SF年鑑、と当時は呼んでたかな

ローダンNEOの訳者である、鵜田良江さんのツイート。

懐かしや。80年代にはScience Fiction Jahrbuchと題されてたはず。
Heyne社のこれとはまた別に、ローダン出版元のMoewig社からScience Fiction Almanachというのも出ていた。こちらはたぶん、80年代までで刊行終了してる。当時はどっちも“SF年鑑”と呼んでいた。
あの頃はローダン読むので手一杯で、周辺まで手を広げる余裕もなかったので、購入してなかったんだよね……。

個人的には、ドイツのSF関連は90年代から斜陽の時代のように思う。
ただ、あちらは中小の出版社が多数ある中で、社主や編者がSF・ファンタジーの作家であるところも多い。マティアクの紹介で触れたシュヴァーツや、やはり(元)ローダン作家のミハエル・ナグラなんかもこれに該当する。浮き沈みは激しいようだが、00年代にアンソロジーVisionenを刊行したShayol-Verlagや、近年では話題のSF Jahr 2018、2019を刊行したGolkonda-Verlagやp.machinary社などは精力的に短編集を出していたり、PC雑誌や科学雑誌がSF小説のコーナーを設けてたり、作品(短編)発表の場は意外とあるみたい。

話はちがうが、鵜田さんのツイートを拝見していると、NEO以外の作品を訳出されているご様子。『ホログラマティカ』かな? 期待してまーす(^^)

近況:2020/01/29

先日、主要銀河一覧を、ほぼ〈無限架橋〉休止前の状態まで復旧したのに引き続き、本日付けで作家チームのページを公開した。こちらは3055話の時点での執筆数等一覧でまとめたもの。〈無限架橋〉のバックアップを見ると、当時(2200話台)参加したばかりのターナーが担当話数“1”で笑えた。
銀河一覧の方は、せめてアンスレスタとか、もーちょい追加したいものだが、さて。

以下余談だが、わたしも一応Twitterのアカウントは持っている。持ってはいるのだが、基本筆の遅いわたしは、あの字数制限でリプとかつけられるわけもなく。暇な時間に、フォローしている方々のツイートをつらつら眺める程度である。
しかし、それだけでもじゅうぶんに物欲を刺激されるとゆーか。おもしろそうな本があっちでもこっちでもつぶやかれていて、ついついポチってしまうのだった。よーみーきーれーねー(爆)

ミッション・ソル“2”の助走

公式ツイートで、3月19日発売予定の、新ミニシリーズ《ミッション・ソル2》第1話の表紙が公開された。
#プリント版、たぶん3月20日(金)発売じゃないかな?

1. Kai Hirdt / Ritter des Chaos / 混沌の騎士

今回も全12話になるはず……。
ツイートのリプで“ミッション・ソル(1)第2話とミッション・ソル2の区別がつかねぇ……。なんで13話にしないの。”ってのがあって、だよなあと思ったw

訃報:グードルン・パウゼヴァング

グードルン・パウゼヴァング(Gudrun Pausewang)
1928.03.03 – 2020.01.23

Spiegel等ドイツ各紙の報じるところでは、23日にドイツの女流作家グードルン・パウゼヴァングが、入居していた老人介護施設で亡くなったとのこと。享年91歳。

パウゼヴァングは1928年にボヘミアのヴィッヒシュタドル村(現チェコ、ムラドコウ)に生まれる。第二次大戦後、家族とともに西ドイツに亡命。教育学を学び教職につく。
南米のドイツ学校等で教鞭をとった後、1972年に帰国しヘッセン州東部のシュリッツに居をかまえた。

彼女の活躍は児童文学の分野で高く評価される(2009年にドイツ児童文学アカデミー大賞、2017年にドイツ児童文学賞特別賞で、そのライフワークが表彰されている)が、冷戦下のドイツで核兵器が使用された世界を描いた『最後の子どもたち(Die Letzten Kinder von Schewenborn)』や、チェルノブイリの放射性物質漏洩事故に触発された『みえない雲(Die Wolke)』等、社会的な主題を扱った作品も多い。
特に『見えない雲』は、1988年のドイツ児童文学賞・ドイツSF大賞・ラスヴィッツ賞を受賞し、2006年には映画化されている。
上記2作を含めて、邦訳も多数存在する。

