3100話「星の呼び声」

前話「銀河系の子供たち」から25年が経過、時は新銀河暦2071年。

“すべてうまくいっている。カイラ人が去ってから、どの世界にも希望が戻ってきた。”(間章より)

って……なんか、何事もなかったかのように、いい時代だ、平和な時代だ、って皆して言ってるのってどーよwww

自由ギャラクティカー連盟の首都は太陽系政庁とともにテラへと帰還。レジデントはブリー。ローダンは連盟コミッショナーの地位にある。テフローダー、アコン人に加え、水晶共和国へと改変されたアルコン人勢力も提携関係に迎えたレムール同盟は健在。ギャラクティカム? 知らない子ですね……w

ストーリーはソル星系と、3000光年離れたタンホイザー星系とが並行して進む。数日前から正体不明の“声”――歌――が聞こえるというブリー。精神的に不安定になった彼が、活性装置持ちのくせに不眠症やらで倒れたのと時を同じくして、火星で高次元擾乱を招く〈インパクト〉が発生する。
シレーネ海(旧エリュシオン平原)に探知された涙滴状物体とのコンタクトは失敗するが、グッキーは消える前に感知した相手の“二重思考”がトリュツォム・ダンサーのものと同質であると報告する。
その内容は……“いま、ここに”あるものすべてへの憐憫。

一方のタンホイザー側進行役は、ダイオヴァース第二肢で見出された超能力者アンズちゃん。
発生した空間の亀裂〈ギャップ〉へと急行したアンズちゃんも搭乗するエクスプローラー船《ピノ・グンニヴェダ》は、高次元テクノロジーが機能しない亀裂内部を飛来する宇宙船に遭遇する。アンドロメダ出身の鳥頭ケンタウロス種族コメウクの船《ヴレクネメル》は、鎌状の頭部をもつヒューマノイド種族ライヒカンゲの攻撃をうけ、突入してきた敵のため壊滅寸前だった。原因は難破船から救助した3人の“客”である。
ライヒカンゲの〈カオゲイター〉ホーカダルと、彼に護られた2人の女性ヒューマノイドは、カオタークの御座船、カオポーター《フェネリク》の乗組員だった。カシオペア矮小銀河に座礁したカオポーターから脱走した3人は、携行した装置〈ドライバー〉を用いて〈ギャップ〉を開き、追撃をふりきった。彼らの言う「共鳴星系」――ソル系へと亡命するために。

レムール同盟の首脳会議で“同盟コミッショナー”に選任されたローダンは、《ラス・ツバイ》の発進準備を開始する。アンドロメダVIIことカシオペア矮小銀河へ赴き、事態を究明するために。


以下余談:

  • 太陽系政庁の生体ポジトロニクス〈ラオツェ(老子)〉は12年かけて建造されたセミトロニクス〈ラオ=2〉に換装済み。しばしば『老子』を引用して会話を進めるらしい。老子のことを「先祖」というのを読んで、連想したのは……「ご先祖っ」「子孫っ」がしっ(パタリロ)
  • ソル系とタンホイザーを結んだ直線の先にカシオペア矮小銀河があるって……そのネタはトオゴンドゥの黄金の国関係で使ってるぞな。
  • 「わたしは平穏無事な生活がしたいからグッキーのミュータント部隊に入るのも断ったのにー!!」というアンズちゃんには草はえたwww
  • 2700話台で、ブルの活性装置に“混沌寄り”のメモリングでパッチを当てたの、時折思い出したように話題に出てきてたのだが、今度こそなんかあるかなあ。

2023/08/18 Twitterのスレッドに加筆訂正したものをブログに転載

3099話「銀河系の子供たち」

真偽アトラン対決。左が差別化のため剃髪したオプト=アトラン

制御を失ったカイラ人の巨大要塞〈星環〉が旧アルコン星系を包む〈鉛球〉へと引き寄せられ、破局の迫るM-13球状星団。カイラ人に叛逆したオプト(最適化コピー)=アトラン率いる贋《トーラ》へ突入したローダン、グッキー、ゼミナさんは囚われた本物のアトランを救出し、事態を打開できるのか!?
……という神話サイクル最終回、3099話「銀河系の子供たち」(ターナー)。

なんでテラ艦は球形なんだろう(ブリー)とか、トラムプを旅立ったのは正解だったかなあ(グッキー)とか、クーベルタンの唱えた「より早く、より高く、より強く」は現状に即してるだろうか(ローダン)とか、まるで関係ない(まあメタ的にどっかの国ではオリンピック開催するわけだが)ことを考えつつストーリーは進行する……いや、読む分には面白いんだけど(笑)
一方、“最適化され”たはずのオプト=アトランはやけに優柔不断で、アトランの孫娘にあたる小ヤスミンさんに怒られる始末。オリジナルには逃げられ、タイムパラドックスで《ラス・ツバイ》を破壊する時間魚雷作戦も失敗といいとこなし。

