石の心臓
2009: Christian Endres / Feuerteufel / 炎の悪魔
2010: Karina Cajo: Der Klang der Stille / 静寂の響き
2011: Vanessa Kaiser & Thomas Lohwasser / Das Herz des Jägers / 狩人の心臓

海外作品部門 Bester internationaler Roman:

1999: Terry Pratchett / Schweinsgalopp / Hogfather / 豚のギャロップ
2000: Stephen King / Atlantis / Hearts in Atlantis / アトランティスのこころ
2001: Joanne K. Rowling / Harry Potter und der Feuerkelch
      / Harry Potter and the Goblet of Fire / ハリー・ポッターと炎のゴブレット
2002: Eoin Colfer / Artemis Fowl / Artemis Fowl / アルテミス・ファウル 1: 妖精の身代金
2003: Stephen King & Peter Straub / Das schwarze Haus / Black House / ブラック・ハウス
2004: Joanne K. Rowling / Harry Potter und der Orden des Phoenix
      / Harry Potter and the Order of the Phoenix / ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
2005: Stephen King / Der Turm / The Dark Tower VII: The Dark Tower
      / ダーク・タワー 7: 暗黒の塔
2006: Joanne K. Rowling / Harry Potter und der Halbblutprinz
      / Harry Potter and the Half-Blood Prince / ハリー・ポッターと謎のプリンス
2007: Trudi Canavan / Gilde der schwarzen Magier 1: Die Rebellin
      / The Magicians’ Guild: The Black Magician Trilogy Book 1
      / 黒の魔術師 1: 魔術師のギルド
2008: Joanne K. Rowling / Harry Potter und die Heiligtümer des Todes
      / Harry Potter and the Deathly Hallows / ハリー・ポッターと死の秘宝
2009: Patrick Rothfuss / Der Name des Windes / The Name of the Wind
      / 風の名前(キングキラー・クロニクル 1)
2010: Sergej Lukianenko: Die Ritter der vierzig Inseln / Рыцари Сорока Островов
      / 四十の島の騎士たち
2011: Neil Gaiman / Der lächelnde Odd und die Reise nach Asgard
      / Odd and the Frost Giants / オッドと霜の巨人たち

新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:

2003: Markus Heitz / Die dunkle Zeit 1: Schatten über Ulldart
      / 暗黒時代 1: ウルダートを覆う影
2004: Nina Blazon / Im Bann des Fluchträgers / 呪い持ちの呪縛
2005: Christoph Marzi / Lycidas / リシダス
2006: Andreas Gruber / Der Judas-Schrein / ユダの聖堂
2007: Christoph Hardebusch / Die Trolle / トロール
2008: Oliver Plaschka / Fairwater oder Die Spiegel des Herrn Bartholomew
      / フェアウォーター あるいは バーソロミュー氏の鏡
2009: Ju Honisch / Das Obsidianherz / 黒曜石の心臓
2010: Oliver Dierssen / Fledermausland / 蝙蝠の国
2011: Gesa Schwartz: Grim – Das Siegel des Feuers / 炎の鏡
※日本語タイトルは、邦訳が確認できたもの以外はすべて仮題

2012年がないのは、この賞だけ、まだ選考中だから……というか、予選が終わったばかりである。

こちらは、最近のベストセラー常連作家 Markus Heitz の人気の物凄さが如実にわかる結果となっている。2003年、新人部門創設と同時に受賞し、以降、長編はほとんど一人勝ちの様相を呈している。ドワーフ・シリーズは指環&ハリポタ・ブームが去った日本だと厳しいかもしれないが、ユダの子ら三部作はハヤリの(?)女性ヴァンパイアだよっ >どこぞの出版社さん
また、こんな作家さん(メインはファンタジーだ)でも、声かけられるとひょいひょいゲスト参戦(2615話)しちゃうあたり、ドイツにおけるローダン・シリーズの評価も、われわれが思う以上に高いのかもしれない。高いといいなあw

しかし、ドイツにおけるSF、ホラー、ミステリー、ファンタジーの分類は、わたしあたりの感覚とは相当異なっているのは確かだが、ファンタスティーク(ファンタスチカ、か?)とひとくくりにすると、意外とファンタジー色が強いのには驚かされる。
パベル=メーヴィヒが70年代にDRAGON、MYTHORと、初のドイツ産ファンタジー・ヘフトで苦戦していたのも今は昔ということか。

