次のお題は『テフローダー』/ハイネ版

それは終末戦隊〈叛逆者〉撤退後のお話……って、おーいっw
#まだサイクル終わってねぇーw

今年の秋、つーか11月から3ヵ月連続刊行のハイネ版ペーパーバックのミニ・シリーズが「テフローダー(Die Tefroder)」三部作となることが発表された。コンセプト担当はヴィム・ファンデマーン。
舞台は〈叛逆者〉撤退まもない銀河系。復興する国家とならんで、無数の新興国も雨後のタケノコのように萌え萌えな中に、銀河系に移住したテフローダーを中核とした〈トランス遺伝同盟〉があった。遺伝子工学によって革命的な星間航法を開発したテフローダーたちは新たな星間航路の開拓にかかるが、その際、カタストロフが生じ……

ということで、思わぬところでネタバレ(笑)なニュースが届いたわけであるが、ファンデマーン、ターナー、モンティロンの3人というチームは、先ごろ完結した「赤い宇宙の帝国」シリーズで好評を博したばかり。勢い、期待も寄せられるというものだ。なお、各巻のタイトルと担当作家は以下のとおり:

  1. Christian Montillon / Das genetische Siegel
    遺伝子の封印
  2. Michael Marcus Thurner / Segler im Sternenwind
    星風の帆船
  3. Wim Vandemaan / Die Stadt der tausend Welten
    千の世界の都

アンドロメダのテフローダーは、ミニ・シリーズ最初の「アンドロメダ」で新銀河暦時代の現状が紹介されているが、銀河系移住組がクローズアップされるのって、ひょっとしてATLANシリーズのグレー・サイクル以来かな? まあ、まだ少し先の話ではあるが、年末の楽しみができた、というものである。

■公式News:»Die Tefroder« kommen im Herbst 2009 (リンク切れ)

一家に一台、月着陸船(笑)

あなたのお宅でスターダスト計画発動!w

――というわけで、2490話『日陰の庭』から、ペーパークラフト「スターダスト」が付録につくという。3分割で、初回となる2490話分では、第一段ロケット及びエンジン部分が対象となる。第二段と、本来の着陸船部分は、たぶん、それぞれ2491話、2942話に付属予定……なのかな。これ、写真に比較するものが写ってないけど、けっこうでかそうだなあ(^^)
設計はマルティン・ゼンガー、ディテール描画をマルコ・シェロスケが担当。製作裏話は『SOL』54号に掲載されているらしい。

ちなみに、すでに組立説明書はpdfファイルで公式サイトにアップロード済み(下記のNews参照)。「カッターと定木と糊を用意してお楽しみにー!!」って記事はしめられてるけど、説明書見ると「鋏とカッターと糊と黒のフェルトペン」だね、必要なもの(笑)

お、俺ぶきっちょだからフェルトペンで塗るのはマガンにまかせたー(爆)

■公式News:Modellbau-Unternehmen Stardust startet (リンク切れ)

5/14 SOLの巻数入力ミスを訂正。河内のhiroさん、多謝~(^^)/

アニューム主義者、だったか……

Anjumisten / アニューミスト

前項でも取り上げている、「赤い宇宙の帝国」シリーズ。読むのにけっこう骨が折れるのは、用語がいちいち特殊だから。惑星コペルニクスのややネジのぶっとんだ科学者たちが大挙して異宇宙に移住し、拡張した帝国、という設定なので、一般的なことばと、ちょっとちがった言い回しをするのである。
「患者、という用語は使いません。パートナーと言います」 初対面のふとっちょ医者(男性)に「あなたのような方をパートナーにできて私は幸せです!」と宣言されて絶句したローダンは、そんな解説をうけることになるわけだ(笑)

さて、それと同列なわけではないが、従来「アンジュミスト」と訳してきた、赤い宇宙の帝国のレジスタンス組織であるが、これ、創設者 Claes Anjum にちなんだ命名であるそうな。
で、この Anjum 氏の姓名は、どちらもオランダ語系で、クラース・アニューム、と読むのがどうやら正しそう。
今後、当ごやてん内の記事では「アニューミスト」と記載することにしたので、前後で相違することになるがご了解いただきたい。
#って言うほど書いてないけどね(汗)

ローダン赤帝3:未来の砦……だったよ、な?

