亜鈴船の旅は終わらない

11月15日発売の第12話「キューブが落ちる」をもって、ミニシリーズ・ミッション《ソル》は閉幕を迎えた。多くの犠牲を払ったが、これでローダンが元の時間へ帰還して、さてその後500年、《ソル》はどうなってるのやら~とやや方向のちがう期待で開いた最終話。
もはや伝説の船《ソル》の旅路は、予想外の展開をむかえたのだった(笑)

  1. Kai Hirdt / Das Raumshiffgrab / 宇宙船の墓
  2. Bernd Perplies / Die Althanos-Verschwörung / アルタノスの陰謀
  3. Dietmar Schmidt / Gefährlicher Pakt / 危険な契約
  4. Ben Calvin Hary / Welt des ewigen Todes / 永遠の死の惑星
  5. Olaf Brill / Strafkolonie der Ksuni / クスニの懲罰コロニー
  6. Hermann Ritter / Das Orakel von Takess / タケスの宣者
  7. Marc A. Herren / Eine kosmische Bestimmung / 宇宙的天命
  8. Bernd Perplies / Krise auf Evolux / エヴォラクス危機
  9. Ben Calvin Hary / Ins Herz der Finsternis / 闇の中心へ
  10. Olaf Brill / Die Höllenfahrt der SOL / 《ソル》の地獄下り
  11. Dietmar Schmidt / NEUBEGINN / 《新生》
  12. Kai Hirdt / Der Würfel fällt / キューブが落ちる

ヘフト本編2998話で、〈劫火〉の拡大を阻止するため、騎士のオーラのパチモンを着用せんと超知性体ゲショドの補助種族が用いる転送機〈ショドの鏡〉をくぐったペリー・ローダンは、なぜか奇妙な作用ではるか彼方の宙域へ転送され、外界と隔絶された〈漂着者の谷〉に出現する。そこには過去の記録をうしなったソラナーの末裔が暮らしており……2つの“神殿”がソル=セルであることをローダンは知る。谷の秩序を乱すものとされたローダンは、協力するわずかなものたちとともにソル=セル2を再起動、離陸する。
――というのが、ミニシリーズ第1話(既報)。

〈漂着者の谷〉を離床したソル=セル2から、ローダンは即座に特徴的な恒星配置を発見。F2型巨星8個が均等間隔でキューブ状に配列されたそれが示すのは、コスモクラートの工廠惑星、〈白い惑星〉エヴォラクス!

エヴォラクス(Evolux):
〈白の惑星〉エヴォラクスはタレ=シャルム銀河に存在するコスモクラートの工廠惑星である。初登場は2450話「エヴォラクス」(フェルトホフ)。
一辺あたり69億キロの距離で配置された8つのF2型恒星の立方体の中心に位置する。直径14万キロ、質量は木星の77倍、ただし表面重力は1.05Gという、いろんな意味で規格外、人工の世界であることがうかがえる。地球の125倍の面積をもつ地表はハイパー物理学的フィールドによって無数のセグメントに分割され、さまざまな種族が各種工程のため働いている。首都は〈天嶮都市〉ベリオサで、シーケンス評議会が惑星全土を管理する。
新銀河暦1346年、タレ=シャルム銀河の負の球体“反転”を目撃して2000万年前から帰還した《ジュール・ヴェルヌ》は、コスモクラートの使者が使用する青い転子状船が建造されているのを目撃している……のだが、当時、能率アップのため総監督として猛威をふるっていたコスモクラートの人造人間ディラメシュとひと悶着あって、これをエヴォラクスから追放している。
無茶なブラック業務を押しつけられなくなって感謝したヤコントらエヴォラクス諸種族は、《ジュール・ヴェルヌ》をいろいろいじくりまわしていらん機能をてんこ盛りにしてくれたのだが、それは今回の物語とは関係がない。ディラメシュのリターンマッチでもなかった(笑)

シーケンス評議員コルウィン・ヘルタマーとコンタクトするも、《ソル》本体の行方や、乗員の子孫が孤立した状態の理由のわからない状態で、ローダンは一旦エヴォラクスを離脱。インドクトリネーターで協力者たちに催眠教育を施す一方で、消去された航宙日誌ログブーフとは別に、艦長フィー・ケリンドによる草稿の個人的なバックアップを発見。
……このあたりで、《ソル》がタレ=シャルムにいるのは、遠征自体がこれまでヘフト本編で言われたような“目的地不詳”ではなく、アルゴリアンのクルカリャン・ヴァランティルの委託を受けたローダン自身の指示であったことが明らかになる、のだが。

ヴィラメシュ、ドムラトと、かつてヘフト本編に出てきた島宇宙での中間ストップを経て、30年の時間をかけてたどりついた目的座標には〈法〉付与機《ケオス=タイ》の姿が。強制接収されそうになったり、エヴォラクスでようやく邂逅したヴァランティルが依頼のことなど何も知らないとけんもほろろなど、踏んだり蹴ったりである。
手ぶらでは帰れないソラナーたちは、ヴァランティルの助手マスリン・ドリウの取引に乗って、帰路の時間を短縮する衝撃パルス・プロジェクターを盗み出すことにし、担保として両ソル=セルと、幼い子供たちを残して出発した……。

〈法〉付与機(GESETZ-Geber):
カーライト製で黄金に輝く、直径1126kmの球体。銀河点火弾、〈インシャラム〉と並ぶ、コスモクラート由来の胞子船派生技術である。第三の謎に述べられた〈法〉と、実際に関わりがあるのかは不明。2000万年前の、原混沌胞→混沌胞→混沌叢と〈負の球体〉化が進んだタレ=シャルムにおいて、秩序勢力の軍が侵攻する“門”を開くのに用いられた。
今回登場する《新生》は少々特殊なタイプみたい。

ヴァランティルとの再会や、終末戦隊〈トライトア〉の末裔がいまなお懲罰的な生活を強いられている星系でのマスリン・ドリウとの対決などを経て、エヴォラクスに戻ったローダンらは、コルウィン・ヘルタマーによって捕縛されるが、青い転子状船《光力》を指揮し、いまや〈秩序の総督〉と呼ばれるアラスカ・シェーデレーアによって救出される。

やがて、ヘルマターらが《ソル》を誘き寄せたのは、ソロニウム製の亜鈴船でなければ進入不可能なある特殊空間の存在するためと明らかになる――エヴォラクスそれ自体の内部に生まれた、原混沌胞――負の球体の卵――である。
ローダンはソル=セルで特異空間へと突入し、時空の迷宮に囚われた《ソル》本船を救出せんとするが、一方で秩序勢力は〈法〉付与機《新生》を派遣し、混沌に冒された宙域を“除染”しようと試みる。物質の生まれる前の空間に“初期化”する――すなわち、エヴォラクスを含む周辺宙域の完全破壊である。
救出作戦は成功するのか。破滅のカウントダウンを止めることはできるのか!?

