究極の謎と〈法〉

ローダン・シリーズにおける〈究極の謎〉とは、コスモクラートが超コンピューター・ヴィールスインペリウムで解かんとする3つの謎を指す。
なお、至高の謎はないw

新銀河暦424年、ヴィールス研究者キウープに遭遇した人類は、コスモクラートが太古破壊されたヴィールスインペリウムを再建し、原初の謎を解こうと試みていることを知る。
ワリンジャーやシェーデレーアらのキウープとの対話で三つの謎の一部の文言が判明するが、最終的にすべての内容がわかるのは、騎士叙任のためノルガン=テュア銀河の惑星クラト、ケスジャン聖堂を訪れたローダンが、ポルレイターの残した“モラガン=ポルトの憲章石”に対峙したときである。
条文に曰く、

問1. 〈フロストルービン〉とは何か (Was ist der Frostrubin?)
問2. 〈無限アルマダ〉は何処に始まり、何処に終わるか (Wo beginnt und wo endet die Endlose Armada?)
問3. 〈法〉は誰が創り、いかなる作用があるのか (Wer hat das GESETZ initiiert und was bewirkt es?)
原語es bewirkt は多様な意味をもつため暫定訳。過去ファンダムでは“何が記されているか”が定番だった。

やがてローダンは、ポルレイターが220万年前に封印したフロストルービンが、敵対する超知性体セト=アポフィスによって収奪した意識断片の貯蔵庫として利用されていることを知るが、真の解答はアルマダ王子ナコールの物語るオルドバンの回想に登場する。

解1. プシオン場トリークレ=9〈モラル・コード〉の二重螺旋の一部を成す〈コスモヌクレオチド〉。
解2. 始まりも終わりもなくアルマダとなって時空湾曲内に埋め込まれている。無限アルマダ=モラル・コード。すなわち〈宇宙コスモ遺伝子ジーン

ノル=ガマネル帝国の英雄の死後、タルクシール技術で保存されたオルドバンの意識体を、秩序勢力の任務へとリクルートしに訪れたコスモクラート・ティリクが得々と語っているので、1億年前の時点で謎のうち2つまでがすでに自明のことだった……というより、最後の謎へと探求者を導く糸口にすぎない。
「フロストルービン」のようなコスモヌクレオチドを構成要素とするモラル・コードの「無限アルマダ」が、宇宙にもたらす「法則ないし戒律」の創造者とその意味――。

モラル・コードはその情報倉内のプシオン情報量子プシクスから形成された「未来」の情報をメッセンジャーを介して宇宙へもたらす。それは宇宙を織りなす“物理法則”すらも例外ではない。
〈法〉がそれら「法則」を意味するのか、それとも秩序・渾沌勢力の行動を制限する「戒律」的意味合いをもつか、現状では不明である。

創造プログラム以前の“灰色”
深淵の地でアトランら騎士たちが対峙した〈灰色の感化力〉。それによって生まれる灰色のロードたちは、曰く「宇宙に〈創造プログラム〉がもたらされる前の生命」だという。秩序=光=白、渾沌=闇=黒と仮定して、それらが分岐する以前の秩序でも渾沌でもないもの=灰色、と考えることもできる。
しかし、後に述べる理由により、この宇宙は誕生の時点から創造プログラム……〈法〉の影響下にあったと私的には考えている。

混沌の勢力はモラル・コードを〈進化の法典コーデックス〉と呼び、そのもたらす創造プログラムを憎悪している。それこそが、彼らを現在かくあらしめ、かくありつづけることを強いているのだから。
ならば、秩序勢力よりもなおいっそう、その謎を追究しているかと思えば。実はあちらには、すでに“第3の究極の謎を解いた”存在がいるという。2300話からハンガイ銀河を負の球体にせんと盛大にドンパチをくりひろげる渾沌の終末戦隊トライトアの司令官にあたる〈カオプレッサー〉、超知性体コルトロクである。
コルトロクは秩序勢力が実験的に、戦争状態にあった互いに似ても似つかぬ(片方はヴァルペルティア系のヒューマノイド)種族を強制的に精神化させ統合した存在から進化したもので、多分に精神分裂症的傾向がある。カオプレッサーとなるにあたり、トリークレ=9の暴走で生じた負の球体で修行した結果、ローダンが解答を“見た”創造の山の対となる〈負の山〉で悟得したらしい。ただ……曰く「混沌にとり、なんの役に立つのかわからなかった」のだという(爆)
以後6900万年が経過して、宇宙の天秤が混沌側に傾いていないことから、噓ではない、のだと思う。

 究極の調和の感情がかれを満たした。一時に数百万もの事象を観察したのにもかかわらず、ただひとつの混乱もうかがえなかった。逆なのだ。観察すればするほど確信できた。個々無数のできごとをつなぐ関係を感じることを。個々それぞれのプロセスは、プロセス全体と直接に結合していることを。何ひとつ孤立して起こりはしない。無意味なことなどありはしない。すべてのできごとが、ひとつの法則の顕れなのだ。
 〈法〉!

――『エスタルトゥへの道』収録の抄訳

1272話で解と遭遇する前にローダンの見たヴィジョンは、マールなりの解答だと考えることもできるが、素晴らしいけども、たしかになんの役に立つのかわからんなw

〈法〉は普遍か?
灰色の感化力のエピソードで、「では何者かがこの宇宙にモラル・コードを設置したのか?」という疑問が当然出てくるが、これは事実上否定されている。
まず、ドリフェルの例に見るように、モラル・コードは多元宇宙的マルチヴァーサルだ。それと連動して、秩序・混沌両勢力の活動もあまたの宇宙にわたっている。
七強者システムの崩壊でアブルーセを生み出した裏宇宙アレズム。強者ヌスコギヌスが由来する、トライトアの“軍需工場”化で死滅した異宇宙エウディ=アソル=ジャロソ。中でも七強者の背信で宇宙の滅亡が加速した異宇宙タルカンは、通常宇宙よりはるかに古く、すでに収縮過程の終盤だった。
また、アトプ誕生の契機となった“伝説の最初の超知性体”捜索計画だが、この宇宙最初の超知性体は、ビッグクランチを超えて“前の”宇宙から渡来した存在だったらしい。われわれの宇宙以前から、同種の進化システムが動いていることはほぼ確定しているのだ。“遺伝子”だしね。

……と、俯瞰してみると想像以上に古く根をはるモラル・コードだが、そうなると究極の謎は意外と最近のものだ。なにしろ「霜の紅玉フロストルービン」という異名自体が、暴走したトリークレ=9を1100万年前にアポりんが意識断片の貯蔵庫として利用して以降のものである。
ぶっちゃけこの条文は、フロストルービンを封印したポルレイターの後継にあたる“この”深淵の騎士団限定のものである可能性が大きい。
では、至高……じゃないや、“他の”究極の謎があるかというと、実際にある。
アトプの裁判官サエカエルの船には〈究極評議会〉なるものがあって、彼らなりの謎を論議している。

問1. 〈法〉の地平のむこうでは何が起きるか
問2. 質問者は創造の鏡のいずれの面にあるか
問3. 時間は誰のものか

例えば“〈法〉の地平”とは、進化のたまねぎモデルでいうところの「一番外側」であり、コスモクラートより進化しているという〈テズ〉ですら及ばないとか。そりゃ実際なってみないことにはわからんよな。
どの問もコスモクラートの謎と同じものの別の側面、だそうだが。いつか、解は出るのか。

以下余談。
ローダンから諸々の話を聞かされたコスモクラートの転子状船《光力》のアンドロイドは、
「その……パルラクシュント? に書かれた、“宇宙は知的生命体で満たされるべし”ってのが解答なんじゃ?」
と言ったとか言わないとか。
なお、パルラクシュントとは、ATLAN〈アトランティスの王〉サイクルで出てくる、強者イェフェナスの名を冠する超知性体の意識断片を宿したアーティファクト。集めると、巨大なお猫様が復活するみたい。
うん。〈法〉ってか、バイオフォル播け、大群造れ、って命令書なんじゃね?(笑)
イェフェナスの活躍は5000万年前なので、実はカルタン人という線はないw