私はライランド・ウォーカー。ニューヨークはマンハッタンに小ぢんまりした事務所をかまえる私立探偵だ。秘書のカルメンが今日も来客を告げる。ジョニー・ヴェールことイオアニス・ヴァレロシオスはビザンティン宮廷の宦官めいた声でやっかいごとを持ちかけるのが常だ――今日のように。
ガチニ・エメラルド……とある老貴婦人のもとから「盗まれた」とされる宝玉をとりもどすのが今回の依頼らしい。だが、警察に通報することを忌避し、現在の「保持者」もわかっているというのは、実にきなくさい。とりあえず慎重に、周辺から事情をあたってみるのがよいだろう……。
そんなとき、もうひとりの依頼人が事務所を訪れた。妙齢のご婦人は、突如消息を絶った兄を捜してほしい、と語った。

「わたくしはデボラ・ローダン。兄の名は、ペリーと申します」

時は20世紀後半のニューヨーク。なのに市街の片隅には、ドルーフがおり、ホウホムがおり……ライ・ウォーカーはガチニ・エメラルドの謎を追ううちに、それまで知らない超技術が暗闘に用いられていることを知る。秘書であり恋人でもあるカルメン・スターウッドはかどわかされ、探索をしぶる彼への脅迫材料に使われる。
廃墟同然の宇宙港……こんな巨大なものが空を飛ぶのか? 宇宙船のかたわらでホームレスのように暮らすホウホムたちとの邂逅……。

誰かの声がするようだった。
「527076の平方根は?」
「726。ですが、なぜ?」

モーロック・スマルヤ――かれはホウホムだった――のもとでガチニ・エメラルドを手に入れたウォーカーは、しかし恋人を取りもどすことはできなかった。そして、探偵はついにもうひとつの依頼の回答の場所、マンチェスターにあるローダン家の墓地にたどりつく……。
ペリー・ローダン、ハイネ社版ペーパーバックシリーズ〈赤い宇宙の帝国〉の最終巻『未来の砦』は、こんな感じで幕を上げる。というか、実はまだ半ばあたりまでしか読み進んでいなかったり。いきなり探偵物語でびっくりだが、それで終わりではない。

ライ・ウォーカーの「捜し出した」ペリー・ローダンは、この世界が現実ではなく、一種の仮想現実界〈メンタル・シンポジオン〉であることを知る。赤い帝国の女将軍イファマによって捕らえられたテラナーは、意識と魂の6次元コピーをとられ、この領域に送り込まれたのだ。コピー意識である現在の自分を、現実界のローダンのもとへ再統合するため、彼はテラニアをめざす……シンポジオンの設計者はその大都市を恣意的に削除し、再現しなかった。しかし、かつての彼もまた、何ひとつない砂漠からテラニアを生み出したのではなかったか――。

というわけで、今度はシルクロード紀行である。中国にわたったローダンは、ラマ教の聖者の予言にしたがい、小キャラバンで古都カラ・ホトへと旅立つ。灼熱の砂漠をラクダで踏破し、たどりついた遺跡でテラナーを待っていたものは。そして、メンタル・シンポジオンとは何で、シミュセンスのもたらす夢とは何が異なるのか。ガチニ・エメラルドをめぐる事件は何を意味するのか。ひそかにローダンを支援するのは、アンジュミストではないのか。
うずまく疑問の、あるものには回答を得、あるものは謎のままで、現実界に帰還したローダンは、ついに赤い帝国との最終決戦のときをむかえる……はず、なのだが。そのへんはまた近々。

まあ、とりあえず。前の巻『ドルーフォンへの鎮魂歌』で、思わずローダンをひっぱたいちゃったわって、ファラシューちゃん、それ伏線だったのかよっ(爆)

ローダン・オールタイム・ベスト2003

2003年、HJB出版がヘフト1話を豪華製本したGold-Editionという企画を立てた。いわゆる愛蔵版、であるが、いまの日本で言えば「完全版」コミックスの発想に近いだろう。
ともあれ、その企画にあたって読者に「何話のGold-Editionがほしいですか?」というアンケートをとった結果が以下のランキングである。

