ミッション・ソル2――まさかのセントリファール

公式Newsで来週スタートするミニシリーズ〈ミッション・ソル2〉第1話の話がちょこっと出ていた。
ペリペで登場人物に“A-Kuatond” とあったので、まさかな……と思っていたら、ホントにセントリファール女性だった(笑)

セントリファール(die Zentrifaal)は1800話にはじまるトルカンダー・サイクルにおいて、〈無限への架け橋〉を越えて未知銀河プランタグーに漂着したローダンとブルが遭遇する戦闘種族。1000年以上も姿を見せないガローン人に強制された“平和”に異を唱えるA-カリフォルムらは種族を煽動・蜂起するが……というエピソードは当サイトの『無限架橋』で紹介している。
#アタマがZなのにゼでもツェでないのは、首惑星がZentrifaal-Zentrumだった訳者都合。

今回登場するA-クアトンドは「女騎士(Ritterin)」と書かれているが、第1話のタイトル「混沌の騎士」は男性単数ないし複数形なので、こちらとイコールなのかは不明。氏族(16名)まるごと雇われ騎士なのか。まあ、セントリファールって、秩序より混沌のほうが体質的に合いそうな気もするけど、基本弱肉強食で騎士道精神とは無縁なセントリファールが騎士ねえ……w
ともあれ、プランタグーからも遥かなヤホウナ銀河でA-クアトンドと邂逅したローダンは、彼女とともにまた新たな宇宙の謎に直面する、とのこと。

公式News:EINE GANZ BESONDERE RITTERIN

猫を尽くしてカッツェンカットを待つ

1224話「Rückkehr in den Frostrubin(フロストルービンへの帰還)」において、ディン・ドンことシガ人ラファエル・ドングがおもむろにダジャレを放つ。

カッツェは息をする。カッツェンカットは指揮をする」

ハヤカワ版「フロストルービンふたたび」

以前、別の記事で、“指揮エレメント”だと、このダジャレちょっと厳しいかな……と書いたが、ハヤカワ版けっこう頑張っている。
またちがう記事で、元になっている諺そのものを題材に取りあげたことがあって、文中1224話のセリフ自体も引用・試訳している。ご参考までに。

人事を尽くして待つものは?

カッツェンカットの肩書き、Element der Lenkungを“指揮エレメント”と訳すのは、マガンあたりは「立ち位置的にその方がわかりやすいでしょ」と肯定的だ。
ただ、上記ハヤカワ版だと、ドングはなんの脈絡もなく、意味不明なダジャレを一発かましただけという……いや、実際にそうなのだが!(笑)

したらば、いったいどう訳すのさ、となった時、電話回線をはさんで2人してアーウーうなったあげく出てきたのが%タイトル%である。
いやもうこれ、指導も指揮もかけらも残ってないwww なんとかの考えやs(ry
#猫は悪くない。

3/13追記:
後日マガンと“宿題”的に「なんか思いついた?」と連絡をかわした。一応列挙しておく。

マガン作:猫はしこうして天寿を待つ。カッツェンカットは指導して天命を待つ。
#rlmdi.訳“指導のエレメント”対応版だあね。

拙作:猫に九生あり、カッツェンカットに十戒あり。
#ひらきなおってるwww

最愛の凸凹コンビ

現在発売中のハヤカワ版『オクストーン人と提督』で、おもむろに惑星ヴィグパンダー出身のヴィグパンダー種族シャーアドル=オフ(Shahadl-Off)なる人物が登場する。
まあ一発キャラで続刊での再登板はないわけだが、ローダン宇宙には、実はもうひとりヴィクパンダーが存在して、そちらはかなりの重要キャラである。エーヴェルス持ちキャラのひとり、といった方が通りがよろしいかもしれないw
#余談だがどちらも女性なので、原語はVigpanderin。

ネイタドル・オフ (ATLAN710話)
© Pabel-Moewig Verlag

当該ヘフト1221話は1985年刊行。懐かしいかな、三省堂書店で最初に購入したヘフトの1冊である……が、それはどうでもいいチラ裏で、当時の本国ドイツではまだATLANヘフト・シリーズが健在で700話を迎えようとするところ。
それからまもなく、ATLAN709話「モジュールマン」において、惑星ジッサスの時間廟(Zeitgruft/時間地下庫)で停滞フィールドに封印されていたモジュールマンことゴマン=ラルゴ(Goman-Largo)を解放するのが、ヴィグパンダーのパラ時間歴史学者ネイタドル=オフ(Neithadl-Off)だ(双方、この巻が初登場)。