■Perrypedia:Ultimate Fragen
■Perrypedia:GESETZ

訃報:トマス・ラーベンシュタイン

トマス・ラーベンシュタイン (Thomas Rabenstein)
1963.03.15 – 2025.02.02

2月4日付のPROC(ファン・ツェントラーレ)の告知によると、ローダン作家であり、インターネット上でのファン活動の草分けでもあったトマス・ラーベンシュタインが2月2日に、長い闘病生活のすえ亡くなったとのこと。

オンラインでのファン活動として、彼の主導するPRWCC (ペリー・ローダン・ワールド・コミュニケーション・クラブ)と、現在ファン・ツェントラーレ代表であるニルス・ヒルゼラントのTOPRC(オンライン・ペリー・ローダン・クラブ・テラニア)が1998年に合体したものが、後のPROC(ペリー・ローダン・オンライン・クラブ)の母体となった。

PROCは公式FCともいえるファン・ツェントラーレにプロジェクトを委譲して2016年に解散。

また、彼の運営していたサイト〈Perry Rhodan-Webchronik〉は、各話の要約、用語解説等、後のPerrypediaの前身ともいえる様式だった。まだ電書がなく、原書輸入にタイムラグが数ヵ月かかった90年代に、先読み情報を仕入れるのに、とてもお世話になった。
このサイトは2003年12月に閉鎖され、Webchronikの看板を別のファンに譲り渡した(現在はそちらも閉鎖)。入れ替わるように翌年1月からPerrypediaが立ちあげられ、現在もつづいているのは皆さんご存じのとおり。

彼がいなければ、オンライン上のローダン・ファンの活動は大幅に遅れをきたしたと思う。PROCをはじめ、Perrypedia等、やがて同様のものはできたにしろ、現在の様相はまったくちがうものになっていただろう。多大な功績を残したファンのひとりであることはまちがいない。

サイト跡地では、独自のSFシリーズNebularが発表され、77編(予告された78話はどうなるかは不明)が刊行。一部は英訳もされている。
旧Chronik閉鎖以降ローダンのファン活動とは少し距離をおいたようで、同時期に刊行されたローダン宇宙を舞台としたファンシリーズVithauあたりが最後となるのか。
とはいえ、まったく縁が切れたわけではなく、2019年には2999/3000話の空白を埋めるミニシリーズ〈失われた世紀〉の第2話「黄金の平和」を執筆。ゴンドゥナトの継承権を持つ姫が、第二太陽系帝国を訪問中にテロリストに襲われてVRサバゲー大好きなゲオン人(テラナーの末裔)のお嬢さんに救われるというエピソードで、なかなか面白かった。
また、昔からCGグラフィックを手がけており、自著Nebularの表紙はもとより、PROCの会誌SOLの表紙を担当することもあった。多才なかたであった。

わたしより2つ上なので、来月には62歳をむかえるはずだった。謹んでご冥福を祈りたい。

■PROC:Thomas Rabenstein ist tot
■個人サイト:SciFi World Medien

宇宙英雄ローダン2025

本年のシリーズのスケジュールを簡単に見てみたい。
昨年3300話をもって開幕したサイクル〈フェニックス〉は50話サイクルなので、当然3350話(10月31日発売)から後続サイクルがはじまる。知らんのか(笑)
レウン種族の星尖艦隊に追われつつアゴライをめざすローダンの《フェニックス》、シュレルの《エルダ=ロン》に密航する形となったグッキーとシクさん。過去なにがあってブルはシュレルの憎悪を買ったのか。現在スターキューブはどうなっているのか。そしてブルは。
一方ソル系では“滅亡の証人たち”……コンジットとなったリオスらが“燃える虚無”の謎に挑むが。無が惑星を飲み尽くしたウィコンダー母星と同様の運命をくつがえすことがはたしてできるのか。

現在シーズン〈パラゴン〉が進行中のNEOは2月14日発売の350巻から新シーズン〈インプリント〉が開幕する。
シマイオスの結果、星々は分断され、銀河中枢部に暗黒の力〈パラゴン〉がうずまく数百年の未来。何者かによりステイシス保存されてこの時代へ到達したローダンらは、苦闘のすえ人類の避難所たる惑星ゲーアにいたり、レジナルド・ブル指導のもとガルベシュの怨念に曝された人々と合流する。
Amazonの350巻予告を見ると、なんとかなるらしい(笑)
西暦2461年、過去の恐怖をのりこえ、人類と銀河系文明はひといきついていた。再建が進む中、あらわれたのがハマメシュ種族の宇宙商館である。銀河系各地で、高価な商品を捨て値同然でばらまくハマメシュの目的は何か。ただほど高いものはない、絶対裏に何かあると主張したローダンらは故郷を追放されてしまう――おいおいwww

3月14日から全12話で刊行されるミニシリーズ〈カルタン人〉
公式の発表はまだだが、こちらもAmazonの予告から:
おそらく3300話へいたる戦後復旧の平和な時代……何世紀も音沙汰のなかった友が、地球を訪れ、援助を訴えた。それは細胞活性装置所持者ダオ=リン=ヘイ! おのが種族とともに平和な国家を築き上げたというカルタン人を未知の勢力が脅かしているという。サン計画たらゆー相互扶助プロジェクトを立案したレムール同盟コミッショナー様であるローダンが立ちあがらないわけがない。だが、未知の力は、すでに地球でも蠢動をはじめていたのだ……。
にゃーん星人ファンの皆様、事件ですよー!(笑)

本国ドイツでの書籍版(ヘフトの再編集版、通称銀本)は例年通り4冊を予定。
169. イマーゴ (3月)
170. ストレンジネス狂詩曲 (5月)
171. 目標星アンクラム (9月)
172. タルカンへの急使 (11月)
ヘフト換算30話前後なので、ハヤカワ版が追い越したなあとは思ったけど、タイトル見ると実感するね。

そして本邦のハヤカワ版であるが、一部で危惧されているような事態にならなければ、12月上旬に750巻『不死を呼ぶ声(仮)』が刊行されるはずである。
現在サイクルジン『銀河系に還る』でいう第V部2章「不死を狩る者」が進行中。まもなく合流するアノリーたちによる「キミのお母さん(にあたる種族)は泣いているぞー!」作戦が発動、同時にダオ・リンのもたらしたモトの真珠に眠るローダンに宛てたメッセージから、エラートがキトマさん経由で何者かから与えられた使命が明らかになる。勃興期のカラポン帝国でエラートやテスタレが捜していた人物とは。そして当地で暗躍していた謎のテラナーとは。
同胞の足跡をたどり惑星ビッグ・プラネット、ついでアンドロメダへと流離うイホ・トロトが遭遇した情報提供者は、どっこい生きてたあの人物(笑) そしてハルト人が進行していた壮大な故郷帰還計画。とうとつに出現した“協力者”は告げる。
「われらの目的は、諸君のそれと親和するのだ……」
涙に暮れる母に心折れた(笑)一部のカンタロから得た情報に基づいて、ローダンは太古ブラック・スターロードを建造した〈始祖〉たちのめざした地にいたる――その名をアマゴルタ。そして重大な秘密が露見したことを悟った“ロードの支配者”によってヴィッダー殲滅命令が下される!
銀河障壁を破壊する、最後の手立てを得る工作が進む中、“外”にはハルト人とポスビの大艦隊が到来。銀河系が沸騰するさなか、ひとりのテラナーが荒れはてた故郷の大地を踏む。彼の名はペリー・ローダン……。

カンタロ・サイクルはその成り立ちの経緯やわりと悲惨な人死にから当時いろいろと批判もされたが、現在では〈島の王〉に並ぶ良サイクルとの評価を受けている。怒濤の結末をお楽しみにー!