■DPP公式サイト:Deutscher Phantastik Preis
■母体のニュースサイト:Phantastik-News.de

ラスヴィッツ賞とは&受賞作リスト

クルト・ラスヴィッツ賞(Kurd-Laßwitz-Preis)は、日本のSFファンにも比較的名前が知られている……かもしれない。その名を冠された近代ドイツSFの父ラスヴィッツ(1848 – 1910)の代表作『両惑星物語』が、非英米SFとしては早期(1971年)に早川書房から翻訳出版されているからだろうか。松谷先生、やっぱすごいな。

ラスヴィッツ賞は、1980年、アメリカのネビュラ賞を雛形に創設された、「ドイツ語圏のSFのプロフェッショナルの投票によって選ばれ」た作品に授与される文学賞である。

ここでいうプロとは、作家、翻訳家、グラフィッカー、編集者、出版社、ジャーナリスト、歴代受賞者etc.あたりを指す(ドイツ版Wikiより)。こうした「投票権」を持つ人々に、選考委員会がリストアップした対象作品とともに投票依頼を送っているようだ。中には棄権する人もいらっしゃるみたい。
(本屋大賞……いやSFラノベ好き書店員大賞みたい、といった方が、若い人には通じたりするのかなあw)

当初6つだったカテゴリー(長編、中編、短編、翻訳者、グラフィック、特別賞)は、幾度かの変遷のすえ、現在8部門(長編、中短編、海外作品、翻訳者、グラフィック、サウンドドラマ、特別賞x2)におさまっている。
サウンドドラマ、翻訳者の両部門には別途、専門の選考委員会が置かれる。

前回、ドイツSF大賞の紹介時にちらりと書いたが、ラスヴィッツ賞の場合、必ずしも商業ベースの作品には限らない(前年に初版刊行、の縛りがあるが)。主として特別賞が、マージナル的な位置づけの活動や、作家・ファン活動への功労者賞的な役割を果たしている。
歴代の受賞作品は以下のとおり:

今回は、他賞との兼ね合いで、長編・中短編・海外作品のみリストアップした。

長編部門 Bester Roman:

1981: Georg Zauner / Die Enkel der Raketenbauer / ロケット製作者の孫
1982: Wolfgang Jeschke / Der letzte Tag der Schöpfung / 創世最後の日
1983: Richard Hey / Im Jahr 95 nach Hiroshima / ヒロシマから95年
1984: Thomas R. P. Mielke / Das Sakriversum / 聖宇宙
1985: Herbert W. Franke / Die Kälte des Weltraums / 大宇宙の冷気
1986: Herbert W. Franke / Endzeit / 終末の時
1987: Carl Amery / Die Wallfahrer / 壁をゆく者
1988: Gudrun Pausewang / Die Wolke / 雲
1989: Norbert Stöbe / New York ist himmlisch / ニューヨークは天国だ
1990: Wolfgang Jeschke / Midas / マイダス
1991: Carl Amery / Das Geheimnis der Krypta / 地下聖堂の秘密
1992: Christian Mähr / Fatous Staub / ファトウの塵
1993: Herbert Rosendorfer / Die goldenen Heiligen oder Columbus entdeckt Europa
      / 黄金の聖者たち あるいは コロンブス、ヨーロッパを発見
1994: Thomas Ziegler / Die Stimmen der Nacht / 夜の声
1995: Hans Joachim Alpers / Das zerrissene Land / 引き裂かれた国
1996: Hans Joachim Alpers / Die graue Eminenz / 灰色の枢機卿
1997: Andreas Eschbach / Solarstation / ソラー・ステーション
1998: (該当作なし)
1999: Andreas Eschbach / Das Jesus Video / イエスのビデオ
2000: Andreas Eschbach / Kelwitts Stern / ケルウィットの星
2001: Michael Marrak / Lord Gamma / ロード・ガンマ
2002: Andreas Eschbach / Quest / クエスト
2003: Michael Marrak / Imagon / イマゴン
2004: Andreas Eschbach / Der Letzte seiner Art / その型式、最後のひとり
2005: Frank Schätzing / Der Schwarm / 群体(邦題:深海のYrr)
2006: Wolfgang Jeschke / Das Cusanus-Spiel / クザーヌス・ゲーム
2007: Herbert W. Franke / Auf der Spur des Engels / 天使の足跡
2008: Andreas Eschbach / Ausgebrannt / 石油の枯渇する日
2009: Dietmar Dath / Die Abschaffung der Arten / 種の根絶
2010: Andreas Eschbach / Ein König für Deutschland / ドイツに国王を!
2011: Uwe Post / Walpar Tonnraffir und der Zeigefinger Gottes
      / ヴァルパー・トンラッフィルと神の人差し指
2012: Andreas Eschbach / Herr aller Dinge / 森羅万象の王