ティガノイ種族のゴマン=ラルゴは〈ルーフの時間校〉で訓練をうけた時間スペシャリストであり、遺伝子工学的に〈モジュール〉を埋め込まれたモジュールマンである。ティガノイは〈時間外科医師団〉を敵としており、ラルゴはその手中に落ちていたわけなのだが……。
とある銀河でフィールディングをしていて、ひょんなことから官憲に追われて不時着した惑星で出会ったプロスペクターから惑星ジッサスの時間廟の存在を知ったネイタドル=オフは、すったんもんだのあげく遭遇した時間外科医をまるめこんで時間廟へ立ち入り――
ゴマン=ラルゴに一目惚れする(笑)

1221話でヴィグパンダーをどう描写しているかは未確認なのだが、要するに、トランポリン・サイズ(2.3m×1.6m)のムカデである〔イラスト参照〕。ティガノイはふつーのヒューマノイド。美的感覚どーなってんの!? と思うよねw

ともあれ、またまた時間外科医をそそのかしてゴマン=ラルゴを解放(時間外科医はとーぜんやられた)したネイタドル=オフは、「おお、わたしの最愛よ!(Meine Große Liebe!)」とかなんとか(大声で)囁きながら、時間スペシャリストのひっつき虫となる。
この凸凹コンビ、翌年エーヴェルスがATLANシリーズの草案作家(ペーター・グリーゼと分担)となったこともあって、ペリペディアのNeithadl-Offの項を見れば700話以降のストーリーのほぼ半分がわかる(?)という主役キャラっぷりである。800話「時間病塞」なんてこのコンビが主人公だ。
アトランに対しても「アトランちゃん(Atlanchen)」と小僧呼ばわりの大物ぶり。よくわからないホラ話――“パラ時間”でのできごとか?――をぽろぽろ漏らす、なんだか対処がむずかしいオバちゃんというのが、個人的にはネイタドル=オフの印象だったり。

そして、なにがおそろしいって、このコンビ、〈星の暗黒兄弟〉との決戦まぢか、融け合って〈キングロリー〉なるヒューマノイドを形成するのだ。“最愛より生まれし子(KINd einer GROßen LIebe)”の意味だそうな。
……愛ってこわい(爆)

■Perrypedia:Neithadl-Off
■Perrypedia:Goman-Largo

リコです、殿下。

だれかが荘重に、
「時間であります、殿下」

――50話「アトラン」より

とうとう、本篇で(再)登場。リコである。

植民地アトランティス滅亡の際アゾレス海溝深く沈んだドームで、深層睡眠状態の水晶王子アトランを起こした介助ロボット……というか、アトラン曰く、とにかく話相手が必要だった、と表現される。比較的、単純な機能しかもたなそうな、ハヤカワ版の読者には、おそらくそんなイメージがあるだろう。

しかし、ドイツの読者にとって、リコはペーパーバック1冊のタイトルロールをはるだけのキャラクターなのだ。そのへんの事情は、ハンス・クナイフェルの〈アトラン歴史冒険譚〉シリーズによる。
惑星小説におけるこのシリーズでは、毎回、アトランは目覚まし時計代わりのロボットに起こされるわけだが、回を追うごとに(〈それ〉の陰謀か)リコはどんどん人間らしくなっていき、後期の〈サイコヴァンパイア〉とアトランが対決をくりかえすあたりでは、立派な“友”のひとりとなる。時には、真田さんよろしく、今回の冒険に必要となる装備をご用意してあります、みたいな展開もあるらしい(笑)
NEO版のリコがちょっと変な動きをしているのは、〈アンドロス〉の工作員にハッキングされたとゆーのもあるが、元々、リコというロボットは高次勢力(〈それ〉)にちょっかい出されて、ご主人様(アトラン)の予想外の行動をとるものだ、という刷込が現行の作家陣にもあるんじゃないかな。

そうした印象と、50話のリコはいまいちそぐわないので、実はリコ2号なんじゃないかと、個人的には判断している。
Perrypediaの記述を見ると、惑星ミラクルで爛れた生活を送るアトランに救難信号を送ってきたり(作中1964年)と海底ドームを拠点にしている一方で、「海底ドームには新しいリコだけが残った」とか微妙な表現もある。