Die Herren der Straßen

ハヤカワ版722巻『《バルバロッサ》離脱!』で、本サイクルの鍵をにぎる種族Herren der Straßenの訳語が決定した。〈ロードの支配者〉というのは、Schwarze Sternenstraßenがブラック・スターロードになった時点で、まあ予想の範囲内。最近Herrは問答無用で“支配者”なのは、主ヘプタメル関連でも書いたとおり。
でも、今回はそれじゃあかんのよ……。

ちなみに、今回の関連用語を整理してみよう。

ドイツ語 ネイスカム ハヤカワ版 rlmdi.訳
Schwarze Sternenstraßen ブラック・スターロード 星の暗黒回廊
Herren der Straßen ドゥル・アイ・ラージムスカン ロードの支配者 回廊の主人たち
alte Herrscher マクラバン 古の君主 旧主
Archäonten 太古種族 始祖たち

ドイツ語→日本語という翻訳の点では、なんら間違いはない。以下は、その訳語を避けた個人的な理由である。
まず“太古種族”に関しては、エレメントの主ことヴ・アウペルティアを指すdas Alte Volkと丸かぶりなので、当時あれこれ検索して、始祖鳥(Archaeopteryx)――まあ“太古鳥”くらいの意味なので、言ってる内容としては変わらないわけだが――から採用して「始祖たち」にした。

Herrenについては、Twitterで「このサイクルは単数・複数が重要になる」と書いたことがあるのだが、彼らはこのサイクルの黒幕候補(複数形)であり、もう一方の自称敵(単数)との区別が必要。なので複数形のときはいちいち“主人たち”としていた。
そしてもうひとつ、主人ないしあるじでないと、重要な伏線が死ぬのだ(笑)

1472話「不死者たちの桟敷」(ヴルチェク)の冒頭、ローダンに対する刺客がはなたれる場面が出てくる。指示を出す側のセリフは伏せ字とされ、対話が進む。刺客は相手をあるじ(Herr)とくりかえし呼ぶのだが、そこにあるダブルミーニングが隠されている。

 はい……承ります、よ。(……)
 よ、理解しました。はい、アマゴルタの座標は承知しています。あなたの命で駐留する……警固艦隊のことも知っております。(……)
 彼らが失敗することもありえましょう、確かに。(……)
 そうした事柄は、わが種族のものにとり……異質、です。はい、わたしはご信頼いただいて結構です。(……)
 わたしはアマゴルタへ赴くでありましょう。(……)
 はい、よ。任務……承りました。ペリー・ローダンを、殺すのですね。(……)
 そのご質問は驚きました。はい、よ。わたしは忠実にお仕えします。あなたの他に……は存じません。

――Nr. 1472 Loge der Unsterblichen

引用中の“主”はすべてHerr(単数)。当然“ご主人様”の意なのだが、最後の一文は、サイクル最後のどんでん返しの暗示でもある。でも、ここだけ「支配者」にしたらダブルミーニングにならないのよ(笑)
訳語が“ロード・マスター”ならば、刺客がナックなので、FGOの果心ちゃんよろしく全部「ますたあ」にする手もあったのだがw

作中、Herr der Straßenを名乗るキャラが登場するのは、実はこれより後、1474話からなのでうっかり見逃してしまうところなのだが(実際見逃していたのだがw)、後で読み返していて「ああ!」と唸ったもの。ヴルちゃんがんばってるんじゃよ……。
あと、名乗りをあげない状態では、ハヤカワ版にもすでに2名ほど登場している。

以下余談:旧主(Machraban)は、当時なんだか枕番みたいなのがイヤで、Machtの発音にならってマハラバンにした。これはもう完全に好き嫌いの問題であるwww

だって僕は星だから

シュワちゃんの「Stellar Stellar」動画を見ていて思い出した(笑)
これまだ、ちゃんと紹介してなかった。 ATLAN550話「ヒドゥン=X」(グリーゼ)より、“高みに輝く星”ことハイ・シデリトについて。

まず、ATLAN500話「ソラナー」にはじまる〈《ソル》の冒険〉サイクルの状況説明など:
時は西暦3791年(新銀河暦204年)、惑星“ネズミ取りマウゼファレ”からの強力な牽引ビームに囚われた《ソル》。打開の方策をもとめ、おなじくビームにつかまった巨大な“城”へ派遣された調査隊は、そこでめざめたばかりの男を発見する。彼はアルコン人アトラン……!
アトランには、物質の泉の彼岸へ旅立って以降の記憶がなかった。ただ、コスモクラートから与えられた使命、「《ソル》をヴァルンハーゲル=ギンストへ導く」べきことだけをおぼえていた。調査隊によってひそかにソル・セル=1へ運び込まれたアルコン人は、200年のあいだに築き上げられた艦内の醜悪なカースト・システムSOLAGと、ハイ・シデリトをトップにすえた独裁体制に驚愕する。
一方、当代のハイ・シデリト、チャート・デコンはSOLAGに混入した“異物”を排除せんとするも、認めざるをえなかった。艦内諸勢力をまとめ上げて牽引ビームを止めたアルコン人の手腕と、かつて自由を求めて旅立ちながら自らそれを失ったソラナーたちに与えられた“新たな使命”がもたらすポジティヴな変革を――。
惑星カイルを抑圧したロクスハル人、これを感化する“精神ファクター”、アル=モハンドート銀河の“ニッケル収奪者”ユステロン人……。反目し合うツートップに率いられた《ソル》の前に立ちふさがる者たちの“背後に立つ未知者”ことヒドゥン=Xはネガティヴ超知性体だった。かつてセト=アポフィスの意識片より創られ、捨てられた挿し木、鏡像体。他者を顧みず、ただひたすら力を求めた先にコスモクラートたらんと欲するその道は、実は創造者とおなじ袋小路なのだが……。

ヒドゥン=Xの座たる要塞ユステリオーンに潜入したアトランとチャート・デコン。余人をまじえぬ状況で、ハイ・シデリトが思わず本音を漏らす。

「ハイ・シデリトか」デコンがひときわはっきりと、「わしはこの職も、その名も大嫌いだ。その意味すら知らぬというのに」
「その名称を考案したのは、なかなかの智者だぞ。シドゥスが“星”を、シデリスは“星の”を意味する。インターコスモにも影響を与えた、地球の古い言語でな。ハイも、また別の昔のことばで“高い”のこと」
「では、全体での意味は?」デコンは立ち上がり、アトランへにじりよった。
「宇宙的システムにおける、高みに輝く星」と、アトラン。「まあ、意訳だがね」

――ATLAN Nr. 550 Hidden-X

アトランはやや回りくどい言いかただが、要は“英語とラテン語のチャンポン”だと言っている(笑)
SOLAGというシステムの、一番てっぺんに輝く星である、と。
ハイ・シデリトの名称は初代独裁者であるエルヴィン・グラドルの考案だが、当時の《ソル》でラテン語教育とかあったんかいなとは思う。まあ、インターコスモに駆逐されて、英語ですら死語なことは後のローダン正篇でも言及があるわけで。死語+死語なわけ。

ともあれ、デコンはヒドゥン=Xのユステリオーンにおける宿体たる彫像とともに自爆し、《ソル》を……彼の“家”を護ったのだった。 アトランと、次代の“高みに輝く星”たる息子ブレッククラウン・ハイエスに未来を託して。

アトランを頂点にすえた亜鈴船は、ヒドゥン=Xとその超兵器フレクト=ユンをうちやぶり、背後で暗躍していた反ホムンクと〈反それ〉、ひいては無名ゾーン自体にひそむ勢力との戦いを経て、いったんは失われたヴァルンハーゲル=ギンスト星域の座標をとりもどす。多くの犠牲をはらい、いくつもの銀河で〈平和セル〉を築いたはてに、収容したスプーディを携えてクランドホルの公爵領という“緩衝地帯”を、〈それ〉とセト=アポフィスの力の集合体のはざまにうちたてる。