今回のニュースを知ったのは、「悲しいお知らせです:これまでクルト・ラスヴィッツ賞長編部門の栄冠を勝ち取った唯一の女流作家が亡くなりました。」という、ローダン作家ロベルト・コーヴスのツイートだった。
彼女の作品を読んで育った世代の作家も多かろう。永年の活躍に敬意を表し、そのご冥福を祈りたい。

■Wikipedia:グードルン・パウゼヴァング
■Stuttgarter Zeitung:„Die Wolke“-Autorin ist tot

ライプツィヒでのサイン会

3月の12-15日にかけて、ライプツィヒ書籍見本市が開催される。
西のフランクフルト(秋)、東のライプツィヒ(春)と並び称せられるだけあって、情報も大量に流布していて、わたしのようなにわかには判別がつきかねる(笑)のだが、文学賞ひとつとってみても、ライプツィヒ・ブックフェア文学賞(Preis der Leipziger Buchmesse)、ドイツ児童文学賞(Deutsche Jugendliteraturpreis)、欧州相互理解のためのライプツィヒ書籍賞(Leipziger Buchpreis zur Europäischen Verständigung)、他に書籍つながりで世界で最も美しい本コンクール(Best Book Design from all over the World)等々……出るわ出るわ。

さすが17世紀まで遡れる歴史ある見本市。そして一方では、今年もMANGA-Comic-conが併催である。日本からも出展してるんだねえ。

プランクフルトの時、Wikipediaが“書籍見本市”→“ブックフェア”になっていると書いたが、翻訳に際しての表記揺れも多い。書籍見本市、ブーフメッセ、ブックメッセ、ブックフェア……。わたしみたく古い人間はともかく、やっぱり最近は、日本で通例の“ブックフェア”を使用するのが主流のようだ。

で、我らがローダン・シリーズも第2ホールH404で、サイン会やったりQ&Aやったりするらしい……。詳しいタイムテーブルは公式見てもらうとして。作家がミシェル・シュテルン、カイ・ヒルト、ルーシー・ガス、イラストレーターがシュルツにドレクスラー。〔予定〕
草案コンビは、さすがにいないか。

■公式News:PERRY RHODAN AUF DER LEIPZIGER BUCHMESSE 2020
■Leipziger Buchmesse公式:leipziger-buchmeese.de

新作家:デニス・マティアク

Amazonの発売予定によると、3054話「ヴェクイア最後の世界(Die letzte Welt der Vecuia)」を、デニス・マティアク(Dennis Mathiak)が執筆するらしい。

マティアクは1986年12月11日、ドイツ西部のゲルゼンキルヘン生まれ。
少年時代、父が本棚のディズニー・コミックの裏に隠していた(笑)ローダン・ヘフトを発見したのがSF初体験っぽい。451話からローダン読者になった(公式のプロフィール)そうなので、時期的に第5版の読者と思われる。2000話から初版も購読とか。

10代後半からファン小説の執筆をはじめ、2007年頃からPROCのオンラインで独自のSFシリーズ〈Thydery〉を発表。これにはシュテルン、ヘーレン、モンティロン、テムゼン等、後のローダン作家たちも参加していた。
同時期、2007年の第4回ウィリアム・フォルツ賞において「訣別(Abschied)」にて第1席を獲得している。
SF作家ワークショップ等にも足しげく通ったそうで。この際にできたスーザン・シュヴァーツらとの縁で、彼女が自前の出版社Fabylon-Verlagから出したSunQuestシリーズ中の一編を担当した(共著)のが、マティアクにとって最初の商業作品となるだろうか。その後、Bastei社のSFヘフト・シリーズ〈シュテルネンファウスト〉で2篇を執筆している。

ローダン・シリーズへの参加は2011年のアトラン-X(新歴史冒険譚ポケットブック)6巻執筆からで、以降、時折ローダンのミニシリーズでお声がかかるようになる。主として、上記SunQuestでご縁のあったシュヴァーツやウーヴェ・アントンが草案を担当したものだが、ローダンNEOでも第1期に2篇を執筆している。

……と、色々書いたが、なんか印象薄いな……と思ってつらつら考えるに。白状しよう、実はまだ1作も読んでなかったorz
ま、まあ、記念すべき通算50人目のローダン作家(正篇)は、期待の若手ということで、ひとつ。