とにかく、歴史冒険譚においてリコは、大抵はアナグラムの偽名を用いてアトランの行動をサポートしている。主に、リコ・アルコンの2語を組み替えて、リアンコールとか、コイロ=カルンとか名乗っているわけ。
ヘルゲイト、金星と刃傷沙汰のすえローダンと友情を築いたアトランも、さすがにそうした複雑な事情は明かさなかった。ただ、まあ、女性インタヴュアーにこたえて昔話を語ったり、マルチサイボーグの叛乱に際して興奮のあまり涙を流しながら実体験をダダ漏れにさせたりしたのが歴史冒険譚である。耳にした人々は、リコがちょっとアレなロボットであることを、なんとなく感じ取っていたんじゃないかな?w
2/10追記:マガンから指摘をいただいた。惑星カルタゴIIの事件で大やけどを負ったアトランは生死の境をさまよい、譫妄状態で付帯脳の中身がダダ漏れた、が正しいとのこと。

とはいえ、それは歴史冒険譚、後にはペーパーバック版のアトラン外伝における役割に限定されていた。“この”リコの、いわば産みの親であるクナイフェルは活躍の場を主にATLANシリーズへと移し、ローダン本篇には1100話以降、ゲスト的に散発的な執筆しかしていない。草案作家を含む同僚たちも、彼をさしおいてリコを出そうとはしなかった。
そのクナイフェルも、歴史冒険譚の執筆を“データバンク”として支えたというライナー・カストルもいまは亡く、チーム作家も世代交代した現在、おもむろにリコに再登板の機会がやってきた、みたい。

わたしはすっかり忘れていたのだが、アートプ法廷サイクルで、テラに“新アトランティス”を称するアルコン人の入植地ができたときに、ニオル・カロクというデザイナーが関係していたのだが、これがやはりリコ・アルコンのアナグラム。
また、《アトランク》が漂着した〈いつわりの世界〉新銀河暦2577年で遭遇した船《マザー》は実はリコの船だとかいう。上述コイロ=カルンの名はこの時使用されたもの。……なんだったのこの伏線状態であったのだが。

「政庁首席か?」
「いいえ。随行とともに漏斗建築へどうぞ。ギズレーン・マドーニがテラへお連れします」
「だれがわたしを待っていると? アダムスがめざめたのか?」
「活性装置の再生が終了するまで、彼の眠りは中断できません。ご辛抱を」
「では、待っているというのは?」
「古い知己ですよ」と、ネーサン。「リコが」

――3051話「ルナ」より

3052話「テラ」において、ローダンはまちがいなく新アトランティスを訪れるはず。そこでホーマー・G・アダムスがサスペンション状態で治療をうけているからだ。
リコもそこにいるのなら――どうつながるのか。正直、モンデマーン(モンティロン&ファンデマーン)がそこまで緻密にやるとも思えないんだけど。ちゃんと考えた伏線だといいなあ。イヤホント。

■Perrypedia:Rico

MADDRAX x Perry Rhodan

受け攻めの話題ではない、念のため(笑)
昨日、2月4日で、Bastei社から隔週で出ているSFヘフト・シリーズ《マッドラックス》が20周年を迎えた。これを記念して実現したコラボ企画が、「マッドラックス・ミーツ・ペリー・ローダン」なわけ。

マッドラックスでは現在「並行宇宙」サイクルが進行中なのだが、同日刊行の523話タイトルは、そのものずばり「クロスオーヴァ」。作者はローダン作家でもあるオリヴァー・フレーリヒ。
そしてNéstor Taylor描くところの表紙絵がこれ。主人公マシュー・ドラックスとヒロインのアルーラ、金色のやつは〈記録者〉ダルトン・シェア(Dalton Shair)……のはず、だが。そう、ローダン・ヘフト第1話「スターダスト計画」のオマージュである。

西暦2550年、旧韓国西方のクレーター湖(2012年のクリストファー=ロイド彗星が激突した場所)を訪れたマシュー・ドラックスとアルーラは、グライダーで旧チベット近傍のアガルタへと向かっていた――のだが、不意に衛星システムとのリンクが切れた。ふたりは並行宇宙の地球に転移していたのだ。
時は西暦1971年、アジア連合支配下のゴビ砂漠。月面でアルコン宇宙船と遭遇したペリー・ローダン少佐は《スターダスト》で不時着をよそおい、当地に〈第三勢力〉をうちたてたばかり。東西両ブロックとアジア連合は月着陸船周囲にはりめぐらされた輝くドームの秘密を探るべく工作員を送り込んでいた。