中編部門 Beste Erzählung:

1981: Thomas Ziegler / Die sensitiven Jahre / 多感な歳月
1982: Wolfgang Jeschke / Dokumente über den Zustand des Landes vor der Verheerung
      / 荒廃以前の国情に関するドキュメント
1983: Wolfgang Jeschke / Osiris Land / オシリスの国
1984: Thomas Ziegler / Die Stimmen der Nacht / 夜の声
1985: Wolfgang Jeschke / Nekyomanteion / ネクヨマンテイオン
1986: Hans Joachim Alpers & Ronald M. Hahn / Traumjäger / ドリームハンター
1987: Karl Michael Armer / Umkreisungen / 周回
1988: Karl Michael Armer / Die Endlösung der Arbeitslosenfrage
      / 失業問題の究極的解決
1989: Karl Michael Armer / Malessen mitte Biotechnik / バイオテクノロジーの問題
1990: Werner Zillig / Siebzehn Saätze / 十七の文章
1991: Thomas Ziegler / Eine Kleinigkeit für uns Reinkarnauten
      / われら転生航法者にとっては些末な事柄
1992: Horst Pukallus / Das Blei der Zeit / 時間測鉛
1993: Erik Simon / Von der Zeit, von der Erinnerung / 時間について、記憶について
1994: Wolfgang Jeschke / Schlechte Nachrichten aus dem Vatikan / ヴァチカンからの凶報
1995: Simon Zwystein (Erik Simon, Angela & Karlheinz Steinmüller)
      / Leichter als Vakuum / 真空よりも軽く
1996: Norbert Stöbe / Der Durst der Stadt / 都市の渇き

短編部門 Beste Kurzgeschichte:

1981: Ronald M. Hahn / Auf dem großen Strom / 大いなる河の流れに
1982: Ronald M. Hahn / Ein paar kurze durch die Zensur geschmuggelte Szenen
        aus den Akten der Freiheit & Abenteuer GmbH
      / 自由と冒険有限会社文書より検閲官たちが抜き出した二三の短い場面
1983: Andreas Brandhorst / Die Planktonfischer / プランクトン猟師
1984: Herbert W. Franke / Atem der Sonne / 太陽の息吹
1985: Carl Amery / Nur einen Sommer gönnt ihr Gewaltigen / ただ夏だけの力
1986: Reinmar Cunis / Polarlicht / 極光
1987: Rainer Erler / Play Future / プレイ・フューチャー
1989: Rainer Erler / Der Käse / チーズ
1990: Gisbert Haefs / Wanderlust / 旅情
1991: Peter Robert / Simulation / シミュレーション
1992: Peter Schattschneider / Pflegeleicht / 世話いらず
1993: Angela Steinmüller / Der Kerzenmacher / 蝋燭職人
1994: Gert Prokop / Liebe, Du zärtlicher, zitternder Vogel / 愛、汝かよわき震える鳥よ
1995: Peter Schattschneider / Brief aus dem Jenseits / 彼方からの手紙
1996: Michael Ende / Der lange Weg nach Santa Cruz / サンタ・クルスへの長い旅

中短編部門 Beste Kurzgeschichte/Erzählung:(1997年に中編・短編両部門を統合)

1997: Wolfgang Jeschke / Partner fürs Leben / 生涯のパートナー
1998: Malte S. Sembten / Blind Date / ブラインド・デート
1999: Marcus Hammerschmitt / Wüstenlack / 砂漠ワニス
2000: Wolfgang Jeschke / Die Cusanische Acceleratio / クザーヌス加速
2001: Marcus Hammerschmitt / Troubadoure / 吟遊詩人
2002: Wolfgang Jeschke / Allah akbar And So Smart Our NLWs
      / アッラーは偉大なり――とってもスマートな僕らの無力化兵器
2003: Erik Simon / Spiel beendet, sagte der Sumpf / ゲームはおしまい、と沼が言った。
2004: Angela Steinmüller und Karlheinz Steinmüller / Vor der Zeitreise
      / タイムトラベルの前に
2005: Wolfgang Jeschke / Das Geschmeide / 宝石
2006: Rainer Erler / An e-Star is born / e-スター誕生
2007: Marcus Hammerschmitt / Canea Null / カネア・ゼロ
2008: Michael K. Iwoleit / Der Moloch / モロク
2009: Andreas Eschbach / Survival-Training / サバイバル訓練
    Heidrun Jänchen / Ein Geschäft wie jedes andere / ごくありふれた職業
2010: Ernst-Eberhard Manski / Das Klassentreffen der Weserwinzer
      / ヴェーゼルヴァイン農家の同窓会
2011: Michael K. Iwoleit / Die Schwelle / 門
2012: Frank W. Haubold / Am Ende der Reise / 旅の終わりに