と、まあ、盛り上がったような、そうでないような全12話。
最後、《光力》に招かれたローダンに、アラスカ・シェーデレーアのプロジェクション(記録映像)が謝って曰く、あなたをタレ=シャルムへ運んだのはわたしです、とか。そのときのセルンは洗浄・保管してありますんで、着替え終わったら、エロイン・ブリゼルが元の時点に送り返します。なお、今回の事件の記憶は、数週、あるいは数ヵ月のあいだ、消去されて戻りません。その方が、諸々、都合がいいですよね?
帰ったら、銀河系の〈劫火〉、不可逆までアト3日である。確かに、その方がよかろう。んじゃ、アンドロイド君、送還よろしく~。

……というところで、それまでむっつり黙っていたエロイン・ブリゼルが、

「着替え終わったら送り返せとは言われているが、セルンを渡せとは言われていない」

ちょw 『勇者召喚の使命は果たしたけれど、過労で倒れた旧友の執事が帰してくれない』ですかwww
なんでも今回、アラスカはコスモクラートの指示に逆らってローダンを助け、かつ《光力》を長時間離れて行動していたせいで、現在治療カプセルから出られない状態らしい。エロイン・ブリゼル先生、ご立腹である。

「しかもエヴォラクスを放棄せざるを得なくなり、高次勢力間のバランスが大きく揺らいでいる。アラスカが対処できない以上、おまえがやるのだ。さ、《ソル》へ戻れ」

ローダンと亜鈴船の旅はまだまだ終わらない。
続きは2020年3月予定! 乞うご期待!! って、おいおい(笑)

#しかし、ジェネシスとも神話とも、まるで関係なかったなぁ……。

Perry Rhodan – Pax Terra

サルベージの一環で、こいつも改めて紹介しておこう。
『Perry Rhodan – Pax Terra』は、シリーズ35周年企画として1996年12月にリリースされた音楽CD。一種の“スペースオペラ”(ヴァンスかw)として構想された、全7曲。

クリストファー・フランケ(Christopher Franke)は、ドイツの電子音楽グループ、タンジェリン・ドリームの中心メンバーのひとりだった(1987年脱退)。ソロになってからは、SF映画・TVシリーズの音楽を多く担当しており、この頃すでに『ユニバーサル・ソルジャー』『バビロン5』『トミーノッカーズ』などの作品があった。
プロデュースのロターミッヒはバンド時代からの盟友らしいが、SF関連だと2012年に『ブレードランナー』の新録サントラの制作・演奏を担当しているのが有名みたい。

で、1996年というと、トルカンダー・サイクルの中盤で、せっせと『無限架橋』の要約を書いていた記憶があるのだが、このCDを購入した経緯が思い出せない(笑) たぶんマガンにお願いして、rlmdi.略称“トラギャ”ことTransgalaxis社からの輸入に混ぜてもらったんじゃないかと思うのだが……さすがにマガンもおぼえていないだろう、気づけばそろそろ四半世紀前である。

追記:マガンにも「うちじゃないと思うですよ?」と言われてしまった……。うーん、ひょっとしてHMVが輸入販売してたのかもしれない。当時Keanのアルバム再発以外にも、なんか通販で購入した気がするし(あやふや)

このCDと、1曲目の特殊形状CDのリプレスはおこなわれなかったが、現在ではApple Musicなどにも登録されているし、amazonには中古の通販もあった。youtubeにも動画があるので、体験するのは簡単である。便利になったなあ……(年寄りの感想)

作曲:クリストファー・フランケ
演奏:クリストファー・フランケ&Berlin Symphonic Film Orchestra
制作:エドガー・ロターミッヒ
歌:Rick Jude, Miko

収録曲

1. Bridge To Eternity / 無限への架け橋 6:58
2. The Wonders Of Estartu / エスタルトゥの奇蹟 9:26
3. Atlan, The Solitary Spirit Of Time / アトラン:時の外にひとり立つ者  6:08
4. The Third Question / 第三の謎 11:52
5. Mountain Of Creation / 創造の山 8:47
6. Frost Ruby / フロストルービン 10:41
7. Bridge To Eternity (Single Cut) / 無限への架け橋 (シングル) 3:23

Bridge to Eternity

Deep space and a cold view,
a new galactic time.
Keeping peace guarding the borders,
beyond star filled skies.

Major Perry our world lifts its eyes,
and the bridge to eternity thrives on your pride.

Stardust is waiting to take you
million light-years’ lonely ride.
Our own galaxy close to destruction,
lives free as peace follow your flight.

Good spirits beside you
to guide you into time.
Without love destiny drives on,
and space rules your life.

Major Perry our world lifts its eyes,
and the bridge to eternity thrives on your pride.

Stardust is waiting to take you
million light-years’ lonely ride.
Our own galaxy close to destruction,
lives free as peace follow your flight.

[訳]
深宇宙の凍える情景
新たな銀河の歴史
満点の星々のかなた
境界線を護り、平和を守る

ペリー少佐、ぼくらの世界は高みをめざし、
無限への架け橋はあなたの誇りの上に建つ

スターダストが待っている
百万光年の孤独な旅路へとあなたを誘う
ぼくらの銀河に滅びが迫るも
あなたの飛行が平和をもたらし、自由を謳歌する

時を超えるあなたを
善き霊が導く
愛を知らぬ運命が駆りたてる
あなたの人生を決めるのは宇宙

(以下繰り返し)

The Third Question

Somewhere near the border a place known as the danger zone
Where nobody protects the earth, the garden of the sky.
Who’s destined to save us fighting for our galaxy
And keep peace and harmony for all the years to come?

There exists a fearless man,
With mighty will he’ll fight to save man’s dignity,
The future in both his hands.

Time will unfold the answers to all the ancient questions,
We see through mystery veils and will discover truth.
He’s our courageous pilot on all these vital missions,
And he has the power to rescue the world.

Tension keeps on rising, trust lost between different worlds;
The need for the United Stars is stronger than before.
Fierce enemy creatures plotting to destroy our kind;
The whole planet Terra fears destruction once again.

There exists a fearless man,
With mighty will he’ll fight to save man’s dignity,
The future in both his hands.

Time will unfold the answers to all the ancient questions,
We see through mystery veils and will discover truth.
He’s our courageous pilot on all these vital missions,
And he has the power to rescue the world.

Stardust is waiting to take you
million light-years’ lonely ride.
Our own galaxy close to destruction,
lives free as peace follow your flight.

[訳]
境界近くのどこか、危険地帯と知れわたる場所
天の庭園・地球を護るものとてない
銀河のため闘い、われらを救うのは
幾歳月、平和と調和を守るべく定められたのは誰?

怖れを知らぬ男そこにあり
強き意志で、人類の尊厳を救うべく闘う
未来は彼の手の中に

太古の問いのすべてに、時は答えを明かすだろう
神秘のヴェールを見はるかし、真実を見出すのだ
彼はそれら生死をかけたミッションの本番パイロットであり
世界を救う力を宿すもの

緊張は高まりつづけ、世界のはざまの信頼は失われた
星々を結ぶ力が、かつてないほど必要なのだ
獰猛な敵性クリーチャーがわれらの種の根絶をたくらみ
地球全土がまたしても滅びの危機に脅える

(以下繰り返し)

歌詞対訳は、だいぶん意訳寄り。いや、英語だし?(爆) ……昔聞いた時は、“メジャー・ペリー・R”かなあ、なんで肝心のとこ略字? とか思ったものだ(汗) その後、一部のサイトで「フランケの曲」として歌詞が掲載されたときは凹んだorz
余談だが、フランケはインタヴューの際、「忙しくて35年分の全部を読んだわけじゃないけど、ボクは最初期の熱心なファンのひとりだよ」と述べている。そっかー、53年生まれだしにゃあ。

■Perrypedia:Christopher Franke – Perry Rhodan · Pax Terra

ブラジル版、1000話到達

9月21日付け、ローダン編集部のブログによると、ブラジル版ローダン(ポルトガル語)が1000話「テラナー」に到達したみたい。署名がEnpunktになってるから、記事を書いているのはクラウス・フリックである。
右はブラジル版サイトに掲載された1000話「O Terrano」の表紙。

ブラジル版が、複数サイクルを同時に翻訳しているとか、一時刊行がストップしたとか、ファン出版になったとかならないとか、そのへんの細かい事情は、実はよく知らなかったり。井口さんならくわしそうだけどなあ。

ブログでは「これで1話から1000話まで通して入手できるようになった」とあるが、ブラジル版のサイトを見ると、実際にアフィリア・サイクルやらバルディオク・サイクルやらが、サイクルごとワンセットで販売されてたりする。
上の方で、単発売りしてるのは、600話前後、1000話前後、こっちはアトランの歴史冒険譚6巻に……1808話? またえらくとんでるなあ。
えーと、SSPGから出版されているのは、第8サイクル(大群)から第15サイクル(宇宙城)と第27サイクル(トルカンダー)みたい。1000話到達で、コスミック・ハンザがはじまったところかな。