マシューらは、アガルタの科学者の末裔たる〈記録者〉のひとりダルトン・シェア(ダールトンとシェールであるw)に遭遇。アルコン技術のエネルギー・ドームの影響で装備を使えないというダルトン・シェアをともない、《スターダスト》へ接近する。おりしも、IIAのマーカントの命をうけたアルブレヒト・クライン少尉が当地を訪れていた。クラインがドームを離れるのと入れ替わりに侵入したマシューらだが、ローダンとクレストにあっさり捕まってしまう(笑)
交錯するふたりのSFヒーローの軌跡。見知らぬ種族(ダルトン・シェア)に遭遇して燃え上がるクレストの知的好奇心!(爆) マッドラックスのバック・トゥ・ザ・フューチャーは成功するのか(おい

元米国軍人というキャリアを同じくしつつも、まったくちがう時空の出身であるマシューとローダン。マシューにとって最初の月着陸船はアポロ11号だったりして、微妙にすれちがう様は微笑ましい。もちろん最後には、マシューとアルーラは〈記録者〉の用いる〈時を超える空間〉経由で2550年へ帰還するのだが……“知りすぎた”クレストの対処もちょっとアレである。精神干渉装置大活躍(笑)

巻末にはクラウス・N・フリックのコラボ挨拶や、これまたローダン作家にしてマッドラックス作家でもあるミハエル・マルクス・ターナーのシリーズ回顧録が収録されている。
近年は、暗黒惑星3部作等、ローダン関連書籍がBasteiから出ていたりもするのだが、こんな共演が実現しようとは思わなかった。みんな、イロイロと考えているんだねえ……。

■beam-shop.de:MADDRAX trifft Perry Rhodan

剪定事象

先日、はじめて1年半になるFGO(Fate/Grand Order)で、ようやく2部4章ユガクシェートラをクリアしたのだが……そのエピローグを眺めながら、ふと思った。
あ、これ、ディスクロン剪定(Dys-chrone Scherung)やんけ(笑)

型月の派生作品には『事件簿』以外ほとんど触れていないので、Fate/Extra等でどう説明されているかは、Wiki等でしか知ることはできないのだが、並行世界の概念として「完全に別世界になり、いずれ滅びる枝葉の並行世界」=剪定事象、という部分はFGOにも受け継がれている。

一方、すべての時間の終点〈時の彼方の地〉まではるばる直訴に訪れたアトランの対応に苦慮した超存在テズが、結果として選択したのがディスクロン剪定(双時性剪断)。われわれの宇宙と、アートプ法廷が〈劫火〉等のよろしくない事件が起きないよう監視・管理している世界=テズの誕生する世界を、異なる時間線として分離することだった。
2874話「テズ」のアトラン・サイドは、「では、よき旅を」「ティフっ」「アトランっ」がしっ――と抱擁して終わるのだが、脳内再生でそのシーンのバックに「空 想 切 除」(ばーん)の文字が(笑)

でも、これ、切除されてるのって、どう考えてもこっちの宇宙なんだよなあ(汗)
ま、なんだかまだアルコンに特異点(アートプ導体)が残ってるみたいなんで、カルデアのマスターがだれになるかは知らないが、その奮闘はまだまだ終わらないのだった(混じってる混じってるw

ミッション・ソル“2”の助走

公式ツイートで、3月19日発売予定の、新ミニシリーズ《ミッション・ソル2》第1話の表紙が公開された。
#プリント版、たぶん3月20日(金)発売じゃないかな?

