ブラジル版、1000話到達

9月21日付け、ローダン編集部のブログによると、ブラジル版ローダン(ポルトガル語)が1000話「テラナー」に到達したみたい。署名がEnpunktになってるから、記事を書いているのはクラウス・フリックである。
右はブラジル版サイトに掲載された1000話「O Terrano」の表紙。

ブラジル版が、複数サイクルを同時に翻訳しているとか、一時刊行がストップしたとか、ファン出版になったとかならないとか、そのへんの細かい事情は、実はよく知らなかったり。井口さんならくわしそうだけどなあ。

ブログでは「これで1話から1000話まで通して入手できるようになった」とあるが、ブラジル版のサイトを見ると、実際にアフィリア・サイクルやらバルディオク・サイクルやらが、サイクルごとワンセットで販売されてたりする。
上の方で、単発売りしてるのは、600話前後、1000話前後、こっちはアトランの歴史冒険譚6巻に……1808話? またえらくとんでるなあ。
えーと、SSPGから出版されているのは、第8サイクル(大群)から第15サイクル(宇宙城)と第27サイクル(トルカンダー)みたい。1000話到達で、コスミック・ハンザがはじまったところかな。

そっかー。かつての先達は、いまもまだ頑張っているのだなあ。

■編集部ブログ:Ein Meilenstein in Brasilien
■ブラジル版公式サイト: Perry Rhodan Brasil

ファンタスティーク大賞2019本選開始

9月16日から、ファンタスティーク大賞の本選がはじまっている。
長編/短編/新人/ジュブナイル/国際/アンソロジー/オーディオドラマ/シリーズ/グラフィッカー/二次創作/コミック・マンガ/翻訳、の12部門。

ショートリストから、恒例4部門のノミネート作を以下に掲載する。

長編部門 Bester deutscher Roman:

Bernhard Hennen / Die Chroniken von Azuhr: Die weiße Königin
    / アズール年代記:白い女王
Mira Valentin / Die Flammen von Enyador / エンヤドルの炎
Bianca Iosivoni / Sturmtochter: Für immer verboten / 嵐の娘:永遠に禁じられ
Mary Cronos / Houston Hall: Schatten der Vergangenheit / ヒューストン・ホール:過去の影
Nicole Böhm / Das Vermächtnis der Grimms – Wer hat Angst vorm bösen Wolf
    / グリムの遺産――悪い狼を怖れるのは誰?

ミラ・ヴァレンティンの『エンヤドルの炎』は全4巻のハイファンタジー・サーガの3巻目。
エルブとドラゴンとデーモンが相争うエンヤドルでは、人間はエルブの奴隷として対ドラゴンの戦争に使い潰されていた。しかし、ひとりの孤児トリスタンがその境遇にあらがったことが、ある太古の預言にまつわる事件を呼びさまし……云々で、四種族の和平がなったあたりで、北方から新たな闇の勢力があらわれて、というのが本作みたい。最終巻『エンヤドルの遺産』では、勢力のバランスが崩れ、トリスタンとかつての旅の仲間が魔法使いや妖精女王の決戦兵器として戦う事態に。大団円はあるのか……?

ベルンハルト・ヘンネンのアズール年代記は第一作の『呪われし者』が3月にセラフ賞を獲得しているが、こちら『白い女王』は二作目。完結編(?)の『夢見る戦士』は今月末発売予定。 前作で父の後を継いで大司祭になることを厭い、冒険(自分探し)の旅に出たミラン。今回の彼は、キリア島における都市連合と剣の森の侯爵領とのあいだの紛争にまきこまれていた。都市連合の軍事力に圧倒される森の人々は、危機迫るとき再来するという〈白の女王〉の伝説にすがるばかり。相争うどちらにも大義はないと悩むミランだが、島にはさらなる危機が訪れていた。寓話めいた魔法生物たちが、どこからともなくあらわれて――。
ヘンネンは、ローダン作家ロベルト・コーヴスと共著のフィレッソン・サーガ(現在7巻、継続中)が、昨年ファンタスティーク大賞のシリーズ部門を受賞している。
さらに余談だが、ヘンネンは異名を〈エルフ・マスター(Der Herr der Elfen)〉という。出世作がエルフ・サイクルと呼ばれる一連のシリーズで、『エルフ』『エルフの冬』『エルフの光』『エルフの歌』『エルフの女王』『エルフの騎手』『竜のエルフ』『エルフの力』……騎手やら竜やらはそれぞれ複数冊に別れていまのとこ全13冊、プラス電子ブックのみの短編集もある。……ロードス島戦記の新刊とか握りしめて突貫したら仲良くなれるやもしれない(笑)

ビアンカ・イオシヴォニの『嵐の娘:永遠に禁じられ』はスコットランドが舞台。17歳の少女アヴァは、夜ごと母の敵であるクリーチャー、〈エレメント〉を狩っていた。彼女を支えるのは謎に満ちた若者ランス。ところがあるとき、アヴァは自分が水をあやつる能力があることに気づく。彼女はスコットランドを裏で支配する、エレメントの力を駆使する五氏族の一員だったのだ。だが、水の氏族マクレオズをはじめ、五氏族は互いに反目しあっていて……。
あれだね、母親が素性を語っていない時点で、出生の秘密とかありそうな設定(笑) すでに2巻『永遠に失われ』は刊行済み、3巻『永遠に結ばれて』がこの10月に発売予定。