ローダン正篇とATLANの連動、という面では、ヒドゥン=Xの正体が明らかになるのが正篇で“自転する虚無”がフロストルービンであると判明直後とか、銀河系艦隊がフロストルービン宙域で無限アルマダと遭遇するのと同時に、ヒドゥン=Xの最終兵器フレクト=ユンのあるゾーン=Xへ突入するとか、フォルツが草案を離れたあとも、グリーゼはけっこう頑張っている。これは盛りあがるw

ハイ・シデリトという名称はさらに数百年を経ても残されているが、もはやかつてのように“てっぺんに輝く星”ではなくなっていた。実に残念な話ではある。

■Perrypedia: High sideryt

※9/14 曲名の綴りまちがいを修正。さんきゅーマガン♪

惑星小説318巻『暗黒の諸世紀』

惑星小説318巻『暗黒の諸世紀(Die dunklen Jahrhunderte)』は、当時の草案作家ヴルチェクによる、1400話「夜の神々」において発生した、停滞力場による主人公ローダンらの時間ジャンプで跳びすごした695年――後の世に「暗黒時代」と呼ばれる――の歳月を埋めるオムニバス短編集である。キーとなるのは1隻の船。時に名を変え、役割を変えつつ、その船が体験した事件を描写している。
また、プロローグとエピローグの舞台となる「宇宙船の墓場アッシー=バラン」については、本巻と同時発売である正篇1464話の付録レポートで紹介がなされるが、次サイクルになって、リング人が急速な技術革新をなしとげた背景には、上記の廃棄場から再利用可能な機器を回収した事実があったと言及がある。

時系列としては、当時ローダンらは銀河障壁をなんとか突破。抵抗運動と合流するも、カンタロとの会戦で一敗地にまみれる。
星の暗黒回廊のかなたからカンタロの母種族アノレーの代表を連れもどったティフラーらも合流し新たな作戦を実行に移す一方で、ローダンを“敵”と呼ぶ謎の存在〈モノス〉があらわれたり、ソル系が消失したり、“幽霊船”の新たな被害者が出たりしているのだが、本巻の事件自体はそれらとまったく関わりがない。

プロローグ

新銀河暦1145年10月、「宇宙船の墓場」の噂をたどったひとりの男がアッシー=バランへと足を踏み入れた。その男デンソッダーはカンタロのパトロールの目を逃れ、1隻の残骸に潜り込む。その船の名は《エリシアン》。
時間つぶしに、まだ機能が生きていた艦載シントロニクスと会話をはじめたデンソッダーは、その計算脳に、驚くべきことに銀河系の“真の歴史”が記録されていることを知る。

1 命名

I 日曜日の子どもたち

新銀河暦480年、地球ではデルタ・スペース社の新型プライヴェート・ヨットのプロトタイプが完成。名誉会長ジェローム・モンテフェッロの一人娘にちなみ《エリシアン》と名づけられた。だが、アダムスをはじめとする貴顕も列席したセレモニーは、デイトンの発令したブリッツァー警報のため中断される。
それが運命を象徴したかのように、戦時経済で個人向けヨット市場は壊滅的打撃をうけ、翌年デルタ・スペース社は倒産。建造済エリシアン型500隻は医療船として転用される。《エリシアン》自体は485年、25歳の誕生プレゼントとして娘へ贈られるが、翌年彼女が惑星マルディ=グラへ転勤する際、タフンへと送り返された。
490年のブリッツァー禍で惑星マルディ=グラが壊滅した際にエリシアン・モンテフェッロは死亡。悲嘆に暮れたジェロームも娘の後を追った。

II 未来からの逃亡

新銀河暦490年にペリー・ローダンらが不可解な帰郷と“死”を遂げたあと、ヴァニティ・フェアは逃げることにした。デイトンが怖ろしかった。自分の宿した生命を守らねば。逃亡に使用した《エリシアン》の艦載脳に細工をして、“真の歴史”が記録されるよう手配したのは彼女である。
当時すでにアダムスは行方が知れず、デイトンも491年1月に“事故”に遭い、以後人前に出る際にはフルフェイスのヘルメットをはずさなくなっていた。

フルフェイス版のデイトンは、第2の過去編「ヒューマニドローム」で正篇に登場。
当時わたしは「ロボ天使かよ!w」とツッコミを入れていた(『悪が呼ぶ!』は当時連載中)。
すでに“ブルの子”であることは確定だったらしいシーラ・コレルは、紆余曲折あって次サイクルで出てくる。

また、これはさらに別の外伝の話も含め、当時すでにシメド・ミュルフやエイガー・カトメン、ファーロン・ストレッターら、後に“回廊の主人”として名の挙がる者たちが、歴史の表裏で活動をはじめている。

III システムの虜囚

490年5月、アダムスは(おそらくカンタロの)せむし船によって誘拐され、どこかもわからぬ場所に幽閉されていた。1年後ようやく脱出した彼は、そこが惑星タフンであることを知る。
《エリシアン》で逃走したアダムスは、カンタロの目的を探るため極秘に組織していたハンザ下部組織の秘密商館へ。銀河系の現況を聞かされ、アダムスは地下へ潜ることを決意する。

2 月曜日の装置

I 獣の咆哮

新銀河暦545年。すでに個人での宇宙航行は禁じられている。ただ、怪しげな特例法として、「テラで生まれた者及びその子孫には帰郷を許可する」というものがあった。
“ビーストロア”の異名をもつ惑星ショウルマーガーには多数のテラ植民者の末裔がいた。そのひとりである老人ジョック・タマリンは、数々のお役所仕事との格闘を経て、ようやく渡航許可を手に入れた。だが、用立てられた船はわずか1隻、定員8名(乗員込み)の《エリシアン》だけだった。

II テラ

《エリシアン》はヴェガ星系、惑星ゴルを経由してテラへ到着した。唯一無二の楽園へ! そこで人は精神の力で老化することなくすごせるのだという……。
だが、すべては虚構。テラへの旅自体がVRによるものだった。ジョック・タマリンは年老いた身体が負担に耐えきれず死亡した。装置はさらに改良されねばならない。

月曜日(Montag)は、組立・編集の意があるモンタージュ(montage)の含意がありそう。
要は、シミュセンス・ネットワークの実験は当時すでにはじまっていたということだ。

3 ヴァレンタイン・デイ

新銀河暦684年。《エリシアン》は《クラマウク》と名を変え、惑星エベナードの周回軌道に停泊していた。スカーシュと女ダンサー、パイパーの率いる興行チームは、また密かに抵抗運動のサポートもおこなっていた。不意に訪れた第一ギャラクティカー、ガルブレイス・デイトンはすべてをお見通しらしかったが。
そこへ入った、工作員エルマー・ヴィロンからの救難信号。実はヴィロンはカンタロの二重スパイであり、他の工作員たちを逃がすため、スカーシュはヴィロンを虚空のただなか行きの転送機へと誘き寄せる。失敗を悟ったヴィロンはスカーシュをまきぞえに自爆をはかる。しかし、スカーシュは生き残った――繭マスクを損傷しつつも、ヴァリオ=500は生きのびたのだ。

実はこの事件がもとで、エルマー・ヴィロンは抵抗運動の“英雄”として後世まで語り継がれる。新銀河暦1146年、テケナーがエルトルス潜入に使った偽装商船が《エルマー・ヴィロン》である。
そしてこの事件にまつわるパイパーへの悲恋からヴァリオ=500にはある種の“自殺願望”がめばえるのだが、正篇だけだとその行動の理由がさっぱりわからないというw

4 水曜日はエルトルス人の日

新銀河暦738年、《エリシアン》は6名のエルトルス人を乗客としていた。彼らは第一ギャラクティカー、デイトンの与えた試練に挑んだ戦士たち。
半世紀前、エルトルスを襲った疫病と飢饉の災禍に対する援助の代償として、デイトンは強化クローン、ヒグフォトとの対抗戦での勝利を求めたのだ。だが、デイトンは約束を守らなかった。翌年の再戦が要求され、援助はその勝利の代価とされた。そして、6名が故郷へ戻ることはなかった……。