Fabylon-Verlag:シュヴァーツが自作を出版するために1987年起業。現在も続いているのだからたいしたもの。
SunQuest:シュヴァーツ草案のSF+ファンタジー。2007年から隔月全12巻。ヴルチェク、アントンらローダン作家多数参加と同時に若手を登用したらしい。
STERNENFAUST:2005年から2012年にかけてBasteiより刊行のSFヘフト。全199話打ち切り。

■公式Info:DENNIS MATHIAK
■Perrypedia:Dennis Mathiak

3/25追記:公式サイトでも23日に報じられたが、これだとゲスト扱いかレギュラーか判別つかないよね……。

■公式News:DENNIS MATHIAK SCHRIEB EINEN PERRY RHODAN-ROMAN

ウィリアム・フォルツ賞について

ウィリアム・フォルツ賞(William Voltz Award)。ローダン・シリーズの二代目草案作家ウィリアム・フォルツの名を冠されたSF文学賞である。

2004年、フォルツ没後20年に際して立ち上げられたホームページと同時に、未亡人インゲ・マーン=フォルツにより未発表短編の募集が呼びかけられた。後進育成に熱心だったフォルツにならって、主としてまだ作品を発表する機会を持たなかった若手がターゲットだったらしい。
ファンダム時代のフォルツが短編で名を馳せたことから、募集は短編に限定(第2回は16000字まで)。各回とも、ローダン作家や著名なSF評者が審査員として名を連ね、オンライン投票も実施された。募集総数225編と大盛況だったため、単発企画の予定が2回、3回と回数を重ね開催は5度に及んだ。2回目からはお題を決めての募集となる。
賞金も出ていて、1席300ユーロ、2席200ユーロ、3席100ユーロ。各回とも変更なし。

昔、ごやてん、というか、前身の無限架橋NEWSができたばかりの頃、第1回のことを取りあげている。たぶん、わたしなりに刺激をうけたんだと思う……おぼえてないけども(笑)

近年、当該サイト(www.williamvoltz.de)からフォルツ賞のページ自体が消滅していることに気づき、ちゃんとまとめていなかったことを悔やんだのだが、一旦この記事をアップした後で、ふとInternet Archiveのことを思い出して確認したところ、往時のデータがサルベージできた(汗)
おおよそ必要な資料は揃ったけど、なるたけデータは保存しておこうっと。受賞作、一部プロになって短編集を出したりアンソロジーに収録されたり、著者自身がオンラインで公開しているものを除けば、このサイトのデータ以外に読む手段もないのだし。
#いや、ホントにないのよ。“William Voltz Award”で検索して、15年前のごやてんの記事が上位でヒットするくらい(笑)

なお、後進の育成、という意味では、3回目の受賞者Uwe Postは後に『ヴァルパー・トンラッフィルと神の人差し指』でラスヴィッツ賞とドイツSF大賞を受賞(応募作だった「edead.com」自体も出版後ラスヴィッツ賞にノミネートされた)したり、現ローダン作家ミシェル・シュテルンが本名で応募(第3回、次席)していたり、第4回1席のマティアクがこの度ローダン本篇に参加と、立派にその役割をはたしている。

受賞作一覧

第1回(2004年)

1. Thomas Hocke / Die Zeitmaschine / タイムマシン
2. Wulf Dorn / Activity / アクティヴィティ
3. Rüdiger Lehmann / Adler und Geier / 大鷲と禿鷹
3. Carsten Fromme / Tod eines Hochhauses / ある高層ビルの最期

審査員:ボルシュ、ヘーンゼル、ヴルチェク、ミハエル・ナグラ(以下、註釈無しはローダン作家)

第2回(2005年) お題:ロボット

1. Julia Blaschke / 12 Minuten / 12分間
2. Frank Hoese / Botch / ボッチ
3. Gerhard Franz / Über den Tod hinaus / 死を乗り越えて
3. Damian Wolfe / Die perfekte Maschine? / 完璧な機械?