マリー・クロノスの『ヒューストン・ホール:過去の影』は、楽天の分類によると(笑)、“ ロマンス, ロマンチック SF&ファンタジー”らしい。ヒューストン・ホールというから、てっきりアメリカのビアホールかと思ったら、英国スコットランド地方のヒューストン村であった。
エディンバラで少壮の弁護士として活躍していたアンソニーは、ある凶悪な事件によって両親と愛する妹を失い、人が変わったようになってしまう。村人たちは、あの人は呪われなすったんだと噂する始末。家人を残らずクビにして、それはそれで困った状態のところにあらわれたのが、マリー・スミス。家政婦として彼女を雇ったアンソニーは、少しずつ、人間らしい暮らしとこころを取り戻していくのだが……。
マリーさん、アンソニーの家族を襲った事件――というか、モンスターの正体を知っているどころか、200年にわたってそれらと戦っているんだとか(笑) そして、死んだはずの妹の姿をとって、アンソニーに危機が迫る……。

ニコレ・ベームの『グリムの遺産:悪い狼を怖れるのは誰?』はホラーっぽいSF? 主人公クリスティン・コリンズは、兄によってとある特殊部隊に招かれる。彼女たちが狩るのは〈グリム〉――グリム兄弟の童話を通して、読んだものに呪いをかける、狼めいた姿の怪物である。童話の世界へとダイブしたクリスは、次第に現実と幻想の区別がつかなくなっていく……。
うん、鉢かつぎでぶん殴るんだ(笑) 後編にあたる『グリムの遺産:鏡よ鏡』が、10月に刊行予定。

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

Jenny Wood / Totenpfade / 死者の道 (Kemet: Die Götter Ägyptens 収録)
Markus Heitkamp / Housten hat Probleme / ヒューストン異状あり (The P-Files 収録)
T. S. Orgel / Schicht im Schacht / シャフトのシフト (Die Hilfskräfte 収録)
Janna Ruth / Unter der Erde / 地下にて (Fiction x Science 収録)
Swantje Oppermann / Das letzte Erwachen / 最後の目覚め (Fiction x Science 収録)

ジェニー・ウッドの「死者の道」は、古いエジプトの神々を題材にとったアンソロジー『ケメト』に収録されたダーク・ファンタジー。女性の惨殺死体の現場検証からストーリーははじまる。検視医ヤニ・マフェド――それが、いまの彼の身分。かつて偉大なファラオたちの時代、彼はナイルのほとりで神と崇められていた。信仰がすたれ、忘れ去られた現在、彼は人間たちのあいだをさまよい、いまなお「死」に携わっている。死せるものの魂を慰め、冥府への道行きを指し示してやり……。
事件の背後に、彼と同様、超自然の存在をかぎつけるマフェド。捜査チームのリーダー、警部補の甥っ子のボンボン刑事が(彼なりにマフェドの身を心配して)クビをつっこんできたので、首根っこつかんでニューヨークの闇へひとっとび(笑) 最近なんで自分のチームの検挙率があがったのかわかってないボンボンとのやりとりが案外愉しい一篇。

今回は、Kindle版で読めたのが上記のみなので、ちょっと残念。
ハイトカンプの「ヒューストン異状あり」が収録されたASファンタスティーク社のアンソロジー『Pファイル』、PはフェニックスのP(不死鳥文書)らしい。他に一角獣の『Uファイル』や、近刊には『Dファイル』(悪魔かな?)も予定されているらしい。
パコ書房のアンソロジー『フィクション×サイエンス』は、「急速に機械と人間の融合が進む現在。PCを使えない人がまだいる一方で、インターネットとスマホのない世界を知らない世代も増えています。彼らの孫の時代にはどうなっているでしょう。(中略)フィクション×サイエンスは、人と機械の融合によって可能となる、希望あふれる未来のヴィジョンです」だとか。日本の女戦士でも販売してるんだけど、ハードカヴァーで5000円↑なのでちょっと……(汗)

国際部門 Bester internationaler Roman:

Stephen King / Der Outsider / The Outsider / アウトサイダー
Holly Black / Elfenkrone / Tithe: A Modern Faerie Tale / 十分の一税
Neal Shustermann / Scythe: Der Zorn der Gerechten / Thunderhead / サンダーヘッド
Siri Petterson / Die Rabenringe – Odinskind / Ravneringene: Odinsbarn
    / 鴉の指輪:オーディンの子
Tomi Adeyemi / Children of Blood and Bone: Goldener Zorn / Children of Blood and Bone
    / オリシャ戦記:血と骨の子

ホリー・ブラックは、邦訳がジュブナイル向けの『スパイダーウィック家の謎』シリーズしか確認できなかった。ノミネート作『十分の一税』はモダン・フェアリーテール三部作の第1巻で、過去『十分の一税』『エルフの娘』に分冊して独訳されたものの合本みたい。2巻Ironsideが『エルフの女王』、3巻Valiantが『エルフの心』としてそれぞれ訳されているので、原題と全然ちがうのもやむなしか。ヘンネンといい、ドイツ人どんだけエルフ好きなの(笑)

