訃報:トマス・R・P・ミールケ

トマス・R・P・ミールケ (Thomas Rudolf Peter Mielke)
1940.03.14 – 2020.08.31

クラウス・フリックのTweetやPhantastik-Newsの記事等によると、ドイツのSF作家、歴史小説家、SF文学研究科トマス・R・P・ミールケが8月31日に死去したとのこと。享年80歳。

クリエイティブ・ディレクターを本業とする一方で、60年代にはRex CordaやAd Astra、Terranauten等数多くのヘフト小説に作家として名をつらね、80年代には『聖宇宙(Das Sakriversum)』でクルト・ラスヴィッツ賞長編部門を、「宇宙にひとつの月(Ein Mord im Weltraum)」でSFCD文学賞(後のドイツSF大賞)の短編部門、『壁の崩れた日(Der Tag, an dem die Mauer brach)』で同じく長編部門を受賞するなど活躍した。
80年代後半以降は、『ギルガメシュ』『イナンナ』『カール大帝』『カール・マルテル』など歴史小説のジャンルへ場を移し、多数の著作がある。

SFというジャンルそのものについての著作も多く、代表作は、H・J・アルパース、R・M・ハーン、W・イェシュケらと編纂した『SF文学レキシコン(Lexikon der Science Fiction Literatur)』(Heyne)で、古今のSF文学総解説、タイトルリスト付きという代物である。
「タイトルリスト訳してるときって、さいとーさんシアワセそうだよね……」とマガンに言わしめた逸品だ(ちょっとちがう)。こんなシリーズもあったのか、と幾度も読み返したくなる。1991年刊行、98年には改訂版も出ている。Kindle化しないかな……。

クラウス・フリックは親交があったらしく、「またSFの大作を発表してほしかった」とその死を惜しんでいる。
永年のジャンルに対する貢献に感謝し、その冥福を祈りたい。

■Phantastik-News:Gestorben: Thomas R. P. Mielke (1940-2020)
■ENPUNKT-Tagebuch:Thomas R. P. Mielke ist gestorben
■Wikipedia:Thomas R. P. Mielke

3100話から〈カオターク〉サイクル

8月31日付け公式サイトNewsによると、3100話からはじまる新サイクルは〈カオターク(Chaotarchen)〉になるとのこと。
3099話と3100話の間には短い時間ジャンプがおこなわれ、主な舞台は銀河系と周辺銀河となるらしい。

確か以前の噂では、3000話からのコンプレックスは3200話あたりまで続くとか、そんな感じだったはずだけど。x000話記念号からのストーリーが、100話かけて地球を元のポジションへ戻して終了、とはならないと思うのだが、モンデマーン草案だと最後5話くらいになっても核心部分は隠したままのケースもあって、余談を許さない。

Chaotarchen(複数形)は、当初日本FC界隈ではカオタルヒェンと音読され、後、“混沌の始原”か? と“カオタルケー”と訳された時期もあった。エレメントの主が前面に出てきたあたりで単数がChaotarchだと確認され、混沌の君主(Monarch)として「カオターク」に決定した経緯がある。
ネガスフィアの支配者ヴァウペルティアについては、なんだか“自称”っぽい結果に落ち着いて哀れを誘うが、その後、ヘクサメロンの興亡を使嗾したクズポミュル(Xpomul)とか、トライトアの後援者的立場のクズレイン(Xrayn)とか、影の支配者Xっぽい名前だけいくつか登場している。
ほんとうに彼らが物質の沼の進化形なのかさえ、正直さだかではないのが現状だが、そのへんにスポットを当てることになる……のかなあ?