海外作品部門 Bester ausländischer Roman:

1984: Brian Aldiss / Helliconia Frühling / Helliconia Spring / ヘリコニアの春
1985: Philip K. Dick / Valis / VALIS / ヴァリス
1986: Daniel Keyes / Die Leben des Billy Milligan / The Minds of Billy Milligan
      / 24人のビリー・ミリガン
1987: Jerry Yulsman / Elleander Morning / Elleander Morning / エリアンダー・Mの犯罪
1988: Christopher Priest / Der schöne Schein / The Glamour / 魔法
1989: Orson Scott Card / Sprecher für die Toten / Speaker for the Dead / 死者の代弁者
1990: Lucius Shepard / Das Leben im Krieg / Life During Wartime / 戦時生活
1991: Iain M. Banks / Die Brücke / The Bridge / 橋
1992: Iain M. Banks / Die Wespenfabrik / The Wasp Factory / 蜂工場
1993: Iain M. Banks / Einsatz der Waffen / Use of Weapons / 兵器の投入
1994: Connie Willis / Die Jahre des Schwarzen Todes / Doomsday Book
      / ドゥームズデイ・ブック
1995: Ian McDonald / Schere schneidet Papier wickelt Stein
      / Scissors Cut Paper Wrap Stone / 鋏>紙>石
1996: Stephen Baxter / Zeitschiffe / The Time Ships / タイム・シップ
1997: Kate Wilhelm / Inseln im Chaos / Death Qualified: A Mystery of Chaos
      / 死の資格あり:混沌のミステリー
1998: Iain M. Banks / Die Spur der toten Sonne / Excession / エクセッション
1999: Ian McDonald / Narrenopfer / Sacrifice of Fools / 愚か者の払う犠牲
2000: Greg Egan / Qual / Distress / 万物理論
2001: Mary Doria Russell / Sperling / The Sparrow / 雀
2002: Connie Willis / Die Farben der Zeit / To Say Nothing of the Dog,
        or How We Found the Bishop’s Bird Stump At Last
      / 犬は勘定に入れません – あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
2003: China Mi?ville / Die Falter/Der Weber / Perdido Street Station
      / ペルディード・ストリート・ステーション
2004: Vernor Vinge / Eine Tiefe am Himmel / A Deepness in the Sky / 天の底
2005: China Miéville / Die Narbe/Leviathan / The Scar / 傷痕
2006: China Miéville / Der Eiserne Rat / Iron Council / 鋼鉄評議会
2007: Robert Charles Wilson / Spin / Spin / スピン(邦題:時間封鎖)
2008: Sergej Lukianenko / Spektrum / Спектр / スペクトル
2009: Charles Stross / Das Glashaus / Glasshouse / グラスハウス
2010: John Scalzi / Androidenträume / The Android’s Dream / アンドロイドの夢
2011: China Miéville / Die Stadt und die Stadt / The City & the City / 都市と都市
2012: Paolo Bacigalupi / Biokrieg / The Windup Girl / ねじまき少女

※日本語タイトルは、邦訳が確認できたものを除いてすべて仮訳である。

と、まあ、ドイツのSFプロパーな皆さんは、エシュバッハがとっても好きらしいという(笑)