5 緑なす聖木曜日

新銀河暦490年のブリッツァー禍で壊滅した惑星マルディ=グラ。150年間の再テラフォーミングを経て、新銀河暦875年に復興を遂げたとされたこの星だが、実態はまるでちがっていた。防御ドーム内でしか人は生きられず、アラスのジェネシス計画による怪物的なキメラが跳梁する世界と化していた。

6 13日の金曜日

新銀河暦1000年の到来をきっかけに大赦がおこなわれた。懲罰キャンプから解放された元サテライト・サイボーグのサムソン・ヤエリーは仲間たちとサカラ星系アウテムに入植する許可を得た。だが、そこはあまりに苛酷な惑星だった。
移民の際に知り合い、結婚した女性が死亡したとき、サムソンはもう我慢ならなくなった。元指揮官のもとへ集ったサテライト・サイボーグらを加えた抵抗運動は、惑星アウテムを火花へと変えた。

サテライト・サイボーグはエクトポッドとも呼ばれ、体組織、主に四肢などに“サテライト”と呼ばれるロボット・セグメントが使用され、脳インパルスによって遠隔操作が可能なタイプ。

7 土曜日のたそがれ

新銀河暦1071年。カンタロのナオショムによってアラロンから培養惑星シュウンガルへと貴重な細胞試料を運搬中だった《エリシアン》は機関トラブルで虚空で立ち往生する。
抵抗運動の船《クイーン・リバティ》が接近したとき、ひとつのインパルスがナオショムの心臓に組み込まれたモジュールに受信された。

培養惑星シュウンガルはサイクル後半で名称だけ出てくる。偵察へむかった艦は後に残骸で発見される。
《クイーン・リバティ》は抵抗運動組織ヴィダーの指導者ロムルスの旗艦。1440話「暗号名ロムルス」で登場。デイトンはその偽名のかげにワリンジャーがいると思っていたようだが……。「ロムルスはウィルス・ウォールで死んだ! たった今から、(序盤で潜伏した人)の新たな人生がはじまるのだ!」はサイクル名場面のひとつ。

エピローグ

デンソッダーの船はパトロールに破壊された。脱出の道はなく、このまま《エリシアン》で死を待つしかないのか。いや、《エリシアン》のシントロニクスには、まだいくつものエピソードが納められている。そして、その中には希望が――。
可動式宇宙要塞オリオン=738の攻防戦に参加し大破した《エリシアン》は、死の世界とされる銀河障壁の“外”からの来訪者の情報を得ていた。惑星シュティフターマンIIIにあらわれたカンタロ、ダールショルと人質ペドラス・フォッシュ。そして障壁のはざまで擱座した2隻の船……《シマロン》と《ブルージェイ》の。
システム倒壊の時は近い!


そしてデンソッダーと《エリシアン》がどうなったかは不明(おい
上述の通り、本巻が刊行された時点(1464話)では、ローダンは抵抗運動組織ヴィダーと合流し、モトの真珠に残されたエラートのメッセージも届いて、ストーリーはカンタロを支配する〈回廊の主人たち〉――“ロード・マスター”とかになるのかにゃあ――の謎へと展開している。
しかし、ハヤカワ版も『ヒューマニドローム』まで到達したし、このくらいのネタバレは大丈夫だろうという個人的判断(笑)で公開に踏み切った。

ローダン外伝:ポケットブック・シリーズ

ローダン外伝のポケットブック・シリーズ(Perry Rhodan-Taschenbuchserien)は、主にグループ会社であるHeyne社から刊行された、ポケットブック型のシリーズ。旧惑星小説を指すローダン・ポケットブックス(Perry Rhodan-Taschenbücher)と酷似しており、大変まぎらわしい(笑)
2002年スタートの『アンドロメダ』から2011年の『ジュピター』まで、ほぼ年1シリーズ。巻数は1~6冊と様々。多くは合本・電子書籍化されている。また、ペーパーバック時の表紙イラストの大半は、元・ローダン断面図解作家であり、現在は『インディペンデンス・デイ』や『スパイダーマン・ホームカミング』などでプロダクションデザインを手がけるオリヴァー・スコールである。

アンドロメダ

  1. 燃える船 (アントン)
  2. メタン呼吸種族 (ヘーンゼル)
  3. 無重力列車 (ルーカス)
  4. 星に耳をすます者 (ベーメルト)
  5. 影の鏡 (ボルシュ)
  6. 時間都市 (ヴルチェク)

新銀河暦1312年。〈トラドム帝国〉サイクル中盤。ゼーレンクヴェルとの戦いの過程で誕生したモノクローム・ミュータントの精神集合体〈ニュークリアス〉の使者キリアーデにより、アンドロメダに迫る危機を伝えられたローダンは追跡巡洋艦《ジュルネ》で急行する。
到着直後、アンドロメダは時間バリアによって外界と隔絶。ローダンは強力な“燃える船”ことカストゥン艦隊とサイボーグ部隊ギュ・エネーイを率いる〈黄色の王〉の侵攻に立ちむかうため、テフローダーやマークスを糾合しようと奔走するが……。
黄色の王が2000話台でエスタルトゥ(第一期)を殲滅した(《ソル》とも交戦する戦士種族ムンデーンを派遣した)超知性体ク・ウーガルのなれの果てであるとか、並行して進む2100話台の敵〈理性の異端審問〉が実は本作で活躍した《ジュルネ》メンバーのなれの果てであるとか、エグい意味で相当凝った造りになっている。フェルトホフ草案。

オデッセイ

  1. 未来の植民者 (ヘーンゼル)
  2. 秘密戦争 (ルーカス)
  3. エネルギー礁 (クナイフェル)
  4. ドリーム・カプセル (ベーメルト)
  5. 輝ける帝国 (ボルシュ)
  6. 生命の使者 (アントン)

2199話で、トレゴンと無限架橋をめぐる事件の閉幕にともない、惑星トロカンと入れ替わる形で太陽系第四惑星として復帰した火星――に酷似した赤砂の処女惑星・新火星。新銀河暦1329年、入植者の一団とかの地を訪れたローダン、ブルらは、奇妙な高次元性障害で意識を失った際、10億年の未来に転移してしまう。この時代でヴァーリゴと呼ばれる銀河系は、斜陽の宇宙に新たな生命の息吹をもたらす〈大群〉として生まれ変わろうとしていた。テラと火星はその制御惑星バランス=A、バランス=Bとなる。だが、一致協力して大計画に邁進するかに見えた種族連合にも、おのが野望のため、大群を手中におさめようとたくらむ者たちが存在した……。
この時護衛として同行しているフラン・イミスさんは、旅のあいだにブリーと親しくなり、現在時に帰還した後、正篇で結婚式をあげる。フェルトホフ草案。

レムリア

  1. 星の箱船 (ボルシュ)
  2. 幾星霜眠れる者 (クナイフェル)
  3. 世代のエクソダス (ブラントホルスト)
  4. 最初の不死者 (ルーカス)
  5. レムリア最後の日 (ツィーグラー)
  6. ロンゲスト・ナイト (ヘーンゼル)

新銀河暦1327年、レムール時代の“箱船”《ネタク=アクトン》が発見される。5万年に渡り、亜光速で星の海を飛びつづけてきた世代船は、すべてで44隻あるという。そのエクソダス計画の背後には、細胞活性装置を持ち、時間転送機で過去へ遡ったレヴィアン・パロンなるレムール人の存在があった。また運命のいたずらか、時を同じくして、けだものの兵器敞惑星がめざめ、クローン培養を開始していた。
全巻ちゃんと読んでないので、イホ・トロトが滅亡間近なレムールに転移して何やってたのかよく知らないんだ……ごめんよ……。でもこの時代、あっちもこっちも時間転送機使ってりゃ、そりゃトラウマ持ちなウレブは攻めてくるわな……。草案はヘーンゼル。

パン=タウ=ラ

  1. 生命の戦士たち (ボルシュ)
  2. 廃墟球圏 (ブラントホルスト)
  3. 量子の要塞 (ヒレフェルト)