そっかー。かつての先達は、いまもまだ頑張っているのだなあ。

■編集部ブログ:Ein Meilenstein in Brasilien
■ブラジル版公式サイト: Perry Rhodan Brasil

ソルセル=2、発進!!(主砲は撃たない)

© Pabel‑Moewig Verlag KG, Rastatt

6月14日(Kindle版は13日)に、ミニシリーズ〈ミッション・ソル〉の第1話「宇宙船の墓(Das Raumschiffgrab)」が発売となった。
シリーズは隔週刊で全12話。草案は第1話の担当でもあるカイ・ヒルト。

ヘフト本編では2499話を最後に、未知のミッションへと旅立ち消息を絶った伝説の巨船《ソル》。当時の草案作家であったフェルトホフの急死にともない、おそらく多くの腹案が日の目を見ることなく消えていったと思われる。
そして、おもむろに発表された〈ミッション・ソル〉の舞台は、負の球体ネガスフィアへの対処法を知るべく、ローダンが《ジュール・ヴェルヌ》で2000万年の過去へと遡行した銀河タレ=シャルムだという。フェルトホフの事実上の最終作、2450話「エヴォラクス」でちらりと垣間見えたその現在の姿は、コスモクラートの工廠惑星エヴォラクスを支える秩序勢力の牙城であったが、さて――

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ホカン・タサトは、息子テムの手をひき走っていた。
家もうしなった。妻も娘も、〈センの慎ましき奉仕者の神殿〉に姿を消した。おそらく二度と会うことはあるまい。
なにもかも、あのいまいましいペリー・ローダンのせいだ!
悪態をつこうとしたそのとき、〈漂着者の谷〉の大地を猛烈な震動が襲った。
谷の両端は巨大なドーム状の岩山……〈神殿〉で、いまタサトが逃げてきたのは西側の〈奉仕者の神殿〉からであった。岸壁から崩れ落ちる石くれから息子をかばいつつ、ようやくたどりついた集落でも、人々が異変に怯えていた。
そして、タサトは見た。遠く東側、〈禁断の神殿〉の岩山が弾け飛ぶのを。浮かびあがる黄金の球体。中心をとりまくリングの下に白い文字が――SOL。

……というプロローグで開幕した第1話。
インターコスモを話す人々が住む、外界と隔絶した全長8キロ・深さ4キロの〈漂着者の谷〉。東西両側には高さ1000メートルを越えるドーム状の岩山がそびえているというから、なんかもう数字を見ただけで、読者的には《ソル》が埋まっていることは確定事項な気がw
#実際は、ちょっとちがった。

治癒士であるマーリア・メイユンは、人里離れた日の差さぬ薬草畑に収穫へ赴いた際、意識をうしない倒れている男を発見する。しかも、“よそ者”である!
当然のごとく、それはペリー・ローダンなわけだが。新銀河暦1552年8月22日、グッキーのテレポートで〈ショドの鏡〉をくぐり抜けたローダンがしばし錯乱したのは2998話を読んだ読者さんにはご存じのとおり。しかし……。

銀河系より広大な空間を占める巨大な漏斗――その先はどんどんと細まり分子・原子より小さな穴となり……そのチューブの中、無限にひきのばされ、どこかへ運ばれていく。そんな奇妙な体験を経て、見知らぬ惑星に出現したローダン。4日間も昏々と眠りつづけたあげく、目をさますと、
「4日……! なんだか、3日以内に阻止しなきゃいけないことがあった気がする……っ!」
おいおい(笑)

住民たちは、この隔絶した谷で180年近くをすごしているらしい。科学知識はほとんど失われ、中世末期か近世程度の暮らし向き。唯一、〈センの慎ましき奉仕者の神殿〉がもたらす、メドストの治癒の秘法だけは医療ロボットらしきものの存在を示唆している。メドスト――医療メドステーションである。

紆余曲折のすえ〈センの慎ましき奉仕者の神殿〉に連行されたローダンは、そこがソルセル=1であることを確認する。デーリアン反応炉の起動に成功したローダンだったが、エネルギー事情が変わって人々が〈神殿〉に従わなくなることを危惧する奉仕者たちと対立関係となってしまう。
だが、奉仕者たちのなかにも、人々の暮らしが向上することを善しとする者もおり、ひそかにローダンを援助してくれる。

司祭〈クゥム〉との交渉は最終的に決裂するが、最後にフードを脱いだ〈クゥム〉を見て、ローダンは谷の集落の人々が《ソル》乗員の末裔であることをあらためて確信する。黒髪、白い肌、赤い瞳――そこにローダンは、テス・クミシャとジャキンタのベンジャメーンの面影を見たのだった……。

ローダンらを捕縛する部隊を撹乱し、転送機を起動――一行はソルセル=2へと逃走する。
なぜ、ソルセル2隻が地中に埋められていたのか。ソル本船はどこにあるのか。そして……タレ=シャルム遠征の指揮をとっていたはずの、マイクル・レジナルド・ローダンはどこへいったのか。
謎は多い。だが、必ず解き明かしてみせる――。

……ということで、岩山をぶちぬいて浮上するソルセル=2へと続く。
単独行動はソルセル=2の御家芸だと思っていたが、消息知れずは今回、本船の方であった。

ちなみにマーリアさんはローダンと行動を共にしており、旦那であるホカン・タサトとは仲がこじれている(爆) 同じく神殿に収監されていた息子と娘を、こちらについた、顔見知りの奉仕者が助けてくれる手はずになっていたのだが、なぜか息子だけ助けてパパは逃走中なのだったwww
#シリーズ終了までに、ちゃんとヨリは戻せるだろうか。

悟り世代の指揮エレメントは暗黒洞の夢を見るか

過日、早川書房のサイトで、593巻『コスモクラートの敵』のアバンを見て、ちょっと悶絶した。夢見者カッツェンカット……。
いや、Träumer(夢見る者)の原語で独文和訳する分には、なんの間違いもないのだけど。

カッツェンカット(Kazzenkatt)はザルレンゴルト人で、混沌の勢力の尖兵〈エレメントの十戒(Dekalog der Elemente)〉の指揮官。
ナルゼシュ銀河の惑星ザルレンゴルト(Sarlengort)――サーレンゴートになるかな?――出身のこの種族は皆、パラ能力として〈ゼロドリーム(Zerotraum)〉を操る。彼らは〈ゼロドリーマー(Zeroträumer)〉と呼ばれ、その能力を駆使してナルゼシュのみならず他銀河まで侵略の手を広げていたが、青の銀河のロボット種族ウィ・ンの報復艦隊によって壊滅的打撃を受け、わずかに残った生存者は白亜の塔に封印され、夢の世界でヒッキーとなる。

そのうちのひとりは、希有なゼロドリーム能力を見込まれ十戒の指揮官として徴発された――カッツェンカット(ザルレンゴルトの言語で「生きたい」を意味する)という新たな名を与えられて。
もうひとりは、カピン人の秘密結社〈遺伝同盟〉によって対十戒……というか対カッツェンカット兵器として利用すべく誘拐され、紆余曲折を経て改造人間バス=テトのイルナとして、某所で工作中のアトランの前にあらわれる。閑話休題。

ドリーマー単体だったら、まあ“夢見者”でもいいんだけど……あんまり使わないと思うけど日本語として。固有名詞風にしたかったのかな。案の定、Zerotraumが“ゼロ夢”である。これ、Zeroträumerを全部“夢見者”で押し通すつもりなのかね。
余談だが、以前にも書いたように、このヒト、カッツェとひっかけたダジャレが出てくるんだけど、“指揮エレメント”だとちょっと苦しいかな……w