DER »CHAOTARCHEN«-ZYKLUS KOMMT

エスタルトゥの十二奇蹟

そろそろ力の集合体エスタルトゥがハヤカワ版で登場する。十二銀河、十二銀河というけれど、実際に物語の舞台となるのは一部である。12の奇蹟(Wunder)もすべてが物語られるわけではない。……のだけど、30数年前にいろいろと調べたものである。要約集『エスタルトゥへの道』から『プロジェクト・メーコラー』にかけて使った訳語を簡単にまとめておく。

銀河名 銀河名(原語) 奇蹟 奇蹟(原語) 備考
アプザンタ=ゴム Absantha-Gom 災いを告げる蜉蝣 Die Menetekelnden Ephemeriden 1300話台中盤
アプザンタ=シャド Absantha-Shad スティギアの網打ち師 Die Stygischen Netzfischer (未登場)
ダタバール Dhatabaar カリュブディスのシレーネ Die Charybdischen Sirenen 惑星小説284巻(マール)
エレンデュラ Erendyra エリュジウム・リング Die Elysischen Ringe 1250話台
ムヤージュフ Mujadjh 覗き眼鏡のダナイス Die Stroboskopischen Danaiden (未登場)
ムウン Muun 失われたヘスペリデスの贈り物 Die verlorenen Geschenke der Hesperiden 1300話台中盤
パルカキュア Palcaquar エメラルドの鍵月 Die Smaragdenen Schlüsselmonde Werkstattband収録「キーポイント」(フランシス)
シューフ Shufu 興奮の商人 Die Exzitablen Marketender (未登場)
ジオン・ゾム Sion Som 紋章の門 Die Heraldischen Tore 1200話台終盤
ジュラーガル Syllagar 歌うモジュールの輪舞 Der Reigen der singenden, tanzenden Module 1200話台終盤(1話のみ)
トロフェノール Trovenoor オルフェウス迷宮のカリュドーンの狩り Die Kalydonischen Jagden durch die Orphischen Labyrinthe 1300話台序盤
ウルムバル Urumbar ヘリオスの金の雨使い Die Heliophilen Goldregenmacher Jubiläumsband7巻に収録(ヴルチェク)

 

これらの名称は、ストーカーがテラのメディア相手に「ヴィーロノートよ、エスタルトゥへ来たれ!」と宣伝したもので、主としてテラナー向けにギリシア神話がモチーフとして使用されている。当然、現地名とは異なっている。
【例】
×失われたヘスペリデスの贈り物
○失われたエスタルトゥの贈り物

あとストーカー的には「大物狩りが楽しめまっせー」という宣伝で奇蹟扱いだが、トロフェノールの奇蹟はあくまでオルフェウス迷宮だと思うのだ。これ、現地ではプシオン迷宮と呼んでいる、とヴルチェクは書いているが、もうちょい後になると、テラ語由来のプシオンという言葉は十二銀河では使われない(マール)とか言い出して、ややこしいことになるのだけど。

発音については、英語とドイツ語ちゃんぽん読みが随所に見られるが、この頃はまだドイツ語優先だった。ハヤカワ版だと、おそらくエリュシオン・リングになるんだろうな、とか。シオン・ソムにすると重厚感イマイチ……つーか、あの鳥人種族はソマーあたりになるのかにゃあ。

あと、今回ググってみて笑ったのが、Heliophilieの扱い。東方神起一色(笑)
「陽光を好む」を好陽性とか好光性なんてやるとわけわかんないうえにギリシア神話も太陽神もどっかいってしまうので、当時はあえてヘリオス様単独でご出座願ったのだが。

09/05追記:
“災いを告げる”はギリシア神話ではなくて旧約聖書。ダニエル書記載の「メネ、メネ、テケル、ウパールシン」はそのまんま本編にも出てくるのだけど、メネしてテケる蜉蝣、だとちょっと意味が通じないのでやむなし。
テケリ=リ! ぢゃないよ?

とあるまるぺのチラ裏 (1)

〈宇宙英雄ローダン〉とのファーストコンタクトは1978年、中学1年生の夏である。

6年過ごした長崎から千葉へもどる前後、図書館通いをして江戸川乱歩(や、ジュヴナイルSF)を読みあさっていた小学生は、なぜかルパンやホームズへは進まず、早川文庫との出逢いを経てスターウルフ→キャプテン・フューチャーと、順調にスペオペ方面へと舵を切っていた。だいたいハミルトンと野田大元帥のせい。だって、おもしろいんだもの。

おそらく、毎日新聞日曜版で連載していた石川喬司『IFの世界』(後に講談社文庫)の紹介でその存在を知ってはいたし、一部青背を除けば当時は白が基調のハヤカワSFの一角でやけにカラフルな一角は自然と目をひいた。
#グイン・サーガやアンバーはまだ出ていなかった。