新銀河暦1341年、超空間インピーダンスの上昇を“コスモクラートによる攻撃”とみなした(あながち間違っていない)ルーワーの艦隊が銀河系に集結。胞子船《パン=タウ=ラ》を通常空間へひきずり落とすべく、多方面で戦線を展開。そして、ペリー・ローダン死すの急報が銀河系を揺るがした……!
そして別の時間線のバヤちゃんとか出てくる。草案はフランク・ボルシュ。全3巻。

ポスビ戦争

  1. 難船帝国 (ターナー)
  2. ラール人の星 (ルーカス)
  3. 宇宙船の墓場 (ハルトマン)
  4. 十億殺し (ヘーンゼル)
  5. プシ=ファブリ (ベーメルト)
  6. 創世マシーン (アントン)

新銀河暦1343年、ペリー・ローダンは〈それ〉の使者、メタルマン=ロト・ケレーテにクエリオン技術の〈銀球〉を授けられ、500万光年離れたアンブリアドル銀河(IC 5152)へ飛ぶ。ハイパー嵐によって外界との交通のとだえたアンブリアドルは、ハイパー次元アトラクターによって、さまざまな銀河でハイパー嵐のトリョルタン喉に呑み込まれた種族が漂着・定住していた。テラナーの末裔アルテラナー、マークス、ラール人、そしてポスビ……。ケロスカーの開発した〈七頭回路〉によって憎悪回路を中和されたはずのポスビが侵略をはじめ、すでに数十年続く〈ポスビ戦争〉を終わらせよ、というのだ。
わずかばかりの協力者とともに調査を進めるうち、テラナーはこの銀河に眠るコスモクラートの超マシーン《トラグトドロン》の存在を知る……。
終末戦隊トライトアの侵攻がはじまる1年足らず前。そして混沌の進撃はアンブリアドルにも及び、テルミオクのもとへ運ばれたはずの《トラグトドロン》も前線に再登場する。フェルトホフ草案。
作家・編集者・SF研究家として著名なアルパース、唯一のローダン参加作品。

アラ=トキシン

  1. 銀河医師族 (ルーカス)
  2. メド・ノマド (アントン)
  3. ネクロジェネシス (アルパース)
  4. 鋼鉄キャラバン (ファンデマーン)
  5. 残骸の橋 (ヘーンゼル)
  6. 無光惑星 (ターナー)

新銀河暦1340年、惑星タフンを訪れたローダンとティフラーは、アラスの暗殺者によって誘拐される。ふたりは「アラ=トキシン(アラスの毒薬)計画」の情報を探る暗殺者に心ならずも協力。アラス伝説の名医モーの狂信者たちが企てる“毒薬”はあらゆる生命を根絶やしにし、モビーのような鉱物疑似生命へとつくりかえる。そして、すべての背後には叛逆の島の王アセト=ラドルの存在が……。
暗殺者71号ちゃんは、後にティフラーの恋人として正篇にも登場する。ターナー草案。

赤い宇宙の帝国

  1. 化石都市 (ターナー)
  2. ドルーフォンへの鎮魂曲 (モンティロン)
  3. 未来の砦 (ファンデマーン)

新銀河暦1344年、トライトアの侵攻の前にテラノヴァ・バリアによる籠城が続くテラで、ローダンは突如異宇宙へ転移させられる。かつて構造漏斗から太陽系にも侵攻したドルーフの赤い宇宙。時間経過の速度が西暦21世紀に比べ飛躍的に早くなっているという異時間平面に、トライトアへの対抗手段開発の時間を稼ぐべく送り込まれた惑星コペルニクスの科学者たち。だが、主観時間で2000年が経過し、独裁国家へと変貌した“赤い帝国”は通常宇宙への逆侵攻をもくろんでいた! 捕らえられ、VR空間〈メンタル・シンポジオン〉に閉じ込められたローダンは、はたして脱出の、帰還の、逆転の機会をみつけることができるのか?
1971年のエラートとか絡んで、時系列がもうぐっちゃんぐっちゃんである。ファンデマーン草案。

テフローダー

  1. 遺伝子の封印 (モンティロン)
  2. 星風の帆船 (ターナー)
  3. 千の世界の都市 (ファンデマーン)

超知性体コルトロクを倒し、トライトアを撃退してから百年余。銀河系諸種族はそれぞれに復興をなしとげていた。テフローダーとブルー人の一部が建てた小国家〈トランス遺伝同盟〉における極秘プロジェクト〈ヴォーテクス〉が噂を呼んでいた新銀河暦1458年、ローダンはその公開テストに招待される。〈リニア・ヴォーテクス〉とは特殊なブイを配置してリニア空間に鉄道のような航路を敷き、HIショック以前に匹敵する高速度を実現する技術だった。だがテストは事故のため頓挫、ローダンとヴォーテクス・パイロットのカーディル・クレーは1100万光年離れたちょうこくしつ座の銀河ゾモートに漂着してしまう。現地で“カネをもたらす悪魔”と怖れられる奴隷商人チャ・パングと敵対しつつ、帰還の方策を探るが……。
このカーディルさんが、ファリエさんのおばあちゃんに当たる。後、駐テラ大使として正篇にも登場。ファンデマーン草案。

ジュピター

  1. ジュピター (ファンデマーン/ヘーンゼル/モンティロン)

作家3名共著による全1冊。
新銀河暦1461年(スターダスト・サイクルのちょっと前)、“超能力を呼びさます”麻薬〈タウ=8〉が問題になる。ローダン自身も乗り出した調査の手は、入植三千年祭の迫る、木星の衛星ガニメデのメルリン商館へと続くが……。
この外伝、カイ・ヒルト加筆によるヘフト版ミニシリーズ全12話も存在し、そちらにはマンチェスターに住む、カール伯父の末裔が登場する。ファンデマーン草案。

暗黒惑星

  1. 黒い種子 (ターナー)
  2. 黒い果実 (コーヴス)
  3. 黒い収穫 (プリュイック)

星墓/ジェネシス・サイクルの空白期間(1536年?)。これのみBastei社からの刊行。時期も2019年とかけ離れている。全3巻。
アトプ法廷が別の時間線に去った後、残留した一部のオンリョン人が暮らす暗黒惑星ジョリオナを訪れるローダン。古代地球の現住種ケーロウトの手がかりを求め、播種船の残骸が眠る暗黒惑星スティクスを訪ねるブガシドフ。植民惑星で発生した超能力犯罪を捜査して暗黒惑星にたどりつくモンキー。
タイトルからして、微妙にからみ合う展開が予想されるが、概略設定のみで、草案作家は不在らしい。

以後、というか『ジュピター』から少しの空白をおいて、2014年からは現在まで続くヘフト版「ミニシリーズ」がスタートするのだが、それについてはまた機会を改めて。

PRSのサイドストーリー

先ごろ、Twitter(X)でポストした件だが、ローダン・シリーズの外伝(サイドストーリー)はどれくらいあるのか、という話。その際にも、ざっくりと、と云ったように、詳細は別の機会に譲るとして、概略をリストアップしてみたい。
で、「まだいくつもの漏れがある」とつぶやいた件については、以下の表を見ていただきたい。

これは2021年に「ペリー・ローダン5000冊」という、公式ニュースの記事を検証する際に使った表。
Excelで作った各種タイトルリストと、Perrypediaの「Zyklen」の頁をつらつら眺めながらつぶやいていたら、いわゆる“サイクル”と関係のない作品を最後まで見落としていたというわけ。困ったものだ(おいおい
というわけで、ポストしたものを若干手直ししつつ、挙げてみよう。今回も、
H=ヘフト P=ペーパーバック B=単行本 E=電子書籍 Z=サイクル(小シリーズ)

I ローダン・サイドストーリー

1 ペリー・ローダン=アクション
H 3Z 36話
2008-09年にかけて隔週刊行されたヘフトシリーズ。草案はモンティロン。アクション重視、らしい。
時代は西暦2166年。なので、ローダンの肩書が“連合帝国”大執政官なのである。懐かしや。