その他、ぱらぱらとめくって気になったのは、

ハヤカワ版(p9/p141)
さて、かれは夢を見ていた……

原文:
Also träumte er…

試訳:
かく彼は夢見たり……

これもalsoを間投詞的にとらえれば、けして誤訳でない。
ただ、カッツェンカットの艦名《理性の優位(PRIMAT DER VERNUNFT)》は、カント先生の“実践理性の優位”からだろう。
となると、冒頭のこの一文はニーチェ先生の『ツァラトゥストラはかく語りき(Also sprach Zarathustra)』を踏まえたものと考えたい。

独語alsoは、前述の話台の結論を導く(したがって)、前述の話台をもう一度取り上げる(同様に)、中断した思考過程をひきもどす(さて、だから)等の用法がある。
ひとつには、前話の最後に、夢見者カッツェンカットがくる……!って感じで終わっていたはずなので、それを受けて、というパターン。そんなわけで(かくして)彼は夢を見ていた、である。
もうひとつは、ハヤカワ版のように、さてorだから彼は夢見てましたー、のパターン。
残るは、Wikipediaだと上述の本は『ツァラトゥストラはこう語った』と訳されているが、やや古い用法で“ちょうどこんな風に”的な意味があるらしい。「こんな夢を見た。(『夢十夜』)」である。で、文章の流れとしてはこれが一番正しいように思う。
まあ、あとはカッコつけの問題である。

そして、カッコつけの問題としては、

ハヤカワ版(p17)
《マシン十二》

原文:
MACHINE ZWÖLF

試訳:
《マシーン12》

元来、艦艇のナンバリングについては原書に倣ってローマ数字(アラビア数字)を用い、あんまり文字数が多くなる(スプリンガー船等)場合はアラビア数字を使用するのが松谷流だった。
今回のこれは、確かにどちらでもない。単語で「じゅうに(Zwölf)」と書いてあるわけだが……漢数字はないじゃろ(笑) いっそ《機械十二》ならともかく。
極論、《スターダスト二》とか、『幽霊船《クレスト四》』とか、見たくないわな。

以前、五十嵐さんが作ってた“松谷語翻訳マニュアル”みたいなのは、現在も継承されてるのかな、どうかな……。

で、最後にひとつ。

ハヤカワ版(p145)
「暗黒エレメント……準備をして待機せよ……」

原文:
»Element der Finsternis – halte dich bereit …«

試訳:
「暗黒のエレメントよ……おまえは待機だ……」

カッツェンカットは、暗黒のエレメントが怖いのである。
なんで怖いのかは、そのうちわかるのでいいとして、なるべく投入したくないのである。
で、全てのエレメントの助けが必要じゃろって支配者様に言われてるのに、出撃させなくってまた怒られるのだ(笑)

分離動詞bereithaltenは、「準備する」が主たる意味である。「使えるようにしておく」わけなのだが、ハヤカワ版、分離動詞と思わなかったか、それとも上述の“使いたくない”雰囲気を汲みとったのか、少々中途半端になっている。
暗黒エレメント、すてんばーい、なので、簡単にしていいんじゃないかにゃ。
#ま、ちょっと準備はしておけ。

ストフラ:アムリンガルの宝玉

続いての在庫処分は、惑星小説309話『アムリンガルの宝玉(Das Juwel von Amringhar)』(クルト・マール著)の超要約。FCミレニアム・ソルの会誌向けに書いたものだが、はて、これ掲載されたんだっけ……?(笑)

惑星小説309巻表紙

 

1988年に発売されたこの本。わたしは当時、神田三省堂経由で原書を購入していたのだが、なぜか注文しても入荷がないまま「品切」通告を受けてしまった……のだが、92年のハマコンでFC企画のカルトクイズ景品候補に、問題のブツがwww 企画担当を拝み倒して譲ってもらったで、会誌の先読みコーナー・ストーリーフラッシュにネタを提供する約束だったわけ。

1300話台後半で初めて名前の出てきた「アムリンガルの年表」が、カンターロ・サイクル序盤で「壊れた」状態で発見されたあたりで、当時草案チームの片棒かついでいたマールがこのタイトルで惑星小説である。ひょっとしなくても、使えなくなったネタをそっちで始末したか!? と疑っていたので、是非とも読みたかった。

5/3追記:エスタルトゥとヘクサメロンをめぐるストーリーは当初“宇宙の新生”まで予定していたらしいが、実質的打ち切りのため1399話で急遽幕切れになった経緯がある。

さて、物語は『プロジェクト・メーコラー』でいうと第5章の終わり、潜入工作がバレたローダンが、ハウリの母星系ウシャルーを脱出した、その少し後からはじまる……。

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新銀河暦447年11月末……。ペリー・ローダンが死にゆく宇宙タルカンに漂着して、すでに9ヵ月が過ぎ去っていた。カルタン人、ナックら22種族の連合カンサハリーヤが推進する〈プロジェクト・メーコラー〉は、年老い収縮過程にある宇宙から、いまなお若きメーコラーことわれわれの宇宙への脱出をはかり、巨大な銀河ハンガイを四分割しての転送を進めていく。また、謎に包まれた組織ヘクサメロンの唱える「最後の六日間の哲学」は宇宙の熱的死を未来への新生と教義づけ、狂信的なハウリ族を尖兵として「不信者」たる22種族のプロジェクトを妨害する。二勢力の反目に巻き込まれつつ、ローダンは失踪した超知性体エスタルトゥのシュプールを探し求める。ハウリの軍団はかれを許しがたい宗教的異端者とみなし、また、不可解にもローダンを「イマーゴ」と崇める種族――放浪するロボット種族ジュアタフと、占星術に根ざした世界観を持つベングエル族――の出現もあって、道は困難をきわめた。そして遭遇する、ヘクサメロンを構成する6者の筆頭、火炎の領主アフ=メテム。その語った神秘の場所ナコド・アズ・クォール、すなわち「永遠の穴」に、この宇宙をめぐる謎の解答があると考えたローダンであったが、ヘクサメロンの本拠があるらしい、かの地の所在は杳として知れなかった。

これは、その探索の途上、ハンガイ辺境を放浪するテラナーと、ふたりの同行者が出会ったもうひとつの謎の物語である……

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ことの起こりは、ドリフェル・カプセル《レダ》の傍受したふたつの通信だった。

銀河ハローの惑星クザルルに定住する、みずからをアングマンシクと称するベングエルの一氏族が、その世界に異人の侵入したことを告げ、星々に助けを求めている。そして、もうひとつの暗号化された送信のコードからして、その異人とはどうやらハウリであるらしい。イマーゴ探求者と関わることは避けたいが、それでもヘクサメロンの狂った宗教に苦しむものを見捨てるわけにもいかないと結論し、ローダン一行――テラナーと、アッタベンノのベオズ、カルタン人ナイ=レン、そして《レダ》――は、ひそかにクザルルに着陸する。

ベングエルという種族は、樹上棲類人猿から進化したとされる。しかし、ただ自然のままに進化したとは考えられないふしがあるのだ。彼らはおのが子供の生まれるとき「自我」を喪失し、知性もなく本能のみによって生きる原始状態に還ってしまう。自我が継承される、と彼らは語る。だが、それだけではない。彼らと、やはりイマーゴ探求者であるジュアタフが、ある特定の状況でそろうとき、奇妙な閃光とともに双方の『自我』が失われるのだ。ローダンはこの現象を「対自殺」と呼んでいたが、タルカンで得た友ベオズの抽象的な「予知夢」とからんで、そこにエスタルトゥの手が及んでいるのではないかと、そう思われてならなかった。