いまは亡きN島書店で最初に手にとったのは27巻『金星の決闘』だったと思う。あんまりSFっぽくないあの表紙で、なぜ購読の決断にいたったかはおぼえていない。
ともあれ、44巻『ドルーフ艦隊襲来!』が刊行された同年秋には最新巻に追いついていたのだから、ハマり度合いが知れようというものだ(笑)
ちなみに夏休みの宿題の読書感想文は1巻『大宇宙を継ぐ者』で書いたはず……黒歴史すぎて発掘する気にもならないのだが……。

全然関係ないが、上記27巻の件と同様、あまり記憶力のよくない私だが、44巻を“東京の本屋”で購入したことは、なぜかおぼえている。だいたいその頃、自衛官だった父が砕氷船ふじの乗員として南極まで2往復しているので、晴海埠頭まで見送りにいった帰りがけだったのだと思う。実に関係ないねw

この年には豆たぬきの本『SFワンダーランド』(広済堂)も出版されていて、やはりいまは亡きM田屋で発見し、スタジオぬえ描くところの《タイタン》にわくわくしたものだ(初出は別冊文藝春秋?)。
ただ、遺憾ながら同好の士は、房総半島の片隅には見あたらなかった。いや、いたのかもしらんけどw


ファンダムの話を書こうかな……とは、ちょっと前から考えてはいたのだが。
なにぶん私は、上記に書いたとおり記憶力がよろしくないし、運営サイドに関わったこともない。ファンダム自体の歴史については、井口さんや、マガンこと若林さんらが過去まとめたものがすでにある(閲覧できないかもだが^_^;)。
あくまで一ファンが、あーんなことがあったし、こーんなこともあったねえ……程度のものにしかならないことは自明ではある。そもそもこのサイト自体、一応2年先までは契約があるけれど、いつまで更新できるのかは誰にもわからない。

しかし、インターネットが普及し情報が氾濫している現在ではあるが、便利になった反面“それ以前”が過去に埋もれているのもまた事実。試しに「ローダンFCミレニアム・ソル」と検索をかけても、日本SFファングループ連合のサイトがかろうじてひっかかる程度だ。
別に時代の流れに棹さして抗おうなどというわけではない。「昔々、ネットのない頃のファンは、こんなことをしていたんだよ」と、チラシの裏に書き留めておくだけ。ただそれだけである。

Amazonにあたっただけだが、この年に刊行された宇宙英雄ローダンは以下のとおり:
39巻『還らぬトーラ』(2月)
40巻『核地獄グレイ・ビースト』(3月)
41巻『偽装の銀河ゲーム』(5月)
42巻『アルコンの兵士狩り』(6月)
43巻『権力の鍵』(8月)
44巻『ドルーフ艦隊襲来!』(10月)
45巻『アトランの危機』(11月)
46巻『秘密使命モルク』(12月)
年8冊か。思いのほか出ていたな(笑)

次回があれば、FCペリーワールドに入会したあたりを。
その前に、会誌『インターソラー』発掘しないと……特にマガンに謀られたやつ(笑)

訃報:コンラッド・シェパード

コンラッド・シェパード (Conrad Shepherd)
1937.11.03 – 2020.07.01

7月27日付けPhantastik-Newsの記事によると、ローダン作家コンラッド・シェパードが7月1日に亡くなったとのこと。享年82歳。

本名コンラート・シェーフ(Konrad Schaef)、PNはそのまま英語に置き換えたもの。

機械工学を学び、おそらく米軍基地で働いていたシェーフは西側のSFに触れ、ファンジンMUTANT(ミュータント)の発起人に名を連ねたり、10代の頃からその筋の人ではあったようだ。
1960年、Roy Chesterのペンネームでデビュー作『不気味な円錐(Die unheimlichen Kegel)』がErich Pabel社よりUtopia-Großband叢書120巻として刊行。Wikipediaの記述によると、同叢書用に先行して売れた『帰還(Rückkehr)』という作品があったそうだが、こちらが刊行されることはなかった。このへん、ダールトンのデビュー作『夜空のUFO』のエピソードを彷彿とさせる。