2 惑星小説(ローダン・ポケットブック)
P 415巻
E 2巻(電書のみ収録の『宇宙からのSOS』と『テラの殺人鬼』)
後述のポケットブック・シリーズと混同しそうなので、個人的には惑星小説と呼ぶ。
1964-96年にかけて月刊で出たサイドストーリー。
合併前のMoewig社から出たりPabel社から出たり、後期にはグループ会社のHeyneから、さらに外部のBurgschmidt社から出たり。複数版が存在し、また一部のみ存在する電子書籍版ではナンバリングが異なったり、意外と複雑怪奇であるw

3 ペリー・ローダン=エクストラ
H 16冊
2004ー2012年にかけて15冊が刊行された“増刊号”。年1~2回発行。新作小説に、惑星小説等の朗読CDが付録についていたりした。2017年に16号が出たのが最後。
なお、1号の「人類調査隊」は、2200話「星の私生児」に平和ドライバー視点のプロローグ、エピローグが追加されたもの。

4 ローダン・ミニシリーズ
H 11Z 132話
2014年からほぼ年1回、隔週刊行される全12話のヘフトシリーズ。草案はそれぞれ異なる。

5 ポケットブック・シリーズ
P 10Z 40巻
VPMではなく、Heyne社やBastei社など外部で出版されたペーパーバック版サイドストーリー。草案や巻数も作品ごとに異なる。たいていはサイクルのはざまの期間を補うような形をとる。
実は上記ミニシリーズより、こちらが先行しており、Heyne版が2002-11年。Bastei版が2019年。

6 デジタル・ファースト
E 3Z 18話
とりあえず電子書籍のみで発売し、好評なら紙版も、という手法。

7 スペース・スリラー
B 4巻
1997年に4巻がハードカヴァーで刊行された。
スリラー、の名称のとおり、新銀河暦13世紀、新設されたテラ連盟サーヴィス(TLD)のエージェントが事件を捜査する展開。シリーズ主要キャラはほとんど登場しない。
ただし1巻で主人公の助手を務めた見習いフィー・ケリンドは、後の正篇に登場。《ソル》艦長として長らく活躍する。

8 作家愛蔵文庫(Autorenbibliothek)
B 5巻
2000-2003年に5巻が刊行されたハードカヴァー書き下ろし。
80年代に出たソフトカヴァーの旧作合本企画と同名なのでまぎらわしい。内容は、トレゴン連合創設まもない時代の各銀河が舞台となる。当初4巻予定だった『メタマニウム』は未刊行。作者フィンディヒの個人サイトで冒頭2章のみ公開された。

9 コスモス・クロニクル
B 2巻
『レジナルド・ブル』(2000)、『アラスカ・シェーデレーア』(2002)の2巻。作者はともにヘーンゼル。
ブルは月着陸からアフィリー時代まで、アラスカは転送機事故からローランドレまでを、それぞれの視点で追ったもの。

10 大いなる冒険
B 1巻
エシュバッハによる、シリーズ前日譚。
ペリー・ローダンの誕生にはじまり、父祖のアメリカ移住まで遡り、《グッド・ホープ》のヴェガ進発までを描いたシリーズ前日譚。作中“無限アルマダ”という単語が出てくるので、新銀河暦5世紀以降のアダムスが書いた、カメラ的記憶能力による回想と、関係者への聞き取り調査をもとにした手記である。

II アトラン・サイドストーリー

1 アトラン・ミニシリーズ(新ATLANヘフト)
H 7Z 84話
1998年刊行の、新銀河暦1290年(1900話台中盤)にアトランが遭遇した事件を描いたトラヴェルサン・サイクル12話が好評を博したため、2003-06年にかけて6サイクル72話(時代は遡り新銀河暦1225年)が隔週で刊行された。

2 アルコン三部作
B 3巻
アトランの“青本”(ソフトカヴァー書籍)は、クナイフェルが惑星小説で発表した〈歴史冒険譚〉を時系列順に再編集した1~13巻、旧ATLANヘフトの〈アルコンの英雄〉サイクルを再編集した17~45巻があり、そのはざまの3巻が、編者カストルのオリジナル、いわゆるアルコン・トリロジーとなる。
西暦2044年、アルコン皇帝ゴノツァル8世となったアトランの前に立ちはだかる太古の因縁。深淵の騎士アルマダンの遺産やら、セト=アポフィスの“草”となった種族の遺産やら、いろいろてんこ盛りである(笑)

3 アトラン・ポケットブックシリーズ
P 9Z 28巻
上記ミニシリーズの完結と入れ替わるように、外部委託で刊行されたペーパーバック・シリーズ。
西暦3100年代、USO大提督アトランが、中央銀河ユニオン内部で発生した細胞活性装置をめぐる陰謀や、太古種族イロヒムの遺産をめぐる事件等に立ちむかう。サイクルごとに草案や巻数も異なる。

4 ATLAN-X(新歴史冒険譚)
P 2Z 6巻
P 1巻
E 1巻
惑星小説の歴史冒険譚は上記青本に収録されたが、惑星小説がなくなった後、2000年あたりで〈メーヴィヒ・ファンタスティーク〉というハードカヴァー叢書にて、歴史冒険譚2編、トラヴェルサンの外伝1編が刊行された(他はドラゴン、ミュトール等、ファンタジー・ヘフトの外伝等だった)。2009年に、これに加筆訂正した形でスタートしたのがATLAN-Xである。

III ローダン短編その他

増刊号(Sonderheft)やローダン・マガジンに21編。
記念号(Jubiläumsband/ペーパーバック)7冊に72編。
『ワークショップ・ファイル(Werkstattband)』に草案から執筆例題として1編。
電書特別編集(ローダン・コンパクト)に9編。
2000話付録「テラニア遊覧~太陽系政庁破壊計画」が1編。
3000話付録「新時代へようこそ!」が9編(ショートショート)。

絵本が『シラミ=ビーバー警報!』が1冊、
『リトル・ペリー』が2冊(予定)。

オーディオドラマが、
『グッキーの冒険』がCD6枚(全12話)
『プレアデス』がCD10枚。

民間貨物船《ステラリス》を舞台とした短編連作〈ステラリス〉が、
正篇ヘフトに不定期掲載が96話
PRFZ機関誌SOL他に6話
(電書で集成版も出ているが、収録作等未確認)

……いまはこれがせいいっぱい(笑)

訃報:アルント・ドレクスラー

Perry Rhodan公式Twitter(現X)の告知によると、ローダン・シリーズ表紙イラストを一部担当するイラストレーター、アルント・ドレクスラーが11月1日に急病のため亡くなったとのこと。

バイエルン州ホーフ生まれのドレクスラー、公式サイト紹介のキャッチフレーズが“ずっと宇宙船が好きだった。”なのだが、すでに3歳のときに『宇宙大作戦』に入れ込んで幼稚園の人形の家を司令ブリッジに見立てて遊んでいたというから筋金入りである。
フォルツ/ケルスナーの絵物語『時のかけら』に遭遇、ついで1100話「フロストルービン」からローダン読者となったドレクスラーは、すでにこのころから「SFイラストレーターになる」ことを決意していたらしい。

■『時のかけら』(Zeitsplitter):
フォルツのストーリーに感銘をうけたというアルフレート・ケルスナーのイラストが1980年のヴェルトコンで話題となり、実現した共作本。ローダン宇宙を背景にした「時のかけら」「すべての願いの目指すところ」「ある銀河戦争の勃発について」など18編の短編を収録。1981年のペーパーバックでの刊行後、1985年にハードカヴァー版が出ている。