ニール・シャスターマンの〈サイズの聖櫃〉シリーズは、遥かな未来、人工知能〈サンダーヘッド〉に管理される自然死が排除された世界で、人の生死を決める〈サイズ(死神の大鎌)〉に登用された若者たちを描くヤングアダルト……みたい。ノミネート作は第2巻。近刊に『通行税』が予定されているが、これ、『六文銭』だったりするのかにゃあ。

シーリ・ペテルセンはノルウェーの作家、コミックライター。『鴉の指輪』は北欧神話をベースにした三部作で、ノミネートされたのは第一作。Wikipediaを見ると、北欧、東欧を中心に10ヵ国語に翻訳されている……あ、英語が抜けてるから11ヵ国語か。本国では映画化の権利まで売れてるそうだから、ベストセラーなのだ。

トミ・アデイェミはナイジェリア系アメリカ人の作家。ヤングアダルト系のアンドレ・ノートン賞とロードスター賞を獲得した本書『オリシャ戦記 血と骨の子』は邦訳も出ている(静山社)。本国では三部作の二巻目『美徳と復讐の子』が12月に刊行予定。

新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:

M. D. Hirt / Bloody Mary Me: Blut ist dicker als Whiskey
    / ブラッディ・マリー・ミー:血は酒よりも濃し
Anca Sturm / Der Welten-Express / 世界急行
Leni Wembach / Ein Königreich aus Feuer und Eis / 火と氷の王国
Nicole Alfa / Die Prinzessin der Elfen: Bedrohliche Liebe / エルフの王女:危険な愛
Christine Weber / Der fünfte Magier: Schneeweiß / 五番目の魔法使い:雪白

ニコル・アルファの『エルフの王女』は全5巻?の1巻目。16歳のルーシーは自宅で何者かに襲われて、気がつくと見も知らぬ世界に転移していた。え、ここがわたしのホントウの故郷? 行方知れずになったエルフ王の娘? ちょっと待ってよ、わたしフツーの女の子なんだけど。それより、あのダーンって人、なんでわたしの行く先々で待ち構えてるの……?
えーと、表紙といい、タイトルといい、あらすじといい、どうにも“異世界ハーレクイン”にしか見えないんですが。

クリスティーネ・ヴェーバーの『五番目の魔法使い:雪白』は、ドラゴンを使い魔にした四人の魔法使いのあいだの争いの後、二派に分かれた世界を舞台に、流れ者の少年ソラクを主人公として物語られるファンタジー。逗留する村を災いが襲ったとき、ソラクは白と黒だけからなる異界に転移する。災いを招いた自責の念から、世界を覆う虚構の網をときほぐそうと努力するが……。続編『五番目の魔法使い:漆黒』がすでに発売中。

……こんな感じかな。
『BLは魔法!』は選に漏れたらしい(笑)
あと、おもしろいところでは、翻訳部門にこんなのが:

『ta’puq mach クリンゴン語で読む名作「星の王子さま」』。翻訳www

■ファンタスティーク大賞公式サイト:deutscher-phantastik-preis.de

ドイツSF大賞2019受賞作発表

9月1日付けのDSFP公式サイトにて、本年のドイツSF大賞受賞作が公表された。
既報のとおり、授賞式は11月2日にドレスデンで開催されるペンタコン(SFCDの年次大会)にて執り行われる。

受賞作は以下のとおり:

長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:

1. Tom Hillenbrand / Hologrammatica / ホログラマティカ

 2. Andreas Eschbach / NSA / NSA – 国家安全保障局
 3. Julia von Loucadou / Die Hochhausspringerin / 摩天楼ジャンパー
 4. Andreas Brandhorst / Die Tiefe der Zeit / 時の深淵
 5. Dirk van den Boom / Canopus / カノープス(冷たい戦争1)
 6. Dirk van den Boom / Varianz / 分散 (《サイズ》の旅路2)
 7. Robert Corvus / Das Imago-Projekt / イマーゴ計画
 8. Sebastian Schaefer / Der letzte Kolonist / 最後の植民者
 9. Willi Hetze / Die Schwärmer / 群人
10. Annika Scheffel / Hier ist es schön / 美しきこの世界
11. Christian Torkler / Der Platz an der Sonne / 太陽に近い場所
12. Ben Calvin Hary / Koshkin und die Kommunisten aus dem Kosmos
    / コシュキンと宇宙からきた共産主義者たち

受賞作『ホログラマティカ』の作者トム・ヒレンブラントは、『ドローンランド』(河出書房、訳者は元ローダン翻訳チームの赤坂桃子氏)で本邦にも紹介済み。元々は経済ジャーナリストで、主としてシュピーゲル・オンラインに寄稿していた。2011年からフリーの作家となり、処女作『悪魔の果実』を発表。ルクセンブルク人のコック、ザビエル・キーファーを主人公としたこのミステリ・シリーズは現在6巻まで継続中。2014年に刊行された『ドローンランド』はSF分野ではクルト・ラスヴィッツ賞を、ミステリ分野ではフリードリヒ・グラウザー賞を獲得するベストセラーとなった。
本作『ホログラマティカ』は21世紀末を舞台とする近未来スリラー。主人公であるロンドン出身のガラハド・シングは会計官(Quästor)とあるが、なぜか仕事は失踪人の捜索だ(笑) 気象の変動によって大規模な人口の流動が生じ、なおかつ技術の進歩が生み出したホロネットやマインド・アップローディングによって素性をいつわることが容易となり、行方知れずになる人間にはことかかない。今回の捜索対象はジュリエット・ペロッテ、人間を別の肉体へと載せ替えることすら可能とするデジタル脳〈コギト〉の暗号化を担当していたコンピュータのエキスパートである。彼女を“誘拐”したとおぼしきプログラマーの足跡をたどるにつれ、シングは、相手が“人間ではないのでは”という疑惑にとらわれていく……。
出版社の紹介記事には“高度に発達した人工知能が世界の問題を解決しうるようになったとき、人間はその制御を手ばなせるのか”とある。『ドローンランド』は、温暖化による海面上昇で水没しかかった近未来のブリュッセルを舞台にしたことを除けば、ごくまっとうな(という表現が妥当かはともかく)犯罪小説だったが、こちらはどうだろうか。