【参考】 エシュバッハの長編小説(と、ジュヴナイル小説)
△Die Haarteppichknüpfer / 髪織絨毯職人 (1995)
◎Solarstation / ソラー・ステーション (1996)
◎Jesus Video / イエスのビデオ (1997)
◎Kelwitts Stern / ケルウィットの星 (1999)
◎Quest / クエスト (2001)
 Eine Billion Dollar / 一兆ドル (2001)
△Perfect Copy / パーフェクト・コピー (2002) [J]
 Exponentialdrift / 指数関数的ドリフト (2003)
◎Der Letzte seiner Art / その型式、最後のひとり (2003)
△Die seltene Gabe / 稀代の才能 (2004) [J]
 Der Nobelpreis / ノーベル・プライズ (2005) ※非SF
 Das Marsprojekt 1: Das ferne Leuchten / 火星計画(1) 遠い光 (2005) [J]
 Das Marsprojekt 2: Die blauen Türme / 火星計画(2) 青い塔 (2005) [J]
△Das Marsprojekt 3: Die gläsernen Höhlen / 火星計画(3) ガラスの洞穴 (2006) [J]
 Das Marsprojekt 4: Die steinernen Schatten / 火星計画(4) 石化した影 (2007) [J]
◎Ausgebrannt / 石油が枯渇する日 (2007)
 Das Marsprojekt 5: Die schlafenden Hüter / 火星計画(5) 眠れる守護者 (2008) [J]
◎Ein König für Deutschland / ドイツに国王を! (2009)
 Black*Out / ブラック☆アウト (2010) [J]
 Hide*Out / ハイド☆アウト (2011) [J]
◎Herr aller Dinge / 森羅万象の王 (2011)
 Time*Out / タイム☆アウト (2012?) [J]
◎=KLP受賞 △=KLPノミネート [J]=Arena社刊のジュヴナイル

前回のDSFPにフェルトホフがいたように、ローダン参加前のツィークラーが受賞していたりするのだが、やっぱり邦訳が存在するのは、『イエスのビデオ』、『深海のYrr』そしてミヒャエル・エンデの中編くらいなのかな。

参考までに取りあげた海外部門は、どっかで見たような作品が並んでいる。翻訳がポシャったらしい「カルチャー」シリーズとか、現在翻訳が進行中のチャイナ・ミエヴィル等は例外として、それでも過半数は邦訳が存在した。いいなあ(笑)

■ラスヴィッツ賞公式サイト:Kurd Laßwitz Preis
■Wikipedia(de):Kurd-Laßwitz-Preis

ドイツSF大賞とは&受賞作リスト

ごやてん(跡地)の記事でよく取りあげるドイツSF関連三賞のひとつ、ドイツSF大賞。
いったいどんなものなのか、いい機会なので、簡単にまとめておこう。

ドイツSF大賞(Deutscher Science Fiction Preis)は、ドイツSFクラブ(SFCD)――ダールトンが創設に一枚噛んだとゆー、ドイツ最大のSFファンクラブ――が、ドイツにおいて前年出版された商業SFのなかで、最も優れた作品を表彰するもの。商業ベースで刊行されたものに限るところが、ラスヴィッツ賞等とは異なる。

創設当初は、SFCD文学賞といったような記憶があるが、ちょっと確認できなかった。
選考は毎年招集される選考委員会(現在は10名)によっておこなわれ、授賞式は毎年のSFCD年次総会を兼ねたコンヴェンションにて執りおこなわれる。2012年の賞金は1000ユーロ……って、いま何円だっけ。

歴代の受賞作品は以下のとおり:

長編部門 Bester Roman:

1985: Herbert W. Franke / Die Kälte des Weltraums / 大宇宙の冷気
1986: Thomas R. P. Mielke / Der Tag an dem die Mauer brach / 壁の崩れた日
1987: Claus-Peter Lieckfeld & Frank Wittchow / 427 – Im Land der grünen Inseln
     / 427――緑なす島々の国
    Friedrich Scholz / Nach dem Ende / 終末の後
1988: Gudrun Pausewang / Die Wolke / 雲
1989: Fritz Schmoll / Kiezkoller / キーツ熱
1990: Maria J. Pfannholz / Den Überlebenden / 生きのびる者たちに
1991: Herbert W. Franke / Zentrum der Milchstraße / 銀河系の中心
1992: Christian Mähr / Fatous Staub / ファトウの塵
1993: Herbert Rosendorfer / Die Goldenen Heiligen / 黄金の聖者たち
1994: Dirk C. Fleck / GO! Die Ökodiktatur / いけ! エコ独裁者
1995: Gisbert Haefs / Traumzeit für Agenten / 工作員には夢のような時代
1996: Andreas Eschbach / Die Haarteppichknüpfer / 髪織絨毯職人
1997: Andreas Eschbach / Solarstation / ソラー・ステーション
1998: Robert Feldhoff / Grüße vom Sternenbiest / 星獣からの挑戦
1999: Andreas Eschbach / Das Jesus Video / イエスのビデオ
2000: Matthias Robold / Hundert Tage auf Stardawn / スタードーンでの百日
2001: Fabian Vogt / Zurück / 遡行
2002: Oliver Henkel / Die Zeitmaschine Karls des Großen / カール大帝のタイムマシン
2003: Oliver Henkel / Kaisertag / 皇帝の日
2004: Andreas Eschbach / Der Letzte seiner Art / その型式、最後のひとり
2005: Frank Schätzing / Der Schwarm / 群体(邦題:深海のYrr)
2006: Wolfgang Jeschke / Das Cusanus-Spiel / クザーヌス・ゲーム
2007: Ulrike Nolte / Die fünf Seelen des Ahnen / 祖先の五つの魂
2008: Frank W. Haubold / Die Schatten des Mars / 火星の影
2009: Dirk C. Fleck / Das Tahiti-Projekt / タヒチ計画
2010: Karsten Kruschel / Vilm. Der Regenplanet / Vilm. Die Eingeborenen
     / VILM(雨の惑星/現住種族)
2011: Uwe Post / Walpar Tonnraffir und der Zeigefinger Gottes
     / ヴァルパー・トンラッフィルと神の人差し指
2012: Karsten Kruschel / Galdäa – Der ungeschlagene Krieg
     / ガルデーア――終わらない戦争

