バッテリーでびびびびび

Batterie der Bildschirme /
ずらり並んだスクリーン

びびびびび、というと、水木先生の漫画で往復ビンタが吹き荒れるシーンを思い出すわけだが。
バッテリー、という単語を見ると、やっぱり電池を連想してしまう。モニターの電源? なんか脈絡がないのだが……と思ったら、ずらっと並んだものを意味する慣用句だった。とはいえ、どちらもクナイフェル作品である『恒星三角形の呪縛』と今回の『時間ダイヴァー』、まだ2回しか遭遇していないのだけれど。

語源を調べてみると、バッテリーという語、元々は「殴る、打つ」という意味のラテン語battuereに由来するらしい。野球のバッテリーとか、軍事用語のバタリオンとかも同根。大砲がずらっと並んだイメージであるようだ。
だから、電池→びびびびび→往復ビンタ、という連想は、実は正しかったりする(をひ
冗談はさておき、じゃあなぜ電池がバッテリーかというと、フランクリンが凧を揚げて雷と電気の関係を実証した実験の際、ライデン瓶がずらっと並んでいたから……ということらしい。
ボルタ電池が銅と亜鉛をメガマックのように幾重にも積みかさねた様からきたわけではない、みたい。あれはあれで、すらっと並んでいるように思うのだけど(笑)

前回(恒星三角)のときは、「へぇ、そんな意味もあるのかね」と、辞書を読み流しただけだったのだが、とんだ物知らずであった。いやはや。

時間の井戸雑考

der Zeitbrunnen /
時間の井戸、時の泉

ハヤカワ版ローダンにおいては、カリブソがらみでのみ登場する時空移動手段。地面にぽっかり開いた黒い穴で、のぞきこむと、時折どこぞの風景が見えて、飛びこむとその場所(時間)へと移動が可能。
後には、これがコスモクラート技術(アルゴリアン技術)であり、プシ・ポテンシャル場を用いた、無限架橋と同種のものであることが判明する。地球や惑星バルコンなど、案外いたるところに井戸は存在するわけだが……。
まあ、そのへんはさておいて(爆)

井戸、という訳語は、正しい。rlmdi.を含むファンダムで通用してきた訳語・時の泉は、物質の泉(Materiequelle)と対比されていて、多少の誤解を招きかねない。
であるが、いまだになんとなく、釈然としない。たぶん、井戸というと、石づくりで、横には釣瓶が転がっていて、ひゅ~どろどろという擬音が似合いそうな気がするからだろう。もしくは、かっこーん(それは鹿威し)。実に個人的なイメージの貧困なわけで。
で、最近ふと思ったのが、あの《井戸》は、実はカレーズなんじゃないか、と。カレーズ(ないしカナート)は、井戸というよりは地下水路である。中近東あたりで、地下水を掘りあてた井戸から、横穴を掘って人工的に水脈をつくる……と書くと、また語弊があるよーな気もする。
ただ、そう考えると、時間の井戸同士がつながっているイメージがわいてくる……よーな気がするのだ(笑)

少々恥ずかしい昔話をすると、「物質の泉が material well で、時の泉は time spring かな~」とか考えたことがあるのだが。Quelle = well だと思ったわけ。しかし、むしろ井戸の方が time well になるみたい。英語版だと、物質の泉は matter source だし。井戸、泉、源泉。微妙なニュアンスのちがいって、やっぱりよくわかんない……。
なんでこんなこと書こうと思いたったかというと、ただ単に、『風の輪、時の和、砂の環』(神坂智子)を、ひさしぶりに読みたくなっただけのことなのだが(をい

嗚呼、先任将校よ何処へ行く

Der Erste Offizier /
先任将校、副長
(英語では executive officer / XO)

初期の松谷訳で、ジケルマン中佐を「《ドルスス》の先任将校」と称したように、副長的地位にある人物を「先任将校」と表記している例が見うけられる。最近、見なくなったなあ、と思っていたら、素直に「副長」と訳されていた。
……なんか、寂しい(わがままだな)。

多少調べてみたら、先任将校とは「部隊組織において、指揮官をのぞいた最先任の者」であり、正式に辞令がおりるわけではない、そうだ。上記《ドルスス》においては、当初ローダン自身が艦長であり、ジケルマンが副長的ランクにあったということになる。後、大佐に昇進してからは、ジケルマンが「艦長」なのである。
同格の将校(ないし下士官)が複数いた場合、古株なヤツがその場をシキるというのは、なんだかすごく日本人的な気がするのだが、欧米軍隊においても、ある種臨機応変というか、正式に副長が任命されない小型艦艇などでは一般的な制度であるらしい。

今回遭遇したのは、『恒星三角形の呪縛』に登場するウォルデン・キームラ。エクスプローラー船は、科学者が主体で軍人さんは少なそうなので、やはり「副長」が正しいと思う。でも、近代エクスプローラー艦隊は、なんというか軍艦バリバリな行動をとる輩が非常に多いので、いっそ先任将校でもよさそうな。
『Uボート』を訳した松谷先生だからこその訳語ではあるけれど、このまま消え去ってしまうのは、やっぱりちょっと寂しいのだった。