アングマンシクは惑星定住が長かったせいか、テラナーの姿を見ても「イマーゴ!」と叫んで押し寄せてくるようなことはなかった。それでも、星を読み、未来を知るというベングエル特有の哲学は変わらないため、ローダンは自らを「星々の派遣した救い」と称して彼らの共同体に入り込む。そして、指導的立場にある司祭から状況を聞いたところ、クザルルに進駐したハウリはごく小部隊で、なにか特別な任務をおびているらしい。それも、アングマンシクの先祖がタルカンの諸銀河を放浪していた時代にからむ何かを捜索しているというのだ。
ローダンに策をさずけられ、集落を訪れたハウリたちを出迎えたアングマンシクに、小部隊の指揮官であるヘクサメロンの預言者は、こう告げた。
「おまえたちは〈アムリンガルのゆりかご〉という言葉を知っているはずだ」
しかし、アングマンシクに伝わる伝承の中には、そんな名称は存在しなかった。集落からそう遠くない台地には、かつて祖先がそれを操って宇宙を往来した宇宙船が無数に横たわっているが、おそらくそこにもそんな記録は残っていないだろう、と司祭は語った。
その言葉を信じず、強硬手段をとろうとするハウリたちに対抗するため、ローダンとアングマンシクたちは「アムリンガルの宝玉」のコードネームを用い、ハウリを分断し、無力化することに成功する。その過程でテラナーは、アングマンシクたちが、おそらく数千年来触れたこともないはずの宇宙船の機器類やパラライザーの使用法をたちどころに理解していくさまを見て驚嘆する。親から子へと伝えられていく彼らの「自我」。そこには、やはり何か大いなる秘密が隠されているにちがいない。
捕らえられたヘクサメロンの預言者に、ローダンは訊ねる。アムリンガルとはいったい何なのか、と。しかし、ハウリの返答は、すこぶる宗教色の濃い、不明瞭なものでしかなかった。
「アムリンガルとは、公会議の招集されるとき、ヘクサメロンの領主がたが一堂に会するところ。いまだかつて死すべきものの目の触れたことのない場所だ。シャムーの地の神々の御魂、かの地にいまし、領主がたを照らさん……」
そして、ハウリたちのひとりとして、ナコド・アズ・クォールの名すら耳にしたことがないという。テラナーの求める秘密は、やはり火炎の領主その人に会うことでしか知りえないらしかった。
ローダンとアングマンシクが「宝玉」を宇宙船の1隻に載せ、ロボット操縦で星々へと遺棄したと思い込まされたハウリはクザルルを去った。もちろん、ロボット船に宝玉など存在しないから、じきにさらなる増援をひきつれて戻ってくるだろう。だが、そのころには、再び宇宙船を動かすことをおぼえたアングマンシクたちは、ひとりとしてクザルルにいなくなっているはずだ。ただ、自我を失い、原始に還ったものたちだけを残して。
別れのとき、アングマンシクの司祭はローダンに彼らの宗教上の宝物――虹色にきらめくキューブ――を手渡す。もしや、それこそ、いつわりのはずであったアムリンガルの宝玉なのか? だが、司祭自身も、その真相は知らないという。なんにしろ、アムリンガルの名はアングマンシクに災いしかもたらさなかった。それがもし「宝玉」であるとしても、ハウリが信じているように、アングマンシクの手を離れている方がよいのだ、と司祭は笑った。
……再びあてどない放浪の途についた《レダ》で、ローダンは「宝玉」のメモリーを再生させる。キューブは記憶クリスタルだったのだ。しかし、その記録とは、オリオン星雲にも似た星間ガスの雲と、そこで輝く6つの恒星の映像だけであった。不規則な六角形を描く恒星のひとつはベテルギュース型の赤色巨星で、伴星として中性子星が周囲をめぐっているらしく、その軌道は、ある仮想点を周回している――。
はたして、それが神秘の場所アムリンガルと関わりがあるのかさえ、わかりはしない。かくして、ひとつの冒険はいま終わりを告げ、テラナーの目はナコド・アズ・クォールへとつづくであろう、いつ終わるともしれない長い道のりだけをみつめていた……。

-*-

……やがてローダンは、ナコド・アズ・クォール、超絶なプシ波を発する「永遠の穴」を見いだす。それは、コスモヌクレオチド・ドリフェルの「門」! モラル・コードはタルカンにまでその力を及ぼしていたのだ。さらに、アフ=メテムとの邂逅を経てメーコラーへと生還した後、テラナーは超知性体エスタルトゥ復活の目撃者ともなる。
そうして、銀河系への帰途、暴走したドリフェルの猛威によって停滞フィールドに閉じ込められ、 700年の時間を失った後に、かれはまた「アムリンガル」の名を耳にすることになるのだ。局所銀河群を包括する超知性体〈それ〉の力の球形体の歴史を記した〈アムリンガルの年表〉にからんで……。
さらに数十年後、ローダンはコスモクラートの使者から、ハウリの口にした「公会議」が、1000万年前、いみじくもかれの故郷である局所銀河群のいずこかの銀河――そここそがアムリンガル!――に招集されたことを知るのだ。アムリンガル……謎多きかの場所は、いまだ見いだされない。

ENDE

……とゆーわけで、アムリンガルの謎が増しただけのお話だった(笑)
作中出てくるアムリンガル公会議については、1593話でちょろっと、翌1993年に出た惑星小説358巻『七日目の王』(マール)でこれまたちょろりと触れられているが、同年マールが亡くなったため、以降の展開はなかった。

先読みされている方ならご存じのとおり、アムリンガルの年表ネタはカンターロ・サイクルどころかリング人サイクル中盤まで続いたあげく、どこにあったのか、何が書いてあるのか、これまたホントウのところはさっぱりわからないままに終わる。

2200話台になって小マゼラン星雲の昔の名称がアムリンガルである、という設定が唐突に出てくるが、だからどーしたという状態である。
さらにその後、ニューロヴァース・サイクルで得られた知見を加味して考えると、「〈それ〉の誕生史が書かれた年表」「過去と未来の事件を記録した年表」とゆー代物は、あるいは〈それ〉の年代記作者であるデロリアン・ローダンが紡ぎあげた、1800万年の時間ループの記録ではないのかとも思うのだが、昨今の草案チームはんなもんどうでもよろしいみたい。

最後に、当時血涙流して漏らした叫び:
マール、おまっ、プロット作家が、どーしてこのタイトルで猿の惑星にっ……!

■Perrypedia:Das Juwel von Amringhar

ミッション《ソル》続報

6月14日から隔週全12話でスタートするミニシリーズ〈ミッション《ソル》〉の内容について続報があった……のだが。

ミニシリーズの草案担当はカイ・ヒルト。現在タイトルは、

1. Kai Hirdt / Das Raumschiffgrab / 宇宙船の墓標
2. Bernd Perplies / Die Althanos-Verschwörung / アルタノスの陰謀

の2話のみ明らかになっている。

《ソル》とロワ・ダントンについては、スターダスト・サイクル(2500-99話)においてほとんど言及がなく、2600話において、「混沌の終末戦隊との戦後処理が落ち着いた新銀河暦1369年頃に未知のミッションにスタートして消息不明。100年経ったので公式にロスト扱い」となったと述べられている。居場所等わかれば《ジュール・ヴェルヌ》があるので駆けつけることは可能だったはずだが、ミッションの内容等一切未詳なので打開策は存在しない。なにせ《ソル》だからショウガナイネのレベルである。

それから50年後、アトピック法廷サイクルになって、アトランを捜してワンダラーを訪れたレジナルド・ブルの前にスーザン・ベティ・ローダンのプロジェクションが現われて、「《ソル》のミッションは失敗し、ロワも父の助けを必要としている」と告げる。
とはいえ、この時点では父ローダンはアトプに「未来の〈劫火〉放火の主犯(のひとり)」と糾弾、弾劾、タイホされ、脱走してラール人の故郷ラルハトーンへと逃亡中。頼みの《ジュール・ヴェルヌ》はアトプの陰謀で撃沈されている。やはり手の打ちようがない状態だ。

しかし、考えてほしい。この後ローダンは、アダムスがこっそり建造していた《ラス・ツバイ》が、ほとんどないに等しいシュプールをたどってラルハトーンまで救援に赴いている。
あげく、アトプに逆襲するべく時間を遡行した《アトランク》が引き起こした時割れ現象のため2000万年前のファリスケ=エリゴン(現在の銀河系)で暴れていた侵略者ティウフォルが現在時まで突破。大艦隊がソル系を強襲。撤収の条件のひとつとしてローダンのÜBSEF定数を要求され、これを受託した結果、ローダンは殺されてしまう。
なのに、「ペリーが死んだはずないよ!」(グッキー)という論拠だけで、1億3100万光年離れたティウフォルの故郷銀河オルプレイドまで《ラス・ツバイ》は遠征。あろうことか存命(復活)していたローダンを救出してしまう。
なんか……ものすごく……待遇がちがうよね。まあ主人公だし?