審査員:エルマー、シュヴァーツ、シュテフェン・フリードリヒ
※フリードリヒはPROCのニューズレターTERRACOM編集長(当時)

第3回(2006) お題:22世紀の物語

1. Uwe Post / edead.com / edead.com
2. Stefanie Rafflenbeul / Der Letzte seiner Art / その種、最後のひとり
3. Gerry Haynaly / Gefangene der Stadt / 都市の虜囚

審査員:アントン、ターナー、アルフレート・ケルスナー
※ケルスナーはジョニー・ブルック没後、メインで表紙絵を担当。(現在もサブで描いている)

第4回(2007) お題:異世界SF

1. Dennis Mathiak / Abschied / 訣別
2. Dirk Eickenhorst / Nummer Neun / ナンバー9
3. Norbert Mertens / Bitte lächeln! / さ、笑って!

審査員:カストール、アキム・メーナート、カティア・リヒター
※リヒターはホイゼンスタム(フォルツの居住地)の書籍販売・地方紙の書評ライター

第5回(2009) お題:SF

1. Christian Kathan / Ein Augenblick Unendlichkeit / 一瞬の永遠
2. Dieter Bohn / sefer chajim / セフェル・ハジム
3. Frederic Brake / Flüchtige Gedanken / 逃避的思考

審査員:クナイフェル、ディルク・ヘス、クラウス・ボールヘフナー
※ボールヘフナーは他記事で書いたとおり、BNF、SF紙編集者、VPMマーケティング担当

なんか一日じゅうネット漁りをしていた気が(笑) でも、リスト埋まってよかったぁ。
フォルツ・リスペクトなのか、Uwe PostやDieter Bohnは書籍プロフィール等に「William Voltz Award受賞者」と明記してたりする。この賞が存在した意味はたしかにあったと思うのだけど、インゲさんがマールと再婚(マーンはマールの姓(本名))して、子息らの活動もアメリカ中心であることから、復活はもうないだろうねえ……。

アムリンガルの年表にからむもにょもにょ

先日、マガンと電話しながら女戦士の新刊チェックをしていたら、NEO22巻でヴェガ星系にかつて存在した惑星がアンブルになっていた。これ、原語はAmburで、オリジナル版の読者なら、人工惑星ワンダラーの別名アムブルであることをご存じだろう。
まあ、NEOは別シリーズなので、なにがなんでも固有名詞を統一する必要もない。ただし、正篇については、アムブルでよかったなあと個人的に思っている。そう遠からず、とある壮大なミスリードがやってくるからだ。
#単に、わたしがひっかかっただけともいう。としか言わないかw

ここに来る方に言うまでもないかもだが、今回、いろいろネタバレである。念のため。

-*-

タルカン・サイクル中盤。当時(1987年)、すでに年に2、3作しか執筆しない状態のダールトンに、草案作家ヴルチェクは、タルカン宇宙に漂着したローダンとも、ハンガイ銀河の四半分とともにこの宇宙で作戦を開始したヘクサメロン勢力とも関係のない挿話を担当させる。エルンスト・エラートの放浪である。
ヴィールス・ボディを失ったエラート、シェーデレーアから分離したカピン精神体テスターレの両名は、“バルコン人の斥候(バルコン)”が語った、新たな肉体を与えてくれる〈成就の地〉へとたどりつくべく、バルコンのシュプールをたどり、深淵の騎士団の聖堂惑星クラトにいたる。バルコンを加えた3名が、惑星地下、ポルライターの極秘データ・バンクでバルコン人について調べたところ――

1 バルコン人のシュプール

出てきた検索結果が、

 1)アムリンガルの年表(Zeittafel von Amringhar)
 2)スープラヘトの封印者(Bändiger des Suprahet)
 3)〈それ〉の誕生協力者(Geburtshelfer von ES)
 4)ヴィオモンの賢者(Weiser von Wyomon)

という、箸にも棒にもかからない情報である。〔1366話〕

当時のテラナーがつかんでいたところでは、「スープラヘトの封印者」とは130万年前、力強き者の命をうけ大群の進路を脅かすスープラヘトを封印した大群建造者の一団のこと。当初オールドタイマーと呼称された彼らは、後に「キトマの種族」とか「クエリオン人」と呼ばれることになる。〔1275話〕
そして、惑星ケムバヤンの〈成就の地〉にいたる過程で、3人はバルコン人が「スープラヘトの封印者」の系譜につらなる者であることを知る。さらに〈成就の地〉でバルコン人(=クエリオン人)の斥候が用いる作業用ボディに宿ったエラートとテスターレは、謎の声(〈それ〉という見解が有力)から「アムリンガルの年表をみつけよ」という指令を下される。〔1384話〕

