特攻野郎・宇宙チーム

〈宇宙遊撃隊(Das Weltraumteam)はウィリアム・フォルツによる(非ローダンの)SFショート・サイクル。1980年から1981年にかけて、当時月刊で出ていたペリー・ローダン・マガジンに連載された。全14回、10章までが掲載されたが、おそらく闘病などもあり、途絶している。完結までもっていく意向は漏らしていたようだが、残念なことである。


遊撃隊:

ファルカン・コル
――は、テラナーである。
アルコウト
――は、外星人である。
ニコルのスー・アン
――は、王女である。
コスキン・アルドウ
――は、提督である。
鋼狐ローガン
――は、ロボットである。
《スパイダー》
――は、宇宙船である。

『ウィリアム・フォルツ追悼号』の半分は〈宇宙チーム〉

西暦2837年、テラと叛逆した植民惑星のあいだの戦争は熾烈を極めた。外交面からの紛争調停をめざす絶望的な作戦のひとつとして、コスキン・アルドウ提督はその宇宙船《スパイダー》で、仲介工作を依頼すべくニコル王国へ派遣された。しかし年老い、死病に倒れたニコル王にできたのは、まだうら若いスー・アン王女を軍使として送り出すことだけだった。《スパイダー》が帰到したとき、テラとコロニーの艦隊は消滅していた。ソル星系は、何者も突破しえぬ濃密な物質ヴェールの陰に姿を隠していた。ボルドン人が銀河系を強襲し、地球をその橋頭堡としたのだ。彼らだけが、その黒い船をもって、自らの造り出した物質雲を往来することができる。彼らは地球から全銀河系を屈伏させんとしている。ソル系で、そして地球で何が行われ、またはたして人類が生きているのかを、知るものはない。ボルドン人は塵のヴェールに接近を試みるものすべてを破壊してしまうのだ。帰還のその瞬間から、《スパイダー》の乗員たちは謎に満ちた侵略者との戦いを開始した。わずか数年のうちに、アルドウ提督と《スパイダー》のわずかばかりのクルーは伝説的な名声を勝ちとり、また人々が畏敬をもって口にする異名をはせていた。
宇宙遊撃隊ヴェルトラウムチーム、と!
テラの叛徒たちの目標はただひとつ。ボルドン人の独裁を終わらせ、ソル系を包む塵のヴェールを突破して地球をめざすのだ……。

Kap. 1. Rebellen für Terra / テラの叛徒
Kap. 2. Botschaft aus der Ewigkeit / 永遠からのメッセージ
Kap. 3. Rückkehr nach Nikor / ニコルへの帰還
Kap. 4. Das Raumfort / 宇宙要塞
Kap. 5. Der Staubschleier / 塵のヴェール
Kap. 6. Der Zeitnomade / 時間放浪者
Kap. 7. Der Markt von Clanzey / クランゼイの市場
Kap. 8. Das geborstene Ei / はじけた卵
Kap. 9. Das Bordonnenschiff / ボルドン人の船
Kap. 10. Die Spur / シュプール

1984年10月刊行の『ウィリアム・フォルツ追悼号(William Voltz Gedächtnisband)』に収録されているが、その後電書版等が出た様子はない。未完だし、しょうがないのかな。

以下余談:
カンタロ・サイクルが開幕した当時、元ネタはこれじゃないか、という噂があった。故郷を包む難攻不落の壁、未知の侵略者……たしかにそれっぽい要素は見受けられる。サイクル後半、ローダンの眼前で太陽系が消失したあたりも、あー、と思った記憶がある。裏付ける証言等はないので、まあ戯言ではある。

NEO320巻『黒き架橋』

12月22日発売の320巻『黒き架橋』より、ローダンNEO新シーズン〈カトロン〉がスタートした。
テラニア中心部に突如出現した黒い碑は、太陽系を包み込んだ時間バリアとともに無愛症アフィリアを引き起こした。それは遥かなM-87銀河に座する超バイオコンピューター〈カトロン〉が、人類の脳髄をパーツとして収奪せんがため。かろうじて太陽系解放に成功したローダンらは、脳髄輸送のため建造されていた巨艦《バジス》で、脅威の源泉たるM-87へいたらんとする。西暦2113年12月17日、謎多きディメトランス・エンジンの“黒き架橋”をもって……。


ポーヴェーヒー……「果てしない創造の装飾された暗黒の源」と、2019年にEHTで初めて撮影されたブラックホール(シャドウ)を、ハワイ大学の研究者はハワイ創世神話にちなみ、こう呼んだ。おとめ座銀河団、銀河系から5500万光年の距離にある、巨大楕円銀河M-87の中枢部にある活動銀河核だ。その質量、恒星ソルのおよそ65億倍……!
高くなったり低くなったり、耳障りな音はなんだ。自分は、1秒足らずで済むディメトランス跳躍のためにコールドスリープ状態にあったのではないか。“瞬間切替スイッチ”の異名をもつペリー・ローダンは、えづくような口内の違和感をおしやって、周囲の状況を把握していく。鳴り響くアラームは、艦載脳〈ハミラー〉により停止された。司令室のホロドームには、色調補正されたガスや宇宙塵、小惑星を含む岩塊の荒れ狂うさまが映し出されていた。その心奥にあるのは、絶対暗黒の“喉”……巨大ブラックホール“ポーヴェーヒー”にちがいない。
だが、なぜまだ《バジス》はこの巨大なくるみ割り器のすぐそばにとどまっているのか。本来、M-87到着後、ブラックホールから一定の距離をおき、乗員5万名の再覚醒プロセスを実行するはずだった。司令室要員だけ、緊急に覚醒させる要件が生じたのだ。艦隊母艦の“上方”に、強い放射線を発する物体が接近しており、遷移フィールド・プロジェクターが機能しないという。
全長20mほどの“棍棒”は、ローダンには宇宙船のように思われた。しかも、損傷しているのか、動きがおかしい。このままでは、いずれ事象の地平へと引きずり込まれる――遷移できなければ、《バジス》もろともだ。一瞬相対的に静止するかに見えた棍棒艇は、まもなく《バジス》船尾に不時着――墜落――し、外壁を覆う岩石にクレーターを穿った。
いたとすれば乗員も亡くなったかと思われたが、やがて棍棒艇の先端にハッチが開き、奇妙な存在が姿をあらわした。座布団に強靱な四本足がはえたようなそれは、這いずるように進みはじめた。すでに覚醒していた艦長メルバル・カソムが戦闘ロボットを動員しており、異生命体の周囲を固めたが、相手はむしろ、ロボットが出てきたエアロックをめざした。
奇妙な状況ではあったが、ローダンは異人を“難船者”と判断し、収容を決定。未使用のラボのひとつを利用し、他のエリアから隔離することとした。棍棒艇の機能が停止すると同時に、UHF帯域に発されていたハイパー波も消失。《バジス》はポーヴェーヒーから500光年の距離を置くべく、遷移を実行した。

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遡ること1ヵ月。《バジス》はディメトランス跳躍のため、銀河系中央ブラックホール・サジタリウス*Aを周回しつつ加速をはじめていた。冷凍保存した脳髄が“毛細血管”経由で転送できないため、M-87への輸送及びその警護艦隊の母艦としてタイタンで建造された巨艦《バジス》。乗員5万名はテラ連合と太陽系ユニオン各地から結集した曲者揃い。
艦長、エルトルス人メルバル・カソム。副長、シガ人ハール・デフィン。通信・探知部門は《クレストII》からドイツ系テラナー女性サラ・マース。第一パイロット、エモシオ航法士エラス・コロム=カン。医長は伝説の《マゼラン》船医を務めたジュリアン・ティフラーの娘リア・ティフラー
科学部門の長はネクシャリスト、レス・ゼロンだが、艦載脳〈ハミラー〉の開発者ペイン・ハミラーは100歳と高齢ではじかれるところ、乗せなきゃ政府とローダンを訴えるとゴネて席を確保。NEO版エリック・ウェイデンバーンは、宙族に殺された両親の会社を継承したアンドロメダ一番の富豪で、自説STAC……“スピリチュアルに起因する完全性の配列”を科学をもって証明することに憑かれたテティサー(正篇のテフローダー)。なんでも、現在ホイッスラー・カンパニーのオーナーでもあるとか。最新の技術をつぎこんだ研究船《STAC》ごと、助言者としての参加。さらに、前巻で亡くなったライプニッツの後継にあたるロボット心理学者ガルト・クォールファールト
“大宇宙の救世主”ことグッキーや、テレポーターのラス・ツバイ、オクストーン人オマール・ホークと相棒のオクリル“ワトソン”など特殊能力者も乗り込んだ。
率いる遠征司令は、いわずと知れたテラナー、ペリー・ローダンと、アルコン人トーラ・ローダン・ダ・ツォルトラル。

いわずと知れた、正篇からの転生組がぞろぞろと(笑)
カソムは150話登場USOスペシャリストの代名詞。
相棒のレミーがまだ6歳なので、サンダーボルト・チームからデフィンが代理出演w
コロム=カンは正篇では《マルコ・ポーロ》艦長。
サラさん、リアさんはNEOオリジナルのキャラクター。
レス・ゼロンは正篇でも《バジス》の首席科学者(1000話台)だが、今回はネクシャリスト。いきなり墜落してきた異星人の担当させられるあたりが、グローヴナーくんを思わせますにゃあ(笑)
ペイン・ハミラー、共同開発者が妻のデメテルさん(故人)と、こっちの方が幸せじゃんと思ったら……?
ウェイデンバーンは、NEOでは一時レティクロン側にひきこまれたりもしていた様子。今回のSTACは、はてさて何になるやら。
ガルトは正篇では半ポスビ人間であったが、こちらではどんな活躍を見せるか。乞うご期待。

5万人+αをコールドスリープ・タンクへ送り込むのはひと苦労らしく、中には「怖くない。怖くなんてないぞ!」というやつの対処も必要だったり。オクリルに拳骨くれて、ホークがあわあわする場面もあったり。父(故人?)との関係が複雑そうな描写も見られるが、名親であるふたりを「ペリーおじさん」「グッキーおじさん」と呼ぶ彼女は、なかなかの豪傑w

〈理性の光〉としてカトロン断片の片棒をかついでいた長男トマスは、アフィリアから解放され、《バジス》の情報をもたらすなど、決戦にあたり重要な役目をはたしたものの、黒い碑を破壊する際、亡くなったロワ・ダントンとリンクしていたため、その意識が共存した状態。過去の罪悪感ともども、半ば廃人の状態が続いている。
義兄弟ファロクが亡くなったとき、その分まで生きると立ちあがった息子。彼は再び立ちあがるだろうか。