そして、ヤスミンさんがゼミナさんにつかまったあたりから話が急展開する。
記憶のすべてを取り戻したゼミナさんが贋《トーラ》ことゴーレムの指揮権を奪取。謎多きトランク〈パアウ〉を介して、テズ製活性装置を一時的にオプト=アトランへ移植することで騎士のオーラをコピー。それをゴーレムにまとわせて、“落下”する〈星環〉をアトプ導体の名残ともいえる〈鉛球〉を利用してダイオヴァースの片割れへと先導する機能を付与。
水先案内人として超知性体ハト=ハタンの残滓を宿したカイラ人のアイプ少年をリクルート。ゴーレム=スープラメンタムの演算能力の足りない部分を、電脳空間・真鍮スペースに意識体を転送した虚帝トルマナク率いる永遠の帝国のリソースが補って、みんなで安全なダイオヴァース第二肢へ発進ごー!

後には、あっけにとられたローダンら“銀河系の子供たち”と、元の姿を取り戻したアルコン星系が残されて、めでたしめでたし。
――なのかなあ。なんだか、故郷も仕えてきた超知性体も見捨てて逃げたカイラ人一派だけが目的をはたしたみたいで、すごく納得いかないんだけど(笑) でも情報収集能力が足りてないので、少なくとも、コスモクラートも超知性体もおらずとも、むやみと生命体を殺戮する超存在のいるダイオヴァースのあちら側に、明るい未来は待ってないと思うんだよね……。
銀河系も、500年の傷痕は深いと思うのだが。これで3100話で、ローダンはしれっとレムール同盟のコミッショナーとかやってるのかなぁ。

2023/08/18 Twitterのスレッドに加筆訂正したものをブログに転載

3100話から〈カオターク〉サイクル

8月31日付け公式サイトNewsによると、3100話からはじまる新サイクルは〈カオターク(Chaotarchen)〉になるとのこと。
3099話と3100話の間には短い時間ジャンプがおこなわれ、主な舞台は銀河系と周辺銀河となるらしい。

確か以前の噂では、3000話からのコンプレックスは3200話あたりまで続くとか、そんな感じだったはずだけど。x000話記念号からのストーリーが、100話かけて地球を元のポジションへ戻して終了、とはならないと思うのだが、モンデマーン草案だと最後5話くらいになっても核心部分は隠したままのケースもあって、余談を許さない。

Chaotarchen(複数形)は、当初日本FC界隈ではカオタルヒェンと音読され、後、“混沌の始原”か? と“カオタルケー”と訳された時期もあった。エレメントの主が前面に出てきたあたりで単数がChaotarchだと確認され、混沌の君主(Monarch)として「カオターク」に決定した経緯がある。
ネガスフィアの支配者ヴァウペルティアについては、なんだか“自称”っぽい結果に落ち着いて哀れを誘うが、その後、ヘクサメロンの興亡を使嗾したクズポミュル(Xpomul)とか、トライトアの後援者的立場のクズレイン(Xrayn)とか、影の支配者Xっぽい名前だけいくつか登場している。
ほんとうに彼らが物質の沼の進化形なのかさえ、正直さだかではないのが現状だが、そのへんにスポットを当てることになる……のかなあ?

DER »CHAOTARCHEN«-ZYKLUS KOMMT

エスタルトゥの十二奇蹟

そろそろ力の集合体エスタルトゥがハヤカワ版で登場する。十二銀河、十二銀河というけれど、実際に物語の舞台となるのは一部である。12の奇蹟(Wunder)もすべてが物語られるわけではない。……のだけど、30数年前にいろいろと調べたものである。要約集『エスタルトゥへの道』から『プロジェクト・メーコラー』にかけて使った訳語を簡単にまとめておく。