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

1. Thorsten Küper / Confinement / 隔離

 2. Andreas G. Meyer / Kill! / 殺れ!
 3. Tetiana Trofusha / Coming Home / カミング・ホーム
 4. Nadja Neufeldt / Im Regen / 雨の中
 5. Galax Acheronian / Trolltrupp / 豚部隊
 6. C. M. Dyrnberg / Intervention / 介入
 7. Nele Sickel / Muse 5.0 / 美神ミューズ5.0
 8. Uwe Post / Kurz vor Pi / パイの少し前
 9. Jutta Siebert / Die Schwimmerin / 泳ぐ女
10. Rico Gehrke / Rauschen / ノイズ
11. Tobias Reckermann / Der unbekannte Planet / 未知の惑星

トルステン・キューパーの「隔離」は、ラスヴィッツ賞に続く栄冠である。いまなんとなしに、ごやてんで検索したら、わりと頻繁に短編部門でノミネートされているのだった。
内容については、ラスヴィッツ受賞作の記事を参照いただきたい。あ、あとdinfoにもネタ提供したっけか。

■ドイツSF大賞公式サイト:www.dsfp.de

M. M. ターナー、草案チームに

ミハエル・マルクス・ターナーが共同草案作家に!
……とはいっても、ローダンではない(おい

現在Zaubermond社から単行本形式で刊行が継続しているDORIAN HUNTERこと、ホラー・ヘフト・シリーズの代表格、旧デーモンキラーの、である。

デーモンキラーも、そのうち改めて紹介したいと思ってはいるのだが、何分このシリーズ、出版履歴がかなり複雑なので、後回し後回しになってしまっている。
元々ヘフト・シリーズの草案はエルンスト・ヴルチェクが担当していたようだが、再版時には131話以降のストーリーが異なっている。90年代にZaubermond社で新作の刊行が開始された時点では、Dario Vandis名義で社主Dennis Ehrhardtがプロットを書いていたらしい(Edition DK)。
で、今世紀になって、シリーズ名を主人公ドリアン・ハンターの名前に改めた後で、旧作と新作(neue Abenteuer)が別ナンバリングで単行本化され、さらに上記初版とEdition DKもないまぜにし通しナンバーをふった形式で再刊されるようになって現在にいたる。
担当作家も、合本だったり、単一作家だったり、2~3名の複数作家だったりして、リスト作りが非常にめんどk……困難なのは、Wikipediaの該当ページを参照していただけばご理解いただけよう。

で、現在の草案作家Andrea Bottlinger(筆名:Susanne Wilhelm)がいつからこの大役をこなしていたのかは、正直よくわからない。作家としては、2010年刊行の63巻(通し№)からである。
ともあれ、長らく単独で草案作家を続けてきた彼女が、来年には通算100巻(通し№)を迎えるこの時期に、さすがに手が足りなくて支援が必要になった、とZaubermond社のブログで報じている。まあ、ドリアン・ハンターの単行本が年4冊。さらにスピンオフの〈ザミス家〉の単行本が年4冊。ローダンの草案作家並みにきつそうではある。

そして、これを快諾したターナーであるが……。
先頃、急に担当することになった3026話が〆切に間に合わなくなりそうで、別の作家の支援を求めた経緯が、ローダン公式のNewsで話題にのぼったばかりである。大丈夫か(笑)

■Zaubermond:Michael Marcus Thurner – Der Neue im Expoteam
■Wikipedia:Dämonenkiller
■公式News:WENN SICH EIN AUTOR UNTERSTÜTZEN LÄSST – TEIL 1

新シュタッフェルは〈コンパレータ〉

8月8日付けで公式サイトで公開された情報によると、ローダンNEO210巻『ローダンを救え!』からはじまる第21シュタッフェルが〈コンパレータ(Das Compariat)〉に決定したとのこと。

記事ではまだくわしい内容については触れていないが、「ローダンらは銀河の深淵で新たな種族たちに遭遇する」とある。コンパレータとは、200巻で登場したオプロン人メルコシュの属する〈オムニ・コンパレータ(das Omnitische Compariat)〉を指すと考えてまちがいあるまい。

オムニが全・総を意味し、Compariatは動詞komparieren(比較)するもの、と判断した上で、まだ全然中身わかんないしなあ(笑)という前提でつくった仮訳――ってほどでもない――が、上記オムニ・コンパレータ(万象比較局)ではあるのだが。
実は動詞komparierenには、古語として「出廷する」という用法があるようで、そっちの意味でとらえると、いきなりきなくさい雰囲気をかもしだしちゃったりする。劫火か? ローダン500年幽閉待ったなしか?(爆)
まあ、メルコシュ自身は「友好的コンタクト」のために来た、と語っているので、信じよう。うん。