Twitter(X)では同行不可っぽい、と書いたが、加速が開始されて1週間後に病室を訪れているので、どうやらトマスも《バジス》にはいる様子。

転移30分前、艦は光速の95%に達した。司令室要員も人体冷凍保存クライオステイシス状態への移行が開始される。来し方、先に逝った友のことを考え、粘っていたローダンの視界に闇が落ち……可能性の扉が開かれた。

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Powehi (EHT Collaboration)

ポーヴェーヒーから500光年の距離をおき、小惑星群に隠れて乗員の再覚醒プロセスを開始した《バジス》。作業は滞りなく完了したかに見えた……ただ1名を除いて。ペイン・ハミラーが消えたのだ。記録映像は、ディメトランスの瞬間、ハミラーの姿が消失したのを明らかにしたが、原因は皆目見当もつかない。
また、予想外の事態も起きる。艦内あちこちで乗員同士のいざこざが発生し、医務室はてんてこ舞いとなった。ある疑念を抱いたリア・ティフラーはウェイデンバーンに協力を求め、快諾したテティサーは《STAC》の特別な計測装置で、UHFのさらに上、SHF帯域の上限ぎりぎり、いわゆる“プシオン領域”とされるハイパー波が、銀河中枢核ポーヴェーヒーから発されていることをつきとめた。これはアフィリアの研究者から〈カトロン放射線〉と呼ばれるものと等しい。ソル系では時間バリアとの相互作用で脳の扁桃体に影響をおよぼしアフィリアの原因となったのだが、ここではそれとは異なり、強い攻撃性を励起するらしかった。ローダンはウェイデンバーンの助言にしたがい、さらに銀河核から距離を置くことにした。

事態が小康状態をむかえたところで、ようやくローダンはレス・ゼロンに対応をまかせていた棍棒艇の異人と面会する時間をみつけた。異人は〈研究者〉種族のドウク・ラングルと名乗った。この銀河の調査にあたる途上、うっかり銀河核に接近しすぎて遭難しかかっていたと語るラングルは無私的救助に感謝しており、その話からテラナーは多くの情報を得る。

“脳”と“コンピューター”ということで、NEO第6期(エポック)が〈バルディオク〉と〈テルムの女帝〉を意識しているのでは、とは以前書いたのだけど。正篇では“テルムの女帝の研究者”だったドウク・ラングルまで出てきた。言葉を濁したけれど、《モジュール》に所属していることは判明した。どんな勢力が派遣したものやら……。

M-87の頂点に立つのは正体不明の〈中枢の設計者〉で、その意を汲んだ〈基地のエンジニア〉ドルイス種族をはじめ、スコアル、ドゥムフリー、ペレヴォンらが重きをなすこと。中枢部の情勢は〈カトロンの血〉と呼ばれる放射線の影響で混沌としているが、設計者が銀河中枢部からの脱出を許さないこと。
おりしも救難信号が受信され、ハルト人に似たチャルナズ・バクル種族の難民が老朽化した機関の事故で立ち往生しているのに遭遇したテラナーは、自分が助けてもらって言うのもなんだが救助活動は避けた方が良いというラングルの制止をふりきり、リア・ティフラーをはじめとする医療チームを乗せた巡洋艦《ラヴァナ》で駆けつける。

老朽化した機器の爆発で大破した艦では使者も出ており、グッキーもテレポートで補助するが救助は難航する。
そこに12隻のスコアル艦隊が出現。シク(指揮官)=ジル・アーント・アイマルは“不正な”救助活動の即時停止を要求する。1時間以内に撤収しない場合は、“攻撃とみなし”対応する、という。
戦士種族スコアルの艦だが、制御をうしない《ラヴァナ》と衝突寸前だった難民船を撃沈した際の火力からみて、戦闘になっても――最悪、小惑星群に隠れた《バジス》からの援護もふまえて――こちらに分があるとトーラは見立てたが、外来者である自分たちが現地当局と事を構えるのはよろしくないとのローダンの判断で、全力で負傷者や医療チームの収容を開始。
その一方で、腹の虫のおさまらないグッキーが、ウェイデンバーン謹製のナノ・マシンを3隻のスコアル艦にテレポートで運び込み、コントロールを失う事態に。救援部隊をいまだ展開中のテラナーは「(銀河系のモラル的に)もちろん、お助けしますとも」と弁をぶち、シク=アイマルを説得することに成功する。難民船の修理の許可もおり、彼らは中枢部脱出はかなわなくとも、故郷星系まではなんとか戻れる状態にできた。

だが、ここで思わぬ展開が。アイマルの最高上司であり、この宙域担当の第一基地エンジニアたるドルイサント、キボシュ・バイウォフから、ローダンと《ラヴァナ》及びその“拠点バジス”を、この宙域の中央たるデヴェル星系へ招待するとの通達が届いたのだ。そして、エスコート部隊として、123隻のスコアル艦隊があらわれた。アイマル――そしてキボシュ・バイウォフ――は、《ラヴァナ》とスペースディスク、シックスパック(正篇でいうシフト)の能力を正確に見積もった。《バジス》の存在も探知していたようだ。
平和な意図、新たな通商域の開拓という名目から、この招待を断ることはできない。M-87へ到着してまだ3日。事態は混沌として、いかなる道行きか知ることはできない。


……というわけで、キボシュ・バイウォフさんまで登場である。このドルイサント、正篇ではローダンらにしてやられまくりで実にいいところがなかったが、さて、NEOではどんな活躍を見せるか。
なお、《ラヴァナ》の綴りは、ハイパーインメストロン搭載の《ラワナ》とは違うので、バイウォフさんも安心である(笑)
戦士種族スコアル、基地のエンジニア・ドルイスと、正篇M-87サイクルのままの秩序機構がかいま見えるが、前記事309巻での推測が正しければ、〈中枢の設計者〉は1億年も前に滅亡しているはず。これだけ長大な期間、トップなしで体制が維持できるものなのか。“丸太”が出てくるあたり、ひょっとするとエスタルトゥ編なんかも、ちょっとからんでくるのかもしれない。wktk。

以下余談。
ポーヴェーヒーの写真を2019年に撮影したEHT。イヴェント・ホライズン・テレスコープの略。“事象の地平の遠眼鏡”ですよ! ちょうかっけぇ……!

《ソル》の長い道/NEO版

12月22日発売の320巻『黒い架橋』から、ローダンNEOの新シーズン〈カトロン〉が開幕した。
ソル星系を隔離して無愛症アフィリアを撒き、あげく200億人類の脳髄をみずからのパーツとして強奪せんとしたスーパー・バイオコンピューター〈カトロン〉。いまなお潜在するその危険を排除するべく、ローダンは〈カトロン〉の端末が脳髄輸送のため建造させた巨艦《バジス》で、敵の本拠たる5500万光年かなたの巨大銀河M-87へと進発する、のだが。
これまで読者の得た〈カトロン〉にまつわる情報は、

  • シーズン〈オデッセイ〉(正篇でいう脳彷徨)でローダン脳が誘拐されたナウパウムは、M-87(カドロナール)周辺に12000存在する球状星団のひとつ。
  • パインテックのPGT装置で帰還する際、ローダン脳は〈カトロンの地〉なる仮想世界で、クレストの姿をとった〈カトロン〉に遭遇。「助けてやれることはないのか」と問うローダンは、「それは一度試みた。が、うまくいかなかった」と言われる。
  • ローダンがナウパウムで出会ったサイナック(後にロワ・ダントンと呼ばれる)はフランス人ジョルジュ・ダントンの脳をもつが、彼は幼少期〈深淵の姉妹〉に選ばれ、その船《ナルガ・プール》で特殊な教育をうけていた。
  • 〈姉妹〉によると、〈カトロン〉は太古ルーワーによって“宇宙の量子構造安定化”のため創造された、幾十億の脳髄からなる超バイオコンピューターで、その叛逆のためルーワーは滅びた。
  • 永らく休眠状態にあった〈カトロン〉が、近々覚醒するきざしがある。“暴君を打破する”ための教育を施されたダントンの脳は〈カトロン〉にとって“猛毒”にあたる。

……というもの。しかし、シーズン〈アフィリア〉開幕直前、思いがけない手段で核心に迫ったものたちがいた。
今回お送りするのは、彼ら《ソル》の人々の苦闘の物語。309巻『一億年』(シェーファー)である。

ローダン指揮のもと、テラニアに出現した黒き碑の原因を探るべくマゼラン星雲へとむかった《ソル》。現地の“時間眼”をもつ種族パーリアンは、銀河系とのはざま、マゼラニック・ストリームにポスビが築いた〈クロノパルス・ウォール〉を破るため、〈ベルカ〉なる装置――9基のステーションからなる、おそらくルーワーの九塔施設の流れを組む技術――の準備を進めていた。その試運転の際、搭載艇《パールダイヴァー》のローダンが期せずして“毛細血管”経由で銀河系へ転送される一方で、《ソル》は生じたハイパー渦に呑み込まれる。船体崩壊直前、ハイパー物理学者エリック・ライデンの機転で“流れに身をまかせる”ことで転送は安定。やがて亜鈴船は、見も知らぬ銀河の中央ブラックホール近傍に出現する。
アルコン人から受け継ぎ、アンドロメダ遠征を経てアップデートされた星図なら、局部銀河群のどこであっても特定できる、22世紀の人類の天文学知識にも該当しない巨大銀河。その銀河中枢部はちょっとした混沌の様相を呈していた。なんらかの原因で、大量の難民が発生しているのだ。救助された難民のひとりは、“時間眼”をもたないパーリアン……。
やがて、天文部のヘージ・ノックマンが、プシオン領域で計測される、200年ほど前に誕生したばかりのジェットの萌芽を発見したことから、ひとつの仮説が提示された。ここは銀河系から5500万光年はなれた球状銀河M-87である……ただし、1億年前の!