銀河名 銀河名(原語) 奇蹟 奇蹟(原語) 備考
アプザンタ=ゴム Absantha-Gom 災いを告げる蜉蝣 Die Menetekelnden Ephemeriden 1300話台中盤
アプザンタ=シャド Absantha-Shad スティギアの網打ち師 Die Stygischen Netzfischer (未登場)
ダタバール Dhatabaar カリュブディスのシレーネ Die Charybdischen Sirenen 惑星小説284巻(マール)
エレンデュラ Erendyra エリュジウム・リング Die Elysischen Ringe 1250話台
ムヤージュフ Mujadjh 覗き眼鏡のダナイス Die Stroboskopischen Danaiden (未登場)
ムウン Muun 失われたヘスペリデスの贈り物 Die verlorenen Geschenke der Hesperiden 1300話台中盤
パルカキュア Palcaquar エメラルドの鍵月 Die Smaragdenen Schlüsselmonde Werkstattband収録「キーポイント」(フランシス)
シューフ Shufu 興奮の商人 Die Exzitablen Marketender (未登場)
ジオン・ゾム Sion Som 紋章の門 Die Heraldischen Tore 1200話台終盤
ジュラーガル Syllagar 歌うモジュールの輪舞 Der Reigen der singenden, tanzenden Module 1200話台終盤(1話のみ)
トロフェノール Trovenoor オルフェウス迷宮のカリュドーンの狩り Die Kalydonischen Jagden durch die Orphischen Labyrinthe 1300話台序盤
ウルムバル Urumbar ヘリオスの金の雨使い Die Heliophilen Goldregenmacher Jubiläumsband7巻に収録(ヴルチェク)

 

これらの名称は、ストーカーがテラのメディア相手に「ヴィーロノートよ、エスタルトゥへ来たれ!」と宣伝したもので、主としてテラナー向けにギリシア神話がモチーフとして使用されている。当然、現地名とは異なっている。
【例】
×失われたヘスペリデスの贈り物
○失われたエスタルトゥの贈り物

あとストーカー的には「大物狩りが楽しめまっせー」という宣伝で奇蹟扱いだが、トロフェノールの奇蹟はあくまでオルフェウス迷宮だと思うのだ。これ、現地ではプシオン迷宮と呼んでいる、とヴルチェクは書いているが、もうちょい後になると、テラ語由来のプシオンという言葉は十二銀河では使われない(マール)とか言い出して、ややこしいことになるのだけど。

発音については、英語とドイツ語ちゃんぽん読みが随所に見られるが、この頃はまだドイツ語優先だった。ハヤカワ版だと、おそらくエリュシオン・リングになるんだろうな、とか。シオン・ソムにすると重厚感イマイチ……つーか、あの鳥人種族はソマーあたりになるのかにゃあ。

あと、今回ググってみて笑ったのが、Heliophilieの扱い。東方神起一色(笑)
「陽光を好む」を好陽性とか好光性なんてやるとわけわかんないうえにギリシア神話も太陽神もどっかいってしまうので、当時はあえてヘリオス様単独でご出座願ったのだが。

09/05追記:
“災いを告げる”はギリシア神話ではなくて旧約聖書。ダニエル書記載の「メネ、メネ、テケル、ウパールシン」はそのまんま本編にも出てくるのだけど、メネしてテケる蜉蝣、だとちょっと意味が通じないのでやむなし。
テケリ=リ! ぢゃないよ?

ペリー・ローダン・オンライン週間

本日7月13日から19日の一週間、PRファンツェントラーレとFC Stammtisch Wienの共催で、LIVE放送PERRY RHODAN ONLINE WOCHEが開催される。ローダン作家や編集者たちをゲストに、ヴィデオ会議の要領で双方向性のイヴェントみたい。開催時間は毎日18:00-22:00(注:ドイツ時間)。

ヒアリング能力がないことを抜きにしても無理……(笑)

初日のメインゲストはHartmut Kasper(草案作家ファンデマーンの本名)だが、あれか、これがあるからフリック含めグッキーの件火消しに必死だったのかな。せっかくの企画がえらいことになりそうだし。

Perry Rhodan Online Woce

大宇宙の救世主、倒れる!?

3072話「イルト死すべし!」において、18話「ツグランの叛徒」で登場して以来多くのファンに愛されてきたネズミ=ビーバーのグッキーが惨殺された件について。
動揺して思わずTwitterでもつぶやいてしまったのだが、

ちょ、待っ……渦状銀河(Spiralgalaxis)……。
このタイトルだからこそ、絶対ないと思ったのに。

3072 . Leo Lukas / Der Ilt muss sterben! / イルト死すべし!

ダールトン生誕100年とか祝いつつ、なにしとん……。— PSYTOH Reiji/西塔玲司 (@psytoh_reiji) July 2, 2020

当面は、その生存(復活?)を信じて待つことにした。
主人公ローダン自体が、過去「吸魂鬼に生命エネルギーを吸い尽くされてひからびたミイラに→活性装置がゴンゴン脈動して復活(トラドム編)」とか「銀河系を救う代償に殺害される→敵が保管していたÜBSEF定数テャマスィーを遺体に詰めなおして復活(星墓編)」とかやらかしているのだ。アーガイリスによる替え玉(カンターロ編)は言うにおよばず。大丈夫、うん、大丈夫……。
ただ、上記の枝発言で『クローンを殺して見せるのも、アトランの身柄が欲しい敵方としては悪手。』と書いたが、犯行に及んだのはカイラ人ではないのでこれについては誤りだった。ヤバ。