え、んじゃ3とか4もバルコン人のこと? なんて思う間もなく、プロットの卓袱台返し、1400話のドリフェル・ショックによって、物語は一気に700年の時間を超えてしまう。
作家会議のカリカチュア『カオターク・ミーティング』をある程度信用すると、ヘクサメロン・ストーリーが没ったのは、1395話の原稿ができているか、最低でも草案がグリーゼに配布されてからという急転直下。それじゃあアムリンガルの年表って伏線もポシャったか、というと、これがそんなことはなかった。

封鎖された銀河系への道を探るローダンらは、〈四腕の予言者〉ことイホ・トロトの足跡をたどり、大マゼラン星雲のパウラ・ブラックホールの事象の地平の下に隠された小惑星で、アムリンガルの年表の“残骸”を発見する。もとは、林立する水晶柱ひとつずつの頂上にデータ・クリスタルが鎮座していたという。
トロトの検証によれば、どうやらドリフェル・ショックで巨大構造体が破壊される以前に、エラートがこの地を訪れていたらしいのだが……。〔1418話〕

2 星の暗黒回廊とアミモテュオ

イホ・トロトが現地にいたる、ほぼ700年前からの経緯が語られて、そこで〈ミモトの宝玉(Das Juwel von Mimoto)〉というものが出てくる。エスタルトゥ十二銀河に潜入したM-87の斥候が語り、サイノスやポルライターもからんできたそれは、〈暗黒のキューブ〉とともに〈星の暗黒回廊〉の星図をなすという。また、その時点ですでにトロトは“カンターロ”の名も耳にしている。怪しからん、と読者は当然思うわけで。〔1419話〕

ほぼ同時期に、マールの書いた惑星小説309巻『アムリンガルの宝玉』が刊行されている。タルカン宇宙にいた頃のローダンを描いたエピソードで、そこでテラナーはアムリンガルとは「公会議が招集されたとき、ヘクサメロンの領主たちが会合する場所」と聞かされ、これと関連があるっぽい映像をおさめたデータ・クリスタルを入手する。ただし、このアーカイヴのその後は不明。まあ、外伝だし。

で、星の暗黒回廊というのが、ブラックホールを結ぶ搬送路であることがわかり、訪れたシラグサ・ブラックホールにはカルタン人伝承者の《ナルガ・サント》の残骸が。どうやら、銀河系を包む障壁を突破しようとして失敗したっぽい。同胞たちの惨状をみかねたダオ=リンは巨船をピンホイールへと運ぶのだが、そこへ首を突っ込んできたのが、ハンガイ銀河におけるカルタン人の分派カラポン人。
「本船に〈モトの真珠(Perle Moto)〉があるはずだ!」と、居丈高に要求する軍人さんの言葉に興味を抱いたダオ=リンは、ハンガイ銀河、カラポン帝国の首星まで遠征して、みごと皇帝所蔵の〈モトの真珠〉を奪取する。これもまたデータ・クリスタルであり、エルンスト・エラートのメッセージがおさめられていた!〔1427話、1449話〕

アムリンガルの年表に由来するデータ・クリスタル。例の水晶柱のてっぺんに設置されていた、全長14cm、幅8cmほどの代物だが、その名をアミモテュオ(Amimotuo)という。ミモト、モト、という名称はここからきている。

このあたりで、上記ミスリードというか、わたしは妄想したね(笑)

 アムブル(Ambur)
 アムリンガル(Amringhar)
 アミモテュオ(Amimotuo)

あれ、Amからはじまるのって、ひょっとして、バルコン人じゃなくて〈それ〉関連なんじゃね?

そうして、まるで待っていたかのようにやってくる新たなるAm!(爆)
ローダンの手にわたったモトの真珠は、エラートのメッセージを紡ぎ出す。彼は小惑星アムリンガルでクエリオン人キトマから「アムリンガルの年表は“〈それ〉の年代記作者”が綴ったもの」と聞かされると同時に、アミモテュオを託され〈それ〉のための使命を果たすことになる。ネーサンを経由した《バジス》の分解、そしてゲジルの捜索……だが、数十年の捜索のすえにわかったことといえば、〈アマゴルタ(Amagorta)〉なるものが関与しているとだけ……。〔1460話〕
#ちなみに〈それ〉の年代記作者については、1349話に初出である。