1. Kai Hirdt / Ritter des Chaos / 混沌の騎士

今回も全12話になるはず……。
ツイートのリプで“ミッション・ソル(1)第2話とミッション・ソル2の区別がつかねぇ……。なんで13話にしないの。”ってのがあって、だよなあと思ったw

新作家:デニス・マティアク

Amazonの発売予定によると、3054話「ヴェクイア最後の世界(Die letzte Welt der Vecuia)」を、デニス・マティアク(Dennis Mathiak)が執筆するらしい。

マティアクは1986年12月11日、ドイツ西部のゲルゼンキルヘン生まれ。
少年時代、父が本棚のディズニー・コミックの裏に隠していた(笑)ローダン・ヘフトを発見したのがSF初体験っぽい。451話からローダン読者になった(公式のプロフィール)そうなので、時期的に第5版の読者と思われる。2000話から初版も購読とか。

10代後半からファン小説の執筆をはじめ、2007年頃からPROCのオンラインで独自のSFシリーズ〈Thydery〉を発表。これにはシュテルン、ヘーレン、モンティロン、テムゼン等、後のローダン作家たちも参加していた。
同時期、2007年の第4回ウィリアム・フォルツ賞において「訣別(Abschied)」にて第1席を獲得している。
SF作家ワークショップ等にも足しげく通ったそうで。この際にできたスーザン・シュヴァーツらとの縁で、彼女が自前の出版社Fabylon-Verlagから出したSunQuestシリーズ中の一編を担当した(共著)のが、マティアクにとって最初の商業作品となるだろうか。その後、Bastei社のSFヘフト・シリーズ〈シュテルネンファウスト〉で2篇を執筆している。

ローダン・シリーズへの参加は2011年のアトラン-X(新歴史冒険譚ポケットブック)6巻執筆からで、以降、時折ローダンのミニシリーズでお声がかかるようになる。主として、上記SunQuestでご縁のあったシュヴァーツやウーヴェ・アントンが草案を担当したものだが、ローダンNEOでも第1期に2篇を執筆している。

……と、色々書いたが、なんか印象薄いな……と思ってつらつら考えるに。白状しよう、実はまだ1作も読んでなかったorz
ま、まあ、記念すべき通算50人目のローダン作家(正篇)は、期待の若手ということで、ひとつ。

Fabylon-Verlag:シュヴァーツが自作を出版するために1987年起業。現在も続いているのだからたいしたもの。
SunQuest:シュヴァーツ草案のSF+ファンタジー。2007年から隔月全12巻。ヴルチェク、アントンらローダン作家多数参加と同時に若手を登用したらしい。
STERNENFAUST:2005年から2012年にかけてBasteiより刊行のSFヘフト。全199話打ち切り。

■公式Info:DENNIS MATHIAK
■Perrypedia:Dennis Mathiak

3/25追記:公式サイトでも23日に報じられたが、これだとゲスト扱いかレギュラーか判別つかないよね……。

■公式News:DENNIS MATHIAK SCHRIEB EINEN PERRY RHODAN-ROMAN

アムリンガルの年表にからむもにょもにょ

先日、マガンと電話しながら女戦士の新刊チェックをしていたら、NEO22巻でヴェガ星系にかつて存在した惑星がアンブルになっていた。これ、原語はAmburで、オリジナル版の読者なら、人工惑星ワンダラーの別名アムブルであることをご存じだろう。
まあ、NEOは別シリーズなので、なにがなんでも固有名詞を統一する必要もない。ただし、正篇については、アムブルでよかったなあと個人的に思っている。そう遠からず、とある壮大なミスリードがやってくるからだ。
#単に、わたしがひっかかっただけともいう。としか言わないかw

ここに来る方に言うまでもないかもだが、今回、いろいろネタバレである。念のため。

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タルカン・サイクル中盤。当時(1987年)、すでに年に2、3作しか執筆しない状態のダールトンに、草案作家ヴルチェクは、タルカン宇宙に漂着したローダンとも、ハンガイ銀河の四半分とともにこの宇宙で作戦を開始したヘクサメロン勢力とも関係のない挿話を担当させる。エルンスト・エラートの放浪である。
ヴィールス・ボディを失ったエラート、シェーデレーアから分離したカピン精神体テスターレの両名は、“バルコン人の斥候(バルコン)”が語った、新たな肉体を与えてくれる〈成就の地〉へとたどりつくべく、バルコンのシュプールをたどり、深淵の騎士団の聖堂惑星クラトにいたる。バルコンを加えた3名が、惑星地下、ポルライターの極秘データ・バンクでバルコン人について調べたところ――

1 バルコン人のシュプール

出てきた検索結果が、

 1)アムリンガルの年表(Zeittafel von Amringhar)
 2)スープラヘトの封印者(Bändiger des Suprahet)
 3)〈それ〉の誕生協力者(Geburtshelfer von ES)
 4)ヴィオモンの賢者(Weiser von Wyomon)