  • 実はマゼラン星雲の〈城〉崩壊時に、パーリアンのひとりがペレグリン(黒き碑から分離したヒューマノイド)を“化身”(Inkarnation。正篇における超知性体の“具象”)と呼び、「我らの忠誠は、いまなお〈設計者〉に……ひいては〈カトロン〉に向けられている!」と口走るのをラス・ツバイが目撃している。が、その報告がローダンまで伝わっているかは不明。

帰還はあらゆる意味で絶望的。世代船として設計された《ソル》ではあるが、この距離、この時間にはなすすべがない。時間膨張飛行でも船体が保たないし、それだけ長期のコールドスリープで人体に影響が出ずにはすまない。
艦長チャート・デコンは“我らソラナー”と乗員を鼓舞し、初代ハイ・シデリト(“中天にかかる星)に就任するも、希望を見出せない一部の者たちがコルヴェットで離脱するのを阻止できなかった。銀河中枢部を放浪する10年のすえに、デコンも病没する。

後を継いだブレッククラウン・ハイエスは、引き続き政情不安な中枢ブラックホール“ポーヴェーヒー”近傍の放浪を継続する。
ジェットのプシオン的影響が人心に不安をもたらす効果が判明したり、ライデンらの肉体をくるむクレール塊を利用した高度なコールドスリープ〈ステイシス〉がジェフリー・ワリンジャーによって開発されたりもしたが、現状打開の大きなきっかけとはならぬまま、数十年がすぎる。
人道的救助によって、往くあてのない難民は《ソル》の人口増加を招き……いかなる論理の帰結か、艦載脳〈セネカ〉とポスビの叛乱が勃発する。ソラナーの福祉のため、すべての決定権を掌握すると告げるセネカに、ハイエスは上位コードによる強制シャットダウンで対応。統制ポジトロニクスを失った《ソル》に暗黒時代が訪れる。
ハイエスらが行方をくらまし、ハイ・シデリトの座を襲ったタンワルゼンは、〈ソル労務共同体(SOLAG)〉を創設、厳格なカースト制度を敷いた。

  • オリジナルのチャート・デコンはATLAN500話「ソラナー」の時点で《ソル》の独裁者ハイ・シデリトであった、いわばアトランの最初の敵ボス。彼の“家”たる《ソル》を守るため身を投げ出し、実は息子であるブレッククラウン・ハイエスに後を託す。今回の血縁関係は不明。
  • エリック・ライデンら旧ライデン・チームの3名は、異宇宙クレアヴァースから流入した物質クレールの塊に埋め込まれ、擬似的な不死の状態。ただ精神活動は正常で、ネーサンやセネカの提供したアヴァターとして出現する。イレギュラーな存在なので、首席科学者はワリンジャーに譲り、助言者的地位にとどまっている。
  • ローダンによる〈大断裂〉閉鎖後、クレールは失われたはずなのだが、この塊だけは維持されている。当然、補充のあてもないので、〈ステイシス〉は限定的にしか使用できない。

どうやって説得しわからせたのかセネカ復旧とともにハイエスらが復権。〈ステイシス〉によって延命しつつ指揮をとる彼らは、一部ソラナーによって“グレイト・オールド・ワンズ(クトゥルー神話における“旧支配者”)”と揶揄される。漂泊の120年を経て、銀河系などライブラリの記録映像でしか知らない世代や、そもそもこの銀河の種族由来の“ソラナー”が主流となりつつあった。
新世代の保守・管理業務への忌避感や、一部退行現象もみられるなか、グレイト・オールド・ワンズは最後の挑戦を試みる。
現地種族が神のように崇める〈中枢の設計者たち〉……神話ゆえ曖昧模糊とした表現が多いなか、とある紙媒体の記録に、ひとつの座標が示されていたのだ。物、惑星、恒星かすらさだかでない、銀河系から見て中枢ブラックホール・ポーヴェーヒーの裏側にあたるその場所はこう呼ばれていた……〈モノル〉と。
目標から数光秒の距離へと遷移した瞬間、《ソル》に暗黒が落ちた。

ほとんどのエネルギーが消失していた。かろうじて動く外部カメラがとらえた映像は、見知らぬ暗黒空間。星々はおろか、ポーヴェーヒーすら見えない。ここが〈モノル〉なのか? そして《ソル》船体にはりついた、いくつもの全長数十メートルのゼリー状の物体。暗灰色のそれは、生命体なのか? これがエネルギーを吸収したのか? エモシオ航法士コスムが応答せず、艦機動は不可能。宇宙服のマイクロ反応炉すら機能しない状態。ゼリーの移動した個所は装甲板が変質している。艦内へ侵入されれば結果は火を見るよりも明らか。ワリンジャーたちは戦闘ロボットを再充電しようとしているが、時間が足りない。
そのとき立ちあがったひとりの男がいた。コルン・ハン・ブールロ。《ソル》のM-3中核の次元泡バコル・カヴィ遠征の際に母ヘルマが妊娠中だったため“進化の跳躍”を体現した宇宙人間。ミュータント、フリークと忌避された彼が、唯一対応可能なソラナーとして、船外へあらわれたのだ。エネルギー残量の乏しい熱線銃が予想外にゼリー状生命体に効果的で、ワリンジャーらは戦闘ロボット部隊を動員する余裕を稼げた。

  • コルン・ハン・ブールロ(Buhrlo)は、ハヤカワ版では「バーロ」になっている。母ヘルマともども正篇から移行組。ヘルマの死後は、元《ソル》副長レベッカ・モントゴメリーに育てられる。ベッキーがヘルマと仲良かったのかは不明。

惑星サイボラ生まれの人類最初のエモシオ航法士メントロ・コスム。《ファンタジー》、そして《ソル》を導いてきた彼は、闇の中で不可解な声を聞いた。「ぼくにひどいことしたヒトたちの仲間なの……?」
そんなことはない。コスムは否定する。なぜか、相手が〈モノル〉なのがわかる。われわれは平和的な意図で、好奇心と探究心からここを訪れただけ。
「じゃあ、助けてくれるの?」
コスムは「できる限りのことは……うん」と、肯定した。
肯定してしまった。

ゼリー体を駆逐したものの、《ソル》への攻撃は続いていた。未知の超高周波エネルギーのビームは、リブラ・バリアのフィールドラインにナノ構造亀裂を産み、エネルギーを吸収する。負荷が急激に上昇していく。
コスムは死んだように反応がない。操舵をとりもどすためにはSERT接続を遮断する必要があるが、外部から強制切断すれば人体への影響は予測もつかない。そのとき――
外部からの通信が。メントロ・コスムからの!

〈わたしに残された時間がどれほどあるかわからない。だから、遮らずに聞いてほしい。
 皆を安全なところへ移すため、できる限りのことはした。クルム――というのは、エネルギーを吸収するゼリー体のことだ――それにメタ要塞の砲撃は、モノルへの接近に対する自動防衛反応だ。ノナスフィア周辺エリアは危険で、350年前の軍団侵攻以来、タブー領域とされている。設計者たちは、M-87中枢部の一連の種族同様、ガルベッシュのおそるべき殲滅戦にもちこたえることができなかった。以来モノルは荒廃し――立入禁止だ。少なくとも、われわれを含む、ほとんどの者が。
 充分やれたかはわからないが、そちらにツキがあるかもしれない。もっと時間があれば、放電を微調整できただろうが、どちらにせよ他に手段がない。
 モノルを包む“膜”を再度突破するのは、現状の《ソル》では耐えられない。だが、選択肢はある。これまで……ひどい……時代だった。会えなくなるのは寂しい。君たち、ひとりひとり、皆に。すべてがうまくいけば……心の底からそれを望むが……故郷によろしく伝えてほしい。そして、わたしを忘れないで……〉

  • 遮らないで、とのことなので、間のト書きも省略した(笑)
  • 聞いているハイエスは、コスムがやたら早口なのは通信途絶をおそれていると感じた。
  • コスムの状況と、ナウパウムへ脳髄を奪われたローダンの状況の類似も。
  • ノナスフィア(Nonasphäre)という単語は、明らかにルーワーが銀河系に築いた〈ノナゴン〉の系統。

通信はとだえ、《ソル》はありえないほどの加速をはじめた。まもなく必要速度に達した亜鈴船は遷移した。
次の瞬間、またしてもアラームが鳴り響いた。衝突警報。再物質化した直近に、巨大な小惑星が位置していたのだ。全長80km、最大幅20km。
《ソル》が激突するであろう環状山脈は、まるで怪物の顎のようであった。
直後、通信・探知を担当するモリナ・デンジャーが叫んだ。
「あれは、小惑星じゃない。宇宙船よ!」
そんな莫迦な、と思ったところで溶暗。


そして、物語は310巻『愛なき世界』よりアフィリア編へつづくわけだ。生殺しか(笑)

なんだか、いろいろと不整合があるのが、おわかりいただけただろうか。
マゼランのパーリアンが忠誠の対象として設計者≒〈カトロン〉としているのは、叛逆が事実であるならおかしい。
〈深淵の姉妹〉というのは、時空を超えて暗躍しているダオ=リン=ヘイとか、最近ではローダンの長女ナタリーちゃんも加入している謎の組織。シェーデレーアがマスクマンになったのも彼女らのせいである。で、ナタリーらは「設計者は〈カトロン〉の叛逆で滅んだ」とダントンに教えているのだが、本作だとガルベッシュ軍団(NEOではおそらく今回が初見)の襲撃によるとされる。
そして最後に出現した小惑星サイズの宇宙船。どう見ても、正篇1300話で出現した“丸太”(der Klotz)である。正篇どおり“丸太”=《ナルガ・プール》だとしたら、目的不明な〈姉妹〉は1億年前にM-87でもほにゃららしていたわけで。兄弟船《ナルガ・サント》は出てくるのかとか妄想がふくらむw

そして、〈カトロンの地〉でローダンが聞いた、「それ(助けてもらうの)は一度試みた。が、うまくいかなかった」というのは、おそらくコスムのことを指す。すると〈モノル〉=〈カトロン〉となるのだが。はてさて。
X(旧Twitter)でも書いたが、覚醒した〈カトロン〉が人類の脳髄を欲したのは、コスムとの関係があるとみている。1億年の時を超えて、コスムの再登場はあるのか。
タイトルリストにも“丸太”の名称は出てくるので、《ソル》の人々、もしくはその子孫なりの運命が語られる可能性もある。わりと、今シーズンのなりゆきは、楽しみにしている。

本筋と全然関係ないけど、通信・探知担当→副長のマイ・タイ・タナカが日本人って、『蹴りたい田中』でも読んだの?w >シェーファー

訃報:アルント・ドレクスラー

Perry Rhodan公式Twitter(現X)の告知によると、ローダン・シリーズ表紙イラストを一部担当するイラストレーター、アルント・ドレクスラーが11月1日に急病のため亡くなったとのこと。

バイエルン州ホーフ生まれのドレクスラー、公式サイト紹介のキャッチフレーズが“ずっと宇宙船が好きだった。”なのだが、すでに3歳のときに『宇宙大作戦』に入れ込んで幼稚園の人形の家を司令ブリッジに見立てて遊んでいたというから筋金入りである。
フォルツ/ケルスナーの絵物語『時のかけら』に遭遇、ついで1100話「フロストルービン」からローダン読者となったドレクスラーは、すでにこのころから「SFイラストレーターになる」ことを決意していたらしい。