すでに星の暗黒回廊の管理種族アノレーと接触していたローダンたち。アノレーによると、アマゴルタとは回廊の建造者たる種族〈始祖〉が隠遁した場所だという。カンターロのデータバンクから抽出された情報は、それが銀河系中枢部のブラックホールと明らかにした。〔1470話〕

アマゴルタの事象の地平下に潜入したローダンらは、〈アマレナ(Amarena)〉の手記を入手。ヴァウペルティアの子孫だる2種族が統合されたアマレナ(彼らの言語で“民族”)こと〈回廊の主人たち〉は、星の暗黒回廊の管理をアノレーに譲渡した後、さらなる進化の道をもとめてアマゴルタに隠遁。しかし、ドリフェル・ショックの影響で退行をはじめた自分たちが局部銀河群を破壊することをおそれた彼らは、アノレーの分派たるカンターロに協力を依頼し、種族規模の自死を選んだ……。〔1471話、1472話〕

あ、あれ。なんか、そこでプッツリ切れちゃったんだけど?(汗)

3 妄想の果て

アムリンガルの年表ネタは、次のサイクルも継続された。
エラートの依頼でパウラ・ブラックホール内の小惑星アムリンガルを調査したナックのパウナロは、残骸が“不完全なコピー”であると断定。なら、まだ年表捜索というオレたちの使命は終わってないんだ、と安堵するエラートとテスターレ。〔1500話〕
活性装置を返却せいと言われたローダンたちが右往左往するのを尻目に、彼らはナックの妨害をうけつつ惑星ケムバヤンを再訪、年表(偽)の断片から、〈それ〉の最も古い同行者が炉座銀河にいることを知る。〔1510話、1519話〕

眼光星系の惑星宵影に、水晶生命体ノクターンの集積体〈炉座の賢者〉を訪れたエラートらは、ノクターンこそが「〈それ〉の誕生協力者」であることを知り、その援助で、“真の”アムリンガルの年表へと到達する。〔1535話、1536話〕

ただし、それがドコであり、ナニが書かれているものなのかは、一切触れておらず、次にエラートが登場するのは〈それ〉の使者としてなので、ワンダラーなのかにゃあ、と非常にもにょもにょした幕切れであった。

一応、サイクル終盤の時期に、1000万年前、局部銀河群のどこか、アムリンガルと呼ばれる場所で“公会議”が開かれ、ヘクサメロンの主ヘプタメルが臨席したことが述べられたり〔1593話、惑星小説358巻〕
真のアムリンガルの年表はほぼ超空間に存在し、ワンダラーと紐付けられているっぽいと描写されたり〔1598話〕
もして、個人的にはアムリンガル=銀河系だと筋も通るしおもろいのになあとちょっとだけ期待したのだが、基本、これ以降アムリンガルの年表についてシリーズで取りあげられることはなくなってしまった。

はるか後、ヴルチェクが草案作家を引退する直前の2000話において、「誕生協力」の詳細が描かれたり(バルコン人ではなく、ヴォジャル人だった)、銀河系の古名が〈アマンドゥル(Ammandul)〉であるとされ、ああ、やっぱヴルちゃんはAmイコール〈それ〉関連のサインのつもりでいたのかなァとちょっとほっこりしたのだけど。まあ、それはそれ。
#〈それ〉以前にはファリスケ=エリゴンと呼ばれていた(さらに後付け)。

そして、ヴルチェクの後を継いで草案作家となったフェルトホフの時代、おもむろに、700万年前に大マゼラン星雲をアムリンガル、小マゼラン星雲をキリンガル(Kyringhar)と呼称していたことが明らかとなる。〔2149話〕
だが、これもフェルトホフが夭折したため、以降の展開はなかった。せめて、なぜアマンドゥルの年表ではなく、アムリンガルなのかくらいはと期待したのだが。残念。

-*-

……とまあ、ミスリードなのか、伏線が死んだのか、わたしが妄想ふくらませてヒトリ踊っていただけなのかは、さだかではない。ないんだったら(笑)