という、箸にも棒にもかからない情報である。〔1366話〕

当時のテラナーがつかんでいたところでは、「スープラヘトの封印者」とは130万年前、力強き者の命をうけ大群の進路を脅かすスープラヘトを封印した大群建造者の一団のこと。当初オールドタイマーと呼称された彼らは、後に「キトマの種族」とか「クエリオン人」と呼ばれることになる。〔1275話〕
そして、惑星ケムバヤンの〈成就の地〉にいたる過程で、3人はバルコン人が「スープラヘトの封印者」の系譜につらなる者であることを知る。さらに〈成就の地〉でバルコン人(=クエリオン人)の斥候が用いる作業用ボディに宿ったエラートとテスターレは、謎の声(〈それ〉という見解が有力)から「アムリンガルの年表をみつけよ」という指令を下される。〔1384話〕

え、んじゃ3とか4もバルコン人のこと? なんて思う間もなく、プロットの卓袱台返し、1400話のドリフェル・ショックによって、物語は一気に700年の時間を超えてしまう。
作家会議のカリカチュア『カオターク・ミーティング』をある程度信用すると、ヘクサメロン・ストーリーが没ったのは、1395話の原稿ができているか、最低でも草案がグリーゼに配布されてからという急転直下。それじゃあアムリンガルの年表って伏線もポシャったか、というと、これがそんなことはなかった。

封鎖された銀河系への道を探るローダンらは、〈四腕の予言者〉ことイホ・トロトの足跡をたどり、大マゼラン星雲のパウラ・ブラックホールの事象の地平の下に隠された小惑星で、アムリンガルの年表の“残骸”を発見する。もとは、林立する水晶柱ひとつずつの頂上にデータ・クリスタルが鎮座していたという。
トロトの検証によれば、どうやらドリフェル・ショックで巨大構造体が破壊される以前に、エラートがこの地を訪れていたらしいのだが……。〔1418話〕

2 星の暗黒回廊とアミモテュオ

イホ・トロトが現地にいたる、ほぼ700年前からの経緯が語られて、そこで〈ミモトの宝玉(Das Juwel von Mimoto)〉というものが出てくる。エスタルトゥ十二銀河に潜入したM-87の斥候が語り、サイノスやポルライターもからんできたそれは、〈暗黒のキューブ〉とともに〈星の暗黒回廊〉の星図をなすという。また、その時点ですでにトロトは“カンターロ”の名も耳にしている。怪しからん、と読者は当然思うわけで。〔1419話〕

ほぼ同時期に、マールの書いた惑星小説309巻『アムリンガルの宝玉』が刊行されている。タルカン宇宙にいた頃のローダンを描いたエピソードで、そこでテラナーはアムリンガルとは「公会議が招集されたとき、ヘクサメロンの領主たちが会合する場所」と聞かされ、これと関連があるっぽい映像をおさめたデータ・クリスタルを入手する。ただし、このアーカイヴのその後は不明。まあ、外伝だし。

で、星の暗黒回廊というのが、ブラックホールを結ぶ搬送路であることがわかり、訪れたシラグサ・ブラックホールにはカルタン人伝承者の《ナルガ・サント》の残骸が。どうやら、銀河系を包む障壁を突破しようとして失敗したっぽい。同胞たちの惨状をみかねたダオ=リンは巨船をピンホイールへと運ぶのだが、そこへ首を突っ込んできたのが、ハンガイ銀河におけるカルタン人の分派カラポン人。
「本船に〈モトの真珠(Perle Moto)〉があるはずだ!」と、居丈高に要求する軍人さんの言葉に興味を抱いたダオ=リンは、ハンガイ銀河、カラポン帝国の首星まで遠征して、みごと皇帝所蔵の〈モトの真珠〉を奪取する。これもまたデータ・クリスタルであり、エルンスト・エラートのメッセージがおさめられていた!〔1427話、1449話〕

アムリンガルの年表に由来するデータ・クリスタル。例の水晶柱のてっぺんに設置されていた、全長14cm、幅8cmほどの代物だが、その名をアミモテュオ(Amimotuo)という。ミモト、モト、という名称はここからきている。

このあたりで、上記ミスリードというか、わたしは妄想したね(笑)

 アムブル(Ambur)
 アムリンガル(Amringhar)
 アミモテュオ(Amimotuo)

あれ、Amからはじまるのって、ひょっとして、バルコン人じゃなくて〈それ〉関連なんじゃね?

