元ATLAN作家の回顧録

ファルク=インゴ・クレー(Falk-Ingo Klee)は1946年ボーフム生まれ。ヴルチェクあたりと同年代にあたる。80年代に主としてATLANシリーズのレギュラー作家として1割前後を執筆していた。旧ATLANヘフトが850話で“完結”した後、彼がローダン本篇に参加する機会はなかったのだが、近年になって当時の内幕を知る人物として公式サイトに度々コラムを寄稿している。

今回掲載された“Das Triumvirat der Expokraten”は彼が参加していた頃のATLANヘフト草案作家についてのもの。
Triumviratは古代ローマの「三頭支配者」であり、ローダンではカルスアル同盟の寡頭制としても使用されている。一方のExpokratenは草案作家(Exposé-Autor)とコスモクラートの合成語で、ローダンの草案がヴルチェク+マールの合議制になったのよりさらに後、技術草案やブレーンを含めて草案工房(Expose-Factory)と呼ばれる時期を経て、だいたいフェルトホフとクラウス・フリックが主導権を握った時代から使われるようになった。
いずれにせよ旧ATLANヘフトが刊行されていた時代にはなかった言葉だが、ここでは基本、当時のATLANをウィリアム・フォルツから引き継いだマリアンネ・シドー、ペーター・グリーゼ、H・G・エーヴェルスを指すと思えばよかろう。

個人的に興味深かったのは、原稿には作者の考案したタイトル×3とタイトル下のあおり文句×3を添付され、当時の原稿審査係(Lektor……編者を、往年のファンダムでは慣習的にこう訳していた)であるシェルヴォカートが1点を選ぶか、ピンとこない場合は自分で新たにひねり出す……という仕組みが明記されていたこと。
もう前世紀の話だと思うが、1500話台のとある草案のコピーを見る機会があって、そこに3つのタイトル案が列記されていたのは知っていたが、オフィシャルに書かれたのはこれが最初じゃなかろうか。知らんけど(ぁ

あとは、Terra-Astraの一部でも草案制は採用されていた、とか。
Terra-Astraは70年代から80年代にかけて、週刊・後に隔週でメーヴィヒ社が刊行していたSFヘフト叢書。全タイトルがペリペに掲載されていることにいまさらながら気がついたり。ヴルチェクの『銀河の奇蹟』とか、クナイフェルの『宇宙船オライオン』とか、翻訳モノとしてスタトレやダーコーヴァとかデュマレスト、銀河辺境なんかも収録されていた。日本でいう銀背あたりに相当するのかなあ。
細かく調べていけば、それ以外に、複数作家で執筆されたミニシリーズがあったりするのだろう。それはそれで楽しそうだが。

あと笑ったのは、作家間の連携のため、草案は直接担当しない全作家へも送付され、また書きあがった原稿を次話担当の作家に送付する決まりになっていたのだが、何分インターネットなど普及していない当時、フロリダ在住のマールへ送る便は高額で、後年会った際に「ちゃんと送ってきたの、キミだけだったよ……」なんて言われたとか(笑)

まあ、今は昔。とっぴんぱらりのぷう(違

草案作家の三頭支配者

新シュタッフェルは〈サジタリウス〉

4月30日付けの公式サイトで、オリヴァー・プラシュカによる230巻『闇の呼ぶ声(Ruf des Dunkles)』からはじまるNEO第23部のタイトルが〈サジタリウス(Sagittarius)〉であることが告知されていた。

なんか“感染源”っぽい仮称がどっかで言及されていたと思ったのだけど、さすがに現状では誤解されそうだし、変更されたのかな(笑)
ここでいうサジタリウス(いて座)とは、ヘフト版で登場するいて座矮小銀河やデンゲジャー・ウヴェソの異名を持つ銀河中央ブラックホール・サジタリウスAではなく、いて座腕こと銀河中枢部のことらしい。

なお、現在進行中の〈アルコン覚醒〉では、アトランパパ(クローン)による大帝国の権力奪取が進行中。
NEOではトランスフォーム砲でギガトン爆弾がばーんという描写がないと思っていたら、リバースエンジニアリング中に設計図のデータを盗まれて頓挫していたらしい。そのデータがアルコン……というか、たぶん今回皇帝のクローンとか持ち出した黒幕に流れていたと思われるが、〈ダークライフ〉との関連とかどーなってんだろ。

サジタリウス

MS2/バリルのジレンマ

MSの略称、脳内でミレニアム・ソルに誤変換する……(笑)
さて、ちょっと遅くなったが、3月19日(Kindle版)に開幕したミニシリーズ〈ミッション・ソル2〉。すでに4話が刊行され、8話までのタイトルが公表されている。