短編部門 Beste Kurzgeschichte

1985: Thomas R. P. Mielke / Ein Mord im Weltraum / 宇宙空間殺人事件
1986: Wolfgang Jeschke / Nekyomanteion / ネクヨマンテイオン
1987: Reinmar Cunis / Vryheit do ik jo openbar / 我、汝らに自由を布告するものなり
1988: Ernst Petz / Das liederlich-machende Liedermacher-Leben
     / 自堕落な作曲家の人生
1989: Rainer Erler / Der Käse / チーズ
1990: Gert Prokop / Kasperle ist wieder da! / カスパール再び参上!
1991: Andreas Findig / Gödel geht / ゲーデルが行く
1992: Egon Eis / Das letzte Signal / 最後のシグナル
1993: Norbert Stöbe / 10 Punkte / 10のポイント
1994: Wolfgang Jeschke / Schlechte Nachrichten aus dem Vatikan
     / ヴァチカンからの凶報
1995: Andreas Fieberg / Der Fall des Astronauten / とある宇宙飛行士の件
1996: Marcus Hammerschmitt / Die Sonde / ゾンデ
1997: Michael Sauter / Der menschliche Faktor / 人的要因
1998: Andreas Eschbach / Die Wunder des Universums / 大宇宙の奇跡
1999: Michael Marrak / Die Stille nach dem Ton / 音のち無音
2000: Michael Marrak / Wiedergänger / 再行者
2001: Rainer Erler / Ein Plädoyer / ある弁論
2002: Michael K. Iwoleit / Wege ins Licht / 光への道
2003: Arno Behrend / Small Talk / スモール・トーク
2004: Michael K. Iwoleit / Ich fürchte kein Unglück / 不幸なんてこわくない
2005: Karl Michael Armer / Die Asche des Paradieses / 楽園の灰
2006: Michael K. Iwoleit / Psyhack / サイハック
2007: Marcus Hammerschmitt / Canea Null / カネア・ゼロ
2008: Frank W. Haubold / Heimkehr / 帰郷
2009: Karla Schmidt / Weg mit Stella Maris / さよならステラ・マリス
2010: Matthias Falke / Boa Esperança / ボア・エスペランサ
2011: Wolfgang Jeschke / Orte der Erinnerung / 思い出の場所
2012: Heidrun Jänchen / In der Freihandelszone / 自由貿易地域にて

※日本語タイトルは、基本的にすべて仮訳である。内容と異なる場合もあるのでお含み置きを。

……と、まあ、並べてみると、わが国への紹介度合いの低さにため息が出てしまう。長編『イエスのビデオ』と『深海のYrr』だけである。
これが、ラスヴィッツ賞やファンタスティーク大賞の海外部門、英語圏の作品だとほとんど紹介済みなのは、やはり言語の壁か。はたまた作風や質的に商業ベースにかなうか否か、なのかは、ちょっと判断に苦しむところ。
かく言うわたしも、エシュバッハとフェルトホフの作品以外、ほとんど読んでないしねえ(汗)
ま、まあ、それはさておき(爆)、残る2賞(ラスヴィッツ、ファンタスティーク)についても、近々にまとめてアップする予定である。日本版Wikiにもないし、誰かの役に立た……なくても、それなりに意味はあるだろう。

■ドイツSF大賞公式サイト:www.dsfp.de