■『時のかけら』(Zeitsplitter):
フォルツのストーリーに感銘をうけたというアルフレート・ケルスナーのイラストが1980年のヴェルトコンで話題となり、実現した共作本。ローダン宇宙を背景にした「時のかけら」「すべての願いの目指すところ」「ある銀河戦争の勃発について」など18編の短編を収録。1981年のペーパーバックでの刊行後、1985年にハードカヴァー版が出ている。

1799話まで表紙イラストレーターを単独でつとめたジョニー・ブルックが1995年に交通事故で亡くなった際、後任を担ったのは上記アルフレート・ケルスナー、スヴェン・パーペンブロック、ウィリーの息子であるラルフ・フォルツの3名だった(ラルフは2004年まで)。
そして、2002年から加わったディルク・シュルツとともに、レギュラーで表紙イラストを担当していたのがドレクスラーである。シュルツはフェルトホフとの共作の実績から即正篇組に加わったが、ドレクスラーは2003年にまずATLAN青本(旧ATLANヘフトや歴史冒険譚の書籍化)23巻『黄金の女神』から参加。2004年から新ATLANヘフト表紙、正篇に到達したのは2007年刊行の2380話「太陽より来たる」だった(スポット参加なのか、公式サイトでは2704話からチームに)。
シュルツがローダンNEOの表紙も担当してあちらの“顔”であるように、ドレクスラーは正篇とその関連作――ローダン・ミニシリーズや、電子書籍化された惑星小説、ATLANポケットブック版やその書籍化(緑本)などを多く手がけ、正篇2800話、3000話、3200話も担当するなど、まちがいなくこちらもシリーズの“顔”のひとりだった。

ここで書くのはちょっとアレだが、“え、これローダンなんですか?”と少し話題になった3000話前後のローダンのイラストはドレクスラーである。ちょっと若めで、印象が異なる。まあ、イラストレーターがちがうんだから当然といえば当然w

ローダンに参加する以前には、他社のSF・ファンタジー系の作品、〈マッドラックス〉、〈ザモラ教授〉、〈ステルネンファウスト〉なども手がけており、Perrypedia以外にも略歴や作品リストなどが多数みつかる。
月曜日の告知以降、Twitterやブログ等で惜しむ声が引きもきらない。「私より10歳も若いのに。早すぎる」という投稿には実に同意。わしより4つも若いのに……。RIP。

■公式サイトNews:ARNDT DRECHSLER-ZAKRZEWSKI IST GESTORBEN
■公式サイトInfo:SCHON IMMER GERN RAUMSCHIFFE
■個人サイト:ARNDT DRECHSLER
■Perrypedia:Arndt Drechsler

ドリフェル・ショック ~十二銀河編~

新銀河暦448年2月……。
サバルは、すでに忘れ去られた惑星だった。わずか1年前には人口80万を数えた首都ハゴンに、いまや人の姿とてない。創設者たるクエリオン人によってネットウォーカー組織の解散が宣告されて以来、ほとんどの者がこの地を去っていった。
プシオン網の消滅によって崩壊の危機にさらされた十二銀河の文明の中に、本来の自分たちの帰属する場所を見出して。無用の長物と化したエネルプシ駆動を、在来型メタグラヴ・エンジンに換装し、おのが守るべきもののもとへと……。
いまなお、この世界にふみとどまる、2000人足らずの中に、彼らの姿もあった。
ロワ・ダントン、ロナルド・テケナー、ジェニファー・ティロン、そしてデメテル。
ドリフェルを守護する、という古の使命を果たすすべは存在しなかった。クエリオン人によって与えられた技術の大半が、プシオン網の瓦解後、次々とその機能を失い、いまではドリフェル・カプセルでのコスモヌクレオチド内部への偵察飛行すらできない状態なのだ。
まして、今度の相手はドリフェル自身。サバルから32万光年の距離に位置する“ゲート”を監視するステーションすら、なんら能動的な行動は、なしえない。ただ、ヌクレオチドの活動が刻々と高まっていくのを見守るだけだ。
新銀河暦448年2月26日……。
ロワは、サバルの大気中に奇妙なきらめきを見る。それは、ドリフェルから漏れ出すハイパーエネルギーの一部が、通常時空連続体にもどる際に起こる副次現象。何かが起ろうとしている。彼らの想像を絶した何かが。
翌朝、ドリフェル・ステーションの自動機構が警報を発する。コスモヌクレオチド内部で、かつてない活動の予兆! 4人は《スキュラ》でドリフェルへと急行する。最新式メタグラヴは光速の6300万倍だが、それでもステーションまでの距離をこなすのに、2日が費やされた。
新銀河暦448年2月28日……。
故郷の暦では、もうまもなく日付は変わろうとしている。
ステーションに到着したロワたちは、旧知の存在をみつけた。サバルにおけるローダン家の隣人でもあったネットウォーカー、ドゥアラのオベアーである。彼が前にする探知スクリーンは、はるか彼方のできごとを映し出していた。
直径13万光年の渦状銀河――ハンガイ。いまや、それは完全な姿をスクリーンにあらわしていた。
第四クォーターが到来したのだ。
そのとき、いあわせたすべてのものの脳裏で、ひとつの声が響きわたった。

「警告します、友よ。危険がせまっています。ドリフェルの怒りをやわらげるすべはありません。いまいるところからお逃げなさい。ドリフェルの“門”とのあいだに、光年の隔てをおきなさい。さもなければ、あなたがたの最期です」

誰の声かは、いまは関係なかった。それが真実であることを理解できないものはいなかったのだ。
だが、コスモヌクレオチドの逆襲は想像を絶する早さで訪れた。《スキュラ》がステーションの係留を離れた次の瞬間、まばゆい輝きがあたりを包んだ。それはドリフェルの吐き出すプシオン・エネルギー衝撃波が到達した証。
超空間の混沌は、もはやメタグラヴによる超光速航行を許さなかった。
激しい衝撃が《スキュラ》を揺るがしたとき、ロワはもう一度、ドリフェル・ステーションで警告を叫んだあの声を聞いたと思った。

「善なる力が、あなたがたとともにあらんことを……」

そうして、宇宙が爆発した。

-*-

上記は1996年にrlmdi.から出したタルカン・サイクルの要約集『プロジェクト・メーコラー』に「終幕 ドリフェル・ショック!」として収録した文を一部修正したもの。惑星小説315巻『クエリオン人の決闘』(マール)の序盤にあたる。
本日発売のハヤカワ版700巻後半「夜の神々」では描かれなかった、十二銀河側の様子があったので、次サイクルへの橋渡しとして採用した。
とはいえ、実際のところエスタルトゥ十二銀河がどうなったのかは、さらに次のサイクル(リング人)の終盤になってようやく明らかになるが、それはまた別のお話(おい

《スキュラ》はドリフェルのもたらした“洪水”によって、7億光年かなたのヘルクレス銀河団まで押し流され、デメテルは死亡。ロワは発狂寸前の状態になる。
傍受された「カリュブディス」というハイパー無線をたどり、とある惑星に到達した3名は、現住種族を搾取する悪徳商人を成敗する過程で、クエリオン人キトマに遭遇。現存するクエリオン唯一の肉体(キトマの元の身体)をめぐり、精神集合体を追放されたクエリオン人タヨレーとの対決を援護することになる。
結果的にキトマの身体は守られるが、さらに損傷した《スキュラ》は修復に膨大な時間を要し、帰途には50年以上がかかることを暗示して物語は幕を閉じる。

7億光年はレコードホルダーだろうか。トレゴンの謎を追い放浪する《ソル》の訪れた水印のヴァッサーマル銀河アキムザバルが銀河系からほぼそのくらいの距離にある。後の、「ヴォイドまで2億2500万光年を飛ぶ壮挙」とか、「コンドル銀河までの2億1200万光年を踏破できる船は《ラス・ツバイ》しかない」とかを見るたび、往時の体験(当初、この距離でも10年余りで帰郷できると見積もった)を思い出して非常にもやもやした気分になる(笑)

そして唐突なキトマの再登場。おそらく上記の警告の声も彼女だろう。
実はキトマさん、この時点で「ある存在の委託をうけて行動しており、ある二人組を○○○○○○まで連れていったり、あるデータを某所へ届けるとかある人物の行方を捜す使命を授けたり」している。超ネタバレなのでここでは書けない(笑)が、「助けてもらって恩知らずと言われそうだけど、お仕事中なのでわたくしはこのへんで~」と、そそくさと去っていくのは実に外道。しかも、その後出てこないしwww

どうにか精神の均衡をとりもどしたロワくん。エンディングで「新しい暦の導入を提案する。今日が元年一日ついたちだ。100年目の今日、故郷で乾杯するぞ」と宣言するのだが……。
彼らがいつ、どんな形でローダンらの前にあらわれるのかは、正篇本編でのお楽しみである(まさに外道)。

If:1400話「エスタルトゥ」

来週にはハヤカワ版が700巻『エスタルトゥ』の刊行を迎える。1399話「エスタルトゥ」/1400話「夜の神々」が収録され、広告でも1399話でのタルカン・サイクルの終結が謳われている。のだが。

ローダン・シリーズ現役最古参の作家アルント・エルマー。四半世紀にわたり読者とのコンタクト・ページ(LKS)の担当、通称“LKSおじさん”も務めた彼が、2503話のLKSで語った回想には、ちょっと驚くべきネタもある。
1982年にホイゼンスタムのフォルツ宅を訪れた際に、「フォルツは1500話でローダンを完結させることを考えていた」という。1000話で将来の人類の進化を書きあげ、究極の謎の2つまでが道標にすぎないことを1200話で示唆したうえで、モラル・コードの修復が最後の謎〈法〉の回答をもたらすとしたら、もうそこから先はないと思っていたのかも。

ともあれ、同じ回想で、エルマーは1400話前後について、こう述べている。

本来1399話ではヘクサメロンの部分的謎解きがもたらされる予定だった。ペリー・ローダンの解読したあるカセットの中で、炎の侯爵アフ=メテムが催眠暗示的手法でヘクサメロンの歴史を物語る。ローダンはすべてを“間近で”体験する。彼自身が炎の侯爵なのだ。彼自らエスタルトゥを狩りたて、苦境のただなかで超知性体は自身を分散させ、意識片としてベングエルとジュアタフに分かつことでおのれを救う。最後にローダンはハンガイ第四クォーターとともに標準宇宙へ転移し、13ヵ月が過ぎ去っていることを確認する。
1400話ではエスタルトゥの再生と、その力の集合体である十二銀河への帰還が前面に押し出されるが、1401話以降の展開も用意される。ハンガイからのハウリの銀河系侵攻のゴングが鳴らされる。
だが、実際はそうならなかった。