  1. Kai Hirdt / Ritter des Chaos / 混沌の騎士
  2. Madeleine Puljic / BARILS Botschaft / バリル教書
  3. Olaf Brill / Zielpunkt Nebelzone / 目標・霧ゾーン
  4. Hermann Ritter / Im Sphärenlabyrinth / 天体迷宮にて
  5. Bernd Perplies / Der violette Tod / 菫色の死
  6. Olaf Brill / Das Licht in der Tiefe / 深淵の光
  7. Dietmar Schmidt / Drei hoch Psi / 三のプシ乗
  8. Ben Calvin Hary / Das Gelbe Universum / 黄色宇宙
     (※全12話)

前シリーズでコスモクラートの工廠惑星エヴォラクスを大破させるにいたった責任――これ、ローダンたちが負うべきものかなあ、前混沌胞とか持ち込んだ科学者のせいだよなあ――を取らされ、さらなるお仕事を言いつけられたローダンと《ソル》。断ったときの一番蓋然性が高い未来――法付与機《新生》による《ソル》撃沈のヴィジョン――を見せられたローダンに、否やはありえなかった。
エロイン・ブリゼルによって、目標は銀河系から5800万光年の距離――タレ=シャルムからさらに故郷より遠ざかる――にあるヤホウナ銀河であることが告げられる。何万年にわたりコスモクラートの忠実な同盟者であった当地の超知性体バリルだが、最近(200年前くらいから)その信頼性が失われつつあった。バリルの有する“騎士団”――ドムラト騎士団レベル――の構成者による独走か、あるいはバリル自身が混沌へと河岸を変えたのか。それを探り出しつつ、騎士団がヤバい兵器を製造するのを阻止したい……らしい。
艦長フィー・ケリンドを失い、前混沌胞内部で150年の時間を失い、エヴォラクスに残した子供たちを失って傷ついた乗員たちにそんな余力はないと反駁するローダンやテス・クミシャだが、万が一バリルが混沌側に走っていた場合に“エヴォラクスを破壊した”前歴のある《ソル》で乗りつけた方が好都合、とにべもない。

フィー・ケリンド(Fee Kellind)は元TLDエージェントで、初登場は1997年刊行のスペーススリラー第1巻『スタービーストの挑戦』にまで遡る。本篇ではヘリオートスの堡塁の暴走によってテラニア・アラシャン地区がダ・グラウシュ銀河の惑星トリムへ転送された事件にまきこまれ、唯一稼働できた宇宙船《グッド・ホープIII》艦長となり(1914話)、まもなくローダンがシャバッザから奪回した《ソル》の艦長に就任する。
その後、時空を越える数々の遠征を経験しつつ、ほぼ300年(本人的には150年)の長きにわたり《ソル》の顔といえばフィーさんであった。まあ、本篇では2500話以降出番がなかったわけだが、非不死者組の主要キャラクターの中でも息の長い人物であった。

スカイブルーに輝く光のトンネル――未知の超光速搬送手段――も用意済み。イレギュラーな四次重層が生じぬよう、エリュシオン・ナノ量子場によって時間勾配がコヒーレントに安定化されたセクスタディム間欠フィールド……とかなんとか、よくわからない解説をされてくやしいハイパー物理学者のテスちゃん(笑)
ところが、お膳立てされて移動はらくちん……かと思ったらそんなことはなかった(爆)
搬送路の副次効果として艦体のソロニウムを“再カーライト化”しつつあることがアダとなり、《新生》に対処するため搭載した、タレ=シャルムに残された終末戦隊トライトア由来の機器を構成するリコディン複合物質が爆発する事故がたてつづけに発生。《ソル》が大爆発を起こす前にと、ローダンはポテンシャル・ランチャーによる搬送路破壊という暴挙に出た――!

ソロニウムに“エイリスを”充填してカーライトに戻す、とかいう戯言を読むにつけ、ああ、《ソル》が金色になって再登場した頃の作家、ひとりも参加してないんだっけ……と再確認させられる。《ラス・ツバイ》の装甲がプロト・エイリスに侵蝕されたのとごっちゃにしているのだな。カーライトに含有されるのは究極素だってばさ(笑)

バリルの騎士A-クアトンドは、先住種族を鏖殺しての拡張政策をとっていることが判明したトルヴァウド種族への対処の一環として、スキヴ星系を訪れていた。バリルはバランスを重んじる。マーラブ、ケフィンガ、クッスとすでに3つの種を根絶したトルヴァウドへの懲罰遠征は、本星トルヴを含めて同時に展開中だ。
A-クアトンドの騎士艦・正四面体の〈戦闘頴〉は数千機に分裂、あっけなくトルヴァウドの艦隊を蹂躙、降伏させる。名誉ある闘いをもとめるセントリファール種族の彼女としてはなんとも物足りない。
ところが、侵略艦隊の司令官の思考を読んだオービター、カルファト・ウディモルは、トルヴァウドがこれまで未知の、もうひとつの惑星に侵略艦隊を派遣していたことを看破する。処刑まぎわのわずかな記憶映像――夜空の星座を分析し、戦闘頴は判明した座標へとむかった。