経緯としては、
①カイラ人が、アトランの娘ヤスミン・ダ・アリガの身柄の拘束をモンキーに要求。
②モンキーがヤスミンを収容した際、監視として同行していたトモパト人2名が彼女を誘拐。
③救出にむかったグッキーも、超能力に介入されて誘拐される。
④シリング星系でヤスミンさんは奪回されるも、グッキーはカイラ人の手に。
⑤グッキーの身柄はカイラ人の〈出口のない道〉のひとつイルサル収容所へ。
⑥奪回作戦中、収容所の生命抑圧器が破壊された際のショックで動けないグッキーをトモパト人が殺害。
……となるのだが。

トモパト人は、かつてロベルト・フェルトホフがスペーススリラー『星獣からの挑戦』で生み出した種族で、通常拘束着のようなものを着用しており、脚でアレコレ日常活動をこなすのだが、ひとたび拘束着を脱ぐと、微細な繊維のようなものか寄り集まった触手のような腕で戦闘ロボットすら破壊するという……。
それが、駆けつけたアトランの目の前で、グッキーにむかって振るわれた。顔や上半身ズタズタにされた、とルーカスは描写している。トモパト2名はTARAの分子破壊銃で触手1本のみ残して消滅。そしてグッキーは、抱き上げたアトランの腕の中で、ぴくん、と身じろぎして、ひと言もなく息絶えた。
遺体から立ちのぼった渦状銀河のプロジェクションは〈出口のない道〉を超えて広がり、近傍で待機していた《トーラ》からも観測されたという――。

これは酷い。ご丁寧に巻末の次号予告では、ロナルド・テケナーまで引き合いに出して、死を明確にする事象が生じたと書いている。
#ちなみに、テケナーの死の瞬間の描写はなかった。遺体が回収されたとも聞かない。
#着用者の死と細胞活性チップの回収を示す渦状銀河のプロジェクションのみである。

あまりにあまりな惨状に、公式フォーラムでも非難囂々の嵐で、いろいろと新記録を達成しているらしい(笑)
ある程度予期していたと思われる反応に、クラウス・フリックが「今日の草案打ち合わせでも議題になるよ」とかコメントつけたりしている。

で、信じて待つことにした理由だが。ほんのささやかな光明にすぎないが。

1 今年はダールトン生誕100年である。

お祝い記事や記念企画、ダールトン実録本などもろもろやっている最中に、彼が生み出した最も愛すべきキャラクターを、これだけ意味の無いタイミングで、なんの活躍もなく殺してしまうようなことは、いまのローダン・シリーズがどれだけ切羽詰まっているとしても、さすがにしないだろう、というただの希望的観測である。

2 ルーカスのインタヴューでの発言

最近、Perrypediaでは新刊ごとに作家インタヴューを掲載している。インタヴュアーはローダン・ミニシリーズ等にも執筆している作家ロマン・シュライファーで、わたし的に言う「オーストリア組」で本話の著者レオ・ルーカスとも親しい(はず)。
冒頭でルーカスは、「37年ローダン読んできたけど、もうやめるよ」と言うべきか、「これはフェイクなんだろ? どうやって解決するつもりなんだい?」と言うべきか、と悩むシュライファーにこたえて、

いまやめるのは、いささか、あー、性急にすぎる(überhastet)と思うね。

と述べている。すでにこの時点(7月2日)でフォーラムはe-ブック版を読んだファンの反応でえらいことになっているのはルーカスも承知しているし、当然ネタバレになることは口にできない。
ハヤマラナイデネー、というセリフを、これまた希望的に読み替えてみたい。

https://www.proc.org/acht-fragen-an-leo-lukas-zu-seinem-band-3072/

3 フリックの公式ブログでの発言

7月3日付け編集部ブログにおいて、クラウス・フリックは本話を取りあげている。物議をかもすことはわかっていた、とも。そして記事の最後を、

多くの読者が、年内にもう一度この巻を手にとることになるはずだ。

と結んでいる。年内……3100話は来年1月8日刊行である。つまり、サイクル終盤に、本話につらなる何事かが起きることになる。
いや、カイラ人の下働きのはずだったトモパト両名の、わけわからん暴走の理由がわかるだけかもだがっ!