ヘクサメロンの歴史とは、後に草案作家マールが惑星小説358巻『七日目の主』で描き出した、超知性体アイセルの力の集合体(後のエシュラア・マグハアス)の銀河クラスの支配者から選抜された“七強者”の勃興と失意の、そして混沌の勢力の傀儡としてのヘクサメロン発展の物語だろう。この本ではヘプタメルの従者バンダルの視点だったが、アフ=メテム(アルフール)はただひとりアイセルの管轄外の銀河から選出され、ヘプタメルの腹心となった存在なので、まただいぶ違った観点ではあっただろうが。
そして、文中の“ローダンが解読したあるカセット”とは、おそらく同じくマールが惑星小説309巻『アムリンガルの宝玉』で触れたデータ・キューブ、ないしはカンターロ・サイクルで登場する〈ミモトの宝玉〉と同種の、“アムリンガルの年表のアブストラクト・メモリ”であり、そこからアムリンガルの所在、ひいては〈それ〉の歴史についての手がかりが得られたと思われる。
ハウリの銀河系侵攻に関しては、カンターロ・サイクルでも“百年戦争”として話題に上るが、現実により脅威だったのは〈ブリッツァー〉なので、歴史の闇に沈んだといえる。まあ、指揮官(アス=レテル)がパニック起こして逐電しちゃってるからね……w

アス=レテル(アコス)は、元々はハンガイ銀河の支配者で、ハウリを補助種族にしていた。ヘプタメル(シリクジム)とは敵対関係にあったためか、二十の領地最大の銀河ハンガイの支配権はアフ=メテムに奪われてしまうが、時間終点計画のメーコラー・サイドは彼が担っていた……はずだ。

ストーリー予告「ヘクサメロンの王国」では、ローダンが沸騰するプロト物質の中心で“新生”する展開が告げられていたので、テラナーはなんらかの要因で再び死に瀕したタルカンを訪れる必要が生じる。実は、上記惑星小説358巻の終盤で、ウリアン/ボラムに続く“ハイパー物質シーソー”が登場する。インフレすぎるがwww
あるいは対ステーションのいらないこれを撃破するため……にしても、単身では向かわないような。ほんと、どーなったんだろ。

上記回想は、編年体でシリーズの歴史をまとめた“Perry Rhodan – Die Chronik: Biografie der größten Science Fiction-Serie der Welt”のvol.3にも収録されている。kindle版がAmazonJpでも購入できるので参考までに。

カンターロ・サイクル予告/銀河系に還る

明日10月18日にハヤカワ版699巻『炎の嵐』が発売になる。タルカン・サイクル、宴もたけなわ。アフ=メテムとの決戦である。
さて、そのタルカン・サイクルは次巻前半、1399話「エスタルトゥ」で完結……と相なるのだが。過去記事等でも書いたとおり、不評のため、急遽打ち切り。前巻前半、1395話「戦闘部隊ラグナロク」は原稿アップ後に書き直したというから、かなり切羽詰まってからの内容変更である。新サイクルの宣伝なども、当然まるでやってこなかった。いやLKSとか、付録レポート内で掲載した草案作成関連記事で“匂わせ”程度はしていたが、それは当然、路線変更前の中身であった。

そして、1399話の読者とのコンタクト・ページをまるまる使って、言い訳と予告をぶちあげたわけ(笑)
「〈それ〉サイクルと言ったな、あれは嘘だ」
「誕生史とかも、やらないよーん」
みたいな弁解後に、ほぼ見開き使った予告記事「1400話からの新サイクル」が、以下となる。サイクル名も未発表(たしか、半年後くらいのLKSで読者の質問に回答したはず)なので、この記事のサブタイトルをとって、仮称・銀河系に還るサイクルだった。かっこいいので、サイクルジンのタイトルにも使用したw
ぶっちゃけ、1418話あたりまでのあらすじ同様なので、いやだ!わたしは知りたくない!という方はまたの機会に。

銀河系に還る / Zurück in die Milchstraße

ついに起こらざるをえないことが起きた。皆が怖れ、そうはならぬよう願っていたことが。
ハンガイ銀河のタルカンから通常宇宙への転送をはじめとする多くのドリフェルへの干渉は、もはやそのようなことが起こらないよう、コスモヌクレオチドを発作的に“店じまい”させるにいたった。自己防衛、ひいては宇宙モラル・コード防衛のための対処といえよう。
高次の秩序勢力、すなわち〈それ〉やエスタルトゥを含む超知性体やコスモクラートは、モラル・コードのマスターを自認し、そのうちに宿る力を思うがまま、自在にあやつれると信じた。第三の究極の謎の回答を知らぬというのに。だが、大自然、あるいは自然じねんの宇宙秩序とでもいうべきものは、自身と宇宙構造を維持・再生するために逆襲した。
そしてそれこそ、〈システム〉がローダンと仲間たちの前に示し、おそるべき現実となった回答なのだ。ドリフェルの作用範囲たる〈5000万光年の天球〉全域に影響を及ぼす、恐怖の宇宙的大破局にいたった。
タルカン艦隊の14隻は、説明しがたい宇宙的力に捕らわれ、停滞フィールドのなか凍りついて見知った世界からもぎとられ――そして、停滞フィールドから解放されたとき、まったくことなる環境にいた。
ペリー・ローダン、アトラン、レジナルド・ブル、その他タルカンへ突入した艦艇の乗員たちは、悪夢のなかにいる自分を見出すのだ。
彼らは自問する。ここはそも自分たちの宇宙なのか。しかし、どれほど幻想的で、異質で、説明がつかずとも、明確で誤解しようのない回答が存在した。
そう、ここは彼らの、通常宇宙なのだ!
そして驚くべきことに、彼らは本来の生存圏にいた。〈それ〉の力の集合体、局部銀河群の銀河。銀河系、ピンホイール(ハヤカワ版:三角座銀河)、アンドロメダ――そして、ハンガイ銀河。
――ただ、そこはもはや、彼らの知る局部銀河群ではなかった。そして、〈それ〉の生存のきざしはない。失踪したか、あるいは滅びたか。
――高次秩序勢力はなおも力ある存在なのか、それとも自らの解きはなった力に押し流されてしまったのかという疑問も生じる。
――宇宙は、少なくとも局部銀河群は、完全にタガがはずれてしまっていた。
――破局の影響をまぬがれたものは、どこにも存在しなかった。
局部銀河群ではカオスが解きはなたれたのだ。銀河系や隣接するマゼラン星雲を含むあらゆる銀河で、暴走するハウリによって開幕したおそろしい戦乱が吹き荒れ、次のような状態にいたった。
――グラド、マークス、ピンホイール・カルタン人をはじめとする多くの種族が孤立状態に引きこもった。
――そして、ハンガイの文明はストレンジネス・ショックの長期作用抜きでも退行し、原始状態に帰った。
――カンサハリイヤは数十万の小国家群に分裂した。
ローダンと友人たちはゼロからはじめなければならない。彼らのものでありながら、自分が異邦人のなかの異邦人であると気づかざるを得ない世界で。一歩ずつ、手探りで彼らは銀河系へと進む。秘密のヴェールを一枚ずつ解き明かし、ついに思い知るのだ。ここに彼らの居場所はないのだと。

彼らはおのれの宇宙のなかの異物。
銀河系は彼らを望まない。
なぜなら銀河系は閉ざされた、堅牢に封鎖された、昏い、謎に満ちた場所になっていた。
立入禁止! 封鎖エリア!
ペリー・ローダンの名は忘れ去られ――
ただ、ポスビらわずかな者たちに語り継がれる伝説でしかなかった。

ローダンと友人たちは、艱難辛苦のなか手探りで前進せざるを得ない。彼らの目標、銀河系の秘密の解明にむかって。モザイクをピースごとにかき集め、しだいに事態の全体像をつかんでいく。だが組み合わされたモザイクは歪んでおり、ひとつ回答を得るごとにさらなる質問が投げかけられるのだ。
希望の最初の手がかりは〈四腕の予言者〉のシュプール。道筋は二百の太陽の星へといたる。だが、そこはポスビのいない世界だった。
銀河系への帰途は、マークスの宇宙駅、二百の太陽の星――ポスビのいない――、そしてポルレイターの援助の望めるM-3へと続く。
しかし彼らは人類やギャラクティカーとの関わりを拒むのだった。ただ、漠然とした手がかり、アムリンガルと密接な関係があるらしい、〈過去の支柱〉という示唆だけが与えられる。
続く、〈サトラングの隠者〉との出会い。彼は古き友だが、その素性が知れたのは、すべてが手遅れになってからのこと。
ローダンら故郷を追われた者たちの道はマゼラン星雲のグラドのもとへ。だが、グラドはローダンが彼らの故郷銀河をクロノフォシルとして活性化したことへの感謝など知らぬかの対応。事態の背景など知らぬと主張する。だが、何かを隠したいのは明らかだった。
たとえば、勢力をのばしつつある、まだ若き宇宙航行種族ベカスとのコンタクト。そしてその庇護者――宇宙の遠い領域からドリフェルの破局によって誘き寄せられ、不透明なゲームを演じる強大な未知者たち。
そのつながりで、新たな名前が浮かびあがる。畏怖をもって囁かれ、多くの推測と興奮を呼びさます名称:〈カンターロ〉
このサイボーグたちは何者か?
いかなる目的を追っているのか?
その存在の秘密とは?
そして、なにより:その優れたハイテクをどう使うつもりなのか?
ローダンは〈ブラックホールの支配者たち〉(*)の存在を知る。星の遺骸の信じがたい力をあやつる術を知り、人類には果たせずにいた「アインシュタイン=ローゼン橋」を実現した者たち。だが、これらすべての知見でも足りない。それでは銀河系への、テラへの扉を開けないのだから。
ローダンはやがて〈過去の支柱〉へと挑み、そこで彼を死んだと思っていたものと遭遇し、旧交を温める。だが、彼の渇望する答えは、〈過去の支柱〉を通過することでのみ得られる――スキュラとカリュブディスのはざまを抜ける危険なオデッセイだ。
ペリー・ローダンと友人たちがその企てに成功し、銀河系に還ることを成し遂げたとき初めて、燃えるような疑問への回答が望めるのだ:

地球はまだ存在するのか?
人類は?
銀河系の他の種族はどうなった?
〈それ〉に何が起こり、なぜ超知性体はその庇護の手を力の集合体に――人類に――差し伸べないのか?
謎に満ちた銀河系の支配者たちとは何者?
いかにしてテラナーと兄弟種族の銀河を強固に封鎖し、誰もたどりつけず――出られないようにしたのだ?