セントリファールは、1800話からのトルカンダー・サイクルに登場したプランタグー銀河の好戦的種族。元々はガローン人セントリが培養した戦闘アンドロイドらしい。16名からなる氏族を構成し、クランにおける位置づけは名前のアタマにA-とかB-とかアルファベットに相当する符号によって表現される。
名誉ある戦闘、つーか。当時の表現だと、完全に弱肉強食の論理だったと思うんだが……(笑) 暗殺も横行してたし、勝てばよかろうなのだーだったはず。ともあれ、今回は、圧倒的技術力の差で抵抗すらできないスキヴ種族を根絶しようとするトルヴァウドに怒り、その艦隊を蹂躙しては、ろくに抵抗もせずに降伏したことにまた怒り(笑)
そのくせ、艦隊司令(トーロヴ)だったエリラレが、もうひとつの侵攻先惑星の情報を秘匿するために自害して果てると、案外骨があるじゃない……と、トルヴァウド種族に情状酌量の余地を与えてやれないものかといきなり方針転換するw

おなじ頃、ディウルー星系の惑星ディウルーでは、トルヴァウド艦隊トーロヴであるトルルルが連絡の途絶に困惑していた。あるトラブルから征服完了の報告が遅れていたのだが、本星はおろか、少し前に増援の要請を送ってきたスキヴ星系すら応答がない。この時点で他の騎士艦によりトルヴァウド本星含めすでに根絶されているわけだ。やがて襲来したA-クアトンドの戦闘頴を前に、トルルル麾下の部隊はやはりなすすべもない。
トルヴァウド種族に憐憫の情を抱いたA-クアトンドは、虐殺の形跡がないのをいぶかしみ、ウディモルに現地調査を並行しておこなわせていた。それによると、先住種族エルタイルは同士討ちの結果滅んだらしい。ならば、あるいは生き残ったトルヴァウドに、惑星ディウルーを居留地として与えてやることはできないか。セントリファールが逡巡したそのとき、ディウルー星系外縁で巨大な構造震動が生じ――亜鈴型の巨船が出現した。

通常空間に落下した《ソル》では多くの機器が脱落し、半死半生の状態だった。どうにか稼働する機器を動員して周囲の状況を探った結果ローダンらが目撃したのは、圧倒的な技術力の差がある三角錐艦による蹂躙だった。
よせばいいのに、“平和主義者”ローダンはこの殺戮を制止しようとする。“バリルの騎士”からの回答はにべもない拒絶。オービターとともに捕縛されたトルルルに面談しようとしていたA-クアトンドは戦闘頴に戻って邪魔者に対処しようとするが、その際の混乱に乗じて、トルルルがウディモルを殺害してしまう。
ウディモルの調査結果どおり、ディウルーの先住種族エルタイルはトルヴァウドの侵略を受ける前に内戦で滅亡したのだが、逆にその遺した地雷原のため軍を損耗したのみならず、トルルル自身が脳に傷を負い、当時の記憶を失っていた。明らかになった真実――戦闘のひとつもなく利を得たことは、トルヴァウドにとりあまりに屈辱であり、それに耐えられなかったトルルルは自害して果てる。

A-クアトンドはこれに激怒し、かつ《ソル》に責任を求める。ソラナーの搭載艇部隊とセントリファールの分割小艇部隊との戦闘は、やや《ソル》側有利に進行していたが、そこへ3隻の巨船が到来する。
直径2.5キロ、中心部が針のようになった独楽型。
涙滴状の青く輝く船。
全長2キロの菫色の転子状船。
他星系で作戦に従事していたバリルの騎士艦である。さらに〈バリルの声〉が停戦を要請する。騎士の活動を妨害した《ソル》は接収され、ソラナーは惑星ディウルーでの流刑に処すという。
「バリルはバランスを重んじる」という、セントリファールとの会話の際得られたわずかな情報をもとに、圧倒的技術格差の戦闘を見すごせなかった、バリルの使命についての詳細はA-クアトンドが説明を拒んだため承知していなかったというローダンの反駁は一定の理解が得られたらしく、亜鈴船は騎士艦に包囲され、移乗してきたセントリファールのロボット部隊に監視された状態で、バリルの騎士団の本星ケッサイラへむかう。
停戦のどさくさまぎれに、ローダンはロワ・ダントンをアルゴリアンが勝手にチューンアップしたコルヴェット《カラマル》で脱出させ、別行動をとらせる。