http://perry-rhodan.blogspot.com/2020/07/der-ilt-muss-sterben.html

4 登場人物紹介にグッキーはいない(オイ

本話冒頭の主要人物紹介にグッキーの名はない。だから、アレはグッキーじゃないんだよ!(な、なんd(ry
というか、殺害現場に唐突に動けないイルトがいただけで、能動的な行動もセリフも一切ない。だから、あれはクローンじゃないかというハナシが出てくるわけで。
むろん、アルコンの〈鉛球〉をどうにかしたい→アトランの身柄が欲しいカイラ人には、グッキー・クローンを殺してみせるメリットはないのだが……。殺すため以外でつくってた(スープラメンタムがらみとか)のをトモパトに奪われた、とかさあ……いや暴論なのはわかってるけど。


どれもこれも、結局は願望のフィルターがかかった内容でしかないのだが。
信じて待つ、というか、祈るような気持ちではある。どんだけ「おい、なんだよそれ!」という顛末であってもいい。生きててくれよ、グッキー……。

ハヤカワ版含めると、42年ローダン読んでるけど、やめちゃうぞ?w

以下余談:
アトラン激オコで復讐に走ってナニしそうだかわかんない、ってブリーが心配してるけど。
個人的には、それはキミの役目なんじゃないか……?

ローダン、企業になる。

先だって原稿審査係に関する記事で、ローダン編集部を除くVPMの大半の部署が、親会社Bauerグループの意向で(ハンブルクへ)移転済みであると書いたが、公式サイトによると6月1日付けでローダン部門が別会社〈ペリー・ローダン合資会社(PERRY RHODAN KG)〉として発足したとのこと。

まあ、看板変わっただけで、やることに変わりがあるわけでなし。
ヘフト奥付まわりがどう変わるかで、マガンあたりはまた追記が増えるとヘドバンしてるかもだが(謎)

ペリー・ローダン合資会社

ラスヴィッツ2020速報

本日付で発表されたクルト・ラスヴィッツ賞2020。長編部門をエシュバッハの『ペリー・ローダン~最大の冒険』が獲得した。ローダン派生作品としては1998年のドイツSF大賞をフェルトホフが『星獣の挑戦』で受賞して以来か。なにはともあれ、めでたい話である。

先月に勤務先が変わって、ちょっとまだいろいろ更新する余裕がないのだが、これはやっぱり書いておきたかった。
ちなみにエシュバッハ、10回目の栄冠である。ホント、あちらのプロパーな方々、エシュバッハ好きやねえ……。

元ATLAN作家の回顧録

ファルク=インゴ・クレー(Falk-Ingo Klee)は1946年ボーフム生まれ。ヴルチェクあたりと同年代にあたる。80年代に主としてATLANシリーズのレギュラー作家として1割前後を執筆していた。旧ATLANヘフトが850話で“完結”した後、彼がローダン本篇に参加する機会はなかったのだが、近年になって当時の内幕を知る人物として公式サイトに度々コラムを寄稿している。

今回掲載された“Das Triumvirat der Expokraten”は彼が参加していた頃のATLANヘフト草案作家についてのもの。
Triumviratは古代ローマの「三頭支配者」であり、ローダンではカルスアル同盟の寡頭制としても使用されている。一方のExpokratenは草案作家(Exposé-Autor)とコスモクラートの合成語で、ローダンの草案がヴルチェク+マールの合議制になったのよりさらに後、技術草案やブレーンを含めて草案工房(Expose-Factory)と呼ばれる時期を経て、だいたいフェルトホフとクラウス・フリックが主導権を握った時代から使われるようになった。
いずれにせよ旧ATLANヘフトが刊行されていた時代にはなかった言葉だが、ここでは基本、当時のATLANをウィリアム・フォルツから引き継いだマリアンネ・シドー、ペーター・グリーゼ、H・G・エーヴェルスを指すと思えばよかろう。

個人的に興味深かったのは、原稿には作者の考案したタイトル×3とタイトル下のあおり文句×3を添付され、当時の原稿審査係(Lektor……編者を、往年のファンダムでは慣習的にこう訳していた)であるシェルヴォカートが1点を選ぶか、ピンとこない場合は自分で新たにひねり出す……という仕組みが明記されていたこと。
もう前世紀の話だと思うが、1500話台のとある草案のコピーを見る機会があって、そこに3つのタイトル案が列記されていたのは知っていたが、オフィシャルに書かれたのはこれが最初じゃなかろうか。知らんけど(ぁ

あとは、Terra-Astraの一部でも草案制は採用されていた、とか。
Terra-Astraは70年代から80年代にかけて、週刊・後に隔週でメーヴィヒ社が刊行していたSFヘフト叢書。全タイトルがペリペに掲載されていることにいまさらながら気がついたり。ヴルチェクの『銀河の奇蹟』とか、クナイフェルの『宇宙船オライオン』とか、翻訳モノとしてスタトレやダーコーヴァとかデュマレスト、銀河辺境なんかも収録されていた。日本でいう銀背あたりに相当するのかなあ。
細かく調べていけば、それ以外に、複数作家で執筆されたミニシリーズがあったりするのだろう。それはそれで楽しそうだが。