それにしても、太陽系連邦シュタッフェルは現在折り返し地点だが、基本、ホンドロの陰謀は構成星系の紹介編だと思っている……にしても、NEOみたいに複数舞台を並行して進めるタイプにしては、メルコシュのことがさっぱり話題にあがらないのはどーなんだい。

■公式News:»DAS COMPARIAT« UND DIE MENSCHHEIT

ファンタスティーク大賞2019予選開始

マガンからの通報を受けて駆けつけたファンタスティーク大賞の公式サイトにおいて、ようやく投票が開始されたことを確認した……ただし、予選の(笑)

通常、6月下旬あたりから予選がはじまり、それぞれのジャンルで読者投票が実施される。読者が思い思いの作品に投票した結果がロングリストとなる。その上位5作がノミネート作品となり(ショートリスト)、例年だとそろそろ本投票が開始される頃合ではあった。実際、公式サイトには「6月あたりに予選を実施しまーす」と告知され……ずっとそのまま放置状態だったのだ。

なんらかの事情で実施が遅れたか、あるいは広報担当者が多忙で掲示ができなかったか、と予想していたのだが、どうやら新しいオンライン投票のために公式サイトの模様替えを準備していた様子。
……過去記事、ぜんぶ消滅してるじゃんwww

スケジュールも押せ押せで、ドイツSF大賞の記事で書いた、ペンタコンでのダブル授賞式もご破算となった。今月いっぱいが予選投票、ショートリスト作成後に本選が9月15日から10月31日まで。
授賞式は11月23日のベルリン書籍見本市にて開催されるとのこと。

まあ、作品の内容とか調べるのは、ショートリスト出てからでいいや……とか思いつつ、ロングリストをつらつら眺める。長編部門は、他の賞でもノミネートされたエシュバッハやシェッツィング、オーゲル兄弟に、DPP常連のマルクス・ハイツ、ベルンハルト・ヘンネンの『アズール年代記』はショートリストに入りそうかなあとか。ジュブナイル部門とかコミック部門って前からあったかなあ……ごやてんで掲載してないジャンルについてはマガンの方が詳しそうだし、dinfoのバックナンバー確認するかなあ、とか思っていたら。

なんだこの『BLは魔法』(コミック部門)って(爆)
ええと……出版社のサイトがここで……なになに「ルビオは黒魔術の家系に生まれたけど、なんでか魔法が使えない。梟の姿になったひいじいちゃんと旅をしてたどりついた街で、学校に通うことになったルビオは、不良のアティに目をつけられ、連日ケンカをふっかけられる。うっかり魔法をかけちゃったら、因縁つけられるはずがぞっこん惚れ込まれてしまい! 筋金入りの黒魔法使いの弟まで登場して、物語はカオスの様相を――」って、うわぁいホントにアノBLだー! でもライトファンタジー! ふところ広いなファンタスティカ!(^^:::
#あ、そーいや本邦の某社も百合百合しいんだっけ最近。うん、方向性が逆なだけ逆なだけ……。

そしてAmazonジャパンで買える……(笑) 下手なSFよりワールドワイドやね。

■ファンタスティーク大賞公式サイト:www.deutscher-phantastik-preis.de

8/2追記:Carlsen社のサイトなんて何年ぶりに見ただろ……。「MANGA」と「COMIC」が別ジャンル扱い。MANGAを描くなら16ページの倍数とか、知らない規則ですね……(笑) さすがに専門のマンガ雑誌とかなさそうだし、単独で製本する都合だろう。
基本、日本からの翻訳がMANGA、在来のカートゥーンがCOMIC、みたいだけど。ドイツ人の描いたMANGAも上記のように(若干)あるし、なぜか『はだしのゲン』はCOMICなんだな。コマ割とかそのへんの関係なんだろうか。あ、あと「GRAPHIC NOVEL」にもマンガがある。『ブッダ』とか『この世界の片隅に』とか。フキダシの有無じゃないんだよねこれ。おもしろいな。

クライス=アーカイヴ閉鎖

クリンゲル(Kringel)ことヨハネス・クライス(Johannes Kreis)のウェブサイト〈Kreis-Archiv〉が7月20日をもって閉鎖された。

クライスは1967年生まれのBNFで、Perrypediaに項目もある(笑) 彼をモチーフにしたキャラクターが数回、ヘフト本編や関連シリーズに登場しているそうな。

クライス=アーカイヴは2002年から運営されていたクリンゲルのサブサイトで、数百冊以上の書籍・コミック、映画やオーディオブック、ゲーム等の感想・評価が収録されていた。わたし、『三体』おもしろそうだなって思ったの、ここの書評なんだよね……。

で、ローダン・ファンとして重要なのは、このサイトでは2100話以降、毎週ローダン・ヘフトの要約がアップされていた点。2005年からPerrypediaの運営にも携わっているクライスの要約は、現在ペリペの各話ページにも掲載されている。
この春に「趣味ではじめたこのサイト(とメインサイト)、最近ではちょっと負担になってきたので、閉めることにした。サーバーの運営会社には契約更新しないことを通告済み。7月20日以降、このサイトが消滅してても驚かないで。ペリペディアでの更新は続けるよ」という掲示がトップに表示されていたが、予告通り、アーカイヴは電子の海に散ってしまった。残念。
#いくつかの、読んでない作品の要約・書評はそっと保存しておいた。