1799話まで表紙イラストレーターを単独でつとめたジョニー・ブルックが1995年に交通事故で亡くなった際、後任を担ったのは上記アルフレート・ケルスナー、スヴェン・パーペンブロック、ウィリーの息子であるラルフ・フォルツの3名だった(ラルフは2004年まで)。
そして、2002年から加わったディルク・シュルツとともに、レギュラーで表紙イラストを担当していたのがドレクスラーである。シュルツはフェルトホフとの共作の実績から即正篇組に加わったが、ドレクスラーは2003年にまずATLAN青本(旧ATLANヘフトや歴史冒険譚の書籍化)23巻『黄金の女神』から参加。2004年から新ATLANヘフト表紙、正篇に到達したのは2007年刊行の2380話「太陽より来たる」だった(スポット参加なのか、公式サイトでは2704話からチームに)。
シュルツがローダンNEOの表紙も担当してあちらの“顔”であるように、ドレクスラーは正篇とその関連作――ローダン・ミニシリーズや、電子書籍化された惑星小説、ATLANポケットブック版やその書籍化(緑本)などを多く手がけ、正篇2800話、3000話、3200話も担当するなど、まちがいなくこちらもシリーズの“顔”のひとりだった。

ここで書くのはちょっとアレだが、“え、これローダンなんですか?”と少し話題になった3000話前後のローダンのイラストはドレクスラーである。ちょっと若めで、印象が異なる。まあ、イラストレーターがちがうんだから当然といえば当然w

ローダンに参加する以前には、他社のSF・ファンタジー系の作品、〈マッドラックス〉、〈ザモラ教授〉、〈ステルネンファウスト〉なども手がけており、Perrypedia以外にも略歴や作品リストなどが多数みつかる。
月曜日の告知以降、Twitterやブログ等で惜しむ声が引きもきらない。「私より10歳も若いのに。早すぎる」という投稿には実に同意。わしより4つも若いのに……。RIP。

■公式サイトNews:ARNDT DRECHSLER-ZAKRZEWSKI IST GESTORBEN
■公式サイトInfo:SCHON IMMER GERN RAUMSCHIFFE
■個人サイト:ARNDT DRECHSLER
■Perrypedia:Arndt Drechsler

ドリフェル・ショック ~十二銀河編~

新銀河暦448年2月……。
サバルは、すでに忘れ去られた惑星だった。わずか1年前には人口80万を数えた首都ハゴンに、いまや人の姿とてない。創設者たるクエリオン人によってネットウォーカー組織の解散が宣告されて以来、ほとんどの者がこの地を去っていった。
プシオン網の消滅によって崩壊の危機にさらされた十二銀河の文明の中に、本来の自分たちの帰属する場所を見出して。無用の長物と化したエネルプシ駆動を、在来型メタグラヴ・エンジンに換装し、おのが守るべきもののもとへと……。
いまなお、この世界にふみとどまる、2000人足らずの中に、彼らの姿もあった。
ロワ・ダントン、ロナルド・テケナー、ジェニファー・ティロン、そしてデメテル。
ドリフェルを守護する、という古の使命を果たすすべは存在しなかった。クエリオン人によって与えられた技術の大半が、プシオン網の瓦解後、次々とその機能を失い、いまではドリフェル・カプセルでのコスモヌクレオチド内部への偵察飛行すらできない状態なのだ。
まして、今度の相手はドリフェル自身。サバルから32万光年の距離に位置する“ゲート”を監視するステーションすら、なんら能動的な行動は、なしえない。ただ、ヌクレオチドの活動が刻々と高まっていくのを見守るだけだ。
新銀河暦448年2月26日……。
ロワは、サバルの大気中に奇妙なきらめきを見る。それは、ドリフェルから漏れ出すハイパーエネルギーの一部が、通常時空連続体にもどる際に起こる副次現象。何かが起ろうとしている。彼らの想像を絶した何かが。
翌朝、ドリフェル・ステーションの自動機構が警報を発する。コスモヌクレオチド内部で、かつてない活動の予兆! 4人は《スキュラ》でドリフェルへと急行する。最新式メタグラヴは光速の6300万倍だが、それでもステーションまでの距離をこなすのに、2日が費やされた。
新銀河暦448年2月28日……。
故郷の暦では、もうまもなく日付は変わろうとしている。
ステーションに到着したロワたちは、旧知の存在をみつけた。サバルにおけるローダン家の隣人でもあったネットウォーカー、ドゥアラのオベアーである。彼が前にする探知スクリーンは、はるか彼方のできごとを映し出していた。
直径13万光年の渦状銀河――ハンガイ。いまや、それは完全な姿をスクリーンにあらわしていた。
第四クォーターが到来したのだ。
そのとき、いあわせたすべてのものの脳裏で、ひとつの声が響きわたった。

「警告します、友よ。危険がせまっています。ドリフェルの怒りをやわらげるすべはありません。いまいるところからお逃げなさい。ドリフェルの“門”とのあいだに、光年の隔てをおきなさい。さもなければ、あなたがたの最期です」

誰の声かは、いまは関係なかった。それが真実であることを理解できないものはいなかったのだ。
だが、コスモヌクレオチドの逆襲は想像を絶する早さで訪れた。《スキュラ》がステーションの係留を離れた次の瞬間、まばゆい輝きがあたりを包んだ。それはドリフェルの吐き出すプシオン・エネルギー衝撃波が到達した証。
超空間の混沌は、もはやメタグラヴによる超光速航行を許さなかった。
激しい衝撃が《スキュラ》を揺るがしたとき、ロワはもう一度、ドリフェル・ステーションで警告を叫んだあの声を聞いたと思った。

「善なる力が、あなたがたとともにあらんことを……」

そうして、宇宙が爆発した。

-*-

上記は1996年にrlmdi.から出したタルカン・サイクルの要約集『プロジェクト・メーコラー』に「終幕 ドリフェル・ショック!」として収録した文を一部修正したもの。惑星小説315巻『クエリオン人の決闘』(マール)の序盤にあたる。
本日発売のハヤカワ版700巻後半「夜の神々」では描かれなかった、十二銀河側の様子があったので、次サイクルへの橋渡しとして採用した。
とはいえ、実際のところエスタルトゥ十二銀河がどうなったのかは、さらに次のサイクル(リング人)の終盤になってようやく明らかになるが、それはまた別のお話(おい

《スキュラ》はドリフェルのもたらした“洪水”によって、7億光年かなたのヘルクレス銀河団まで押し流され、デメテルは死亡。ロワは発狂寸前の状態になる。
傍受された「カリュブディス」というハイパー無線をたどり、とある惑星に到達した3名は、現住種族を搾取する悪徳商人を成敗する過程で、クエリオン人キトマに遭遇。現存するクエリオン唯一の肉体(キトマの元の身体)をめぐり、精神集合体を追放されたクエリオン人タヨレーとの対決を援護することになる。
結果的にキトマの身体は守られるが、さらに損傷した《スキュラ》は修復に膨大な時間を要し、帰途には50年以上がかかることを暗示して物語は幕を閉じる。

7億光年はレコードホルダーだろうか。トレゴンの謎を追い放浪する《ソル》の訪れた水印のヴァッサーマル銀河アキムザバルが銀河系からほぼそのくらいの距離にある。後の、「ヴォイドまで2億2500万光年を飛ぶ壮挙」とか、「コンドル銀河までの2億1200万光年を踏破できる船は《ラス・ツバイ》しかない」とかを見るたび、往時の体験(当初、この距離でも10年余りで帰郷できると見積もった)を思い出して非常にもやもやした気分になる(笑)

そして唐突なキトマの再登場。おそらく上記の警告の声も彼女だろう。
実はキトマさん、この時点で「ある存在の委託をうけて行動しており、ある二人組を○○○○○○まで連れていったり、あるデータを某所へ届けるとかある人物の行方を捜す使命を授けたり」している。超ネタバレなのでここでは書けない(笑)が、「助けてもらって恩知らずと言われそうだけど、お仕事中なのでわたくしはこのへんで~」と、そそくさと去っていくのは実に外道。しかも、その後出てこないしwww

どうにか精神の均衡をとりもどしたロワくん。エンディングで「新しい暦の導入を提案する。今日が元年一日ついたちだ。100年目の今日、故郷で乾杯するぞ」と宣言するのだが……。
彼らがいつ、どんな形でローダンらの前にあらわれるのかは、正篇本編でのお楽しみである(まさに外道)。