  1. (1000) テラナー / ウィリアム・フォルツ
  2. (  50) アトラン / K・H・シェール
  3. ( 200) アンドロメダへの道 / K・H・シェール
  4. (2000) 〈それ〉 / フェルトホフ&ヴルチェク
  5. ( 850) バルディオク / ウィリアム・フォルツ
  6. (   1) スターダスト計画 / K・H・シェール
  7. ( 299) 権力の果て / ウィリアム・フォルツ
  8. ( 500) 虚空より来たる / K・H・シェール
  9. (  74) 戦慄 / ウィリアム・フォルツ
  10. ( 300) 警報!モルゲンロート星域 / K・H・シェール
  11. ( 746) 時知らざる者 / ウィリアム・フォルツ
  12. ( 757) 世界に人の姿なく / ウィリアム・フォルツ
  13. ( 900) ライレ / ウィリアム・フォルツ
  14. (  19) 宇宙の不死者 / K・H・シェール
  15. ( 100) 超種族アコン / K・H・シェール
  16. ( 700) アフィリー / クルト・マール
  17. ( 800) テルムの女帝 / ウィリアム・フォルツ
  18. ( 851) 宇宙的悪夢 / ウィリアム・フォルツ
  19. (1935) 沈黙の歌 / アンドレアス・エシュバッハ
  20. (   2) 第三勢力 / クラーク・ダールトン

企画の関係上、やぱり100話単位の「記念号」が多く含まれるのはいたしかたない。このランキングがイコールおもしろさとは言い切れないが、「2003年当時は、このあたりに人気が集まっていた(傾向がある)」くらいの参考にはなるだろう。

以前どこかで書いたような気もしたが、ブログ統合作業のチェック中に、言及だけでデータが見当たらなかった。リンクを貼っていたHJB出版のサイトからも消えている様子なので、一応覚書の一種としてここに残す。

Extra 8号は4月末発売

わりかし好評らしく、最近では半期に一度の発行で定着した感じの Perry Rhodan Extra、第8号は4月24発売予定。

メインディッシュである長編の執筆者はフランク・ボルシュ。タイトルは「スターダスト破壊工作(Das Stardust-Attentat)」(仮)。前号の「スターダスト・マシーン」に続いて、〈彼方の地〉のスターダスト星系に入植した人々のその後を描く。
前回も、無人のはずの星系に知性体が潜伏してたりだったが、そういえばスターダスト星系、そろそろ選挙シーズンの到来だったはず。タイトルもなんだかいきなりきな臭い雰囲気が(笑)

またおまけのサウンドドラマCDは「セレスの影信号(Schattensignale von Ceres)」。脚本は元ローダン作家のスーザン・シュヴァーツである。

以下余談。最近は各種出版物がてんこ盛りなわけだが、新サイクル前にこれ読まないと大事な複線をとりこぼした……なんてことにならないといいのだけれど。

■公式News: Frank Borsch schreibt PERRY RHODAN-Extra 8 (リンク切れ)

銀本92巻『《モドゥル》』

ハードカバー版で進行中のアフィリア・サイクルもいよいよ佳境。11月刊行の92巻『モドゥル』では、失われた地球を捜す《ソル》のローダンたちが、超知性体間の戦争にまきこまれる。
星のメイルストロームの転送特異点に消えたテラとメダイロン系。その手がかりを知るという超知性体テルムの女帝の依頼を果たすため、ローダンと《ソル》は《モドゥル》捜索の途につく。直径220キロの衛星を分割して造られた巨大な可動ステーション《モドゥル》は、女帝と〈バルディオク〉の勢力圏“力の球形体”のはざまの情報を収集していた。あるいはそこに、メダイロン系の座標データも存在するのではないか……?
罠にかかり大破墜落した《モドゥル》で回収されたデータ処理自律端末〈コンプ〉は、ひとつのポジション・データを示すが、それをめざす《ソル》は、予期に反して、女帝の“力の球形体”奥深くへとわけいっていく……。

銀本はヘフトを再編集したものだが、このあたりも話の順序の変更がかなり細かくなされている。
《ソル》のテラ捜索に先行して、《モドゥル》を母艦とする“探究者”のひとり、ドウク・ラングルが記憶を失いテラに漂着している(88巻、91巻)のはヘフトどおりだが、ラングルやアラスカ・シェーデレーアの結成したテラ・パトロールが侵略者(=バルディオクの化身クレルマク)と戦うエピソードが、まるまる次巻『テラとの別離』にまわされている模様。
#というか、769話はいらない子なのか……(哀)

92巻では〈コンプ〉や女帝の親衛隊種族チョールク人の抱くクリスタル等、テルムの女帝の正体にまつわるエピソードが一括しておさめられている。1冊おいた94巻『テルムの女帝』(のはず)まで、謎解きはおあずけというわけだ。
そして次巻『テラとの別離』は、上述のように、テラに侵攻するクレルマクとの戦い、そして銀河系でのラール人の逆襲、〈遺伝子コード破壊フィールド〉編が収録される予定(のはず)。