正直、現在の草案チームになってから、要約末尾のコメント(これはペリペには収録されていない)で、つじつまが合わない点、ストーリー進行の難点への指摘等が増えていったかと思うと、そのうちコメントそのものを書かなくなってしまって、マガンともども、「やっぱあちらでも紹介記事書くの苦痛になってるんだね……」と嘆いていたのだが。これはまあ勝手な憶測。
3000話を機に〈クラブ・レポート(Clubnachrichten)〉から〈ファン・シーン(Fanszene)〉へと衣替えした、ローダン・ヘフト巻中附録記事の3017話掲載分で、たまたまKreis-Archivが取り上げられていたので、何か裏話でも載っているかと確認してみたが、普通に内容の紹介だけだった。おーい、閉鎖すること、未確認なのかー(笑)

とりあえず、こんなとこ見てるわきゃないけど、お疲れ様、と言っておきたい。長年お世話になりました、というか楽しませていただきました。
ペリペの方も、最近箇条書きみたいになってきたけど、頑張ってほしい。いやホント。

ドイツSF大賞2019ノミネート作

7月15日付けのDSFP公式サイトにて、本年のドイツSF大賞ノミネート作が公表された。
対象は2018年にドイツ語圏で印刷物として初出の、SFジャンルのオリジナル作品。授賞式は11月にドレスデンで開催されるペンタコン(SFCDの年次大会)にて執り行われる。
余談だが、今年は同じペンタコンで、ファンタスティーク大賞の授賞式もダブルで開催される。

ノミネート作は以下のとおり:

長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:

Dirk van den Boom / Canopus / カノープス(冷たい戦争1)
Dirk van den Boom / Varianz / 分散 (《サイズ》の旅路2)
Andreas Brandhorst / Die Tiefe der Zeit / 時の深淵
Robert Corvus / Das Imago-Projekt / イマーゴ計画
Andreas Eschbach / NSA / NSA – 国家安全保障局
Ben Calvin Hary / Koshkin und die Kommunisten aus dem Kosmos
    / コシュキンと宇宙からきた共産主義者たち
Willi Hetze / Die Schwärmer / 群人
Tom Hillenbrand / Hologrammatica / ホログラマティカ
Julia von Loucadou / Die Hochhausspringerin / 摩天楼ジャンパー
Sebastian Schaefer / Der letzte Kolonist / 最後の植民者
Annika Scheffel / Hier ist es schön / 美しきこの世界
Christian Torkler / Der Platz an der Sonne / 太陽に近い場所

ローダン作家でもあるロベルト・コーヴスの『イマーゴ計画』。作者個人サイトの紹介文は以下のとおり:
「星々のはざまの虚空を満たすものは、闘いと破壊の他ないのだろうか?
28隻の大宇宙船団を組んで銀河をゆく最後の自由な人類にとり、破壊された地球はすでに遠い記憶にすぎなかった。仮借なき敵に追われる彼らは、これ以上ないほど異質な知性体と遭遇する。恒星を覆う球体スフィア。そこに生きるものが誰であれ――ファーストコンタクトで人類をはるかに凌駕していることを示した――スパコンと携帯端末ほどの差を。
戦争の数千年は軍部を肥大させていた。しかし、カーラ・ジェスコンは、紛争のかなたにある平和へのチャンスという夢を抱いていた。彼女の信念は、内戦のすえ自由を喪失した一隻の船《エソックス》管理を命じられたとき、試練に直面する。当時の人々は、人間とコンピューターの共生が脱人間の道へ通ずると考えていたのだ。だが、そのぎりぎりの体験が、カーラに暴力の渦を脱する最良の手段を教える。彼女はスフィアとの接触を利用して、人類に自らと宇宙とを調和させる未来を開こうとする。」
――Amazon.deの短文紹介だと、軍部はスフィアと戦端を開くことを試みるようで、大勢に逆らおうとするカーラの運命や如何に。なお、タイトルのイマーゴ計画は、スフィアとのコンタクトの際に出てきた概念らしい。

『コシュキンと宇宙からきた共産主義者たち』の作者ベン・カルヴィン・ハリーはファン・シリーズ〈ドルゴン〉参加からはじまってローダン・ミニシリーズでも数編を担当し、最近だとローダンのYouTubeチャンネル担当者としての方が顔が売れているだろうか。
本作の舞台は1958年。本国への強制送還をのがれるため、ロシア人の物理学者ボリス・コシュキンは、スプートニク・ショックに揺れるアメリカのために宇宙船の建造をでっちあげる。彼の曰く“宇宙エンジン”は数日で木星までの距離を往復できる、と。ところが、これがKGBやCIAどころではない勢力の関心を招いてしまう。銀河文明の技術水準を超える“宇宙エンジン”の噂に仰天した宇宙人のスパイ、 共産主義のバナナ型宇宙人モッコシンが、コシュキン教授とロケットを、娘のナターシャと、将来の娘婿(予定)たる技師のジェフリー、ついでに隣人のザイツェフともども宇宙へと誘拐したのだ! “宇宙の冷戦”にまきまれた教授一行。ことはもはや狂言ではおさまらない。いまや全人類の命運が彼らの行動にかかっているのだ――。
書評を見るに、どうやら作者自身がガルヒンコンやらコンヴェンションで序盤の朗読会をして評判を呼んだらしい。ナルシスト気味だが人間味のある教授、ちょっぴりのろまな助手、勝ち気でアタマの切れるヒロインと、キャラの立った古き良き時代のSF、だそうな。ちょっとフラッシュ・ゴードンを思い出した……発明は“ベーパーウェア”(作者曰く)だけどね(笑)