……というのが第1話「混沌の騎士」の概略。
続く第2話「バリル教書」でケッサイラに到着したローダンは、バリルの6騎士による審判を受けることに。

バリルの騎士団は、例えば「戦士-外交官」のように対蹠的な役割を果たす3対6名の構成員から成る。“戦士”に該当するA-クアトンドの訴えにあたり、“外交官”センマルがローダンに応接する形をとる。センマルはローダンに「バリル教書」へのアクセスを許可し、ローダンは宗教的な教えの形式をとった超知性体バリルの思想を学ぶ。

ヤホウナ銀河は、かつて超知性体ヤホウンの力の集合体であった。多様性を愛したヤホウンは、秩序ではなく混沌の側に属すものであったが、永らく平和のうちにまどろんでいた。だが、やがて秩序勢力の手はヤホウナ銀河にまで伸び、闘わざるを得なくなった。ヤホウンがいわば身を寄せていた混沌もまた、闘わぬのならば混沌自身によって滅亡の憂き目をみせると脅すのだった。
ヤホウナの種族は、彼らを愛した超知性体ヤホウンの旗のもと決起し、勇敢に戦ったが、銀河はことごとく焦土と化し、ヤホウンとともにあまねく種族は滅亡し――長いながい時ののち、荒廃したヤホウナ銀河に、新たな超知性体バリルが生まれる。
星々のあいだに生命が戻ってきたが、それはバリルにとって苦渋の決断が迫ることをも意味した。かつてヤホウナを滅ぼした秩序勢力にしたがうのか? 闘いを強いた混沌のもとへ戻るのか?
闘いをはじめるものはつねに強者と愚者である。強さなくして生きてはいけない。バリルは〈戦士〉、〈外交官〉、〈探究者〉、〈哲学者〉、〈育種家〉、〈観察者〉の6名の騎士を任命し、その〈声〉をもって、愚者を導く天秤となした……。

あっれー、信頼できる秩序の同盟者とかどっから出てきたねん、という成立史なわけだが。ローダンにしてみれば、秩序のために闘いその結果死んだ超知性体アルケティムや、おとめ座銀河団で〈第三の道〉を選んだ超知性体エスタルトゥとか、トレゴンしつつ秩序側のスパイでもあった〈それ〉とか、いろいろと心当たりがありすぎるわけで。
聖堂における審判が3対3で票が割れ、仮想現実における試練を受けることになったり、トルヴァウドに滅ぼされた種族クッスの生き残りがとある騎士にそそのかされて、連行されてきた“仇の味方”ローダンの生命を狙ったり、試練が実は『エンダーのゲーム』みたく現実と同期していることを悟ったローダンが、テス・クミシャを新たな“艦長”にした《ソル》を脱走させたり。
すったもんだあったあげく、A-クアトンドと拳をかわして和解(?)したローダンは、当面《ソル》とともにセントリファールの“オービター”として活動することに……。

第1話が「“混沌の”騎士」ってネタばれじゃないの? とか思っていたのだが、意外に背景は複雑だった(笑)
3話は別行動をとったダントン・サイドの話で、きょう発売の4話で合流するっぽい。
しかし、この状況で、どうやったら秩序勢力も納得いくエンディングを迎えるのか。はてさて。

6騎士にはそれぞれ象徴としての色が与えられていて、後続タイトルにある「菫色」も「黄色」も含まれている。
 A-クアトンドと和解(?)しても外交官センマルに危険視されて、3対3の状況は変わらないし……どうなるのかね。

セラフ賞2020受賞作一覧

ドイツでもコロナウィルスが猛威を振るい、出入国禁止や最低限の日常生活に必要なもの以外の店舗の閉鎖などが実施されている。一日も早い事態の沈静化を祈りたい。

月初に中止が決定されたライプツィヒ書籍見本市で授賞式が予定されていたセラフ賞だが、受賞作の発表はオンラインでおこなわれたみたい。14日付けセラフ賞公式サイトのトップやツイッターでも受賞作が掲載されている。
各受賞作は以下のとおり:

最優秀賞(Bestes Buch):

Christoph Marzi / Mitternacht / ミッドナイト

作者クリストフ・マルツィは1970年生まれ。マインツ大学で経済学を学び、現在はザールブリュッケンのギムナジウムで教鞭をとっている。
一方で15歳のころから短編小説を書いており、長編デヴュー作『リシダス(Lycidas)』はファンタスティーク大賞2005の新人賞を獲得。また2009年度には短編集『もう二度と(Nimmermehr)』が同賞アンソロジー部門も受賞している。