そうして、まるで待っていたかのようにやってくる新たなるAm!(爆)
ローダンの手にわたったモトの真珠は、エラートのメッセージを紡ぎ出す。彼は小惑星アムリンガルでクエリオン人キトマから「アムリンガルの年表は“〈それ〉の年代記作者”が綴ったもの」と聞かされると同時に、アミモテュオを託され〈それ〉のための使命を果たすことになる。ネーサンを経由した《バジス》の分解、そしてゲジルの捜索……だが、数十年の捜索のすえにわかったことといえば、〈アマゴルタ(Amagorta)〉なるものが関与しているとだけ……。〔1460話〕
#ちなみに〈それ〉の年代記作者については、1349話に初出である。

すでに星の暗黒回廊の管理種族アノレーと接触していたローダンたち。アノレーによると、アマゴルタとは回廊の建造者たる種族〈始祖〉が隠遁した場所だという。カンターロのデータバンクから抽出された情報は、それが銀河系中枢部のブラックホールと明らかにした。〔1470話〕

アマゴルタの事象の地平下に潜入したローダンらは、〈アマレナ(Amarena)〉の手記を入手。ヴァウペルティアの子孫だる2種族が統合されたアマレナ(彼らの言語で“民族”)こと〈回廊の主人たち〉は、星の暗黒回廊の管理をアノレーに譲渡した後、さらなる進化の道をもとめてアマゴルタに隠遁。しかし、ドリフェル・ショックの影響で退行をはじめた自分たちが局部銀河群を破壊することをおそれた彼らは、アノレーの分派たるカンターロに協力を依頼し、種族規模の自死を選んだ……。〔1471話、1472話〕

あ、あれ。なんか、そこでプッツリ切れちゃったんだけど?(汗)

3 妄想の果て

アムリンガルの年表ネタは、次のサイクルも継続された。
エラートの依頼でパウラ・ブラックホール内の小惑星アムリンガルを調査したナックのパウナロは、残骸が“不完全なコピー”であると断定。なら、まだ年表捜索というオレたちの使命は終わってないんだ、と安堵するエラートとテスターレ。〔1500話〕
活性装置を返却せいと言われたローダンたちが右往左往するのを尻目に、彼らはナックの妨害をうけつつ惑星ケムバヤンを再訪、年表(偽)の断片から、〈それ〉の最も古い同行者が炉座銀河にいることを知る。〔1510話、1519話〕

眼光星系の惑星宵影に、水晶生命体ノクターンの集積体〈炉座の賢者〉を訪れたエラートらは、ノクターンこそが「〈それ〉の誕生協力者」であることを知り、その援助で、“真の”アムリンガルの年表へと到達する。〔1535話、1536話〕

ただし、それがドコであり、ナニが書かれているものなのかは、一切触れておらず、次にエラートが登場するのは〈それ〉の使者としてなので、ワンダラーなのかにゃあ、と非常にもにょもにょした幕切れであった。

一応、サイクル終盤の時期に、1000万年前、局部銀河群のどこか、アムリンガルと呼ばれる場所で“公会議”が開かれ、ヘクサメロンの主ヘプタメルが臨席したことが述べられたり〔1593話、惑星小説358巻〕
真のアムリンガルの年表はほぼ超空間に存在し、ワンダラーと紐付けられているっぽいと描写されたり〔1598話〕
もして、個人的にはアムリンガル=銀河系だと筋も通るしおもろいのになあとちょっとだけ期待したのだが、基本、これ以降アムリンガルの年表についてシリーズで取りあげられることはなくなってしまった。

はるか後、ヴルチェクが草案作家を引退する直前の2000話において、「誕生協力」の詳細が描かれたり(バルコン人ではなく、ヴォジャル人だった)、銀河系の古名が〈アマンドゥル(Ammandul)〉であるとされ、ああ、やっぱヴルちゃんはAmイコール〈それ〉関連のサインのつもりでいたのかなァとちょっとほっこりしたのだけど。まあ、それはそれ。
#〈それ〉以前にはファリスケ=エリゴンと呼ばれていた(さらに後付け)。