ヴィーロノート編からはじまるエスタルトゥ話には、ほかにもいろいろと伏線がある。
カルタン人……とわたしは訳しているが、原語はKartanin。母星の名がカルタンで、女系(猫型亜人)種族なので女性名詞を意味する語尾-inが優先されるが、男性単数だとKartaneとかだったりもする……のだけど、一番の理由は、「タルカン」との類似がわかりやすいから。これ、カータニンとか訳したらアウトである。
エスタルトゥ(Estartu)及びその中央星エトゥスタル(Etustar)、ピンホイール(さんかく座銀河)のカルタン名アルドゥスタール(Ardustaar)の近似とか。
ストーカーがチョモランマにぶっ建てた〈英雄の学舎〉に設置された、5万年前の第三の道の哲学の創始者と伝わる男性オーグ・アト・タルカン(Oogh at Tarkan)の彫像の描写が、よく見るとお猫様であるとか。

30年前のわたしは、上記のような妄想だだもれるくらい楽しませてもらったのだが。
日本の読者さんたちにも、そんな楽しみ方ができることを願いたい。
べ、別に同じ穴のムジナが欲しいわけじゃないんだからねっ(オイ

第22シュタッフェル:アルコン覚醒

公式サイトNewsによると、ローダンNEOの次期シュタッフェルのタイトルが〈アルコン覚醒(Arkon erwacht)〉に決定したとのこと。220巻~229巻の予定。

現在、コンパレータの惑星ラシャトめざして出発したローダンたちは、途上《ファンタジー》が難破して悪戦苦闘中かつ〈ダークライフ〉に関する情報収集中であるが、そこからアルコン帝国再登場(215巻のタイトルが『帝国の使節』である)がどうからんでくるのか。

女帝シータさんの復権はテラのおかげでもあるので、一応友好国扱いかなあと思いつつ、そのわりには、宇宙チェスではブルー族さえ手伝ってくれたのに、アルコンの名前聞かなかったなあと思うだに、政変起こってておかしくない。
ヘフト版も、シータさん即位→暗殺はサイクル間の闇で出番がなかった(ただしヘフト版シータさんは軍人さん&アトランの恋人だったので、それ以前には若干活躍もあった)ことを考えると、新皇帝としてボスティクが登場しても全然おかしくないのだ(笑)
#まあ、読んでないから勝手なこと言ってるけども。

これまた勝手な憶測だが、第4期が〈ダークライフ〉編として、アルコンに敵にまわられると非常にやっかいなところではあるけれど、じゃあダークライフに浸蝕されたもの同士、コンパレータの助けを待つのでは再登場する意味もない。
やっぱり、太陽系連邦ないしコンパレータに進軍するしかないよーな。どうかな。

■公式News:»ARKON ERWACHT« BEGINNT IM FEBRUAR 2020

ファンタスティーク大賞2019年受賞作一覧

少々遅くなったが、ファンタスティーク大賞2019の受賞作を。

ファンタスティーク大賞は、書籍・コミック・TV・ラジオ・映画等の媒体を問わず、SF・ファンタジー・ホラー・ミステリ等様々なジャンルを包含した“ファンタスティーク”全般を扱うニュースサイトPhantastik-Newsの読者投票によるプライズである……が、【亀】マークがついたり、受賞作一覧をきっちり掲載していなかったここ数年のあいだに、Corona Magazine及びPhantastisch!との共催になっていた。今回の投票に先だって公式サイトが模様替えをおこなったが、これもCorona Magazineのサイトと同じサーバーに移行したみたい。

Corona MagazineはVerlag in Farbe und Bunt(カラーかつカラフル出版、かな)が2014年から隔月刊行しているSF・ファンタジー中心のオンライン・マガジンで、Wikipedia(de)によると、定期購読者8800名のドイツ最大手SFオンライン誌とのこと。
一方のPhantastisch!は2001年から季刊で刊行されている業界紙(現在の版元はAtlantis-Verlag)。編集長のクラウス・ボールヘフナーは、ペリー・ローダン・ファンツェントラーレの創設者のひとりで筋金入りのファンであり、90年代後半からVPMのマーケティング関連も担当している。また、このPhantastisch!の刊行について、二度にわたりラスヴィッツ賞の特別部門で表彰されている。

なんとなく、ニュースサイト読者によるファン投票、というイメージが強いファンタスティーク大賞(個人的感想です)だが、2017年・2018年は500ユーロの賞金もついたとかで、だいぶ商業色が濃くなってきたような。
そして、以前は公式サイトの掲示板でショートリストにノミネートされた作品の順位がわかったのだが(獲得票は不明)、最近では受賞作のみの発表となっている。ちと残念。

さて、その今年の受賞作一覧は下記のとおり:

長編部門 Bester deutscher Roman:

Nicole Böhm / Das Vermächtnis der Grimms – Wer hat Angst vorm bösen Wolf
    / グリムの遺産――悪い狼を怖れるのは誰?