1967年、当時ご近所にハンス・クナイフェルが住んでいた縁で(笑)ローダン・チームに招かれるが、わずか3編のみの発表に終わる。実際にはもう1本、M-87漂着あたりの作品が仕上がっていたらしいが、採用されなかったとのこと。
後、1974年にフォルツの招聘でATLANシリーズに参加するも、こちらも3編のみである。

その後、犯罪小説や機械工学の専門書の執筆・翻訳などの傍ら、ワールドクライム2000やレン・ダークなどのSFヘフトにも数多く執筆しているし、ライバル社でSFヘフトの草案をつくったり(未発表)しているあたり、クルト・ブラントと経歴が似ている。
ただ、ブラントほど決定的な決裂でなかったのか、長生きしたことがプラスに働いたのか、80年代にシリーズ25周年記念のワークショップ本(Werkstattband)に参加したことをはじめ、90年代の後半に惑星小説(これもまた3作)を執筆したり、新たに立ち上げられたスペーススリラー・ブランドの4巻を担当している。
#この頃には本名で執筆。

作品数こそ少ないものの、長期にわたりシリーズに寄与した人物であることは間違いない。謹んでご冥福を祈りたい。

公式Info:Conrad Shepherd
Perrypedia:Conrad Shepherd

ペリー・ローダン・オンライン週間

本日7月13日から19日の一週間、PRファンツェントラーレとFC Stammtisch Wienの共催で、LIVE放送PERRY RHODAN ONLINE WOCHEが開催される。ローダン作家や編集者たちをゲストに、ヴィデオ会議の要領で双方向性のイヴェントみたい。開催時間は毎日18:00-22:00(注:ドイツ時間)。

ヒアリング能力がないことを抜きにしても無理……(笑)

初日のメインゲストはHartmut Kasper(草案作家ファンデマーンの本名)だが、あれか、これがあるからフリック含めグッキーの件火消しに必死だったのかな。せっかくの企画がえらいことになりそうだし。

Perry Rhodan Online Woce

大宇宙の救世主、倒れる!?

3072話「イルト死すべし!」において、18話「ツグランの叛徒」で登場して以来多くのファンに愛されてきたネズミ=ビーバーのグッキーが惨殺された件について。
動揺して思わずTwitterでもつぶやいてしまったのだが、

ちょ、待っ……渦状銀河(Spiralgalaxis)……。
このタイトルだからこそ、絶対ないと思ったのに。

3072 . Leo Lukas / Der Ilt muss sterben! / イルト死すべし!

ダールトン生誕100年とか祝いつつ、なにしとん……。— PSYTOH Reiji/西塔玲司 (@psytoh_reiji) July 2, 2020

当面は、その生存(復活?)を信じて待つことにした。
主人公ローダン自体が、過去「吸魂鬼に生命エネルギーを吸い尽くされてひからびたミイラに→活性装置がゴンゴン脈動して復活(トラドム編)」とか「銀河系を救う代償に殺害される→敵が保管していたÜBSEF定数テャマスィーを遺体に詰めなおして復活(星墓編)」とかやらかしているのだ。アーガイリスによる替え玉(カンターロ編)は言うにおよばず。大丈夫、うん、大丈夫……。
ただ、上記の枝発言で『クローンを殺して見せるのも、アトランの身柄が欲しい敵方としては悪手。』と書いたが、犯行に及んだのはカイラ人ではないのでこれについては誤りだった。ヤバ。

経緯としては、
①カイラ人が、アトランの娘ヤスミン・ダ・アリガの身柄の拘束をモンキーに要求。
②モンキーがヤスミンを収容した際、監視として同行していたトモパト人2名が彼女を誘拐。
③救出にむかったグッキーも、超能力に介入されて誘拐される。
④シリング星系でヤスミンさんは奪回されるも、グッキーはカイラ人の手に。
⑤グッキーの身柄はカイラ人の〈出口のない道〉のひとつイルサル収容所へ。
⑥奪回作戦中、収容所の生命抑圧器が破壊された際のショックで動けないグッキーをトモパト人が殺害。
……となるのだが。