肉だか魚だか

Das war weder Fisch noch Fleisch. /
それは魚でも肉でもなかった。

サッカー日本代表監督のオシム氏は、キリンチャレンジカップ2007における対ペルー戦を評して、「肉でも魚でもない試合」と語ったそうな。あまりよくないということだ、と。
オシム監督は旧ユーゴ出身だそうだが、ゲルマン系の印欧語族には、もしかして共通して存在する熟語なのだろうか。英語でも neither fish nor flesh というフレーズは、テレンス・ダービーのアルバム名などに見うけられる。
で、手元の独和辞典をみると、魚(肉)でも(獣)肉でもない、は「どちらつかず」の意とある。オシム監督の表現とは微妙にニュアンスがちがっている。あるいは、「めりはりがつかない」と言いたかったんじゃなかろーか、なんて思ったりもするのだが。サッカー観戦しない人間が言うべきことではない。

ローダン1500話では、クローン同士の親をもってうまれたブルー人キュケレンが、自分のことをこう表現している。生粋のクローンでもなければ、インヴィヴォ(生胎誕生者)でもない、ということである。テラの言いまわしがぴったりだ、と。
暗黒の七世紀の後で、銀河系に残されたクローン問題を体現した者たちを、どう言いあらわすべきか――「どちらつかず」ではいまいち弱いし、いっそ「蝙蝠だ」とやってしまおうか……。いや、それだと「鳥でも獣でもない」だしなあ(笑)
かなり悩んだ個所だったのだが。マスコミは偉大である。

――あるがままで、良いのだった。

出典:エルンスト・ヴルチェク『不死を呼ぶ声』

隣のビルへの道を訊かれて…

…答えられないというのはどうだろうか。困ったものである。

きょうの昼前頃、恰幅のよい中東系のかた2名が、おもむろにうちの会社にあらわれて、「Mビルはどこだろうか?」(Mは某商社の社名)と、英語でのたもうた。たまたま、うちの社があるビルもMビルなので、まちがえたのかもしれない。
件のMビルは、通りをはさんだ向こう側にそびえている。
「えーと、まっすぐいって、道渡って、そこにあるですよ、Mビル」
……といった類のことを、(カタコト英語で)言ってはみたものの、なぜか「道を渡る」部分で何回説明してもひっかかる。cross the road ぢゃ通じないのだろうか。
#帰宅してから辞書ひいてみたが、どうもダメそうである。across the street と言えばよかったのかな。

そこで唐突に、途中まで黙っていた少し年若い方の男性が、
「ここにもM社、ありますね?」(当然英語)
廊下はさんでお向かいには、件のM社の関連会社がある。
「あー、それ、どーたー・かんぱにーです」
「オー、ドーター・カンパニー。アイ・シー」
……なんで、こーゆーことだけ、即座に通じるのか(笑)

で、結局どーなったかというと、
「それで、遠いの? 近いの?」(まるで説明が通じていない)
「ねくすと・びるでぃんぐでっすー」
「オー、ネクスト・ビルディング。サンキュー」
お二方は、にこにこ笑いながら去っていた。ふりかえると、同僚たちがなんか目をそらしているような……(笑)
やはり、場数を踏むことは大切である。と、無理矢理まとめようとしてもせつない話。

外国人とコミュニケーションをとろうとするのは、某独検を除くと、実に10ン年ぶりくらいだったり。上野公園前の道路で、中国人らしいふたり連れに、
「銀座って、ここからどーやって行けばいい?」
と、(やはり英語で)質問されたのだが。
思い起こせば、あのときも、回答は英会話をやっていた連れにおまかせだったのだ。
ただし、彼女はヒアリングがぜんぜんダメで、わたしが聞きとり、連れが説明という変則タッグ(爆)
「だって、英会話教室の時は、相手の発音がきれいなんだもの~」
……やっぱり、場数を踏むのが肝要みたいな?(をひ

肉だか草だか

Und alles Fleisch, es ist wie Gras. /
そして人は皆、草のようである。
Vergib mir. Und alles Fleisch, es ist wie Gras. /
わたしを許したまえ。そして、草のようなすべての人々を。

聖書、ペテロの第一の手紙からの引用。むりやり直訳すると「そしてすべての肉、それは草のようなもの。」
肉=人間は草のようで、その栄華は花のよう。そして花が散り、草が枯れるように、人の栄華も去り、生命尽きるときがくる――わけであるが。
作中では、ブラームスのドイツ・レクイエムを引いて、そこで用いられている上記の句を出し、クライマックスにおける主人公の祈りに結びつける。当初、「草のよーな人間……つーたら、“民草”ってやったった方が簡潔でわかりやすいのでわ」と考えたりもしたが、そうするとキリスト者の祈りであること(聖書の引用であること)が伝わらなくなってしまうかもしれない。ので、上記のようにそろえることにした。