さて、それから30年。ジェネシス・サイクル終盤に、超知性体ゲショド由来の転送機=〈ショドの鏡〉をくぐったローダンが、「はっ。オレは何週間留守にしていた? いままでずっとロワのとこにいたんだ!」とか言い出した。しかし、状況は銀河系どころか大宇宙滅亡3日前。はいはい幻覚乙で片付けられてしまう(笑)
その後はすったもんだで、地球が神話と化してしまう状態なので、ご老人の妄想は当然忘却の彼方であったが……

ここで本題:
《ソル》は、ローダンの命令で、タレ=シャルムを訪れていた! ことが今回突然明らかになった!(爆)

タレ=シャルム(Tare-Scharm)は地球から見て六分儀座の方角へ4500万光年離れた銀河で、NGC3423と同定されている。
2000万年の昔、この地では〈負の球体ネガスフィア〉が生まれようとしており、これを巡って超知性体アルケティムを中心とした勢力が混沌の軍勢と大戦争をくりひろげていた。2400話に始まるテンパス作戦で、文脈改竄機で過去へと遡行した《ジュール・ヴェルヌ》も、この闘いに参戦し、どーにかネガスフィアの反転に成功。現在時への帰還の際、いまのタレ=シャルムは秩序側の勢力圏であることが確認され、工廠惑星エヴェラクスとも接触していた。

そこへ、《ソル》を、派遣した――んなら、音信不通になったとき、せめて捜索隊送れよ! 待遇ちがいすぎんだろwww
#ま、100年経つ前になんか送ったことになってるかもだが。

ともあれ、上記〈ショドの鏡〉を(一瞬)通過した際、ローダンはいつの時点かはさだかでないが、タレ=シャルムに転移していたらしい。幻覚ぢゃなかったんだ(笑)
わずかな手がかりから、伝説の宇宙船と、ついでに息子を探すテラナーの旅がはじまる……かどうかは、まだよくわからない。

ミッション《ソル》が年末に終わるとして、明けて来年序盤(3050話)からまた異銀河遠征がスタートするらしいが、ひょっとしてタレ=シャルムの可能性も、あり?(さあねぇ

■公式News:EIN BLICK AUF DEN INHALT VON PERRY RHODAN-MISSION SOL

テラは夢を見ている

えー、まあ覚書というか、死蔵しているものをちょこちょこっと出しておこうかなと。

以下は、1500話「不死を呼ぶ声」の翻訳をしている際に、関連するあらすじとして用意したもの。1500話前半において、1491/92話に出てくる少女ブリスが重要な役どころで再登場するので、『銀河系に還る』ですっぱりカットした彼女の紹介のためだった。
結局、1500話は7割方進んだあたりでストップしたので、こちらも出番がなくなってしまった。ここらで供養しておきたい(笑)
#いつもと違って段落アタマが一字下げなのもそのへんで。

-*-

 謎の停滞フィールドに囚われて遅すぎる帰郷を果たしたペリー・ローダン。だが、三重の障壁に包まれ外宇宙から隔絶された銀河系はドロイド種族〈カンターロ〉の圧政下にあった。レトルト生命インヴィトロたるクローンと本来の生胎発祥者インヴィヴォを種族内で互いに争わせ、また宇宙航行を禁ずることで星間文明の分断に興じるカンターロの背後には、タルカンに発祥する種族ナックの支持と、そして神秘に包まれた〈回廊の主人たち〉ヘレン・デア・シュトラーセンと名乗る存在があった。
 太古にブラックホールを結ぶ〈星の暗黒回廊〉シュワルツェ・シュテルネンシュトラーセンを築き、滅び去った偉大な種族の名を詐称する存在の玉座は、封鎖された銀河系の中でもさらに禁断ゾーンの太陽系、テラ! 〈主人〉に仕えつつも不可解な行動をとるナックのアイシュフォンとエムザフォルにいざなわれ、ローダンは超バリア〈デフトラ・フィールド〉に包まれ、すべてのハイパー機器が作動しえぬ〈絶対停滞アブスティル〉状態の太陽系に潜入し、〈制御ステーション・タイタン〉から転送機を経由して故郷テラの地を踏んだ。そこは擬似体感装置〈シミュセンス〉のネットワークが支配するドリーム・テラ、眠りながら架空の人生を生き、死んでいくアクセサーたちの世界だった。
 事前に〈チップ〉を移植され、ネットワークに接続されたローダンも、夢のテラを目撃し、回廊の主人のひとりドリアン・ワイケンの姿をかいまみた――銀河系を支配するテラナーの代表者として。なんと甘美な夢! テラナーこそ銀河系の支配者。だが、夢から覚めてみれば、そこにあるのは廃墟だけが連なる荒れ果てた惑星でしかない……。

 一定の年齢に達したテラナーは、手首に埋めこまれたバイオ・チップからシミュセンス網にアクセスし、夢の世界(トラウムテラ)に融合する。しかし、介護ロボットの世話をうけながら死ぬまで夢見つづける人々のなかにも、やはり現実との接点を捨てきれない者たちがあった。その一派が〈ドリームハンター〉。他人の夢に介入ハッキングすることをなりわいとする夢の狩人たち。数千年の人生のためか、夢の指標たるドリーム・インデックス値の異常に高いローダンは、かれらにとり恰好の獲物。ハンターのモルト・ゲリンに追われ、ローダンはテラニアの廃墟に逃げ込んだ。かれを匿った子供たちは、〈キッドボット〉と自称した。
 ブリスとシンヴィというふたりの少女に率いられたキッドボットは、シミュセンス網にアクセスできる年齢に達しない幼いテラナーたち。いたるところにある廃墟から、なにがしかの使える装置類を拾い集め、〈電子市場〉エレクトリック・バザールと呼ばれる闇市で売ることで生計をたてているのだった。そして、一定の金額がたまると、リーダーはチップを手に入れ、シミュセンスに入ることができる。ローダンの案内で穴場をみつけたキッドボットは次のエレクトリック・バザールでかつてない収益を上げ、闇チップを獲得したブリスはグループを離れて夢のネットワークにアクセスした……。

 ブリスの母アレイラは、〈ドリームヘルパー〉に属していた。「夢見る権利は平等」というモットーを掲げるヘルパーたちは、他者の夢をもてあそぶハンターと対立関係にあったが、ローダンはかれらが共にシミュセンス網の存在に依存したものであることに気づく。二勢力は、いわば硬貨の両面。覚醒しつつも依然として夢見つづけているのだ。しかし、ともかくもハンターよりはヘルパーのほうにより共感を見出したローダンは、そのもとでチップの制御装置〈マルチタスカー〉を提供され、それまで時折生じていた夢の「発作」から完全に自由となる。そして、ヘルパーの長老の語る〈ギガ〉の伝承を耳にする――。

 ギガ……「タイタンから生還した男」。シミュセンス網の制御装置は、土星の衛星タイタンにある。制御ステーション・タイタンの中央管制シントロニクスが、テラのすべてを管理しているのだ――ルナのネーサンの存在はなぜか知られていない。ギガなる男は、シミュセンス網をさかのぼり、タイタンに達してなお生還した唯一のドリーマーと伝えられていた。かれはシミュセンスの究極をきわめた男。タイタンのくびきから、ただひとり自由な者。シミュセンスの世界に埋没してしまうのを防ぐマルチタスキングも、このギガがもたらしたとされている。
ヘルパーたちと別れ廃墟にわけいったローダンは、アクセサーの中に植民惑星出身としか思えない者を目撃、惑星ロクフォルトで消息を絶った人々のことを思い出す。〈主人〉たちは悪夢の虜となったテラナーを緩慢に滅びへと押しやりながら、なおもドリーム・テラを維持せんと意図しているらしい。