無論、同様の疑問はまだまだある。たとえば、エスタルトゥ十二銀河に残った者はどうなった/どうしているのか――イホ・トロトはM-87でいかなる運命をたどったのか――砕けた《ナルガ・サント》の残り4/5はどこにあるのか――どれほど苦痛に満ちた試練をゲシルが耐えねばならなかったか……等々。
だが、それらはここにふさわしくない。占者はすでに多くを語りすぎており、ペリー・ローダンたちの未来を読み取ったタロットをしまい込んだのだ。

*)〈ブラックホールの支配者たち〉の名称は、おそらく〈回廊の主人たち〉に差し替えられたと思われる。

カンターロ・サイクル簡易レキシコン

昨日に引き続き、カンターロ・サイクルの情報。内容紹介の際、主な用語はこう訳したよ、という。一部若干手直ししてるけど。
当然ながら、ネタバレになる部分もあるので、避けたい向きはブラウザバックで。

A

  • Absoluter Stillstand …… 〈絶対停止〉状態アブソリュート・スティルスタンド。シールドされていないハイパー機器をブロックする。
  • Abstill …… アブスティル → Absoluter Stillstand
  • Abstraktspeicher …… アブストラクト・メモリ。アムリンガルの年表の〈概要記憶装置〉。
  • Advok …… ベンゴシアドヴォク。とあるフランス革命時代の弁護士(Advokat)の名を偽名にしていた人物。
  • Amagorta ……  〈アマゴルタ〉。アマレナが隠遁したとされる場所。銀河系中枢部のブラックホール。
  • Amarena …… アマレナ。ヴィペルターとエスククエル人が合流した種族の自称。「民族」の意。
  • Amimotuo …… 〈アミモテュオ〉。アムリンガルの年表のアブストラクト・メモリ。一抱えくらいのデータ・クリスタル。
  • Amringhar …… アムリンガル。謎多き〈年表〉の所在地。
  • Anoree …… アノレー。ネイスクール銀河の「星の暗黒回廊の管理種族」。
  • Archäonten …… 〈始祖〉。アノレーらによるアマレナの尊称。
  • Assu-Letel …… アス=レテル。ヘクサメロンの〈清浄の領主〉。

B

  • Báalol-700 …… バアロル=700。1149年の「700周年」に向けて製造中のアンティ・クローン。
  • Bekassu …… ベカス族。マゼラン星雲で勃興したコウモリ型種族。大破局から救った「神々」を尊崇する。
  • Bionten …… バイオント。遺伝子実験の結果「廃棄処分」とされたクローンたち。
  • Bliss …… ブリス。荒廃した地球でローダンの出会う少女。浮浪児集団のボス。
  • Blitzer ……  雷撃者ブリッツァー。ドリフェル・ショックからまもなく銀河系にあらわれた、神出鬼没、“雷撃”ブリッツシュラークと呼ばれるハイパーエネルギーの一撃で惑星を壊滅させる、謎の襲撃者。英語のブリッツァーはストリーキングらしいw
  • Buch Log …… ブック・ログ。惑星ブガクリスの山人に伝わる《バジス》の航宙日誌。

C

  • Cantaro …… 〈カンターロ〉。ハウリとの百年戦争に揺れる局部銀河群にあらわれ、動乱を鎮めたとされるドロイド種族。
  • Chronopuls-Wall …… 〈クロノパルス・ウォール〉。銀河系に接近する生命も機械も狂わせる謎の障壁。
  • CILADA …… 〈シラダ〉。新銀河暦9世紀頃に存在した抵抗運動組織。名称はポルトガル語で、「罠」。

D

  • Deftra-Feld …… デフトラ・フィールド。デフレクターとフィクティヴ転送機の融合した、ある星系を隔離するバリア。
  • DORIFER-Schock …… 〈ドリフェル・ショック〉。新銀河暦448年前後の事件の総称。
  • Drakisten …… ドレイキスト。ドレイク機構のメンバーの通称。
  • Dreizackschiff …… 〈三叉船〉。ブルー・ナックの操る、ポセイドンの三叉戟を思わせる形状の宇宙船。
  • Droid …… ドロイド。アンドロイドというか、今回は「サイボーグ」の言い換えと理解すればいい。
  • Druithora …… ドルイトラ。M-87銀河の中枢部イディオムによる名称。
  • Dschufar ama Sunnuh …… ジュファル・アマ・スンヌー。イホ・トロトの同行者となる、ハンガイ由来の謎の人物。

E

  • ELYSIAN …… 《エリュシアン》。タフン所属のメド・シップ。正篇・外伝と数奇な数百年を送る。
  • Eremit von Satrang …… サトラングの隠者。銀河障壁の外、惑星サトラングから「銀河系の新たな支配者たち」との闘争を呼びかける、その正体は……。
  • Eskuquel …… エスククエル人。飛行都市で宇宙を放浪するヴァウペルティアの末裔。 → Amarena
  • Ewigkeitsschiff …… 永遠の船。さまざまな惑星からベカスを徴用するロボット船、ベカスにとっては神の船をこう呼ぶ。

F

  • Freihändler …… 自由商人。銀河障壁外の抵抗運動組織。「自由を商うもの」か「自由にふるまうもの」かは不明。
  • Friedenssprecher …… 平和スポークスマン。アノレーが設置した、カンターロへの呼びかけ自動放送局。
  • Funkwall …… 通信障壁。銀河系内外のハイパー無線交信をシャットアウトする。

G

  • Gastropoide …… 腹足類ガストロポイド。ナックのようなナメクジ型種族の総称。
  • Geisterschiff …… 幽霊船ゴーストシップ。サトラングで初めて遭遇する、ぼんやりしたエコーしか探知できない“生命盗人”の船。
  • General …… 将軍。カンターロの階級で、戦略家の下、一般兵の上。
  • Genfabrik …… 遺伝子ファブリ。銀河系各地につくられたクローン工場。
  • Genmüll …… 遺伝子廃棄物。 → Bionten
  • Gevonia …… ジェヴォニア。かつてリバルド・コレッロの拠点だった惑星。過去編(新銀河暦9世紀)にて登場。
  • Giga …… 〈ギガ〉。シミュセンスのネットワークを遡り、さらにタイタンから生還したとされる伝説の人物。
  • Goliath-700 …… ゴリアテ=700。1149年の「700周年」に向けて製造中のシガ人クローン。
  • Gurrads …… グラド。マゼランの獅子人間。

H

  • Herren der Straßen …… 〈回廊の主人たち〉。カンターロを支配するとされる。歴史のはざまに点在する様々な名前から、その実態は杳として知れない。
  • Humanidrom ……  〈ヒューマニドローム〉。新銀河暦800年に建造が発表された、惑星ロクフォルトをめぐる巨大な宇宙ステーション。当初は「銀河諸種族の博物館」になるとされた。 → Werkstatt der Sucher
  • Hundertsonnenwelt …… 二百の太陽の星。ポスビが予言者とともに去った後、委託されたグラドが管理している。
  • Hyguphoten …… ヒグフォト。「ヒポキサンシン=グアニン=燐化ボシル転移種」の略で、エルトルス人を元にした強化クローン。

I

  • Imperium von Karapon …… カラポン帝国。ハンガイ=カルタン人の分派カラポン人の星間帝国。
  • Invitro …… インヴィトロ。クローンの別称。
  • Invivo …… インヴィヴォ。胎生、すなわち旧来の生殖により生まれた生命。

J

  • Juwel von Mimoto …… 〈ミモトの宝玉〉。〈暗黒のキューブ〉と合わせて星の暗黒回廊の星図をなすとされる。

K

  • Karaponiden …… カラポン人。ハンガイ=カルタン人の分派。
  • Klirr-Klang-Gott …… クリル=クラン神。シミュセンスを体現する神として伝承される存在。
  • Konstrukteure des Zentrums …… 中枢部の設計者。M-87銀河のカースト制度の頂点。
  • Kontrollfunknetz …… 制御通信網。生のインパルス、死のインパルスを媒介する。

L

  • Lafsater-Koro-Soth …… ラフサテル=コロ=ソス。ポルレイターのスポークスマン。
  • Lokale Gruppe …… 局部銀河群。最近は、また局銀河群呼びになってきた感も。

M

  • Machraban …… マハラバン。アノレーがアマレナを尊崇する呼び名。「旧主」の意。
  • MERZ …… MERZメルツタイプの艦船、と使用する。多目的用途(MEhRZweck)、の略。
  • Monos …… 〈モノス〉。〈回廊の主人たち〉の存在を知って焦るローダンに挑戦状をたたきつけてきた敵。添付された細胞片のDNA分析の結果、“母”が消息不明のゲシルと判明。由来は「主人たち」(複数)と対蹠的な「ワタシはキミの敵」(単数)からのコードネーム。
  • Multitasker …… マルチタスカー。ドリームハンターらが使用する、シミュセンスに埋没しないための機器。

N

  • Neyscam …… ネイスカム。ネイスクールの公用語。
  • Neyscuur …… ネイスクール。銀河系から5000万光年かなたのNGC7331銀河。アノレーの故郷。

O

  • ODIN …… 《オーディン》。新銀河暦490年に就航した、MERZタイプの巡洋戦艦オーディン級一番艦。長らくデイトンの旗艦、後ローダンの乗艦に。
  • Organisation Drake …… ドレイク機構。自由商人の分派で、名称は海賊フランシス・ドレイクから。
  • Ortonator …… オルトネーター。カンターロの心臓に遺伝子操作でつくられた第5の心室。実は自爆装置……。

P

  • Pedrass Foch …… ペドラス・フォッシュ。ドレイキストのひとり。
  • Perle Moto …… 〈モトの真珠〉。カラポン皇帝が求める謎の宝物。名称がアレとかコレと類似しているが、元の所持者は実は……。

R

  • Raum-Zeit-Falte …… 時空褶曲しゅうきょく。空間をたわめてマイクロ宇宙を作り出す技術。
  • Romulus …… 〈ロムルス〉。正体不明の〈ヴィダー〉リーダー。