あと笑ったのは、作家間の連携のため、草案は直接担当しない全作家へも送付され、また書きあがった原稿を次話担当の作家に送付する決まりになっていたのだが、何分インターネットなど普及していない当時、フロリダ在住のマールへ送る便は高額で、後年会った際に「ちゃんと送ってきたの、キミだけだったよ……」なんて言われたとか(笑)

まあ、今は昔。とっぴんぱらりのぷう(違

草案作家の三頭支配者

MS2/バリルのジレンマ

MSの略称、脳内でミレニアム・ソルに誤変換する……(笑)
さて、ちょっと遅くなったが、3月19日(Kindle版)に開幕したミニシリーズ〈ミッション・ソル2〉。すでに4話が刊行され、8話までのタイトルが公表されている。

  1. Kai Hirdt / Ritter des Chaos / 混沌の騎士
  2. Madeleine Puljic / BARILS Botschaft / バリル教書
  3. Olaf Brill / Zielpunkt Nebelzone / 目標・霧ゾーン
  4. Hermann Ritter / Im Sphärenlabyrinth / 天体迷宮にて
  5. Bernd Perplies / Der violette Tod / 菫色の死
  6. Olaf Brill / Das Licht in der Tiefe / 深淵の光
  7. Dietmar Schmidt / Drei hoch Psi / 三のプシ乗
  8. Ben Calvin Hary / Das Gelbe Universum / 黄色宇宙
     (※全12話)

前シリーズでコスモクラートの工廠惑星エヴォラクスを大破させるにいたった責任――これ、ローダンたちが負うべきものかなあ、前混沌胞とか持ち込んだ科学者のせいだよなあ――を取らされ、さらなるお仕事を言いつけられたローダンと《ソル》。断ったときの一番蓋然性が高い未来――法付与機《新生》による《ソル》撃沈のヴィジョン――を見せられたローダンに、否やはありえなかった。
エロイン・ブリゼルによって、目標は銀河系から5800万光年の距離――タレ=シャルムからさらに故郷より遠ざかる――にあるヤホウナ銀河であることが告げられる。何万年にわたりコスモクラートの忠実な同盟者であった当地の超知性体バリルだが、最近(200年前くらいから)その信頼性が失われつつあった。バリルの有する“騎士団”――ドムラト騎士団レベル――の構成者による独走か、あるいはバリル自身が混沌へと河岸を変えたのか。それを探り出しつつ、騎士団がヤバい兵器を製造するのを阻止したい……らしい。
艦長フィー・ケリンドを失い、前混沌胞内部で150年の時間を失い、エヴォラクスに残した子供たちを失って傷ついた乗員たちにそんな余力はないと反駁するローダンやテス・クミシャだが、万が一バリルが混沌側に走っていた場合に“エヴォラクスを破壊した”前歴のある《ソル》で乗りつけた方が好都合、とにべもない。

フィー・ケリンド(Fee Kellind)は元TLDエージェントで、初登場は1997年刊行のスペーススリラー第1巻『スタービーストの挑戦』にまで遡る。本篇ではヘリオートスの堡塁の暴走によってテラニア・アラシャン地区がダ・グラウシュ銀河の惑星トリムへ転送された事件にまきこまれ、唯一稼働できた宇宙船《グッド・ホープIII》艦長となり(1914話)、まもなくローダンがシャバッザから奪回した《ソル》の艦長に就任する。
その後、時空を越える数々の遠征を経験しつつ、ほぼ300年(本人的には150年)の長きにわたり《ソル》の顔といえばフィーさんであった。まあ、本篇では2500話以降出番がなかったわけだが、非不死者組の主要キャラクターの中でも息の長い人物であった。

スカイブルーに輝く光のトンネル――未知の超光速搬送手段――も用意済み。イレギュラーな四次重層が生じぬよう、エリュシオン・ナノ量子場によって時間勾配がコヒーレントに安定化されたセクスタディム間欠フィールド……とかなんとか、よくわからない解説をされてくやしいハイパー物理学者のテスちゃん(笑)
ところが、お膳立てされて移動はらくちん……かと思ったらそんなことはなかった(爆)
搬送路の副次効果として艦体のソロニウムを“再カーライト化”しつつあることがアダとなり、《新生》に対処するため搭載した、タレ=シャルムに残された終末戦隊トライトア由来の機器を構成するリコディン複合物質が爆発する事故がたてつづけに発生。《ソル》が大爆発を起こす前にと、ローダンはポテンシャル・ランチャーによる搬送路破壊という暴挙に出た――!