過去記事を調べてみたら、ノミネート後、対象期間外であることが作者の自己申告で明らかになったけど、そのまま受賞したという……ああ、アレか。

受賞作『ミッドナイト』は、この世界と触れ合う位置にある、魂たちの暮らす世界を舞台にした、書物の力と忘却の脅威にまつわる物語。物語と悪夢が商いの対象となるこの世界に、“ごくありきたりの少年”ニコラス・ジェームスがやってきたことから、すべてが変わる。彼の道は、すべての希望が生まれ、すべての夢が死に絶える場所、畏怖をこめて〈ミッドナイト〉と呼ばれる地へとつづいていく……。〔出版社紹介ページより〕
あー、前探したときなかったのに、いまAmazon見たらKindle版あるなあ。

#どこぞの春の半額セールに負けてポチりまくったばっかなんだよなあ(汗)

なお、地名ということで仮題・真夜中からミッドナイトへと変更した。

新人賞(Bestes Debüt):

Bijan Moini / Der Würfel / ダイス

作者ビヤン・モイニは1984年生まれの法学者。博士論文「Staatliche Warnungen vor entlassenen Straftätern(釈放された刑事犯に対する国家の警告)」が2013年に書籍化されている。現在はシュピーゲル誌やフランクフルター・アルゲマイネ紙などに寄稿、とWikipediaにある。

小説家としては処女作の『ダイス』は、近未来のドイツを舞台に、フェイスブックとVRと社会信用システムと人工知能の統合体〈ダイス〉に管理された社会を描く。社会を円滑に運行するためにありとあらゆる個人情報にいたるまで収集する〈ダイス〉に抵抗したい28歳のタソ・ドフは、サイコロやコインを駆使して自らの行動の“計算可能性”を排除していた。ソーシャル・ポイントはほとんど得られないが、彼はその暮らしに満足していた……が、タソが一目惚れした女性ダリアはこれ以上ないほどの〈ダイス〉信奉者で――。

インディペンデント部門(Bester Independent-Titel):

Erik Kellen & Mira Valentin / Windherz / 風の心臓

『風の心臓』は〈光のかけら〉サーガ三部作(四部作としているサイトも)の第1作。すでに続編の『炎の刃(Flammenklinge)』も刊行済み。作者の一方ミラ・ヴァレンティンは、昨年のファンタスティーク大賞で『エンヤドルの炎』がノミネートされていた、Kindle-Story-Award2017(ドイツ)の受賞者。

北方人カイデン・ヴォルフハールは、誰よりも腕の良い海の狩人。だが、彼に与えられた任務はまったく思いもよらないものだった。アイラはヤンドールの王女。特異な才能は祝福と同時に呪いであり、王座は彼女にさだめられたものではなかった。
出自も立場もなにもかもちがうふたりに、全世界の命運が委ねられたことを知るものはなかった……。

■社団法人ファンタスティーク・アカデミー公式:Phantastische Akademie e. V.
■Wikipedia:Christoph Marzi
■Wikipedia:Bijan Moini

ミッション・ソル2――まさかのセントリファール

公式Newsで来週スタートするミニシリーズ〈ミッション・ソル2〉第1話の話がちょこっと出ていた。
ペリペで登場人物に“A-Kuatond” とあったので、まさかな……と思っていたら、ホントにセントリファール女性だった(笑)

セントリファール(die Zentrifaal)は1800話にはじまるトルカンダー・サイクルにおいて、〈無限への架け橋〉を越えて未知銀河プランタグーに漂着したローダンとブルが遭遇する戦闘種族。1000年以上も姿を見せないガローン人に強制された“平和”に異を唱えるA-カリフォルムらは種族を煽動・蜂起するが……というエピソードは当サイトの『無限架橋』で紹介している。
#アタマがZなのにゼでもツェでないのは、首惑星がZentrifaal-Zentrumだった訳者都合。

今回登場するA-クアトンドは「女騎士(Ritterin)」と書かれているが、第1話のタイトル「混沌の騎士」は男性単数ないし複数形なので、こちらとイコールなのかは不明。氏族(16名)まるごと雇われ騎士なのか。まあ、セントリファールって、秩序より混沌のほうが体質的に合いそうな気もするけど、基本弱肉強食で騎士道精神とは無縁なセントリファールが騎士ねえ……w
ともあれ、プランタグーからも遥かなヤホウナ銀河でA-クアトンドと邂逅したローダンは、彼女とともにまた新たな宇宙の謎に直面する、とのこと。

公式News:EINE GANZ BESONDERE RITTERIN

アルコン覚…醒……?(NEO第4期中途おさらい)

NEO新シュタッフェル〈アルコン覚醒〉もすでに2巻目が刊行済み。
なんとゆーか、ちょっと予想の斜め上な展開だが、第4期に入ってからの流れを簡単におさらいすると……

第20部 太陽系連邦

西暦2088年。すでに人類は複数星系への入植を進めており、〈太陽系連邦〉を創設している(2061年)。
ただし、大統領(Präsident)はテラ連合執政官マウイ・ジョン・ンガタが兼任しているし、テラ連合傘下の植民惑星自治政府間の調整機構みたい。