S

  • Sashoy-Imperium …… サショイ帝国。ハンガイ=カルタン人の分派。
  • Schwarze Sternenstraßen …… 〈星の暗黒回廊〉。太古〈回廊の主人たち〉が建造したブラックホールを介した転送網。
  • Schwarzer Kubus …… 〈暗黒のキューブ〉。〈ミモトの宝玉〉と合わせて星の暗黒回廊の星図をなすとされる。
  • Simusense …… 〈シミュセンス〉。疑似体感ネットワークとか当時はいろいろ苦慮したが、要はアクセスした者はヴァーチャル世界〈ドリーム・テラ〉にダイヴ! ただしマルチタスカーをつけていないと、夢に没入して目がさめず、本体はロボットに自動介護される状態に。
  • Stratege …… 戦略家。カンターロの階級(最上位)。
  • Supremkommando …… 最高司令部。多くの将軍、戦略家からなるカンターロの出世の頂点。

T

  • Tarkan-Verband …… タルカン部隊。タルカン艦隊(Tarkan-Flotte)とも。Verbandは軍事用語では部隊、集団。
  • Todesimpuls …… 死のインパルス。オルトネーターがこれを受信すると大爆発。
  • Traumhelfer …… ドリームヘルパー。マルチタスカーを持ち、「夢見る権利は平等」とハンターと抗争中。
  • Traumjäger …… ドリームハンター。マルチタスカーを持ち、高品質な夢を求めて人間狩り。2000年を生きた某テラナーの夢は、そりゃあ上質で……(笑)

V

  • Vierarmiger Prophet …… 〈四腕の予言者〉。ローダンの死の噂を否定し、ポスビを扇動して旅立ったその人とは……?
  • Viperter …… ヴィペルター。ヴァウペルティアの末裔(惑星定住組)。エスクエル人と合流し、新たな種族アマレナとして宇宙へと旅立つ。
  • Virenwall …… 〈ウィルス・ウォール〉。コンピュータ・ウィルスが艦船を行動不能に。あとは撃沈するだけの簡単なお仕事。

W

  • Wahnsinnsbarriere …… 発狂バリア。 → Chronopuls-Wall
  • Werkstatt der Sucher …… 〈探求者の工房〉。現在、ナックの巣窟となったヒューマニドロームのこと。
  • WIDDER …… 〈ヴィダー〉。「雄羊」「破壊鎚」の意味を持つ抵抗運動組織。

Z

  • Zeittafeln von Amringhar …… 〈アムリンガルの年表〉。エラートらが探索を命じられた謎だらけの代物。
ダールショルさん(□虚)

なんというかね……このサイクル、かなりおもしろいのよ。695年後の変わり果てた未来。ツテをたどって銀河系へ帰る苦難の道のり。倒れる味方。絶望のなか、思いもよらぬ再会もあったり。
一方、敵の側でも、アイデンティティを喪失してorzるやつもいれば、ピンチをチャンスに変えて出世街道をばく進するやつもいる。そして、えてしてそーゆー時に落とし穴が待っているものでw
でも、それも翻訳がちゃんとしてればの話なんだよなあ。いろいろ不安だなあ。

カンターロ・サイクル各話タイトル+仮訳

ハヤカワ版がちょっとアレなので、サイクルジン『銀河系に還る』のとき作ったものに、若干手を加えたものをアップしておく。将来的に、タイトルリストのページができたら削除するつもりだが、予定は未定。

  1. Kurt Mahr / Götter der Nacht / 夜の神々
  2. Arndt Ellmer / Der Herr der Trümmer / 残骸の主
  3. H. G. Ewers / Die Drachenwelt / 竜の惑星
  4. Marianne Sydow / Die fliegenden Menschen / 天翔ける山人
  5. K. H. Scheer / Diebe aus der Zukunft / 未来からの盗賊
  6. H. G. Ewers / Die Erben der Posbis / ポスビの継承者
  7. Robert Feldhoff / Barriere im Nichts / 虚空の障壁
  8. Clark Darlton / Der Eremit von Satrang / サトラングの隠者
  9. Ernst Vlcek / Ein Tropfen Ewigkeit / 永遠のひとしずく
  10. Arndt Ellmer / Sucher in M3 / M-3捜索隊
  11. Kurt Mahr / Der Droide / ドロイド
  12. Peter Griese / Eiswelt Issam-Yu / 氷惑星イッサム・ユー
  13. Marianne Sydow / Der Pirat von Magellan / マゼランの宙賊
  14. H. G. Francis / Enklave Chronopuls-Wall / クロノパルス・ウォールの飛び地
  15. K. H. Scheer / Der letzte Aufbruch / 最後の出撃
  16. Robert Feldhoff / Die Spur des Propheten / 予言者のシュプール
  17. Arndt Ellmer / Das Gebot der Götter / 神々のおきて
  18. Clark Darlton / Flug in Richtung Ewigkeit / 永遠へむけて飛べ
  19. Kurt Mahr / Die Höhle des Giganten / 巨人の洞窟
  20. H. G. Ewers / Der Tod eines Cynos / あるサイノの死
  21. H. G. Ewers / Sternentore / 星の門スター・ゲート
  22. Ernst Vlcek / Zeitzeugen / 時の証人
  23. Ernst Vlcek / Die Tage der Cantaro / カンターロの日々
  24. K. H. Scheer / Wer ist Advok? / ベンゴシアドヴォクとは誰か?
  25. Kurt Mahr / Revolte auf Phönix / フェニックスの反乱
  26. H. G. Francis / Eine Falle für die Cantaro / カンターロへの罠
  27. Peter Griese / Daarshol, der Cantaro / カンターロのダールショル
  28. Marianne Sydow / Die Reise nach Ardustaar / アルドゥスタールへの旅路
  29. Robert Feldhoff / Wächter der BASIS / 《バジス》の監視者
  30. Arndt Ellmer / Hamillers Herz / ハミラーの心臓
  31. Arndt Ellmer / Hamillers Puzzle / ハミラーのパズル
  32. H. G. Francis / Das Humanidrom / ヒューマニドローム
  33. H. G. Francis / Fluchtziel Gevonia / 逃亡の終点ジェヴォニア
  34. Kurt Mahr / Blockadebrecher / 障壁破りブロケイド・ブレイカーズ
  35. H. G. Ewers / Station der Rätsel / 謎のステーション
  36. Clark Darlton / Im Halo der Galaxis / 銀河系のハローにて
  37. Robert Feldhoff / Die Bionten von Kyon / キョンのバイオントたち
  38. Marianne Sydow / Der Weg nach Bentu-Karapau / ベンツ=カラパウへの道
  39. Ernst Vlcek / Kinder der Retorte / 試験管レトルトの子ら
  40. K. H. Scheer / Agenten weinen nicht / 工作員は泣かない
  41. Ernst Vlcek / Deckname Romulus / 暗号名ロムルス
  42. Arndt Ellmer / Schwarze Sternenstraßen / 星の暗黒回廊
  43. Kurt Mahr / Die grauen Eminenzen / 灰色の枢機卿たち
  44. Arnst Ellmer / Die Flucht der BARBAROSSA / 《バルバロッサ》の逃亡
  45. Kurt Mahr / Legende und Wahrheit / 伝説と真実
  46. K. H. Scheer / Gensklaven für Uulema / ウウレマの遺伝奴隷
  47. Peter Griese / Robotersporen / ロボット胞子
  48. H. G. Ewers / Sturmwelt am Scheideweg / 岐路に立つ嵐の惑星
  49. Marianne Sydow / Der Kaiser von Karapon / カラポンの皇帝
  50. Marianne Sydow / Die Perle Moto / モトの真珠
  51. H. G. Francis / Die Herren der Straßen / 回廊の主人たち
  52. Robert Feldhoff / Die Siragusa-Formeln / シラグサ方程式
  53. Ernst Vlcek / Entscheidung am Ereignishorizont / 事象の地平の決戦
  54. Kurt Mahr / Der unbekannte Feind / 未知の敵
  55. Peter Griese / Psychoterror / 心理テロ
  56. H. G. Ewers / Kundschafter für Halut / ハルト偵察
  57. K. H. Scheer / Fremde in der Nacht / 夜の異邦人ストレンジャー
  58. Robert Feldhoff / Bomben für Topsid / トプシドに爆弾を
  59. H. G. Francis / Die Spur der Haluter / ハルト人の足跡
  60. Marianne Sydow / Der Dieb von Sira-VII / シラVIIの強盗
  61. Arndt Ellmer / Ellerts Botschaft / エラートのメッセージ
  62. Peter Griese / Der Friedenssprecher / 平和スポークスマン
  63. Robert Feldhoff / Operation Brutwelt / オペレーション培養惑星
  64. Ernst Vlcek / Geburt eines Cantaro / カンターロの誕生
  65. Kurt Mahr / Das Phantom von Phönix / フェニックスの幻影ファントム
  66. K. H. Scheer / Schach dem Klon / クローンに王手チェックメイト
  67. H. G. Ewers / Kontrakt mit Unbekannt / 未知との契約
  68. H. G. Francis / Historie der Verschollenen / 失踪者たちの歴史
  69. Marianne Sydow / Zentralplasma in Not / 中央大プラズマの危機
  70. Peter Griese / Impulse des Todes / 死のインパルス
  71. Arndt Ellmer / Der Arzt von Angermaddon / アンゲルマドンの医師
  72. Robert Feldhoff / Museum der Archäonten / 始祖の博物館
  73. Ernst Vlcek / Loge der Unsterblichen / 不死者たちの桟敷
  74. K. H. Scheer / Jagt den Terraner! / テラナーを狩れ!
  75. Kurt Mahr / Das Supremkommando / 最高司令部
  76. Clark Darlton / Auf Gesils Spuren / ゲシルの足跡をたどる
  77. Peter Griese / Drei gegen Karapon / カラポンに立ち向かう三人
  78. H. G. Ewers / Die Piratin / 女宙賊
  79. Marianne Sydow / Planet der Sammler / 蒐集家の惑星
  80. H. G. Francis / Prophet des Todes / 死の予言者
  81. Arndt Ellmer / Die Verbannten von Maahkora / マーコラの流刑囚
  82. Robert Feldhoff / Keine Chance für Raumfort Choktash / 宇宙要塞コクタシュ万事休す
  83. Kurt Mahr / Der Alleingang des Außenseiters / アウトサイダーの単独行
  84. Ernst Vlcek / In den Ruinen von Lockvorth / ロクフォルトの廃墟で
  85. Marianne Sydow / Der Tod eines Nakken / あるナックの死
  86. Peter Griese / Werkstatt der Sucher / 探求者の工房
  87. H. G. Ewers / Mission auf Akkartil / アッカーティルに待つ使命
  88. H. G. Francis / Rebellion in der Gen-Fabrik / 遺伝子ファブリの反乱
  89. K. H. Scheer / Söhne der Hölle / 地獄の息子たち
  90. Arndt Ellmer / Offensive der Widder / ヴィダーの攻勢
  91. Ernst Vlcek / Endstation Sol / 終着駅ソル
  92. Robert Feldhoff / Transit nach Terra / テラへの転移
  93. Robert Feldhoff / Das dunkle Netz / 暗黒の網
  94. Kurt Mahr / Das Gefängnis der Kosmokratin / 女コスモクラートの牢獄
  95. Peter Griese / Jagd auf Gesil / ゲシル狩り
  96. Arndt Ellmer / Die Generalprobe / 総演習
  97. Marianne Sydow / Die Paratrans-Mission / パラトランス作戦
  98. H. G. Ewers / Unternehmen Exitus / エグジタス計画
  99. K. H. Scheer / Rhodans Tod / ローダンの死
  100. Ernst Vlcek / Das Mondgehirn erwacht / 月面脳めざめる