トモパト人は、かつてロベルト・フェルトホフがスペーススリラー『星獣からの挑戦』で生み出した種族で、通常拘束着のようなものを着用しており、脚でアレコレ日常活動をこなすのだが、ひとたび拘束着を脱ぐと、微細な繊維のようなものか寄り集まった触手のような腕で戦闘ロボットすら破壊するという……。
それが、駆けつけたアトランの目の前で、グッキーにむかって振るわれた。顔や上半身ズタズタにされた、とルーカスは描写している。トモパト2名はTARAの分子破壊銃で触手1本のみ残して消滅。そしてグッキーは、抱き上げたアトランの腕の中で、ぴくん、と身じろぎして、ひと言もなく息絶えた。
遺体から立ちのぼった渦状銀河のプロジェクションは〈出口のない道〉を超えて広がり、近傍で待機していた《トーラ》からも観測されたという――。

これは酷い。ご丁寧に巻末の次号予告では、ロナルド・テケナーまで引き合いに出して、死を明確にする事象が生じたと書いている。
#ちなみに、テケナーの死の瞬間の描写はなかった。遺体が回収されたとも聞かない。
#着用者の死と細胞活性チップの回収を示す渦状銀河のプロジェクションのみである。

あまりにあまりな惨状に、公式フォーラムでも非難囂々の嵐で、いろいろと新記録を達成しているらしい(笑)
ある程度予期していたと思われる反応に、クラウス・フリックが「今日の草案打ち合わせでも議題になるよ」とかコメントつけたりしている。

で、信じて待つことにした理由だが。ほんのささやかな光明にすぎないが。

1 今年はダールトン生誕100年である。

お祝い記事や記念企画、ダールトン実録本などもろもろやっている最中に、彼が生み出した最も愛すべきキャラクターを、これだけ意味の無いタイミングで、なんの活躍もなく殺してしまうようなことは、いまのローダン・シリーズがどれだけ切羽詰まっているとしても、さすがにしないだろう、というただの希望的観測である。

2 ルーカスのインタヴューでの発言

最近、Perrypediaでは新刊ごとに作家インタヴューを掲載している。インタヴュアーはローダン・ミニシリーズ等にも執筆している作家ロマン・シュライファーで、わたし的に言う「オーストリア組」で本話の著者レオ・ルーカスとも親しい(はず)。
冒頭でルーカスは、「37年ローダン読んできたけど、もうやめるよ」と言うべきか、「これはフェイクなんだろ? どうやって解決するつもりなんだい?」と言うべきか、と悩むシュライファーにこたえて、

いまやめるのは、いささか、あー、性急にすぎる(überhastet)と思うね。

と述べている。すでにこの時点(7月2日)でフォーラムはe-ブック版を読んだファンの反応でえらいことになっているのはルーカスも承知しているし、当然ネタバレになることは口にできない。
ハヤマラナイデネー、というセリフを、これまた希望的に読み替えてみたい。

https://www.proc.org/acht-fragen-an-leo-lukas-zu-seinem-band-3072/

3 フリックの公式ブログでの発言

7月3日付け編集部ブログにおいて、クラウス・フリックは本話を取りあげている。物議をかもすことはわかっていた、とも。そして記事の最後を、

多くの読者が、年内にもう一度この巻を手にとることになるはずだ。

と結んでいる。年内……3100話は来年1月8日刊行である。つまり、サイクル終盤に、本話につらなる何事かが起きることになる。
いや、カイラ人の下働きのはずだったトモパト両名の、わけわからん暴走の理由がわかるだけかもだがっ!

http://perry-rhodan.blogspot.com/2020/07/der-ilt-muss-sterben.html

4 登場人物紹介にグッキーはいない(オイ

本話冒頭の主要人物紹介にグッキーの名はない。だから、アレはグッキーじゃないんだよ!(な、なんd(ry
というか、殺害現場に唐突に動けないイルトがいただけで、能動的な行動もセリフも一切ない。だから、あれはクローンじゃないかというハナシが出てくるわけで。
むろん、アルコンの〈鉛球〉をどうにかしたい→アトランの身柄が欲しいカイラ人には、グッキー・クローンを殺してみせるメリットはないのだが……。殺すため以外でつくってた(スープラメンタムがらみとか)のをトモパトに奪われた、とかさあ……いや暴論なのはわかってるけど。


どれもこれも、結局は願望のフィルターがかかった内容でしかないのだが。
信じて待つ、というか、祈るような気持ちではある。どんだけ「おい、なんだよそれ!」という顛末であってもいい。生きててくれよ、グッキー……。

ハヤカワ版含めると、42年ローダン読んでるけど、やめちゃうぞ?w

以下余談:
アトラン激オコで復讐に走ってナニしそうだかわかんない、ってブリーが心配してるけど。
個人的には、それはキミの役目なんじゃないか……?