今回収録されたヘフトは以下のとおり:
788. Peter Terrid / 《モドゥル》をかける罠
789. H. G. Francis / ギャンブラーと異人たち
790. William Voltz / 《モドゥル》の秘密
791. Kurt Mahr / 〈コンプ〉とサイバネティシスト
796. Ernst Vlcek / クリスタルを抱く者
797. Hans Kneifel / 親衛隊の惑星
798. H. G. Francis / 黒いクリスタルの呪縛

■公式サイト:Band 92 Das MODUL

新ゲスト作家……

ドイツのSF/ファンタジー系ニュース・サイト、Phantastik-Newsによると、2319話をゲスト作家が執筆するらしい。
というか、作家自らがサイトの日記(blog)で公表しているのである。

ティトゥス・ミュラー(Titus Müller)は、1977年ライプツィヒ生まれ。大学では文学と中世史を学び、1998年に創刊したした文学新聞Federwelt(羽の世界)の編集を2001年まで担当。現在は専業作家……なのか?
サイトのビブリオグラフィーを見ると、1996年ごろから短篇を執筆している。長編はこれまでに、2002年の『司教のカリグラフ』、2003年の『司祭の娘』、2004年の『七つの首』(編集)、2005年の『眼鏡をつくった女』、『死にさだめられし者』(近刊)と4冊+αが刊行されているが、これ、すべて歴史小説である。
SFと名のつくものは、よそで紹介されているもの含めて、2003年に書かれた短篇「水」(アンソロジー『未来世界』に収録)ただ一作きり。どんな経緯でゲスト作家に選ばれたのか、さっぱりわからない。

しかし、上述のブログで、かれはこう書いている:「かつてどうしようもないほど異星人やロボットに惚れ込んだ経験を持つものだけが、作中のかれらに感情移入できるのです。ぼくには、それができる」
実際に作品を読んだことがないので、なんともいえないが――ちょっぴり、期待したくなることばだ。

■Phantastik-News: TITUS MÜLLER SCHREIBT EINEN “PERRY RHODAN”-ROMAN!
■ティトゥス・ミュラーのサイト: Titus Müller

上の記事、公式サイトのBBS〈銀河フォーラム〉で紹介されてなかったら見落としてた……

アトラン・イントラワールド開幕

9/22に発売された37話『イントラワールドの監視者』からATLAN新サイクルがスタートした。

大法官ヤグル・マフールやガルブヨルの大公ガルブグルシャとの闘いのすえ、ついに〈ダークスター〉を破壊したアトラン。だが、大法官の計画を最終的に打破するためには、謎に満ちた〈炎の塵〉を入手しなければならない。そして、未知の領域〈イントラワールド〉から〈炎の塵〉を回収できるのは、アトランただひとりだけなのだ……。

というわけで、事実上、さっぱり中身はわからない(汗) まだダークスター最終巻『終着駅アナクサ』が到着していないこともある。とりあえず、なんだ、グルエルフィンへの道のりはまだ遠いようである。

■公式News: Der neue ATLAN-Zyklus (リンク切れ)

2300話:速報! お試し版

2300話『混沌の先触れ』
かれらは《反逆者》のけだもの――
そして滅びをもたらすもの

 時は新銀河暦1343年。ところは太陽系政庁。
 自由テラナー連盟の政庁議会メンバー711名を前に、政庁首席ペリー・ローダンが壇上にのぼる。
「議員諸兄にはご多忙のなか、本日の秘密会議にご参集いただき感謝のきわみ」
 ローダンの手で、データ・クリスタルがきらりと光る。
「LFTの構成世界は現在3143。そして、力を増すごとに、責任も大きくなる。銀河を導き――ひとつとするために」
 やがて、投影される巨大な銀河系のホログラム。LFT、アルコン、アコン、ガタス等の勢力が色分けされている。
「この銀河がいま必要としているのは、ヴィジョンだ!」
 力説するローダン。その昔、ヘリオートスがトレゴンの勧誘にやってきたとき、まったくおなじセリフを吐いたことをおぼえているものが、この場にはたして何人いただろうか。
「そのヴィジョンを創出するための計画を、これからお聞きいただこう……くくく……」
――と笑ったかはともかく。やってることは、まんま世界征服をたくらむ悪の秘密結社な政庁首席であった。