ソロニウムに“エイリスを”充填してカーライトに戻す、とかいう戯言を読むにつけ、ああ、《ソル》が金色になって再登場した頃の作家、ひとりも参加してないんだっけ……と再確認させられる。《ラス・ツバイ》の装甲がプロト・エイリスに侵蝕されたのとごっちゃにしているのだな。カーライトに含有されるのは究極素だってばさ(笑)

バリルの騎士A-クアトンドは、先住種族を鏖殺しての拡張政策をとっていることが判明したトルヴァウド種族への対処の一環として、スキヴ星系を訪れていた。バリルはバランスを重んじる。マーラブ、ケフィンガ、クッスとすでに3つの種を根絶したトルヴァウドへの懲罰遠征は、本星トルヴを含めて同時に展開中だ。
A-クアトンドの騎士艦・正四面体の〈戦闘頴〉は数千機に分裂、あっけなくトルヴァウドの艦隊を蹂躙、降伏させる。名誉ある闘いをもとめるセントリファール種族の彼女としてはなんとも物足りない。
ところが、侵略艦隊の司令官の思考を読んだオービター、カルファト・ウディモルは、トルヴァウドがこれまで未知の、もうひとつの惑星に侵略艦隊を派遣していたことを看破する。処刑まぎわのわずかな記憶映像――夜空の星座を分析し、戦闘頴は判明した座標へとむかった。

セントリファールは、1800話からのトルカンダー・サイクルに登場したプランタグー銀河の好戦的種族。元々はガローン人セントリが培養した戦闘アンドロイドらしい。16名からなる氏族を構成し、クランにおける位置づけは名前のアタマにA-とかB-とかアルファベットに相当する符号によって表現される。
名誉ある戦闘、つーか。当時の表現だと、完全に弱肉強食の論理だったと思うんだが……(笑) 暗殺も横行してたし、勝てばよかろうなのだーだったはず。ともあれ、今回は、圧倒的技術力の差で抵抗すらできないスキヴ種族を根絶しようとするトルヴァウドに怒り、その艦隊を蹂躙しては、ろくに抵抗もせずに降伏したことにまた怒り(笑)
そのくせ、艦隊司令(トーロヴ)だったエリラレが、もうひとつの侵攻先惑星の情報を秘匿するために自害して果てると、案外骨があるじゃない……と、トルヴァウド種族に情状酌量の余地を与えてやれないものかといきなり方針転換するw

おなじ頃、ディウルー星系の惑星ディウルーでは、トルヴァウド艦隊トーロヴであるトルルルが連絡の途絶に困惑していた。あるトラブルから征服完了の報告が遅れていたのだが、本星はおろか、少し前に増援の要請を送ってきたスキヴ星系すら応答がない。この時点で他の騎士艦によりトルヴァウド本星含めすでに根絶されているわけだ。やがて襲来したA-クアトンドの戦闘頴を前に、トルルル麾下の部隊はやはりなすすべもない。
トルヴァウド種族に憐憫の情を抱いたA-クアトンドは、虐殺の形跡がないのをいぶかしみ、ウディモルに現地調査を並行しておこなわせていた。それによると、先住種族エルタイルは同士討ちの結果滅んだらしい。ならば、あるいは生き残ったトルヴァウドに、惑星ディウルーを居留地として与えてやることはできないか。セントリファールが逡巡したそのとき、ディウルー星系外縁で巨大な構造震動が生じ――亜鈴型の巨船が出現した。

通常空間に落下した《ソル》では多くの機器が脱落し、半死半生の状態だった。どうにか稼働する機器を動員して周囲の状況を探った結果ローダンらが目撃したのは、圧倒的な技術力の差がある三角錐艦による蹂躙だった。
よせばいいのに、“平和主義者”ローダンはこの殺戮を制止しようとする。“バリルの騎士”からの回答はにべもない拒絶。オービターとともに捕縛されたトルルルに面談しようとしていたA-クアトンドは戦闘頴に戻って邪魔者に対処しようとするが、その際の混乱に乗じて、トルルルがウディモルを殺害してしまう。
ウディモルの調査結果どおり、ディウルーの先住種族エルタイルはトルヴァウドの侵略を受ける前に内戦で滅亡したのだが、逆にその遺した地雷原のため軍を損耗したのみならず、トルルル自身が脳に傷を負い、当時の記憶を失っていた。明らかになった真実――戦闘のひとつもなく利を得たことは、トルヴァウドにとりあまりに屈辱であり、それに耐えられなかったトルルルは自害して果てる。