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

Galax Acheronian / Trolltrupp / 豚部隊トロル・トループ(Sprung ins Chronozän収録)
C. M. Dyrnberg / Intervention / 介入 (Nova 25収録)
Rico Gehrke / Rauschen / ノイズ (Sprung ins Chronozän収録)
Thorsten Küper / Confinement / 隔離 (Nova 26収録)
Andreas G. Meyer / Kill! / 殺れ! (Spliff 85555: Ebersberg収録)
Nadja Neufeldt / Im Regen / 雨の中 (Erstkontakt mit Violine収録)
Uwe Post / Kurz vor Pi / パイの少し前 (Spektrum der Wissenschaft 10/2018収録)
Tobias Reckermann / Der unbekannte Planet / 未知の惑星 (Nova 25収録)
Nele Sickel / Muse 5.0 / 美神ミューズ5.0 (Phantastische Sportler収録)
Jutta Siebert / Die Schwimmerin / 泳ぐ女 (Fiction x Science収録)
Tetiana Trofusha / Coming Home / カミング・ホーム (Inspiration収録)

アンドレアス・G・メイヤーの「殺れ!」が収録された短編集『シュプリフ85555:エーバースベルク』は、なんだかよくみかける、音楽(ミュージシャン、アルバム)にインスパイアされた作品集のひとつ。
東ドイツ出身のカルトな人気を誇る歌手ニナ・ハーゲンが西ドイツに亡命した翌年(1977年)結成したニナ・ハーゲン・バンド――が、まもなく一悶着あって(笑)、中心メンバーによって1980年あらたに立ち上げられたニューウェーブバンドがシュプリフ(マリファナの意)。そのセカンド・アルバム(バンド単独では実質ファースト)として1982年にリリースされたのが「85555」。Neue Deutsche Welleの代表的バンドのようで、YouTubeにもクリップが多数アップされている。
本書はこのアルバムに収録された楽曲を章題に、全21篇の作品(作家19名)で構成されている。

1 Déjà-vu (デジャヴ)
Gabriele Behrend / Hugo / ヒューゴー
Albertine Gaul / Bruchlandung / 不時着
2 Heut’ Nacht (トゥナイト)
Galax Acheronian / Die letzte Nacht / 最後の夜
Johann Seidl / Küss mich, bevor du gehst / 別れの前にキスをして
Gabriele Behrend / Küss mich noch einmal heut’ Nacht / 今夜もう一度キスをして
3 Notausgang (非常口)
Anna Noah / Cicada-401 / シカダ=401
Christina Wermescher / Flieh mit mir / いっしょに逃げて
4 Carbonara (カルボナーラ)
Diane Dirt / Traditionen / 伝統
Regine Bott / Strange Encounter / 奇妙な遭遇
Merle Ariano / Carbonara / カルボナーラ
5 Computer sind doof (コンピューターは抜け作ドゥーフだ)
Paul Sanker / Schöne Aussichten / 美しき展望
Sven Haupt / Türöffnerzauber / 扉を開ける魔法
Thomas Jordan / Mondo Utopia / 理想の世界モンド・ウートピア
6 Kill! (殺れ!)
Nele Sickel / Keine Asche / 灰も残さず
Andreas G. Meyer / Kill! / 殺れ!
7 Duett komplett (完璧な二重奏)
Gard Spirlin / Der rote Kadett / 赤いカデットオペル
Francis Bergen / Duett Komplett / パーフェクト・デュオ
8 Jerusalem (イェルサレム)
Friedhelm Rudolph / Hirngespinste / 妄想
Enzo Asui / Mannariegel, ungesüßt / 甘くないノンシュガーマナーリーゲル
9 Damals (あの頃)
Robert Koller / Damals / あの頃
Gard Spirlin / Säulen der Ewigkeit / 永遠の柱

ナディア・ノイフェルトの「雨の中」は処女短編集『ヴァイオリンとのファーストコンタクト』に収録された一篇。夜になると必ず雨が降り、星空の見えない惑星には、とあるエイリアンたちが住んでおりました――作者のサイト〈梟の日常〉によると、昔の新聞で読んだSF短編で、いつも雨が降っている惑星から子供たちが移住しなければならなくなった話(くらいしか記憶にない)が発想の由来であるそうな。出版社の宣伝文から推察するに、「雨雲のなかに古い知識が隠れている」エピソードなのかな。

ウーヴェ・ポストの「パイの少し前」は、「スペクトラム・サイエンス」誌の昨年10月号収録で、オンラインで全文が閲覧できる。世界銀行の証券取引エキスパートの女性マキシム・プサール嬢(仮名)が勤務シフト前にチャットしている文章の彼女側だけ――一人称の独白調である、が。チャットといいつつ、オンラインに“直結”している彼女、なんだか様子が変。実は職場から何度か、現在各所でハッキング発生中、みたいなメッセージが届いているのだが(笑) わたしまだ、勤務シフト前だしー、みたいに流してしまう。そして最後に、あれ、おかしいな、仕事中じゃないのに、なんでアタシの首にケーブルが……プッツリ、みたいな。セキュリティ、ザルじゃないか(笑)
なお、タイトルは「Piの少し前だから、シフトまでまだ時間がある」という表現が数回出てくる。パイ(円周率)ではないのだが、なんの略語かはさしあたり不明。