ローダン、企業になる。

先だって原稿審査係に関する記事で、ローダン編集部を除くVPMの大半の部署が、親会社Bauerグループの意向で(ハンブルクへ)移転済みであると書いたが、公式サイトによると6月1日付けでローダン部門が別会社〈ペリー・ローダン合資会社(PERRY RHODAN KG)〉として発足したとのこと。

まあ、看板変わっただけで、やることに変わりがあるわけでなし。
ヘフト奥付まわりがどう変わるかで、マガンあたりはまた追記が増えるとヘドバンしてるかもだが(謎)

ペリー・ローダン合資会社

ラスヴィッツ2020速報

本日付で発表されたクルト・ラスヴィッツ賞2020。長編部門をエシュバッハの『ペリー・ローダン~最大の冒険』が獲得した。ローダン派生作品としては1998年のドイツSF大賞をフェルトホフが『星獣の挑戦』で受賞して以来か。なにはともあれ、めでたい話である。

先月に勤務先が変わって、ちょっとまだいろいろ更新する余裕がないのだが、これはやっぱり書いておきたかった。
ちなみにエシュバッハ、10回目の栄冠である。ホント、あちらのプロパーな方々、エシュバッハ好きやねえ……。

原稿を審査する編集者たち

先だってのクレーの回想録で出てきた“原稿審査係レクトール”について、マガンからツッコミ&考察のメールを頂戴した。原稿審査係と編集者レダクトイアっておなじもの? という。わりとおもしろかったので、自分でもちょっと確認してみた。

ペリペディアでVerlagsmitarbeiter(協力者・社員)を参照すると、LektorとRedakteur(どちらも英語に変換すると「editer」だ)、双方が複数存在する。職責の差がイマイチわからない。
他方、先月のローダン編集部ブログで編集部Who’s whoをやっていたのだが、現在のメンバーに“Lektor”の肩書きを持つ者はいない(約1名、例外アリ)。

Lektorは15世紀にラテン語のlector「読む人」「朗読者」から輸入された語で、そのあたりが学術方面で「講師」(後に外国語講師)、宗教方面で「読師」などに分化していく過程で、「出版社において、原稿を精査し、作者とともに編む」者の名称としても定着したらしい(Verlagslektor)。
一方のRedakteurは18世紀の仏語由来。元々はラテン語のredactum「受領された、引き戻された」からきているみたい。英語redactionも同根である。

さて、Lektorこと原稿審査係を、一時期わたしは単なる「校正者」かと誤解していたこともあるのだが、それだと後述のベルンハルトやシェルヴォカートが鬼軍曹のように怖れられていたことの説明にならない。
Wikipediaの「Verlagslektor」の項によれば、「原稿の選出、修正、評価をおこなう社員」とある。出版の可否をも左右する権限を有していたらしい。そりゃコワいw

校正(Korrektorat)は正書法表記になっているか、文法ミス、タイプミスはないかの修正。編集(Lektorat)は文章の改善、前後関係の齟齬の指摘、わかりづらい言い回しや同語のくりかえしの訂正、シリーズであれば設定関係の確認とか……みたいな文章もあった。
Der Unterschied zwischen Lektorat und Korrektorat

ここで、個人的にヘフトを読んできて、読者とのコンタクトページ(LKS)等で感じた、折々の“イチバン怖いヒト”を列挙してみよう。

クルト・ベルンハルト(Kurt Bernhardt)

1916年生まれ。経歴はPabel社にはじまりHeyne社を経て、ローダン開始時の肩書きはMoewig社のCheflektor。Verlagsleitungという表記もあるが、出版局長とかそのあたりに該当するのかなあ……。
余談だが、歴代《クレスト》の主計官カート・バーナードのモデルとなった人物である。
1982年退職、翌年死去。