A-クアトンドはこれに激怒し、かつ《ソル》に責任を求める。ソラナーの搭載艇部隊とセントリファールの分割小艇部隊との戦闘は、やや《ソル》側有利に進行していたが、そこへ3隻の巨船が到来する。
直径2.5キロ、中心部が針のようになった独楽型。
涙滴状の青く輝く船。
全長2キロの菫色の転子状船。
他星系で作戦に従事していたバリルの騎士艦である。さらに〈バリルの声〉が停戦を要請する。騎士の活動を妨害した《ソル》は接収され、ソラナーは惑星ディウルーでの流刑に処すという。
「バリルはバランスを重んじる」という、セントリファールとの会話の際得られたわずかな情報をもとに、圧倒的技術格差の戦闘を見すごせなかった、バリルの使命についての詳細はA-クアトンドが説明を拒んだため承知していなかったというローダンの反駁は一定の理解が得られたらしく、亜鈴船は騎士艦に包囲され、移乗してきたセントリファールのロボット部隊に監視された状態で、バリルの騎士団の本星ケッサイラへむかう。
停戦のどさくさまぎれに、ローダンはロワ・ダントンをアルゴリアンが勝手にチューンアップしたコルヴェット《カラマル》で脱出させ、別行動をとらせる。

……というのが第1話「混沌の騎士」の概略。
続く第2話「バリル教書」でケッサイラに到着したローダンは、バリルの6騎士による審判を受けることに。

バリルの騎士団は、例えば「戦士-外交官」のように対蹠的な役割を果たす3対6名の構成員から成る。“戦士”に該当するA-クアトンドの訴えにあたり、“外交官”センマルがローダンに応接する形をとる。センマルはローダンに「バリル教書」へのアクセスを許可し、ローダンは宗教的な教えの形式をとった超知性体バリルの思想を学ぶ。

ヤホウナ銀河は、かつて超知性体ヤホウンの力の集合体であった。多様性を愛したヤホウンは、秩序ではなく混沌の側に属すものであったが、永らく平和のうちにまどろんでいた。だが、やがて秩序勢力の手はヤホウナ銀河にまで伸び、闘わざるを得なくなった。ヤホウンがいわば身を寄せていた混沌もまた、闘わぬのならば混沌自身によって滅亡の憂き目をみせると脅すのだった。
ヤホウナの種族は、彼らを愛した超知性体ヤホウンの旗のもと決起し、勇敢に戦ったが、銀河はことごとく焦土と化し、ヤホウンとともにあまねく種族は滅亡し――長いながい時ののち、荒廃したヤホウナ銀河に、新たな超知性体バリルが生まれる。
星々のあいだに生命が戻ってきたが、それはバリルにとって苦渋の決断が迫ることをも意味した。かつてヤホウナを滅ぼした秩序勢力にしたがうのか? 闘いを強いた混沌のもとへ戻るのか?
闘いをはじめるものはつねに強者と愚者である。強さなくして生きてはいけない。バリルは〈戦士〉、〈外交官〉、〈探究者〉、〈哲学者〉、〈育種家〉、〈観察者〉の6名の騎士を任命し、その〈声〉をもって、愚者を導く天秤となした……。

あっれー、信頼できる秩序の同盟者とかどっから出てきたねん、という成立史なわけだが。ローダンにしてみれば、秩序のために闘いその結果死んだ超知性体アルケティムや、おとめ座銀河団で〈第三の道〉を選んだ超知性体エスタルトゥとか、トレゴンしつつ秩序側のスパイでもあった〈それ〉とか、いろいろと心当たりがありすぎるわけで。
聖堂における審判が3対3で票が割れ、仮想現実における試練を受けることになったり、トルヴァウドに滅ぼされた種族クッスの生き残りがとある騎士にそそのかされて、連行されてきた“仇の味方”ローダンの生命を狙ったり、試練が実は『エンダーのゲーム』みたく現実と同期していることを悟ったローダンが、テス・クミシャを新たな“艦長”にした《ソル》を脱走させたり。
すったもんだあったあげく、A-クアトンドと拳をかわして和解(?)したローダンは、当面《ソル》とともにセントリファールの“オービター”として活動することに……。

第1話が「“混沌の”騎士」ってネタばれじゃないの? とか思っていたのだが、意外に背景は複雑だった(笑)
3話は別行動をとったダントン・サイドの話で、きょう発売の4話で合流するっぽい。
しかし、この状況で、どうやったら秩序勢力も納得いくエンディングを迎えるのか。はてさて。

6騎士にはそれぞれ象徴としての色が与えられていて、後続タイトルにある「菫色」も「黄色」も含まれている。
 A-クアトンドと和解(?)しても外交官センマルに危険視されて、3対3の状況は変わらないし……どうなるのかね。