〈アンドロス〉との決戦後わずか3年で太陽系連邦創設ってのもすごい話だが、出てくる惑星見るにつけ、テラフォーミングろくにやってない感がバリバリである。Variable Genome Projektが2059年。どんだけ拙速やねん。
まあ、初期のヘフト版みたいに、どの惑星いってもあんま変わらないねえってのもいまどきアレなんだろうけど……。

で、テラ連合とは別口で中国も植民をおこなっており、そのうちのひとつデネブ星系のコロニー〈天津〉が突如音信を絶った。主たる要因は疫病で、このウィルス様生命体は後に〈ダークライフ〉と呼ばれることになる。
6年前に汚職と殺人の罪に問われ姿を消した植民惑星プロフォスの元代表イレイショ・ホンドロは当時〈天津〉に身をひそめており、病死するかわりになぜか暗示能力を身につける。第三課のエージェントとして〈天津〉へ調査に訪れたトム・ローダンらはこれを追跡――太陽系連邦の植民惑星を転々と――するが、ホンドロはその度に捜査の網をくぐり抜け、ついにはその能力をもってプロフォスを再び支配下に置く。

事件の渦中で、クレア宇宙との〈大断裂〉閉鎖の影響もあってかローダンの細胞活性装置が機能不全に陥り、ダークライフと、やはり謎に満ちたラシャト疱瘡に罹患してしまう。2種の業病が体内で互いに相食む状態のローダン。
おりしも植民惑星オリンプを訪れていたオプロン人メルコシュは、彼の属す〈オムニ・コンパレータ〉でもダークライフにまつわる事件は確認されており、ローダンを救えるとしたら、その研究惑星ラシャトしかない、と告げる。

第21部 コンパレータ

しかし、すでにローダンの肉体は長距離遷移に耐えることができない。
唯一の可能性は新型リニア駆動の実験艦《ファンタジー》だが、そのテスト飛行は不可解な失敗に終わっており、経済的波及効果を懸念するテラ連合政府は第三者調査委員会の査察が完了するまであらゆる運用を禁止する。テラでは「ローダンを救え!」とデモ行進がおこなわれたり……とゆーのは、以前の記事でも書いた。

実は《ファンタジー》のテスト飛行失敗は、主要エンジニアのひとりがホンドロの影響下にあることも関係しているのだが、ローダンたちはそんなことは知らない(笑)
政府の決定なんて知ったこっちゃないわいという物騒な有志一同――ブルやらデリングハウスやら政府・軍首脳、はてはネーサンまで加わっていた――は、ローダンも知らないうちにルナ地底に収容された《ファンタジー》盗難計画を立案、実行に移した。

実験艦《ファンタジー》が難破するのはヘフト版からのお約束だが、コンパレータの種族に助けられたり、トラブルを引き起こしたりしつつ(このへん読んでないw)、ようやくたどり着いた惑星ラシャト。ところが、ローダンを診た現地の医師たちは無情にも「手の施しようがない」という診断を下した。あわや宇宙英雄、一巻の終わりか、というそのとき――

え? なんでこんなところに〈時間の井戸〉が?
え? なんでそこからクイニウ・ソプトールが? 出てきてまた消えた?
意を決して〈時間の井戸〉へ踏み込んだローダンは、そこでかつての宿敵、〈人形使い〉カリブソに遭遇。こちらもとある事情で死にかけていたカリブソは、まあこれ食いねえ、これ呑みねえ、とローダンを饗応したあげく、いまわのきわに長いながい昔話を始めたり。
#ちなみにペリペの要約、あれ後ろ半分だけである。そんだけ長い(爆)

〈時の担い手〉――かつてローダンやテュイレ・シタレーを評して〈それ〉が述べた肩書きは、そのままカリブソのものでもあった、という。その長い半生と、過去と未来にひろがる軌跡――〈時の担い手〉だけが〈時間の井戸〉を利用して時の大海をある程度自在に移動できる――を物語ったカリブソは、わたしと同じあやまちを犯してはならないと諭して息をひきとった。
要するに、ダークライフの真のめざめは〈それ〉と〈アンドロス〉の間の争いすら顔色なからしめるものであり、これに対処できるのは、ローダン、キミしかいないんだよ、ということなのだが。宇宙開闢にまで遡る物話を聞いて、かつてローリンの惑星で遭遇した“この宇宙より古い”物質でできた櫃のことを思い出したりするローダン。ダークライフもまた、そうしたものなのかも、と。

〈時間の井戸〉から帰還したペリー・ローダンの首には、もはや細胞活性装置はかかっていなかった。だが、その脈動はいまもなおその身中にある。そして、ダークライフもラシャト疱瘡も痕跡をとどめず消滅していた。おいおい。