ほんとは、all の修飾は単数なので、人々ってのもちょっとナニ。諸人、とかやった方がいいのかなあ。

■出典:カール・アルマー「楽園の灰」

天井桟敷の秘密結社

(die) Loge /
秘密結社

ジャンルによって単語の持つ意味は思いもよらぬほど変化する。辞書の用例、上の方に載っているものが正しいとは限らない。いい例が動詞 ausschalten。回路(Schaltung)を切る(aus)ということで、手元の辞書では 1. 「スイッチを切る」、転じて 2. 「~を取り除く」となっているが、ローダンとかミステリだと、「邪魔者を排除する」、ぶっちゃけ「殺す」という意味合いで用いられることの方が多い。

上記 Loge ローゲも、そうした単語のひとつ。辞書を見ると、「1. (劇場などの)桟敷席、ボックス席、守衛室 2. フリーメースンの支部、集会所」と書かれている。しかし、ローダンでは、そんな意味で使われるのを見たことがない。出てくるときは必ず、2. の派生形というか、Geheimloge の略なのか、「秘密結社」である。フリーメースンの裏の顔しか見てないというかなんというか……。初めて意識したのは『迷走惑星ワンダラー』をまとめる際、ナックの秘密結社〈黄金卵の安息地〉がらみで。
――ま、そもそもローダンで優雅に演劇見てる場面なんて記憶にないけどねえ。

よろめく蛇のように手足を

verschlungen und verschmolzen /
試訳:くんずほぐれつ

手っ取り早く外国語を学ぶにはポルノを読むといい、と最初に言ったのは誰だろうか。けだし至言だ。ご家庭にヴィデオが普及したのもレンタルショップにアダルト・コーナーが常設されているからだしー(をひ

いやね……ヘフト通販のカタログをながめてると、やっぱりそーゆーコーナーにも目がいくわけで(笑)
洋の東西を問わずというか、「名作もの」が並んでたりして。『ガリベラ』とか『ピノッキア』とか。なぜに女性形。これが男なら、ウソをつくとアソコがぐんぐんと(爆)
残念ながらまだ実物を拝んだことはないのだが。たぶん、スラングとかそっち系のボキャとかいっぱいで手も足も出ないと思うんだけどね。実際、はじめて『ミュトール』や『ジョン・シンクレア』を読んだときは、ファンタジー系やホラー系の用語がわからず四苦八苦したもの。そりゃポルノにも当然あるはず。局部描写とか(笑)
まあ、それはそれで新たな境地が拓けるかもしれない……って単に欲望に忠実なだけじゃん。

ちなみに、用例は『ソラー・ステーション』冒頭、宇宙ステーションのリネン室で新たな境地の開拓にいそしむ主人公レナードとヒロイン美子さんの一幕から。「地上400キロを周回しながらこの美しいけものと絡みあい融けあうのだ。」という文章だが、下世話に訳そうとすると、こんなんかなー、と。

■原典:アンドレアス・エシュバッハ『ソラー・ステーション』

恥ずかしいオタマジャクシの話

Kaulquappe /
オタマジャクシ、【ペ】60m級搭載艇
Korvette /
コルヴェット艦、【ぺ】60m級搭載艇

初期ローダン世界で幅をきかせた60m級搭載艇のコードネームと、ギャラクシス級登場時にリニューアルされた搭載艇の名称。略すと、どちらも”K”になるわけで。

で、何が恥ずかしいかというと、わたし、つい先週まで、Kaulquappe = Korvette だとばかり(汗)
シボレーの某有名車も、「あの形状、オタマジャクシっつーよりプラナリアだよなあ」と(爆)
元王子様の著名な曲も、そーゆーものだと曲解して納得していたとゆー(をひ

「コルヴェットって、フリゲート艦より小型の快速艇のことなんねー」と、マガンとの電話で話したら、おっそろしく冷たい沈黙が返ってきた。
……もの知らずって怖い。ちゃんと辞書ひこうっと。

einとderの法則

Psytoh Reiji ist ein Terraner. /
西塔玲司は(初出の)テラナーである。
Perry Rhodan ist der Terraner. /
ペリー・ローダンは(既出の)テラナーである。

rlmdi.の間でのみ通用している経験則である。
ローダン公式サイトやArchivの各話内容紹介において、登場人物欄で、“ein ~” と紹介されているキャラクターは、その巻で初登場、ということ。若干の例外もあるにはあるが、おおよそはそう考えてまちがいない。

昔、マガンに開陳した時には、大爆笑されたもの。
当時のわたしのセリフは、「このキャラは、以前に登場してるはずなんだよ。だってderだもん」だったか……(笑)
とはいえ、未刊行の内容を妄想したり、現物が未入手で二次資料(本国ドイツの要約サイト等)をもとにストーリーを再構築する必要がある場合など、意外と実用的だったりする。
なお、上記例文は(c)マガン。「1000話のネタをやったなら、これも対でないとダメでしょ」とは、当人の弁。