ギュンター・M・シェルヴォカート(Günter M. Schelwokat)

1929年生まれ。戦後、進駐軍の通訳などを務め、1957年からMoewig社でRedakteur。ただし立場としては、フリーエディターだったらしい。ローダン開幕後まもなく、エディトリアル関連の作業からシェールを解放するために参画。どこかで聞いたような話……(笑)
1992年に死去するまで、実質的にローダンのChefredakteurであり指導的立場のLektorだったという。異名は〈シュトラウビングのサディスト〉。
※シュトラウビングはシェルヴォカートの居住地。

フローリアン・F・マルチン(Dr. Florian F. Marzin)

1953年生まれ。文芸学の博士号持ち。フォルツ没後編集部に入っていたホルスト・ホフマンと入れ替わる形で1987年に参加。肩書きはChefredakteurだが、時期的にシェルヴォカートとカブっている。
1995年退職(編集長は1992年まで、という記述も存在)、2000年代後半にはライヴァルであるBastei社のSF『シュテルネンファウスト』に関与していたとか。異名は〈ラシュタットの刑吏〉。
※ラシュタットはローダン編集部の所在地。

クラウス・N・フリック(Klaus N. Frick)

1963年生まれ。80年代にローダン・ファンダム界隈で名をあげて、ヘフト巻中のローダン・レポート等にも寄稿していた。1992年にLektor兼RedakteurとしてMoewig社に。1995年にマルチン博士に代わってローダンのChefredakteurとなる。2000年からはVPMのSF・ファンタジー部門全体の総編集長的立場となる。

上記以外にも、ホフマンを編集部に招いた当時のCheflektorミュラー=レイマンや、現在VPMの常務取締役であるフックスとか、ペリペを見ると名前が挙がるが、シリーズにどのように関わっていたのかは詳しいところはわからない。おなじ肩書きでも、部門違い、プロジェクト違いだったりして並列して存在可能っぽいためだ。

ちょっと話は変わるが、現在のローダンの出版元、VPMことPabel-Moewig-Verlagは、元々はErich-Pabel-VerlagとArthur-Moewig-Verlagが母体となっている。80年代に地場の出版社連合(Verlagsunion)と合併してVPM Verlagsunion Pabel Moewigとなり、その後再編があって現行の社名となった(略称はそのまま)わけだが、その実態は様々な部門(印刷とか輸送とか)が独立採算の子会社みたいに分立したグループ会社である。
アーカイヴに残っている社史等まとめてみようとして、難物なため中絶しているのだが、それはさておき、旧Pabel系、旧Moewig系の会社なんかも残っていそうだ。それぞれが編集者にあたる存在をRedakteur、Lektorと呼んでいた可能性もなきにしもあらず。ただ、フリックがなあ(笑)
2006年にMoewig Buch-Verlagが書籍刊行プログラムを停止(後ライセンス契約の形でグループ外会社へ委託)しているので、現在は旧Pabel系の用語のみ残った……と考えるのは、まあ、妄想の類ではある。

2020年現在、VPMのほとんどの部門は親会社Bauerの意向でラシュタットから移転し、残っているのはローダン編集部と子会社のVPM印刷所だけらしい。Lektoratは別部門として引っ越してしまったと考える方が正しい気もする。

で、結局、Lektorってなんて訳すの? という話だが。
Redakteurの語源を調べていたとき、“ひとつのユニットに組み直す(組み上げる)”というものがあった。したがって、作家と情報を共有し、スケジュールを組み、編集部内に業務を分配し、ヘフトシリーズを組み立てるという意味では、Redakteurが「編集者」であることはまちがいない。Lektorは原稿を読み、質を判断し修正する点はともかく、出版の可否の判断とか、出版局幹部(Verlagsleitung)の範疇だし。
前述の考察の中でマガンが、旧Moewig社内に「原稿審査部(Lektorat)」なる部署があったと仮定ししたら、ベルンハルトの肩書きCheflektorは原稿審査部長あたりが正しいことになるねえと書いている。
うん、もうそれでいいや(爆)