 おなじ廃屋でローダンはまたもモルト・ゲリンに遭遇、囚われの身となる。しかもドリームハンターの本拠こそ、かつての宇宙ハンザ同盟本部HQ-ハンザ! ハンターの首領パスカルは、おそらくローダンを除いては史上最高のインデックスの持ち主。しかしかれは年老い、死の寸前でかろうじて踏みとどまっている状態であった。この老人を生き永らえさせているのが、やはりギガの伝説――いや、ギガは老パスカル自身の「夢」にあらわれ、全シミュセンス・システムを掌握する〈究極のモジュール〉の存在を語ったというのだ。権力への鍵はタイタンにある……。パスカルを動かすのは、しかし権力欲ではなく、自らが死した後もドリームワールドの中で永遠の生命を得たいという渇望であった。生命維持装置のただなかで動けない自分に代わって制御ステーション・タイタンを攻略すべき人物として、パスカルはローダンを選んだ。アブスティルの中で唯一機能する転送機通廊の終点こそタイタン!

 無人のタイタンを進むのは、ローダンを筆頭にモルト・ゲリンと部下のハンターたち、そしてローダン救出にHQ-ハンザへ侵入し捕らえられたアレイラとシンヴィ。かれらを待ち受けるのは、〈ドリームオペレーター〉の準備した「夢の迷宮」トラウムラビュリンス。ハンターたちのマルチタスカーをもってしてさえ、シミュセンスの悪夢が襲いかかってくる。ローダンのインデックスと、そしてタイタンでテラナーの帰還を待っていた2体のナックの介入がなければ、一行は迷宮のなかで息絶えていたことだろう。
 ところが、究極モジュールの広間でかれらを出迎えたのは、ドリームオペレーター……ギガ! しかも、ローダンはその姿に見覚えがあった。ドリームテラで、〈回廊の主人〉ドリアン・ワイケンとして!! ギガとは、タイタン・シントロニクスの産み出した幻でしかなかったのだ。ドリームオペレーターは一行を嘲笑う。すべてはゲーム、〈主人〉の強大さを「玩具」に思い知らせるためのゲームにすぎない、と。テラへ還るがいい。再び夢見るがいい。一切の記憶を失い、ただおのれの卑小さだけを痛感しながら……。

 ギガの哄笑が、夢の迷宮ごと人々を吹きとばした。テラに回送されるのだ――そのとき、ローダンを不思議な力がつかんだ。アイシュフォンとエムザフォルが、テラナーを強引に回収したのだ。かれらはタイタンで、ローダンに何らかの行動をとらせる心算でいたらしい。だが、いまやすべてがご破算となっていた。テラナー救出が、いまはソル系におらぬ〈主人〉の注意を喚起してしまったのだ! 全速力で太陽系から脱出するナックの三叉船ドライツァックシッフ。デフトラ・フィールドの彼方には、友の危急を察知したアトランの《カルミナ》が待機していた。それへとローダンを転送し、超空間に逃走しようとしたその瞬間、ナックの船は爆発、この宇宙から消滅した。〈主人〉はナックの背信を許さなかったのだ。

 廃墟に覆われたテラの荒野を、ひとりの少女がさまよっていた。名をシンヴィ。シミュセンスに適当な年齢に達していなかったため、介護ロボットに追い出されたのだ。ゲリンたちはタイタンでの記憶のすべてを失い、マルチタスキングの助けもなしに夢を見ている。アレイラは急激なドリームワールドへの移行に耐えられず、発狂した。パスカルは死んだ。かれの最期に見た夢が、ギガであったのか、それともシミュセンスを具現化するという〈クリル・クラン神〉であったのか、知るものはない……。

 わずか3ヵ月後の1147年5月、真の支配者〈モノス〉は失墜。テラと銀河系の新時代がはじまる。

(Traumterra)

失われた世紀・拾遺

3000話と連動していた短編企画「失われた世紀(Verlorene Jahrhunderte)」だが、ペリペの方でも紹介が上がっていない状況なので、読んだものだけ、簡単に紹介しておこう。

1. フローレンス(Florence)

時は〈劫火〉をめぐる事件から、およそ50年後。
舞台は銀河系から246万光年かなたのくじら座矮小銀河(Cetus)、〈それ〉に由来する原エイリスが保存されていた場所であり、アトランが回収しなかった唯一のエイリス保管庫があるツォンの星環。
主役は、この矮小銀河を調査に訪れたアトランに協力した商船《ウッズ・ロジャース》の船長フローレンス・ホーニゴールドさん。

商談に勤しんでいたホーニゴールドさんは、ひょんなことから、かつてエイリスをめぐる事件の際に協力し、血の交換の儀式によって一族に迎え入れてくれた、ツォンの星環の市長を務めるサノが、唯一残存し、この宙域に“奇跡”をもたらす原エイリス貯蔵庫を軍事利用したい一派によって暗殺されそうになっているのを助けることに。リーの一族における“父”ともいえるサノを救うべく、フローレンスはエイリス貯蔵庫の番人コンの協力を求めるが……。
アトランとのアバンチュールがあったらしいホーニゴールドさん。いまは成人した三人の子がいるそうなのだが、残念なことに父親については不詳である。物語の最後、コンに代わってエイリス倉庫の番人に就任したサノとともに、異界への扉をくぐったホーニゴールドさんが歓声をあげたところで幕――なので、モンティロンお気に入りのこのキャラ、新サイクルで出てくるんじゃないかともっぱらの噂である。

2. 黄金なる平和(Der Goldene Frieden)

新銀河暦1750年のセヴコオリス銀河、第二太陽系帝国の中枢たるネオ=ソル星系第2惑星ゲオンが舞台。
主役はゲオン人女性のセフラ・バイタンさん22歳。ゴンドゥナトとの蜜月時代や、ローダンがやってきてドタバタした事件を知らない新世代のゲオン人である。

昨今のゲオンでは、VRMMOでトオゴンドゥの部隊をタコ殴りにするのが大流行。セフラさんや、3つ年長の兄もこれにドはまりしているわけなのだが。
仮想と現実がごっちゃになった状態――トオゴンドゥが攻めてきたのよ!――でカウンセリングを受けることになったセフラさん。現実のオリオンランドはこの200年、平和が続いている。だが、長い平和は停滞と同義で、人々の心を蝕んでいる。流行のゲームの背後には、催眠効果があるプログラムと麻薬で、トオゴンドゥに対するテロを使嗾するグループが暗躍しており……。
いろいろなモノが信じられなくなったセフラさんは、街で追われている少女と出会う。彼女はゲオンを訪れていた現ゴンドゥ息女のプラノオル。彼女を襲ったテロリスト集団の中には、セフラさんの兄の姿もあった――。

大群危機の際にセヴコオリスに拉致された《オリオン》の人々が新銀河暦使ってるとも思えないので、あくまで草案の指示がこの年代ということだろう。
ま、ことによると、もっと険悪な関係になっていても全然ふしぎじゃないので、結果としてはよかったのかにゃあ。

3. 予約済みの死(Bestellter Tod)

サシュパヌ銀河、人類種族メネスの母星ケサル。
アトランとの冒険の旅から多くのギャラクティカーを伴い生還し、全メネス共同体に発展をもたらしたフィッツジェラルド・クレム。素性を隠して諜報組織GIBAの工作員を続ける彼も、いまや300年以上を生き、一族の〈護符〉の継承を考えるべき時期が近づいていた。
そんなとき、アダリオンと名乗る男が、クレムの真の素性を知ることをほのめかした破壊工作をしかけてきた。クレムは後輩工作員ミネットと、ゲメンからGIBAへの出向的立場のガドゥルンとともに、始祖ロリナ・ハミングウェイにまで遡る血脈をたどり、アダリオンの背後にある秘密にたどりつくが……。
〈護符〉は誰の手に渡るべきか。ひとりの少女との悲しき約束と、クレムが下した決断とは? ある意味で話の先が読めすぎて、最後のドンデン返しには逆に驚いた。