実際読んでみると、当然ながら、紹介文等から推測されたものとは、中身がだいぶちがった(笑)

13世紀のインド、ナブラ渓谷にひっそりと暮らす8名の男女がいた。“マサリ”と称する彼らは、物語を紡ぐもの。不死なる修道士たちの執筆した物語は、聖なる神殿からあらわれる女性〈ムーン〉の承認を得て、広く人界へとひろまっていく。長老のイサが書いたある物語はグリム兄弟の集成の中で『ルンペルシュティルツヒェン』と呼ばれ、まだ若いカサジュの作品は中国に伝わり『葉限』と言いならわされるようになった。彼らは人の世の幻想のゆりかごで生きてきた――だが、ひとりの行き倒れた旅人を救ったことから、マサリの結束が崩れ、ある呪いが解きはなたれてしまう。それは、彼らの物語によって生み出された幻想の国アバリオンにも影響を及ぼし、呪われたナイフを手にした若者アッシュは、やがて〈ムーン〉に対立する存在を創り出すことになる。

現代のフランクフルト。クリスティン・コリンズは、兄ブレイデンによって旅行先のニュージーランドから呼び出されていた。
ブレイデンはFBIに所属し、目下、各国諜報機関共同で進行中のあるプロジェクトに参画していた。ヨーロッパを中心に多発する殺人・変死事件の原因究明である。突如として凶行に及んだ者たちは、童話の一節を歌うように告げた後、心臓発作で倒れる。多くの事例は慎重に秘匿されていたが、すでにネットでは〈グリム・マーダー〉として噂が噂を呼んでいた。
クリスが呼ばれたのは、彼女と兄だけが知るその異能――行間から書かれざる真実を知る能力、物語を映像として体験する能力のためだった。〈狼〉の所在をつかみ、アバリオンへの道を見出すために、クリスの力が必要なのだ。
事実、その直前グリム・マーダーのニュース映像を見たクリスは、ある幻覚を体験していた。死屍累々たる曠野。たちこめる死臭。ひとりの女が言う。『グリムには殺すことしかできません。マサリは失敗しましたが、十分に強ければ、あなたにはできる』一粒の種を握らせて、『はじまりにして終わり。時がくればわかるでしょう。グリムもあなたに気づいています。闘いなさい』

かくてはじまる〈黒狼〉との闘い――一癖も二癖もある作戦チームのメンバーとの諍い――そして、背後には数百年前からつづくマサリの陰謀……うん、もう計略というより陰謀が。どうやらクリスにはマサリの血が流れているらしい。それも生け贄目的で。
舞台を北米に移した次巻『鏡よ鏡』が完結編らしいけど。生き残れるかクリス。

短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:

Markus Heitkamp / Housten hat Probleme / ヒューストン問題あり

長編部門ノミネートの『ヒューストン・ホール』もアメリカはヒューストンではなかったのだけど。こちらもちがった(笑) 主人公の名前がヒューストンだったのだ。

体育大学に通うレイラ・ロットブラムさんが帰宅すると、家が燃えていた。消防士たちが救助活動中。わたしのおちびさんたちが! 1、2、3、4、5、6、7、8……足りないわ! 慌ててとってかえした消防士が火中から救い出したのは――。「ヒューストン!」

主人公の名前はヒューストン。インコである。鸚哥。
ヒューストン君、あるものに非常に憧れていた。この作品が収録されているのは短編集『P-ファイル』……“フェニックス文書”である。
不死鳥は、灰の中から蘇る。ここまで書けば、あとはわかるな?(爆)
#再犯注意w

国際部門 Bester internationaler Roman:

Holly Black / Elfenkrone / Tithe: A Modern Faerie Tale / 十分の一税

新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:

Christine Weber / Der fünfte Magier: Schneeweiß / 五番目の魔法使い:雪白

■ファンタスティーク大賞公式サイト:deutscher-phantastik-preis.de
■Wikipedia:Corona Magazine
■Wikipedia:Phantastisch!