テチアナ・トロフシャは1991年ウクライナ生まれ。家族でドイツへ移住し、脚本関係の高等学校で学ぶ。どうやらSF・ファンタジー関係の著作は本編がはじめてのようだが、収録された『インスピレーション』はイラストレーターAndreas SchwietzkeのCGとセットになった作品集みたい。判型も特殊で、画集っぽいつくりである。

■ドイツSF大賞公式サイト:www.dsfp.de

月の裏側に巨大な金属塊

ツイッターをボケッと眺めていたら、こんなつぶやきがあった。

月の裏側、南極エイトケン盆地の地下300キロ以上の深度に、ハワイ島の5倍もある質量の金属塊が発見されたというもの。調べてみたら、日本でも日経ナショナルジオグラフィックにて既報であった。太陽系でも最大級のクレーターの成り立ちとかに関わる重要な研究らしい、のだが。

エシュバッハの曰く、「ローダン読者なら、アレ、連想するよね……」には笑った。
あと、まあ、最近日独ともSF関係者のツイッターが政治の話題が多くてちと食傷気味だったのが、肩の力が抜けた気がする。それだけの話ではある。

■日経ナショナルジオグラフィック:月の裏側の地下に謎の超巨大物体

フランク・ボルシュ

フランク・ボルシュ(Frank Borsch)は1966年生まれの作家兼編集者。

1991年のヴェルトコンが開催されたカールスルーエにほど近い、南ドイツのプフォルツハイムに生まれる。
ローダンとのファーストコンタクトは10歳のとき。母の友人宅で彼女のコレクションを見せてもらったらしい。同年にスタートした第4版の定期購読者となり、特にフォルツのファンだったという。

中東・アジアでの10ヵ月の代替役(軍務につかない)を終えた後、フライブルクに移り住み、英語と歴史を学ぶ。この頃いろいろな職業を渡りあるいたらしい。クリーニング屋の配達、コンベアラインでの梱包(Amazonか?)、介護士等々。東欧の環境ハンドブックの編集や大学のウェブマスター、はては北アイルランドで子供たちにドイツ語を教えたりもしたそうな(ローダン公式のプロフィールより)。

1996年12月に、連邦文化教育アカデミー……と訳すのかな。Bundesakademie für kulturelle Bildung in Wolfenbüttelで開催された、クラウス・フリックが講師のSFセミナーに参加したことが転機となり、まず、サブインストラクターとして来校していたヴォルフガング・イェシュケ(Heyne出版の編集長)から、アメコミ関係の翻訳の仕事を得る。
そして1998年にATLANトラヴェルサンの第9話「自由の代価」で作家デビュー。関連書籍や、Heyne版ローダン(アンドロメダ、オデッセイ等)等の執筆を経て2003年の2206話「希望の歌」からローダン・ヘフト本編の作家チームにも参加する。

この時期、2001年から2007年にかけては、VPMの編集者としても活動しており、2000話のおまけ企画「太陽系政庁破壊計画」の翻訳をrlmdi.から出版する際には、彼が窓口になってくれたらしい。
2006年からHeyne出版より『エイリアン・アース(Alien Earth)』三部作が刊行される。
西暦2058年、宇宙飛行士が冥王星軌道で発見した巨大な物体……宇宙船は、やがて地球をめぐる静止軌道に入った。攻撃はなく、コンタクトの試みさえなかった。しかし、侵略はすでにはじまっていたのだ――。
この作品はクルト・ラスヴィッツ賞にノミネートされ、演劇の題材にもなったらしい。ボルシュの出世作といえる。

そして2011年に開始されたローダンのリブート企画〈ペリー・ローダンNEO〉においては第1期100巻の草案作家を務め、自身9篇を執筆している。公式プロフィールにも「ローダンNEOの生みの親」とか書かれている。

で、ハヤカワ版『スターダスト』の解説には、ちょっとした誤解があって……。
2015年の100巻『別のアナザーローダン』をもってボルシュは草案作家を降板、作家チームからも去っている。確かに「ペリー・ローダン宇宙とのつながりはつづきます。読者として――そして、きっと作家として」という挨拶は残されているが、以降、ボルシュはSF関連の舞台に登っていない。

現在ボルシュは、2004年に生まれた息子のティムくんとフライブルクに住んでいる。
同じく公式サイトのプロフィールに、「わたしには長年情熱を傾けてきた2つの対象があります:書くこと、そして自転車で走ることです」とあるのだが、その後、彼はドイツ最大手のレンタルサイクルの会社に転職し、ウェブサイトの管理をしている……らしい。
かつて公開されていたブログ〈戯言(bloße Worte)〉もなくなっているので、そのあたりの経緯を知ることはできないが、まちがいなくローダン世界に大きな貢献を為した彼が、このままSF界を去ってしまうとしたら実にもったいないと思うのだが……。

■公式Info:Frank Borsch
■Perrypedia:Frank Borsch
■Wikipedia:Frank Borsch