 ところ替わって、アルコン神聖帝国の中枢、水晶宮。
 朝シャン――もとい、貴重な自由時間に入浴を楽しむボスティク皇帝のもとへ、ドリュハン人の執事が2名、つつつつっと。
「失礼いたします、陛下。テラナーのローダンめから電報でございます」
 ローダンからの連絡は必ず至急でもってこいと命じてあった手前、いたしかたなく読み上げさせる皇帝陛下。
『陛下にはご機嫌うるわしゅう♪ そちらの秘密諜報局から報告いってると思うけど、テラでは最近、技術的新機軸バリバリでございまして。このたび、それを一般公開するにともない、〈銀河種族再興会議〉と題して一大プロモーションを行ないマッスル。興味と関心がおありでしたら、アルコンにも技術供与しないでもないので、1月4日の予定日には、ぜびご来駕乞う。くわしい話は大使レベルでねっ(はあと)』
 頭をかかえたボスティク、執事の差しだす予定表を一瞥して、
「2月4日に行くと伝えよ……」
「2月……でございますか?」
「2月だ」
 丁々発止のかけひきは、すでにはじまっているのだった(笑)

 ほぼ同じころ、〈ターミナル・コロン〉のネガ・ホールにて:
 先の任務で重傷を負ったデュアル・キャプテンは、査問に呼び出されていた。
 姿なき声が――
(座んなはれ)
 からだじゅう痛くて腰もかがめられないデュアル・キャプテン、立ったまま。
(えらいまたよーさん失敗しなすったなあ?)
(10万隻の〈トレイタンク〉を貸したって、もどってきたんは2000隻足らずや)
(軍隊をハブにして、自分はのうのうと帰ってきたんかい?)
「ですが、相手の損害の方が、何倍も――」
(ほな、任務は成功やったけか)
「――いえ。失敗でした」
 死を覚悟するデュアル・キャプテン。
 しかし、ターミナル・コロンの〈プログレス維持者〉のみなさんにも、いろいろ意見の相違はおありのようで、
(ま、あんさん創るのにも、よーさんぜぜこかけたしなあ)
(いろいろはっきりするまで、また別の機会に挽回してもらお、思てな)
(コロン要塞《トレイコーン0098》をさしむけるよって)
(銀河系いうとこの、ソル星域を確保してんか)
(邪魔するもんは消してもええけど、利用できるんをこわしたらあかんで?)
(ほな、このくらいの任務は、ちょちょいのちょいやろな~)
(せいぜいきばりぃや~)
 声が遠ざかる。一瞬、顔のようなものが見えた気がしたが――
 査問は終わった。コロン通信経由でデータを呼び出すデュアル・キャプテン。
 頭の中はクエスチョンマークでいっぱい。
「なんで、この俺様に、こんなちゃちい仕事を?」

 さて、時は流れて、再興会議開催も、はや翌日。
「で? どんな具合?」
「月のHWG-1は順調。水星の〈裏門プロジェクト〉もまあまあだ」
 自由テラナー連盟政庁首席ペリー・ローダン氏は、太陽系政庁内部のホテルを視察していたりなんかする。ご案内は、なぜか老けないモンドラさん。
「〈テラノヴァ艦隊〉は、どしたの?」
 ローダン、しぶい顔で口ごもり、
「ま、まあ万事が万事うまくいくわけはないということで――というか、ここがボスティク皇帝の泊まるスィートルームかなあっ?!」
 雑談モードを脱して、調度類を説明するモンドラさん。
「と、ゆーわけで、〈カロン星団〉にいるアトランの意見を参考に、ゴノツァル8世時代の水晶宮をモチーフにした装飾をあしらってみましたー♪」
「……ま、これならむこーさんも文句はいうまい」
 ぴぴぴっ。
「――え? ホログラム博物館でトラブル? ごめんなさいペリーちょっとはずすわねー」ぴゅーーーっ。
「…………」
 ひとりさみしく皇帝お付きのお貴族様用の部屋を視察したりする、政庁首席。
 と、そのとき。
(ペリー・ローダン……)
 ふりかえると、そこには妙齢の美少女がっ。
「わたしはここだよハニーーーっ」
 幽霊のようにぼんやりした少女。アームバンドの探知機にも反応なし。なんか、前にもこんなことあったと思うのは、読者だけなのだろうか。〔註:ローダン・アンドロメダです〕
(わたしは、ファウン・スズケ……やっと、みつけた……警告しにきたの……けーいーこーく、わかる? ……ターミナル……負の球体…ハンガイ……)
 肝心なことを伝える前に、デンパの受信状態は劣悪になり、少女の姿はかき消えた。
 折悪しく、そこに予定より半日も早く、ボスティクの御座艦隊アルク・インペリオンご到着の連絡が入る。
「まったくボスティクったらわざとこっちの予測を上まわってみせて嫌味なことこのうえないったら急ぐわよペリーっ!」
「あの、ネーサン? ファウン・スズケの名前で、あるだけぜんぶのデータ・バンクを検索しといてくれぇーーー」
 もどってきたモンドラさんにひきずられ、アルデバラン宙港へ急行する政庁首席なのであった。