そして、ヴルチェクの後を継いで草案作家となったフェルトホフの時代、おもむろに、700万年前に大マゼラン星雲をアムリンガル、小マゼラン星雲をキリンガル(Kyringhar)と呼称していたことが明らかとなる。〔2149話〕
だが、これもフェルトホフが夭折したため、以降の展開はなかった。せめて、なぜアマンドゥルの年表ではなく、アムリンガルなのかくらいはと期待したのだが。残念。

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……とまあ、ミスリードなのか、伏線が死んだのか、わたしが妄想ふくらませてヒトリ踊っていただけなのかは、さだかではない。ないんだったら(笑)

ヴィーロノート編からはじまるエスタルトゥ話には、ほかにもいろいろと伏線がある。
カルタン人……とわたしは訳しているが、原語はKartanin。母星の名がカルタンで、女系(猫型亜人)種族なので女性名詞を意味する語尾-inが優先されるが、男性単数だとKartaneとかだったりもする……のだけど、一番の理由は、「タルカン」との類似がわかりやすいから。これ、カータニンとか訳したらアウトである。
エスタルトゥ(Estartu)及びその中央星エトゥスタル(Etustar)、ピンホイール(さんかく座銀河)のカルタン名アルドゥスタール(Ardustaar)の近似とか。
ストーカーがチョモランマにぶっ建てた〈英雄の学舎〉に設置された、5万年前の第三の道の哲学の創始者と伝わる男性オーグ・アト・タルカン(Oogh at Tarkan)の彫像の描写が、よく見るとお猫様であるとか。

30年前のわたしは、上記のような妄想だだもれるくらい楽しませてもらったのだが。
日本の読者さんたちにも、そんな楽しみ方ができることを願いたい。
べ、別に同じ穴のムジナが欲しいわけじゃないんだからねっ(オイ

銀本タイトル2020

公式サイトNewsで、来年2020年の銀本タイトルが公表された。

149. Der Einsame der Tiefe / 深淵の隠者
150. Stalker / ストーカー
151. Sternenfieber / 星々への熱狂
152. Die Raum-Zeit-Ingenieure / 時空エンジニア

銀本(Silberbände)は、ペリー・ローダン・ヘフトを合本化・再編集したもので、3月・5月・9月・11月の年4回刊行。19巻までをフォルツ、80巻までをホフマン、以降をフーベルト・ヘーンゼルが再編集を担当している。
1巻あたりの分量はヘフト版6話程度。必ずしも1話すべてが1巻に収録されるわけでもなく、収録話数はかなり変動する。また、再編集の際にエピソードの取捨選択がなされ、金星のジャングルとか、グレイビーストの流刑囚とか、プロフォスの叛逆とかがカットされているのは、過去の記事でも言及したとおり。

ヘーンゼルは、クロノフォシル・サイクルについては比較的“時系列順”へと再編集している感じ。
現在最新巻の148巻『ドリーマーの力』は、前巻『サイコフロスト』の末尾、1234話「海賊放送局アケロン」のエピソードを受けた〈警告者〉探索編からヘフト版サイクル中盤のクライマックス、クロノフォシル・テラをめぐる攻防を描くが、これが1241~1246の全6話収録である。

149巻がおそらくサイバーランド編5話+α、150巻が1251~1257の〈最後の会戦〉編、151巻がエデンII編、152巻がヴァゲンダ編から1250話「時空エンジニア」(編集次第では1269~1272話のフロストルービン帰還編も)だと思われる。1235話「エデンの電光」は149巻か151巻か。
1250話は、当時も、なんか深淵編だけやけに時間進んでない?という話はあった。影の感化力……ハヤカワ版だとグレイ作用だっけ?の侵蝕が限界まで進んでから、ストーカー(当時よりだいぶ、悪い意味が拡散したけど、訳語どうすんのかなあw)登場からのエレンデュラ編、エデンII編で、だいじょうぶかと思ってたら、フロストルービン帰還でローダン側の話が追いついたので、苦笑した記憶がある。再編集で、そのあたりが均される感じだ。

ただ、このへん、実はもうすぐハヤカワ版にも登場する変なヒト(笑)が、深淵の地とエデンII、両方に顔を出すので、ヘーンゼル大変そうだなあと……。
クロノフォシル・サイクルはもう30年以上前、エーヴェルス先生が大暴れしていた頃である(爆)

■公式News:DIE PERRY RHODAN-HARDCOVER IM JAHR 2020