結婚してないことが、そのまま子どものいないことにはならないが。
わたしより、おとうさんが生きていた方がみんなのためになるんだよ――愛する娘にそんなこと言われたら、永遠の生命はもはや呪いだ。約束の100年を、ホントどんな気持ちで生きてきたのか。

ゲメンとメネスの関係はかつてほど良好ではない模様。彼らが祖先をいわば“誘拐”した事実と、万が一の際の“避難民”として保護していた事実が相殺されている感じ。
超知性体ゲショドが現在どうしているかは不明。

5. 退役した女提督(Admiralin außer Dienst)

〈劫火〉をめぐる事件から60年後。
かつて自由ギャラクティカー同盟の艦隊提督であったアンナ・パトマンは、退役後の余生をオロバ星系第2惑星アバクで過ごしていた。かつての大帝国の植民星で、住民であるアバカはアルコン人の末裔だが、主たる通商ルートや定期航路からはずれた惑星は、とりたててするべきこともないアンナさんには似合いの場所といえた。
60年を経てなお残る〈劫火〉の後遺症――超光効果は銀河系を変えた。多くの星で、人々は地下に掘り広げた施設に閉じこもった。ここアバクでも状況は変わらず、地表で暮らしているのはアンナさんのような“変人”だけである。
ある日、物資の補給のためステーションへ向かう途上で“失神”したとしてクリニックへ担ぎ込まれたアンナさん。いまでも日課としてのトレーニングを怠らない自分が? と疑念を感じつつ、医者の心配そうな様子は真実っぽい。
そのとき、クリニック全域で外部との連絡が途絶。〈第二の光〉と名乗る集団が、要所に爆弾をしかけてクリニックのコントロールを掌握したという。彼らは、〈劫火〉の後遺症を癒やす手段として、アンナさんの身柄引き渡しを要求してきた――。

いや、地上で暮らす根性(訓練の賜物)があるだけで、別に特製のからだとか能力があるわけじゃないのよ? とゆーアンナさんと一種の宗教団体との話の噛み合わなさがwww

-*-

……と、まあ、おおよその話はこんな感じ。個人的には2話が好み……だけど、オーディナリー・スケールみたいだよなあ(笑)
4話「エル・ドラド」も周辺小銀河が舞台だし、6話「ブレイズ・オドネルの生涯」は新銀河暦1850年頃の話らしいけども、地下都市に籠もって“外の世界は〈劫火〉に焼き尽くされた”とかプロパガンダして寡頭政治やってたゲメン製活性装置所持者のお話なんで、1700年~1800年あたりに始まったらしいカイラ時代についての伏線とか新情報はないものと判断した。いや、あるかもしらんけど。

空白の時代に何が起こったか? と言いつつ、実際にはたいしたネタはないのだった。
もうちょい、時代時代の変化みたいなもんがあるかと思ったのだが。
ヴルチェクを見ならえや >惑星小説318巻『暗黒の諸世紀』は、クロノパルス・ウォールに閉ざされた銀河系の700年を描いた連作集。

エシュバッハ著 『最大の冒険』

去る2月27日、アンドレアス・エシュバッハ著『ペリー・ローダン ~最大の冒険~(Perry Rhodan – Das größte Abenteuer)』が発売された。

848ページのハードカヴァーという、ほとんど鈍器クラスの代物であることは、先日開催された3000話記念イベントに出席された井口さんたちのツイッターなどでも判明している……のだが、Amazonジャパンから到着するのは来週末の予定。結局、待ちきれなくてKindle版を購入し、読んでいる真っ最中である。

お試し版で紹介した、《スターダスト》のゴビ砂漠着陸に端を発する三大ブロックの疑心暗鬼から第三次世界大戦勃発を告げる核ミサイルの発射……までが言わばプロローグ。
本編は1936年6月8日、ペリー少年の誕生から、時を遡り1889年のドイツはオーバーバイエルン地方、祖父であるアロイス・ローデン(!)に始まるローダン家の歩みを紹介する。
移民申請時にアメリカ風に修正され、ローデン(Roden)→ローダン(Rhodan)となったとか。大怪獣ラドン(Rodan)ぢゃなかったんだ……(笑)
前回の記事:ローダン前史お試し版

カールとジェイコブ、ふたりの息子たちの成長と結婚。ペリーと、妹デボラの誕生と事故死(今月末にハヤカワ版でも言及される)。第二次大戦の勃発と、ジェイク、ついでマリーの従軍で、しばらくのあいだペリー少年がカール伯父の農場ですごしたことは、1000話「テラナー」から読者諸兄もご存じのとおり。
若干セリフ回しとか異なっていて、当時ジェイクとマリーは太平洋戦線にいたとされる。

その後、マンチェスターに戻ったペリー少年は、大きな虫眼鏡で蜂を観察している黒人の少年と出会い、トモダチになる……。
やはり1177話に登場し、学校で起きた星球儀盗難をめぐる事件にからんでくる、このリロイ・ワシントンくんが、ペリー少年の成長を綴る本編と、1971年、世界の終わりと人々が怯えるペントンヴィル刑務所にいるアダムス一人称の幕間とをゆるやかに結んで物語は進む。

ローダンは母のいとこ(1177話だと腹違いの弟?)ケネス・マローンの勧めでカーソン・ロング・ミリタリー・アカデミーに転校。ウェストポイントこと陸軍士官学校を修了後、アリゾナの空軍基地でパイロットへの道を歩んでいく。
そして、レスリー・パウンダーの招きで、若き少尉は“エリア51”ことグルーム・レイク空軍基地へ……。
3/7訂正 はとこ(Großcousin)って書いてるけど、伯母の息子でしたーorz

最終的にローダンは《スターダスト》で月へ飛び、アルコン宇宙船に遭遇。第三勢力を創設し、人類に宇宙への道を切り開く。IVsの侵略を撃退し、1975年、冥王星の自動監視ステーションが探知したヴェガ星系での構造震動の謎を解き明かすべく、《グッド・ホープ》で、人類はじめての超光速飛行を敢行する。
それは最大の冒険であり、いままさに始まったばかりなのだ――。

まさかの男坂エンディングである(爆)
#本編は、ワンダラーからの帰還後のエピソードをちょっと含む。

だが、本書はNEOとは違い、古いスペースオペラの語り直しではない。
“最大の冒険”=ローダン・ヘフトは1961年の開幕以来、数十年にわたって継続されており、したがって第1話「スターダスト計画」にたどり着いた時点で本書の目的は完了している。
作中、ローダンは様々な人々と出会い、友好を結び、あるいは対立する。そのすべてが、ペリー・ローダンという人格を形作っている。
これは、長大なシリーズの主人公、ペリー・ローダンの前半生を語り、いかなる体験が彼を彼たらしめたか、の物語。ローダン(ローデン)の一族がどんな人々かを語り、その血脈を受け継いだ人間ローダンをひもとく物語なのだ。

エシュバッハの語り口は毎度のごとくで、ローダン一族三代がそれぞれ丁寧に描かれているし、ローダンと関わり合った人々のその後とか、いろいろ興味深い。いつもの悪い癖で、あちこち拾い読みしてしまったが、現在アタマから熟読中。
実在の人物も多数おり、特に宇宙飛行士関連は、ちゃんと調べてみないとアレだが、多くが歴史上の人物といえる。ジム・ラヴェルに、「土曜日にオルドリンの35歳の誕生パーティをやるんだ。ヒマだったら、おまえも来ないか?」と誘われて、オルドリンとアームストロングに紹介されちゃったりするのだ(笑)

うん、とりあえず、3000話より楽しいや(おい
ありがとう、エシュバッハ!