第22部 アルコン覚醒

コンパレータより帰還した《ファンタジー》のローダン一行。快癒はよしとして、当然のことながら、リニア艦盗難の責を問われることに。
出発直前、ブルたちの計画を知らされたときに、「全責任はわたしが負う」とかっこよく宣言したローダンは、プロテクターを解任される……だけで済んだ。実はローダンらが不在中にアルコンからの使節がソル星系を訪れており、それに応えてM-13へむかった《クレストII》のトーラがその後音信不通だという。追跡調査にむかう《マゼラン》に顧問として同乗することで委細相殺という事情(笑)

ともあれ、三惑星系へ到達した《マゼラン》だが、事態は想像以上に悪かった。女帝エムトンV世ことシータさんは大評議会によって帝位を剥奪される。まあ、帝権を象徴する〈皇帝の正義〉ももうないし、タナボタ女帝はさすがにムリがあったか……。
ともあれ、この宮廷革命を背後で使嗾する〈旧支配者〉の正体をつかむため、惑星アアラク・ラントンへむかった《マゼラン》と《クレストII》(解放した)は、メハンドールの極秘の中央星アルヘツで、数十年前テラから設計図が盗まれたトランスフォーム砲を搭載した戦闘艦が量産に移されていることを知る。

そして、〈旧支配者〉とは……。いまなおシータに忠誠を誓うセリスタの工作員が入手した写真を見たローダンは、“もうひとりのローダン”ことローダノスの記憶を思い出す。〈同盟〉の実験惑星トラン=ガルでデュプリケートされた多くのアルコン皇帝たちの姿を。
そこに写された3人の“皇帝”――
ツトモルVI世、グリシュカンXII世、そして、アトランの父ゴノツァルVII世!

……と、まあ、なんかATLANのアコン=アコン話みたいになってきた。
224巻が『アンドロメダからの来訪』なのでアトランが駆けつけるのだろう。でも、これで新皇帝がゴノツァルVIII世だとやばい。アトランとミロナさんで両銀河完全支配じゃない。

と・こ・ろ・で。
ホンドロどうなったのかな?(笑)

作家会議2020開催中

公式ツイッターによると、昨日3月6日から今年の作家会議が開催中みたい。

上掲は日本時間の昨晩投稿されたもの。
一番左が、 先頃やはり公式で“今年は新作を”とツイートされたアルント・エルマー。
右手前からファンデマーン、モンティロン、フリック、シュテルン、シュヴァーツ、ヘーンゼル、YouTubeチャンネルも担当するBen Calvin Hary、そして女性がわからないけど、編集部の方かな?
#公式サイトを確認してみた。Bettina Langさんのようだ。

今日投稿分で他にもフェレナ・テムゼン、ウーヴェ・アントン、オリヴァー・フレーリヒの姿も確認できる。ターナーとカイ・ヒルトが見当たらないけど欠席か、それともカメラマンなのか(笑)
現状、写真のみなので、どんな話が交わされているかは、公式で記事になったら、また取りあげるかもしれない。

3/10追記:チーム作家ミハエル・マルクス・ターナーがブログで報告している。題して「邪悪なる作家軍団」(笑)

邪悪なる作家軍団

あれ……ひょっとしてわし、フレーリヒとカイ・ヒルト見間違ってる?

3/18追記:
13日付けで公式でもレポートが載った……けど、通り一遍の内容なので、ここに添付。

AUTORENKONFERENZ IM MÄRZ 2020

猫を尽くしてカッツェンカットを待つ

1224話「Rückkehr in den Frostrubin(フロストルービンへの帰還)」において、ディン・ドンことシガ人ラファエル・ドングがおもむろにダジャレを放つ。

カッツェは息をする。カッツェンカットは指揮をする」

ハヤカワ版「フロストルービンふたたび」

以前、別の記事で、“指揮エレメント”だと、このダジャレちょっと厳しいかな……と書いたが、ハヤカワ版けっこう頑張っている。
またちがう記事で、元になっている諺そのものを題材に取りあげたことがあって、文中1224話のセリフ自体も引用・試訳している。ご参考までに。

人事を尽くして待つものは?