障壁破りは「障壁突破隊」でもいいが、章タイトルとしてちょっと弱かったので。
レトルトは「蒸留管」だが、試験管ベビー的意味合いなので。
「工作員は泣かない」初登場のヤルト・フルゲンはちょい役のようだが、諜報関係の専門家としてアトランのアルコン復興活動に協力する等長らく活躍。後々、新USOの旗艦に名が冠される。
星の暗黒回廊は、ブラックホールを結ぶので、別に暗黒星街道でもいいんだけど。
〈回廊の主人たち〉は、いろいろ検討した結果、“主人”の訳がいちばん伏線に活かしやすいと判断した。
夜のストレンジャーは作中でフランク・シナトラの曲の話が出てくる。
抵抗運動組織ヴィダー(WIDDER)は「雄羊、おひつじ座アリエス」のことだが、「破壊鎚」の意味もある。当時はそれだけ調べるのにもひと苦労だった。
1498話はローダンが敵ラスボスとともに大爆発の中に消えて幕。

コミック『リトル・ペリー 1. 放浪惑星の秘密』

8月29日、ローダンのジュブナイル・コミック『リトル・ペリー 1. 放浪惑星の秘密(Der kleine Perry 1: Das Geheimnis des Wanderplaneten)が発売された。

ハードカヴァー 総天然色オールカラー本文92頁
ストーリー:オーラフ・ブリル
作画:ミハエル・フォークト
対象:8歳から

シナリオ担当のオーラフ・ブリル(Olaf Bril)は1967年生まれ、フリーの作家兼編集者。70年代からのローダン・ファンで、1000話記念のヴェルトコンにも参加し、多くのファンジンやLKSへの投稿も。
2007年からアリゲーター・ファーム社(ローダン・コミック『ペリー』の版元のひとつ)で原作を務め、作画担当のフォークトと知り合う。2人で組んで業界紙phantastisch!等に掲載されたコミック『奇妙な一日』シリーズは複数の出版社から集成版も出ている。
近年は編集者・作家としてローダンに協力。多くのミニシリーズやNEOにも執筆している。

奇妙な一日(Ein seltsamer Tag):
『奇妙な一日/ロボット寓話』(Atlantis社)、『奇妙な一日/宇宙間鉄道その他のロボット寓話』(Panini社)等。ロボット労働者ノーバディを主人公に、だいたい2頁1話構成とのこと。写真は前者の表4だが、エシュバッハが「phantastisch!を買ったら一番最初に読むとこだよ!」と献辞を寄せている。

作画担当ミハエル・フォークト(Michael Vogt)は1966年ベルリン生まれのイラストレーター。Bastei社から出ていたホラー・コミック『ゴースト・ストーリーズ』や、風刺雑誌“世界一理性的な雑誌MAD”などを手がけていたが、有名所としてはSFシリーズ〈宇宙パルチザン、マルク・ブランディス〉のイラストやコミカライズ、ジュブナイル・サッカー小説〈サッカー鮫〉のイラスト、上記ブリルとの共作〈奇妙な一日〉シリーズ等。
アリゲーター・ファーム版『ペリー』の作画も一部担当している。

マルク・ブランディス(Mark Brandis):
1970年から1987年にかけて全31巻が刊行されたジュブナイルSFシリーズ。キャッチフレーズが“信ずるもののために生きて死ね”で、パルチザンと銘打たれたように、地球を東方共和国と二分する欧米阿連合に出現した独裁者の野望に、中立の〈金星=地球・宇宙航法協会(VEGA)〉のテストパイロット、“呪われたプロシア人”ことマルク・ブランディスが立ちむかう。
2008年からWurdak社よりコレクター・エディションとしてペーパーバック版が出たほか、2012年からコミカライズ版がPanini社から、前日譚である〈宇宙候補生マルク・ブランディス〉のオーディオドラマ版が制作されるなど、息の長いシリーズである。

サッカー鮫(Fußball-Haie):
ストリート・サッカーを題材にしたジュブナイル・スポーツ小説。S.Fischer社から全10巻が刊行されている。シリーズ名は、おそらくチーム名。サッカーの才能に自信のある少年ペドロが、自分のサッカー・チームを立ち上げ、仲間を集め、監督をみつけ、ライバルとサッカー・コートや大会出場権をめぐって小競り合いをくりかえしつつ、成功をつかむ(?)まで――スポンサーのついた最終巻タイトルが『友情か勝利か?』なので、サクセスを投げ出している可能性も――を描く。

「ホントにここで降りるのかい、坊や。戻ってくるのは5時間あとだよ」「 だいじょうぶ、バターブレッドあるし。乗せてくれてありがとう」

ペット(?)のグッキーを連れてネヴァダ・フィールドに月ロケットの打ち上げを見に来たペリー少年。ママの設計したスターダスト号を遠くに眺めながら、「ああ、ボクもスターダストで宇宙へいってみたいなあ」
次の瞬間、グッキーに手をとられた少年は、ポン、という音とともに見知らぬ場所へ。
そこはカウントダウンの進む、レジナルド・ブル大尉、ラス・ツバイ大尉(おお、フリップ……)、コンピューターの専門家、女性科学者ハミルトン博士と船医エリック・マノリ博士の乗り組んだスターダスト。このへんポリコレのためくさい。
打ち上げからまもなく発見されたペリー(とグッキー)。緑のエネルギー・ビームを浴びたスターダストが月に不時着し、地球との通信途絶や、未知の球形宇宙船の発見等もあり、当初スパイと思われ軟禁されるが、またグッキーがテレポート。

「ああ、ボクもスターダストで宇宙へいってみたいなあ……え、なに?」

月の裏側に難破した球形船《アエトロン》にとびこんだ1人と1匹は、アルコン人の少女トーラとクレストおじさん(アップになると目尻にシワが……)に遭遇。ブルの誤解もとけ、不時着の原因となった未知のエネルギー力場を発する放浪惑星ワンダラーの秘密を探るため協力することとなる。

クレストの説明によると、1000年前アルコン星系にあらわれた放浪惑星〈永遠の若さの星〉の守護者ガーディアンは、当時の水晶王子率いるコマンドを一蹴し、すぐ武力に訴えるものはワンダラーの秘密を得るに値しないと姿を消したという。歳月のすえに平和を愛する種族となったアルコン人の高等議会は、ワンダラーを再発見すべく、非武装の研究船として《アエトロン》を派遣。シュプールをたどり太陽系へいたったのだが、スターダストと同じく緑のエネルギー場によって月面への不時着を余儀なくされた。

(上から) ワンダラーのガーディアン、〈出題者〉、火星大迷宮の門番、ヒュジオトロンの管理人

なお、本来の乗員はクレストただ1人で、トーラはいつのまにか潜り込んでいたらしい。「どっかで聞いたような話だな……」とつぶやくブル(笑)

突如《アエトロン》に侵入してきた〈出題者〉の言葉をうけ、ペリーらは“資格”を賭けた謎解きに挑むことに。月から火星の大迷宮、そして準惑星ケレスへと冒険はつづき、ついに7つの謎を解いた一行は生理学的装置ヒュジオトロンの管理者からその使用を認められる。一種の“アップデート”で、異星の大気や水に含まれる毒素への耐性を得るペリーとトーラ。
一方、クレストやブルらは副作用で少年少女に……さすが永遠の“若さ”の星(笑)

ヤング・ローダンの冒険とするにあたり、ペリーがおそらくローティーンの少年となった他、アルコン人が頽廃デカダンに陥ったという描写がなかったり、スターダストに新型エンジン〈リブロトロン〉が搭載されていたりする。

■リブロトロン駆動(Librotron-Triebwerk):
ローダン正篇におけるリブロトロン駆動は、カルプやワリング・コンヴァーターの発展形。2700話台に使用されているホークV型補正コンヴァーターで三層構造の補正フィールドを展開し、内側二層のフィールドで牽引力を発生。亜光速・超光速航行時の推進にも使用するというもの。なお、“ホーク”も元々の開発者名に由来する。
本コミック中での機能は、昔ハヤカワ版巻末のローダン百科で訳出された「フィールド・エンジン」に近いようだ。

もっとも、一番の改変はペリー少年のママ、メアリさんだろう。正篇では看護師だったメアリさん、本コミックでは“スターダストの設計者”という肩書き。(準惑星ケレスにいる)ペリー少年から電話がかかってきたときも、お庭で小型ロケットみたいな代物をトンテンカンテンやっており、その風体は科学者というより市井のあやしい発明家である。
「あら、ペリー。いまどこにいるの? グッキーもいっしょ?」
「ボクらスターダストに乗ってるんだ。月に、火星に、ケレス……。ねえママ、新しい友だちとちょっと銀河へいってきていい?」
「ふーん、わかったわ」(まったく、男の子の想像力ときたら……)
まるで動じないのがステキだママw

ともあれ、ママ・メアリのアドバイスを受けて、スターダストを上極にドッキングした《アエトロン》。地球人テラナーとアルコン人が手を携えて、ワンダラーの超知性体のもととなった種族の母星〈浮浪者トラムプ〉の手がかりをもとめて、銀河系の星の海へといま旅立つ。
「イルトも忘れないで?」
「イルトもいっしょ!」

……そして、冒険はつづく。
第2巻、ヴェガ星系を舞台とした『2. 四十二世界の国』は2024年発売予定とのこと。

■Carlsen社公式:Der kleine Perry