 テラニア上空に、いまわしい占領時代を想起させるアルコンの船。
 グワロン級12隻で、旗艦は新造の《ゴス・テュサン》。杯の上には、ボスティクご自慢の〈空飛ぶ水晶宮〉ゴス・テアウルトカンが鎮座ましましている。
 ……太陽系政庁への対抗心むきだしで、単独で超光速航行も可能な代物である。
「やー、皇帝、ようこそようこそ」
「……きみの政庁はぷかぷか浮かんでいると思ったが?」
「それは、ま、警備上の理由もありまして。高いとここわいヒトも来るかもしれませんしねー。ははは」
 高いとこ好きななんとかがふたり。丁々発止のかけひきは、再びつづくのであった。
 その夜。
『む……あの壁画はアルコン暦19000年ごろのものだな。調度はゴノツァル8世時代の――にしては、配色がちがうぞ?』
『(うわやっぱ歴史オタクだこいつ)あー。デッドコピーだとお気を悪くされると思いまして。新しいカラーリングもちゃんと専門家がやってますんでー』
 皇帝の相手にへとへとになり、ベッドにへたれこんだ政庁首席を、ネーサンのコールがたたき起こした。
「検索のー結果ー、ファウン・スズケはモノクローム・ミュータントで、テレパス、享年19歳、ゼーレンクヴェルから分離した〈ニュークリアス〉の一部と、こんなん出ましたー」
 眠い目をこすりこすり、冷たい水で顔を洗って、ブリーやカーティス、デーリアン等、主だった面々に警報を出す政庁首席なのだった。南無。
 ……とはいえ、単に不幸と寝不足を分かちあたえただけで、すぐまたベッドへ逆戻りでは、極悪非道なことはなはだしいと思うが如何。

 さて、時をおなじくして、《トレイコーン0098》:
「いいか、けだものども! デュアル・キャプテンが最初の任務をくだされたっ!」
コロンけだものの隊長、ゾン・ファクテルのがなり声。
「おおおおおっ!!」
 歓喜のおたけびをあげる〈混沌のアサシン〉たち、その数、60名。
 柱のような両脚、2本の走行腕、2本の行動腕。構造可変能力をもち、目は頭の両側にひとつずつ、額にひとつ。
 けだものって、やっぱりあのけだものだよなあ。
「現在《トレイコーン0098》は目標星系ソルの玄関口にある。この銀河の要人どもが、なにやら会議のために雁首そろえて集まってやがる! 強襲して、そいつらを抹殺する! お手軽な任務だとデュアル・キャプテンはお考えだ!」
「おおおっ!!」
「今回利用できるのは〈暗黒カプセル〉3機! 1機に9名ずつだ! あとの連中は居残りだっ!」
「おおお……っ」
「おちつけっ! 進撃はまだはじまったばかりだっ! 留守番だからって、俺らの家、喰っちまうんじゃねえぞっ!」
「お、おおー」
 よく見れば、さすが閑職。広大な格納庫には、まだろくな装備もない。アサシンたちの住むほったて小屋が累々と並ぶばかり。じき、増援ともどもトレイタンクなども届く予定だが、今回の任務程度には、必要もない。
 選抜されたメンバーが、意気揚々と暗黒カプセルに乗りこむ。推進系と暗黒フィールド発生装置を兼ねるスープラトロン・コンヴァーターがうなる。
「準備はいいか? ようし、けだものども、発進だっ!!」
「おおっ!!」
 3機のカプセルがスタートする。宇宙空間、巨大なコロン要塞を背景に、かれらがむかう先は、惑星テラ、首都テラニア、太陽系政庁である。

《本編へつづく》

#嘘は書いてないよー(笑)