カッツェンカットの肩書き、Element der Lenkungを“指揮エレメント”と訳すのは、マガンあたりは「立ち位置的にその方がわかりやすいでしょ」と肯定的だ。
ただ、上記ハヤカワ版だと、ドングはなんの脈絡もなく、意味不明なダジャレを一発かましただけという……いや、実際にそうなのだが!(笑)

したらば、いったいどう訳すのさ、となった時、電話回線をはさんで2人してアーウーうなったあげく出てきたのが%タイトル%である。
いやもうこれ、指導も指揮もかけらも残ってないwww なんとかの考えやs(ry
#猫は悪くない。

3/13追記:
後日マガンと“宿題”的に「なんか思いついた?」と連絡をかわした。一応列挙しておく。

マガン作:猫はしこうして天寿を待つ。カッツェンカットは指導して天命を待つ。
#rlmdi.訳“指導のエレメント”対応版だあね。

拙作:猫に九生あり、カッツェンカットに十戒あり。
#ひらきなおってるwww

最愛の凸凹コンビ

現在発売中のハヤカワ版『オクストーン人と提督』で、おもむろに惑星ヴィグパンダー出身のヴィグパンダー種族シャーアドル=オフ(Shahadl-Off)なる人物が登場する。
まあ一発キャラで続刊での再登板はないわけだが、ローダン宇宙には、実はもうひとりヴィクパンダーが存在して、そちらはかなりの重要キャラである。エーヴェルス持ちキャラのひとり、といった方が通りがよろしいかもしれないw
#余談だがどちらも女性なので、原語はVigpanderin。

ネイタドル・オフ (ATLAN710話)
© Pabel-Moewig Verlag

当該ヘフト1221話は1985年刊行。懐かしいかな、三省堂書店で最初に購入したヘフトの1冊である……が、それはどうでもいいチラ裏で、当時の本国ドイツではまだATLANヘフト・シリーズが健在で700話を迎えようとするところ。
それからまもなく、ATLAN709話「モジュールマン」において、惑星ジッサスの時間廟(Zeitgruft/時間地下庫)で停滞フィールドに封印されていたモジュールマンことゴマン=ラルゴ(Goman-Largo)を解放するのが、ヴィグパンダーのパラ時間歴史学者ネイタドル=オフ(Neithadl-Off)だ(双方、この巻が初登場)。

ティガノイ種族のゴマン=ラルゴは〈ルーフの時間校〉で訓練をうけた時間スペシャリストであり、遺伝子工学的に〈モジュール〉を埋め込まれたモジュールマンである。ティガノイは〈時間外科医師団〉を敵としており、ラルゴはその手中に落ちていたわけなのだが……。
とある銀河でフィールディングをしていて、ひょんなことから官憲に追われて不時着した惑星で出会ったプロスペクターから惑星ジッサスの時間廟の存在を知ったネイタドル=オフは、すったんもんだのあげく遭遇した時間外科医をまるめこんで時間廟へ立ち入り――
ゴマン=ラルゴに一目惚れする(笑)

1221話でヴィグパンダーをどう描写しているかは未確認なのだが、要するに、トランポリン・サイズ(2.3m×1.6m)のムカデである〔イラスト参照〕。ティガノイはふつーのヒューマノイド。美的感覚どーなってんの!? と思うよねw

ともあれ、またまた時間外科医をそそのかしてゴマン=ラルゴを解放(時間外科医はとーぜんやられた)したネイタドル=オフは、「おお、わたしの最愛よ!(Meine Große Liebe!)」とかなんとか(大声で)囁きながら、時間スペシャリストのひっつき虫となる。
この凸凹コンビ、翌年エーヴェルスがATLANシリーズの草案作家(ペーター・グリーゼと分担)となったこともあって、ペリペディアのNeithadl-Offの項を見れば700話以降のストーリーのほぼ半分がわかる(?)という主役キャラっぷりである。800話「時間病塞」なんてこのコンビが主人公だ。
アトランに対しても「アトランちゃん(Atlanchen)」と小僧呼ばわりの大物ぶり。よくわからないホラ話――“パラ時間”でのできごとか?――をぽろぽろ漏らす、なんだか対処がむずかしいオバちゃんというのが、個人的にはネイタドル=オフの印象だったり。

そして、なにがおそろしいって、このコンビ、〈星の暗黒兄弟〉との決戦まぢか、融け合って〈キングロリー〉なるヒューマノイドを形成するのだ。“最愛より生まれし子(KINd einer GROßen LIebe)”の意味だそうな。
……愛ってこわい(爆)

■Perrypedia:Neithadl-Off
■Perrypedia:Goman-Largo

ファンタスティーク大賞の行方:続報

見落としていたのだが、2月22日付けのディルク・ファン・デン・ボームのツイートによると、ドイツ・ファンタスティーク大賞(DPP)は今年は未開催となることが決まったらしい。

https://twitter.com/Tentakelkaiser/status/1230871952232939521?s=20

→ごやてん:ファンタスティーク大賞の行方

以前報じたように、2017年の開催からスポンサーが付いたDPPだが、それに伴い、運営陣にも異動があったようで、スポンサーが下りたからハイ元の運営、というわけにもいかなかったみたい。
来年から復活の運びとなるかは、続報待ちとなる。
創設されたころから(それなりに)追いかけてきたDPPだが、気がつけば20回を超えて、歴史のあるものとなっていたわけで。なんとか復活してもらいたい。